こんな仕打ち許せるわけありません。死に戻り令嬢は婚約破棄を所望する

はなまる

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40シュナウト怪我を負う(シュナウト)

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  俺(シュナウト)はここに来る前に魔力の扱い方を専門の先生に教えてもらった。時間があまりなくてまだ初歩的な事しか出来ていないが、まさかあんなにうまく行くとは思っていなかった。

 いや、リンローズがそばにいて俺の魔力を導いてくれたからだと思う。

 その前にもふたりの聖女に魔力を分けてやれって言うし、でもリンローズの言う通りにしたらほんとに彼女たちに魔力が流れ込んでいく感じがしてふたりの顔色が少しずつ良くなって行くのが分かると、俺も役になっているって思えた。

 だからあの後あんな事を言ったりもしたんだ。

 とにかくうまく行って良かった。

 なのに、リンローズが倒れて俺は焦った。俺も一瞬意識が遠のいたが何とかすぐに立て直しが出来たまでは良かったが‥

 いつの間にかラセッタ辺境伯がリンローズを抱え上げて辺境伯邸に連れて行ってしまった。

 だけど俺の。婚約者の立場ってもんがあるだろう。と言いたかった。

 でも、そこはまあ、一応王子殿下という立場もあるし宴に顔を出して欲しいと言われてリンローズは侍女が面倒を見るからと言われればそうするしかなくて。

 でも、先に辺境伯が様子を見に行くか?

 それ、俺の役目だろう。

 おまけにリンローズに会いに行ったらあいつうとうと寝ていてふっと目を覚ました時の顔と言ったら‥ああ、いかん。思い出すだけでなんかムズムズして来る。

 もぉ、ほんと久しぶりに体が熱くなった。

 アシュリーを抱いたときに味わった急激に沸騰したみたいな高揚感とは全く違うけど意外とタイプだよな。

 なのにリンローズは婚約者じゃないといい張って!

 前はこんなにはっきりものを言うような女じゃなかったと思うが俺は意外にじゃじゃ馬タイプも好きなのかもしれない。

 でも、またすぐにリンローズに毒を盛られた時の事を思い出してそんなに憎まれてたのかって思うと胸の奥がズキッといたくなった。

 でも、それは俺に責任のあることだ。しばらくは我慢するしかない。

 なんて反省してたらあいつ涙なんか見せるから‥

 っつ!俺、どんだけお前を抱きたくなったか。

 とにかく結果を出さないと。

 でも、意外と結果出してるんじゃないか?

 いや、何をいい気になってるんだと気を引き締めろと思うがずっと人より劣っていると蔑まされてきた。

 そんな俺があんな力があったなんてこれってすごいだろ。

 今朝、辺境伯に見回りに行くかと聞かれてもちろん行くに決まっている。俺はここで結果を出してリンローズに少しは見直してもらわなきゃいけないんだ。


 辺境伯邸を後にして俺達は町中を抜けて森に入った。

 森の中には魔石が点在してそれを繋いで結界が張り巡らされていると聞く。

 神宿石がかなり魔力を籠ってくれたことで魔石に魔力を込めて行けば結界は強固になり魔物も入れなくなるとも聞いた。

 だが、結界の裂け目からすでに幾体かの魔物が入り込んでもいるらしいとも。

 一昨日も見回りの途中いきなり魔物に襲われて辺境伯は大けがを負ったのでとにかく油断は出来ないと騎乗した騎士隊の奴らが俺の周りを囲むようにして進む。

 俺は平気だって。

 俺は氷魔法が使えるらしく。氷刀や氷槍を出せるようになっていた。魔物が出たって瞬殺してやる。


 「今日はこの辺にしよう。今夜か明日には騎士隊の応援も来る。町に被害が出なければ取りあえず良しとしよう」

 辺境伯はそう言った。

 騎士隊長もそれに続いて10人ほどの隊列は向きを変え始めた。

 その時だった。

 いきなり俺の背後に大きな影が現れた。

 「魔物だ「早く剣を」「ぎゃぁぁぁ」逃げろ~」いくつもの声が響く。

 俺は振り返って魔法を飛ばそうとした。

 でも、それより早く魔物の爪が俺の顔面から胸に轢き下ろされた。

 「ぎやぁぁぁぁぁ~」あまりの痛みと恐怖に凄まじい声が出た。

 俺の身体は魔物の力と馬が暴れた反動で吹き飛ばされる。

 「でんか~!」

 誰かが俺の事を呼ぶ声がしてそして俺は意識を失った。



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