こんな仕打ち許せるわけありません。死に戻り令嬢は婚約破棄を所望する

はなまる

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46シュナウト殿下に襲われる

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 言いたいことを言った私ははっと我に返るが…

 ど、どうしよう。とにかく一刻も早くこの場を離れたい。いやもう帰りたい。そのためには結界がうまく張れたことを確かめなければ。

 そう思った私はネイト様に確認をする。

 「あっ、お騒がせしてすみませんでした。ヒルダ様お疲れ様です。それでネイト様これで結界は問題ないんでしょうか?」

 「ああ、問題ないと思う。すべての場所で結界が届いたことを確認できたと報告が来ている。もう安心だ。これも「そうですか。良かった。これで私達の任務完了ですね」ああ、そういう事になるな。それでだ。今夜は夕食にしょ‥」

 ひゅっ!

 ネイト様が何か言おうとしたがそれを手で制する。

 「いえ、そんなご心配はなさらなくて結構ですので、私は一足お先に失礼します。ヒルダ様。殿下ゆっくりとなさって帰って来て下さい。ネイト様もうお会いする事もないと思いますがありがとうございました。では、失礼します」


 私は足早に神殿に駆け込んだ。

 神官長であるテト様にお願いしてすぐに転移陣で王都に送ってもらった。

 はあ、良かった。これ以上恥は晒せない。

 私は王都に帰って来てやっとほっとしていた。


 新たに気づいたのは自分の精神が安定していない時には人の考えを読む力も発動出来ないらしい事。

 同じように相手の精神が高ぶっていても無理らしいと言う事だった。


 私は転移陣を部屋を出るとセダ叔父様に結界がうまく行ったことを報告して神殿を後にした。

 一度王宮によっておじい様に婚約を解消するとはっきり言っておいた方がいいだろうか?

 シュナウト殿下の気持ちがはっきりわかった訳ではないが、私がはっきりした態度を取れば彼も諦めるしかないというものだ。

 そうだ。私もあいまいな態度を取っていたのも悪かった。

 グダグダとそんな事を考えながら王宮に戻った。


 いきなり手を掴まれた。 

 「だれ?」驚いて振り返るとシュナウト殿下だった。

 「リンローズ。お前何勝手なことを言ってるんだ。誰が婚約解消すると言った?もういい!そんなことばかり言うなら俺が先に既成事実を作ってやる!」

 既成事実。それはあれをやってしまうと言う事だと私だって知っている。

 「そんな事出来るわけがないじゃない。いいから手を離して!」

 王宮の廊下でふたりでもめ合う。ここは王族専用のエリアで人はほとんどいない。

 「俺に逆らうのか?俺は次期国王なんだぞ。そんな俺の婚約者なんだ。寧ろ光栄に思えよ!」

 「いやです。そんな権力を使うなんて暴力ですから。そんなに無理やり奪うことが貴方のやり方だったとは‥最低です!」

 「なんだ。お前がいつまでもそんなことばかり言うからだろ。いいから俺の言うことを聞けよ」

 シュナウト殿下が本気を出したらしく私は思いっきり腕ごと引っ張られ彼の執務室に引きずられて行く。

 今はラドール様もいないし執務室の奥は休憩室になっていて簡易のベッドもある。

 「リンローズ。お前が素直になっていれば初めてはきちんと寝室でお前と交わる事だって出来た。でも、こうなったのはお前のせいだからな。ほら、来い」

 彼は怒りに任せて私の身体を引っ張って行く。私は踏ん張っては見るが到底男にかなうはずもない。


 執務室に連れ込まれそのまま抱きかかえられた。暴れてはみるが怒りに任せた男の力はどうしようもなく強い。

 ああ、もうだめだ。私はシュナウトにすべてを奪われてしまう。嫌だ。こんなの嫌だ。

 休憩室の簡易ベッドに放り投げだされるように落とされる。

 そのまますぐに聖女服をまくられて両脚をぐっと持ち上げられた。

 恐怖と羞恥と拒否。どうしようもない嫌悪感。

 「いやぁ!やめて。こんなの‥いや!」

 私は空いていた両手で所かまわず彼を殴りつける。

 「うるさい!黙ってろ。すぐ終わらせる。ったく、クッソ、暴れるんじゃない。いいか、よく聞け!俺を楽しませるのがお前の務めなんだぞ」

 彼が殴りつける私の両手を力いっぱい掴んでひねり上げた。

 「痛い!放して。お願い。こんなの嫌。シュナウトお願い‥」

 「もう、遅い。お前が悪いんだ。いいから黙れ、この!」

 彼はベルトを引き抜くと私の手首を縛りベッドの柵にそれを固定した。

 ああ‥もうだめだ。逃れることは出来ない。

 くたりとなる身体に彼の手が下履きにかかる。

 もうだめ‥‥溢れる涙でほとんど何も見えなくなって行く。

 「バーン!!」

 誰かが入って来たの?

 「たすけて!たすけて‥」私は残っていた力で声を上げる。

 「何をしている。こいつ!リンローズから離れろ。クッソ!その汚い手を放せ!」

 バゴッ!グフッ。バシーン!ドゴッ!ドサッ‥‥

 「しっかりしろリンローズ。もう大丈夫だ。恐かっただろう。さあ、おいで」

 私は涙もぬぐえずほとんど見えないまま手首に巻き付けたベルトを外され大きな布を巻きつけられた。

 温かい身体がそっと私を抱き上げて「もう、大丈夫だから安心して‥」そっと優しく囁かれ涙をそっと拭われた。

 目の前にいたのはネイト様だった。

 「ねいと‥さま?」

 「心配で転移して来たら…こいつが!もう心配ない。ぶちのめしたから」

 ネイト様の紺碧色の瞳が私を見つめていた。



 
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