ご機嫌ななめなお嬢様は異世界で獣人を振り回す

はなまる

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 クララは気持ちを奮い立たす。

 彼とは一緒にはなれないとはっきりわかっている。

 「マクシュミリアン様本当に良かったわ。あなたはこのステンブルク国の王子だと思い出したって事ね?」

 「ああ、思い出した。これもすべて君のおかげだよクララ。君は命がけで僕を人間に戻そうと魔女のいる森に入ったんだろう?おかげで命を落として‥‥でもいいんだ。君は生き返ってくれた。もう何も言うことはない」

 「いえ、それは違うから…わたしは魔女に会いに行こうとしたけど途中で雷に打たれて倒れてしまったのよ。わたしは何もしてないわ。きっと神様が願いを聞いてくれたのだと思うわ。では、わたしはこれで失礼します」





 クララは自分の持っていた力が増幅してものすごい雷や雨を降らせたことには全く気付いていなかった。

 魔女を倒したのが自分だとも思ってもいない。

 神もそれを知らせるつもりもなかった。

 そんな事よりクララは、マクシュミリアンをどうしようもないほど愛していることに気づいて狼狽していた。





 クララは起き上がってベッドから下りて部屋を出て行こうとした。

 こんなことはしてられない。早くここから出て行かなきゃ…‥

 クララは行く当てもなかったが、彼といるわけにはいかないとはっきりわかった。

 でも、自分がドレスを着ていないことに気づいた。

 それにここはどこだろうとも‥‥





 「あの‥‥マクシュミリアン様、ここはどこ?それにわたしはどうしてこんなものを着てるの?」

 「ここは王宮で、僕の部屋だ。君は具合が悪いことにしてたから取りあえず寝間着を着せた」

 「どうしてそんな勝手なことを!わたしはこんな所にいたくないの。森のあの家がいいんです。わたし森に帰ります。着替えを出してください」

 「何を言ってるんだ。クララ君は僕と結婚するんだ。僕の妻になってほしい」

 「そんなの無理です。わたしの知っているマクシュミリアンは獣人で森に住んでいてそしてヤギがいて鶏もいて…‥もう…‥」




 クララは泣きだした。

 もうどうすればいいかわからなかった。

 マクシュミリアンを愛していた。

 自分は死んで生き返ったらしいが…‥

 いきなり彼は人間になっていて、それも見まがうほど整った顔立ちをしていて、そして王子様で‥‥そんな人はやっぱりわたしの愛したマクシュミリアンじゃない気がした。

 わたしに出来ることは一刻も早くここから立ち去ること…‥


 マクシュミリアンは動揺するクララの手をそっと握りしめた。

 「クララ、これを見て欲しい」

 マクシュミリアンは右の手首を出した。彼の手首には太陽みたいなあざがあった。

 「それが何か?」

 マクシュミリアンは、クララの左手首をつかむとそこにある月のようなあざを見せた。

 「僕たちは太陽と月で結ばれた天命の相手なんだ。だから僕たちは出会ってすぐにお互いが惹きつけ合った。だってそうだろうクララ。僕は今までに人と関りを持ったことなどなかった。でも君を見た時なぜかわからないけど放ってはおけないと思った。君だってそうだ。僕と離れたくないって思ったはずだ。そうだろう?」

