71 / 267
第一部 第五章
13 あっという間の出発の日。
しおりを挟む
それから正式に少し離れた北西にある、ミズィルという町から宣戦布告を受け、開戦するという知らせが広場でハーシムと黄から発表された。
それから、慣れてるとはいうものの、村はてんやわんやだった。
戦中は商人の出入りも制限されるので、商品が品薄になる。それに基本スークの店は閉まるので、皆、買い出しに走り、村を守る軍人も、万が一に備える役人も、慌ただしく走りまわり、佐知子も通常の仕事に加えライラやアイシャにアドバイスされ、必要な物の買い出しに走った。
あの日、勉強会でお茶をして以降、ヨウと会うことはなく『明後日』という二日後はあっという間に来てしまい、いよいよヨウの……軍の出発の日となった。
明日が来なければいいのに……と、不安や緊張、さまざまなネガティブな想像で寝付けず、うとうととしていた佐知子は、変わらずに轟音を鳴り響かせる夜明けの鐘でゆっくりと重い体を起こした。
あわただしく動き始めた周囲に関せず、ぼうっとしながら座って、うつむきながらじっと布団を見つめる。
憂鬱な気分だった。ライラに心配され、しかたないと割り切って、身支度をはじめた。
今日は軍の見送りがある人は仕事を休ませてもらえる。佐知子も休ませてもらった。
水場で顔を洗い、身支度を整える。今日は少し念入りに髪を梳き、バラのオイルを染み込ませ、整える。ふわりとバラの香りが漂った。
カンラはまだ着ていなかった、新品の襟と袖口に様々な色の刺繍の入った物を着た。
(気合入れすぎかな……)
佐知子はちょっと恥ずかしくなる。だが、そんな羞恥心は振り払う。
後悔は、したくないのだ。
それから、慣れてるとはいうものの、村はてんやわんやだった。
戦中は商人の出入りも制限されるので、商品が品薄になる。それに基本スークの店は閉まるので、皆、買い出しに走り、村を守る軍人も、万が一に備える役人も、慌ただしく走りまわり、佐知子も通常の仕事に加えライラやアイシャにアドバイスされ、必要な物の買い出しに走った。
あの日、勉強会でお茶をして以降、ヨウと会うことはなく『明後日』という二日後はあっという間に来てしまい、いよいよヨウの……軍の出発の日となった。
明日が来なければいいのに……と、不安や緊張、さまざまなネガティブな想像で寝付けず、うとうととしていた佐知子は、変わらずに轟音を鳴り響かせる夜明けの鐘でゆっくりと重い体を起こした。
あわただしく動き始めた周囲に関せず、ぼうっとしながら座って、うつむきながらじっと布団を見つめる。
憂鬱な気分だった。ライラに心配され、しかたないと割り切って、身支度をはじめた。
今日は軍の見送りがある人は仕事を休ませてもらえる。佐知子も休ませてもらった。
水場で顔を洗い、身支度を整える。今日は少し念入りに髪を梳き、バラのオイルを染み込ませ、整える。ふわりとバラの香りが漂った。
カンラはまだ着ていなかった、新品の襟と袖口に様々な色の刺繍の入った物を着た。
(気合入れすぎかな……)
佐知子はちょっと恥ずかしくなる。だが、そんな羞恥心は振り払う。
後悔は、したくないのだ。
0
あなたにおすすめの小説
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)
かのん
恋愛
気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。
わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・
これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。
あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ!
本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。
完結しておりますので、安心してお読みください。
異世界から来た娘が、たまらなく可愛いのだが(同感)〜こっちにきてから何故かイケメンに囲まれています〜
京
恋愛
普通の女子高生、朱璃はいつのまにか異世界に迷い込んでいた。
右も左もわからない状態で偶然出会った青年にしがみついた結果、なんとかお世話になることになる。一宿一飯の恩義を返そうと懸命に生きているうちに、国の一大事に巻き込まれたり巻き込んだり。気付くと個性豊かなイケメンたちに大切に大切にされていた。
そんな乙女ゲームのようなお話。
なんか、異世界行ったら愛重めの溺愛してくる奴らに囲われた
いに。
恋愛
"佐久良 麗"
