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甘めのコーヒー(ヤンデレ)
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私はガムシロップ、愛するコーヒーさんのストーカーをしてもうどれくらいになるだろう。コーヒーさんは深い闇を抱えている。そのことはわかっているんだけど、なにかしてあげることなんて出来ない。
もし牛乳さんなら、あの真っ白な心で中和して上げられるのかもしれないけれど、私のような透明な女にはそんなことは出来ない。私には、力なんてない。
それでも、何か出来ることはあるんじゃないかって、そう思いながらずっとコーヒーさんのことを見ている。何も出来ない、何も変えられない、そんなことはわかっているけど……
「君の透明な心が曇っちゃうなんてもったいないじゃないか、もしなにか出来ることがあるなら、僕に相談してくれないか?」
「だ、誰!?」
「僕は角砂糖、僕は一人の力じゃ出来ないことも多いけど、君と協力すればなんだって出来る気がする」
「けど私は……」
変わりたい気持ちだってもちろんある、どうにかしてあのコーヒーさんの心を癒してあげたい。でも出来ないの、変わることは怖いから。だから、私は何も言えなかった。
「君の気が変わるまで待ってるよ、何日でも、何年でも」
期待が痛い、私には本当に何も無いんだ。空っぽな、透明な私にはなにもない。
一日が経ち、もう一日、もう一日と経っていく。本当はわかってる、変わるなら今しかない、今が最大のチャンスだってこと。
私は……変わるんだ。
「やぁ、待ってたよ」
「無色透明な、こんな私でも、変われるのかな」
「僕だってひとりじゃ何の役にも立てないけど、他の人と交わることで色んなことを成し遂げてきた。君も、頼っていいんだよ」
「私、変わりたい……お願いしてもいいかな?」
「もちろん、さぁ行こう!」
私達は駆け出した。愛するコーヒーさんを少しでも癒してあげるために。コーヒーさんの家のドアを、コーヒーさんの心の殻を壊すかのように思い切り開けた。
「コーヒーさん!」
「……」
「私、コーヒーさんの力になりたくて、それで来ました!」
「……帰ってくれ」
わかっていたはずのその言葉に心が抉られる。コーヒーさんは助けを受け入れられるような状態じゃない、それも、親しい仲ならまだしも私なんて見ず知らずの他人とほぼ同じ。そんなことはわかっていた、わかっていたはずだけど。
「大丈夫だよ、君の言葉はきっとコーヒーさんにも届くはずさ」
「角砂糖さん……」
角砂糖さんの言葉が私の勇気を奮い立たせる。そうだ、私はひとりじゃない。
「話を聞いてくれるまで、私は何度でもこの門を開きます。覚悟しててくださいね」
次の日もその次の日も、毎日コーヒーさんの家に通いつめた。毎日角砂糖さんもついてきてくれた。初めは会話もしてくれなかったけど、だんだん会話もできるようになって、少しづつ心を開いてくれているように感じた。
「コーヒーさん、今日も来ました」
「あぁ、ごめんな、俺のために」
「私が少しでもコーヒーさんを癒しますから」
もう迷いなんてなかった。
「角砂糖さん、コーヒーさん、近くによってきてください」
「どうして?」
「いいからいいから」
すぐによってきてくれた角砂糖さんとは対照に、コーヒーさんはなかなか動いてはくれなかった。
「僕がコーヒーさんの近くにいくよ、それでいい?」
「ありがとうございます、角砂糖さん」
よってきてはくれなかったコーヒーさんだけど、角砂糖さんから逃げたりはしなかった。
「じゃあいきますよ、それっ!」
私は勢いよく2人に抱きついた。角砂糖さんもコーヒーさんも抱きつかれてすぐは戸惑って顔を見つめあっていたが、すぐに笑みがこぼれた。
コーヒーさんのドス黒い心が完全に癒せたとは思わない。それでも、少しくらいの甘さを添えることは出来たと思う。今はそれでいい。私の透明さも、私の甘さも、コーヒーさん、角砂糖さんと交わったことで、形になれた気がした。
そして、3人は少し甘めの美味しいコーヒーになった。
もし牛乳さんなら、あの真っ白な心で中和して上げられるのかもしれないけれど、私のような透明な女にはそんなことは出来ない。私には、力なんてない。
それでも、何か出来ることはあるんじゃないかって、そう思いながらずっとコーヒーさんのことを見ている。何も出来ない、何も変えられない、そんなことはわかっているけど……
「君の透明な心が曇っちゃうなんてもったいないじゃないか、もしなにか出来ることがあるなら、僕に相談してくれないか?」
「だ、誰!?」
「僕は角砂糖、僕は一人の力じゃ出来ないことも多いけど、君と協力すればなんだって出来る気がする」
「けど私は……」
変わりたい気持ちだってもちろんある、どうにかしてあのコーヒーさんの心を癒してあげたい。でも出来ないの、変わることは怖いから。だから、私は何も言えなかった。
「君の気が変わるまで待ってるよ、何日でも、何年でも」
期待が痛い、私には本当に何も無いんだ。空っぽな、透明な私にはなにもない。
一日が経ち、もう一日、もう一日と経っていく。本当はわかってる、変わるなら今しかない、今が最大のチャンスだってこと。
私は……変わるんだ。
「やぁ、待ってたよ」
「無色透明な、こんな私でも、変われるのかな」
「僕だってひとりじゃ何の役にも立てないけど、他の人と交わることで色んなことを成し遂げてきた。君も、頼っていいんだよ」
「私、変わりたい……お願いしてもいいかな?」
「もちろん、さぁ行こう!」
私達は駆け出した。愛するコーヒーさんを少しでも癒してあげるために。コーヒーさんの家のドアを、コーヒーさんの心の殻を壊すかのように思い切り開けた。
「コーヒーさん!」
「……」
「私、コーヒーさんの力になりたくて、それで来ました!」
「……帰ってくれ」
わかっていたはずのその言葉に心が抉られる。コーヒーさんは助けを受け入れられるような状態じゃない、それも、親しい仲ならまだしも私なんて見ず知らずの他人とほぼ同じ。そんなことはわかっていた、わかっていたはずだけど。
「大丈夫だよ、君の言葉はきっとコーヒーさんにも届くはずさ」
「角砂糖さん……」
角砂糖さんの言葉が私の勇気を奮い立たせる。そうだ、私はひとりじゃない。
「話を聞いてくれるまで、私は何度でもこの門を開きます。覚悟しててくださいね」
次の日もその次の日も、毎日コーヒーさんの家に通いつめた。毎日角砂糖さんもついてきてくれた。初めは会話もしてくれなかったけど、だんだん会話もできるようになって、少しづつ心を開いてくれているように感じた。
「コーヒーさん、今日も来ました」
「あぁ、ごめんな、俺のために」
「私が少しでもコーヒーさんを癒しますから」
もう迷いなんてなかった。
「角砂糖さん、コーヒーさん、近くによってきてください」
「どうして?」
「いいからいいから」
すぐによってきてくれた角砂糖さんとは対照に、コーヒーさんはなかなか動いてはくれなかった。
「僕がコーヒーさんの近くにいくよ、それでいい?」
「ありがとうございます、角砂糖さん」
よってきてはくれなかったコーヒーさんだけど、角砂糖さんから逃げたりはしなかった。
「じゃあいきますよ、それっ!」
私は勢いよく2人に抱きついた。角砂糖さんもコーヒーさんも抱きつかれてすぐは戸惑って顔を見つめあっていたが、すぐに笑みがこぼれた。
コーヒーさんのドス黒い心が完全に癒せたとは思わない。それでも、少しくらいの甘さを添えることは出来たと思う。今はそれでいい。私の透明さも、私の甘さも、コーヒーさん、角砂糖さんと交わったことで、形になれた気がした。
そして、3人は少し甘めの美味しいコーヒーになった。
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