 彼はクララの手を握って、真っ直ぐに彼女を見つめる。


 その自信あふれるグリーンの煌めく瞳にクララは戸惑った。

 「それはそうだけど‥‥だってあの時はあなたくらいしか頼れそうな人がいなかったから‥‥」

 「でも、君は僕と一緒に行きたいってずっと言ってたじゃないか!」

 「だって‥‥それは‥‥最初に出会ったのがあなただったからで‥‥」

 クララは彼の手を振りほどいて俯いた。

 マクシュミリアンは口の中で歯をぎしりと鳴らした。

 「僕たちは愛し合った。あれは嘘だったって言うのか?」

 「いきなりそんな事言わないでよ。わたしだってさっき目が覚めたばかりで、あなたと出会う前の事だって何も思い出せないのよ!」

 クララは混乱していた。

 おまけにマクシュミリアンに迫立てられてばかりで…‥

 クララは半べそで、記憶を手繰り寄せようとしてみるが、全く分からなかった。

 親が誰なのかもどこに住んでいたのかも、子供の頃の事も何も覚えていない。

 わかるのはマクシュミリアンだけが唯一の愛する人だと言うことだけで…‥

 「じゃあ、クララ君が不思議な力を持っていたことは覚えている?」

 マクシュミリアンの声が甘く響く。

 「何ですか、その不思議な力って?」

 クララは思わず彼を見上げる。

 「ほら、君は僕の手を握って屋根に登ってはいけないって言った。おかげで僕は命拾いした」

 「ええ、確かそんな事もあったけど‥‥命拾いしたなんて大げさよ」

 クララは目を反らす。

 クララはそんな事を言ったのはかすかに覚えてはいたが、それが何かの力だとはまったく彼女自身も自覚がなかった。

 これまでのくららは子供の頃からずっとその予知能力に振り回せれてきたが、この国に来てからの記憶だけのクララには、そんな実感はなかった。

 「でも、騎士隊が来るとか‥‥まあ、そんな事どうだっていいんだ。僕が言いたいのは‥‥」

 マクシュミリアンにとっても彼女の力などどうでもいい事だった。彼女が生き返った。

 それ以外もう何も欲しいものはなかった。

 だが、クララの態度があまりにもよそよそしくて腹立たしいのだ。


 いや、彼女はまだ目覚めたばかりで頭がはっきりしていなくて‥‥だから…

 クララは相変わらずマクシュミリアンから距離を置いていて…‥

 ああ‥‥クララどうして僕を避けるような態度をとるんだ。



 「いいかいクララ。僕には君がどこで生まれたとかどんな家柄だとか全く関係ない。だって僕たちは天命の相手なんだ」

 「そんなの無理です。あなたは王子で…‥」

 クララはますます戸惑う。

 「僕には関係ない」

 「あなたには関係なくてもわたしにはあるんです!」


 マクシュミリアンはもう待てなかった。

 それならこうするしかない。

 「僕がわからせてやる。もう絶対に離れられないんだって‥‥」

 クララはマクシュミリアンに抱き上げられ、一気にネグリジェを脱がされベッドに転がされた。


 彼はすぐに上に乗って来て、クララにキスをし始めた。

 これって、まったくあの時と同じじゃ……?

 クララは胸を腕で隠す。

 「マクシュミリアン!」

 「クララ諦めて‥‥さあ…」

 彼の手はその腕をどかすと露わになった乳房をやわやわと揉みし抱き、乳房は彼の手のひらでくにゅりと形を変えられていく。

 唇が耳朶に吸い付き首すじを伝いおり、鎖骨を通って乳首をとらえた。

 舌先が乳首にまとわりつきひたひたと舐め回すと乳首をキュッと吸った。

 ああ…これはマクシュミリアンの感触‥‥

 クララの記憶を収めた扉が解放されて行く。

 彼の愛撫を思い出す。舌の感じが少し変わったが、そのやり方はまさしくマクシュミリアンの舐め方で…‥


 彼の手は待ったなしで下履きの中に入って来る。

 指先が蕾に触れてそれを擦り始めた。指を蕾の間の溝に割り入れると蕾をコリコリつまむ。

 「あぁあ……んっ、待って、マクシュ…‥ミ‥アン」

 クララは彼の名を呼び思う。

 まったくあなたって人は…‥せっかちなのか強引なのか。そんなあなたが好きだけど‥‥

 「クララ?思い出した?」

 「あっ、も……!」

 「もっと?もっと思い出させてあげる…」

 マクシュミリアンは指の動きを早めた。

 挟んだ指を揺らして、蕾に振動を与え強弱をつけてそれを膨らみを揺らす。

 そして小刻みに動きを早めた。

 「ちがぁ!…‥はぁ…‥ぁんっ……そんな‥‥」

 乳房は舌に絡めとられたまま、マクシュミリアンは蕾をすっぽりと指でつまみ乳首も同時にチュッと吸い付いた。

 「あっ!だ、ん……あぁぁぁんん…‥」

 一気にクララは絶頂に駆け上がった。




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