こんな仕打ち許せるわけありません。死に戻り令嬢は婚約破棄を所望する

はなまる

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コリー侯爵家でひと時の癒し

 
 私は一度コリー家の屋敷に帰って来た。

 「お嬢様お帰りなさい。どうでした辺境伯領は?」バーナードがすぐに出迎えてくれた。

 「ええ、疲れたわ。でもお父様やミシェルの事大変だったでしょう?ありがとうバーナードがいてくれたから本当に助かったわ」

 私はバーナードの手を取りぎゅっと握りしめる。

 (一応みんなの前では父と呼ばないとね。まさか、くそったれ!とあのばかなんて言えないしね。まあ、あの人の敬意は地の底にまで落っこちてるけど‥フフフ)

 「とんでもありません。長い間お嬢様は耐えていらしたのに私は何もできず‥」

 バーナードは眦に涙をためて俯く。

 「何を言ってるの。バーナードは出来ることをしてくれたじゃない。追い出されないように細心の注意を払ってくれたから私はここで暮らしていられたのよ」

 「そのような…いえ、これからはもう何の心配もありません。今晩は何になさいます?料理長がお嬢様が帰ったと聞いたら張り切りますよ」

 バーナードの顔から笑みがこぼれ私も一緒に笑った。


 「ええ、とっても嬉しいわ。でも、すぐに戻らなければならないの。今度は北の辺境伯領に行く事になったわ」

 「ええ、ですがこんな急にですか?まだ、帰ったばかりじゃありませんか」

 「でも、領民の方が困っていると聞けばそう言うわけにもいかないわ」

 「そういう事でしたら、すぐに湯の準備をその間に昼食の仕度も整えるようにします」

 「そうね。お風呂に入りたかったの。やっぱりあなたは頼りになるわ」

 私は気分良く彼にウインクをすると部屋に入った。すぐにスーザンが来て湯の準備を整えてくれる。


 「お帰りなさいませお嬢様。お疲れでしょう。これからまた出かけられると聞いました。急いで湯を整えますので」

 「ええ、スーザンもありがとう。留守中大変だったと聞いたわ」

 「とんでもありません。アシュリー様が捕らえられたと聞いて旦那様が抗議に行かれたんです。でも、そのまま投獄されてしまわれて、それから奥様は機嫌が悪くて‥」

 「ええ、聞いたわ。うふっ。お父様が密会の現場を見たんですってね。でも本音を言えば良かったわ。あんな人にここに居座られても私も困ったでしょうし、離縁が整い出て行ってもらえてほっとしてるの」


 私は思わず微笑む。いけないなぁ。人の不幸を笑うなんて令嬢としてはあるまじき行為。だが、私は普通の令嬢ではない。なにせ死に戻りに前世の記憶持ち。私にはこの世界にはない自分の意志を持っている。

 不条理には屈しないし、その代わり自分の行動には責任を持つ。そして私は自分の意志で断罪を回避してこれからの人生を精一杯生きて行きたいから。

 それにしても、もうほとんど断罪のリスクはなくなったんじゃない?

 行動を起こしたせいなのかしら?アシュリーや父が断罪された。おまけに義理母まで追い払われて私の人生はまさにばら色になったじゃない。

 後はシュナウト殿下との関係をばっさり!‥でも‥

 なに戸惑ってるのよ。あんな奴。スパッと切ってしまえばいいのよ。スッキリ跡形もなく。そしてネイト様と…うふふ。

 ああ‥今はそんな事を考えている場合じゃないでしょ。結界の修復に全力投球しなくては。ね。


 「おじょうさま?おじょうさま?大丈夫ですか?」

 「えっ?‥‥あっ、ええ、うれし過ぎたのかしら‥ぼぉぉとしてたわ」

 ぼんやり考えごとに没頭していたらしい。スーザンが心配そうな顔で私を見ていた。


 「お嬢様お疲れなんですよ」

 「そうかもね。どこまで話してた?」

 「あの方がいなくなって本当に良かったって」

 「ああ、そうそう、ほんとに心から良かったって思うわ」

 「ですが、あの方は出て行かれる時にドレスなどはほとんど持って行くとおっしゃって‥」

 「まあ、いいわ。ドレスくらい。どうせあんな趣味の悪いドレスは着れなかったし、片付ける手間が省けたと思えばいいじゃない。先に宝石を取り上げておいてよかったわ」

 「ええ、そうでしたね。お嬢様ったらほんとに先見の明がおありですよ」

 「そんなの、思った事を行動に移しただけよ。でも、それがうまく行って良かったわ」

 話は弾んだ。この屋敷でこんなに気分良くいられるのは何年ぶりだろうと思った。これで何かあっても私の帰る場所がある。


 私はひと時湯に浸かり気分をリフレッシュした。

 昼食は料理長が急にもかかわらずっローストビーフのサンドイッチを用意してくれていた。

 私は舌つづみを打ってそれを食べるとそうだ!と思い付いた。

 オートミールバーを作ろうと張り切る。

 みんなに手伝ってもらってコーンを潰してはちみつやバターを加え形を整えオーブンで焼き数種類のナッツとベリー数種類のもの2種類を作った。

 北の辺境伯領の皆さんもきっと疲れているに違いない。

 そうだ。薬も薬草も持てるだけ持って行こう。

 そう思ったので神殿の近くまで馬車で乗り付けた。

 使用人は喜んで協力してくれて荷物を神殿にまで運んでくれた。

 私は大きな荷物ふたつを持って神殿に戻って来た。

 そうだ。ちょうどオートミールバーもあることだしドーナン殿下のお見舞いも行っておこう。



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