これが私の名前。
名前の"麗"(れい)は綺麗に真っ直ぐ育ちますようになんて思いでつけられた、、、らしい。
両親は他界
好きなものも特にない
将来の夢なんてない
好きな人なんてもっといない
本当になにも持っていない。
0(れい)な人間。
これを見越してつけたの?なんてそんなことは言わないがそれ程になにもない人生。
そんな人生だったはずだ。
「ここ、、どこ?」
瞬きをしただけ、ただそれだけで世界が変わってしまった。
_______________....
「レイ、何をしている早くいくぞ」
「れーいちゃん!僕が抱っこしてあげよっか?」
「いや、れいちゃんは俺と手を繋ぐんだもんねー?」
「、、茶番か。あ、おいそこの段差気をつけろ」
えっと……?
なんか気づいたら周り囲まれてるんですけどなにが起こったんだろう?
※ただ主人公が愛でられる物語です
※シリアスたまにあり
※周りめちゃ愛重い溺愛ルート確です
※ど素人作品です、温かい目で見てください
どうぞよろしくお願いします。
黒騎士団の娼婦
星森
恋愛
夫を亡くし、義弟に家から追い出された元男爵夫人・ヨシノ。
異邦から迷い込んだ彼女に残されたのは、幼い息子への想いと、泥にまみれた誇りだけだった。
頼るあてもなく辿り着いたのは──「気味が悪い」と忌まれる黒騎士団の屯所。
煤けた鎧、無骨な団長、そして人との距離を忘れた男たち。
誰も寄りつかぬ彼らに、ヨシノは微笑み、こう言った。
「部屋が汚すぎて眠れませんでした。私を雇ってください」
※本作はAIとの共同制作作品です。
※史実・実在団体・宗教などとは一切関係ありません。戦闘シーンがあります。
人狼な幼妻は夫が変態で困り果てている
井中かわず
恋愛
古い魔法契約によって強制的に結ばれたマリアとシュヤンの14歳年の離れた夫婦。それでも、シュヤンはマリアを愛していた。
それはもう深く愛していた。
変質的、偏執的、なんとも形容しがたいほどの狂気の愛情を注ぐシュヤン。異常さを感じながらも、なんだかんだでシュヤンが好きなマリア。
これもひとつの夫婦愛の形…なのかもしれない。
全3章、1日1章更新、完結済
※特に物語と言う物語はありません
※オチもありません
※ただひたすら時系列に沿って変態したりイチャイチャしたりする話が続きます。
※主人公の1人(夫)が気持ち悪いです。
子供にしかモテない私が異世界転移したら、子連れイケメンに囲まれて逆ハーレム始まりました
もちもちのごはん
恋愛
地味で恋愛経験ゼロの29歳OL・春野こはるは、なぜか子供にだけ異常に懐かれる特異体質。ある日突然異世界に転移した彼女は、育児に手を焼くイケメンシングルファザーたちと出会う。泣き虫姫や暴れん坊、野生児たちに「おねえしゃん大好き!!」とモテモテなこはるに、彼らのパパたちも次第に惹かれはじめて……!? 逆ハーレム? ざまぁ? そんなの知らない!私はただ、子供たちと平和に暮らしたいだけなのに――!
兄様達の愛が止まりません!
桜
恋愛
五歳の時、私と兄は父の兄である叔父に助けられた。
そう、私達の両親がニ歳の時事故で亡くなった途端、親類に屋敷を乗っ取られて、離れに閉じ込められた。
屋敷に勤めてくれていた者達はほぼ全員解雇され、一部残された者が密かに私達を庇ってくれていたのだ。
やがて、領内や屋敷周辺に魔物や魔獣被害が出だし、私と兄、そして唯一の保護をしてくれた侍女のみとなり、死の危険性があると心配した者が叔父に助けを求めてくれた。
無事に保護された私達は、叔父が全力で守るからと連れ出し、養子にしてくれたのだ。
叔父の家には二人の兄がいた。
そこで、私は思い出したんだ。双子の兄が時折話していた不思議な話と、何故か自分に映像に流れて来た不思議な世界を、そして、私は…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる