12 / 32
12.町も歩けば攻略キャラに当たる。(攻略不可キャラにもだけど)
しおりを挟む
「チッ……ったく、久しぶりに来たら店は潰れてるわ魔物はいるわ……これも全部七斗のせいだかんな……」
麻日くんはブツブツ言いながらガンガンと看板を蹴っている。
え……え……?
麻日くん……?
私、低身長で、幼いし、生意気であんまり興味ないキャラだったけど、実物見ると結構かっこいいな……。
と、思っていると。
「おい、あんたら怪我ねぇか」
麻日くんは一応心配してくれている。さすがツンデレ。
「あ、はい……私は……鈴は?」
「……私も……」
「そうか……ならあんまもうここには近寄んなよ。あと、閉店した店とか、廃墟とか、薄暗いとことか」
「あ、はい……」
「じゃあ……ちょっと、あっち向いてろ」
「え?」
「早くしろ!」
「あ、はい」
そう言われて私と鈴ちゃんは後ろを向いた。
「おらこっちだ!こい!」
するとそう声が聞こえて……
「ん?あ!」
私は振り返った。
そこにはもう、麻日くんの姿はなかった。
きっとそこにいた魔物を人気のない所で退治するために連れて行ったのだろう……。
はー……さすがツンデレ……デレが響くわー……。
私がそう思って放心していると……。
「な、なんだったの?彩衣の知り合い?」
「え!あー……いや、多分初対面」
私は、あはは。と、答える。
「でも……名前呼んで……というか叫んでた……よね?」
「んー?多分、人違い。しかし、看板落ちてきて危なかったねー。あの人が助けてくれたんだね。今度お礼しなきゃ」
「そうだね」
「行こ」
私と鈴は立ち上がってスカートをはたくとその場を立ち去った。
「で、ラストは神内神社。もうここで終わりでいい?」
「いいでーす!ありがとうございました!」
その後、私たちは私がマップ選択で選んでいた公園や美術館などを周り、最後に神社へとやってきた。
どの場所も背景絵で見た通りの場所で、私はきゃっきゃっとはしゃいでいたのを鈴は不思議そうに見ていた。
「で?神社に来て何するの?お祓い?おかしいから」
「お祓いじゃない!少しじっくり見て、お参りして帰るだけ!」
「そう……」
はー!神内神社!!!聖地巡礼!聖地中の聖地!!!!
境内もいいけど……この中に宝玉が奉られてたんだよねー……。
私は賽銭箱の裏に周り、今はないけれど宝玉が奉られていたとおぼしき、あのスチルの場所を見ようと格子の曇りガラスになっていない部分をのぞき見ようとする。
「ちょっと彩衣!何してるの!やめなさいよ!」
鈴が注意してくるが……見たい!!!
幼い日、一凛ちゃんと七斗くんが、一凛ちゃんが引っ越すのが悲しくて、この宝玉を飲めばまたきっといつかまた会えると宝玉を飲んだあのスチルの場所を!!!
物語の始まりの場所を!!!!!!
と、覗いていると……。
「おや~?かわいい泥棒さんかな?」
私の心臓がドクンと跳ねた。
その言葉にではない……。
その声にだ。
だって……
その……声……は…………。
「あ、すみません!神主さん!すぐやめさせますので!」
神主……さん……。
それは……つまり……。
私の心臓はドクドクと張り裂けそうだった。
ヤバイヤバイヤバイ!
今日、二人目!!??二人目!!!!????
しかも攻略不可だけど、このキャラは!!!!!
「ん~?そんなとこ覗いて何してるのかな~?」
この声は!軽い調子で渋い声のこのキャラはーーーーー!!!!!!
私は意を決してゆっくり振り返る…………
鈴の横で、袴姿の白髪混じりの短髪あご髭眼鏡の
その……その……イケオジは…………
(九五さんキターーーーーーーーーー!!!!!!!!)
私はその場で目を見開いて硬直して動けなかった。
ひょっとしたら一番の推しキャラかもしれない。
そんなキャラだった。
九五さん……イケオジ……いる……そこにいる……。
今日はなんなんだ……麻日くんにも会うし……九五さんにも会った……。
町を歩けば攻略キャラに当たるのか……九五さんは違うけど……。
私は泡を吹いて倒れそうだった……。
麻日くんはブツブツ言いながらガンガンと看板を蹴っている。
え……え……?
麻日くん……?
私、低身長で、幼いし、生意気であんまり興味ないキャラだったけど、実物見ると結構かっこいいな……。
と、思っていると。
「おい、あんたら怪我ねぇか」
麻日くんは一応心配してくれている。さすがツンデレ。
「あ、はい……私は……鈴は?」
「……私も……」
「そうか……ならあんまもうここには近寄んなよ。あと、閉店した店とか、廃墟とか、薄暗いとことか」
「あ、はい……」
「じゃあ……ちょっと、あっち向いてろ」
「え?」
「早くしろ!」
「あ、はい」
そう言われて私と鈴ちゃんは後ろを向いた。
「おらこっちだ!こい!」
するとそう声が聞こえて……
「ん?あ!」
私は振り返った。
そこにはもう、麻日くんの姿はなかった。
きっとそこにいた魔物を人気のない所で退治するために連れて行ったのだろう……。
はー……さすがツンデレ……デレが響くわー……。
私がそう思って放心していると……。
「な、なんだったの?彩衣の知り合い?」
「え!あー……いや、多分初対面」
私は、あはは。と、答える。
「でも……名前呼んで……というか叫んでた……よね?」
「んー?多分、人違い。しかし、看板落ちてきて危なかったねー。あの人が助けてくれたんだね。今度お礼しなきゃ」
「そうだね」
「行こ」
私と鈴は立ち上がってスカートをはたくとその場を立ち去った。
「で、ラストは神内神社。もうここで終わりでいい?」
「いいでーす!ありがとうございました!」
その後、私たちは私がマップ選択で選んでいた公園や美術館などを周り、最後に神社へとやってきた。
どの場所も背景絵で見た通りの場所で、私はきゃっきゃっとはしゃいでいたのを鈴は不思議そうに見ていた。
「で?神社に来て何するの?お祓い?おかしいから」
「お祓いじゃない!少しじっくり見て、お参りして帰るだけ!」
「そう……」
はー!神内神社!!!聖地巡礼!聖地中の聖地!!!!
境内もいいけど……この中に宝玉が奉られてたんだよねー……。
私は賽銭箱の裏に周り、今はないけれど宝玉が奉られていたとおぼしき、あのスチルの場所を見ようと格子の曇りガラスになっていない部分をのぞき見ようとする。
「ちょっと彩衣!何してるの!やめなさいよ!」
鈴が注意してくるが……見たい!!!
幼い日、一凛ちゃんと七斗くんが、一凛ちゃんが引っ越すのが悲しくて、この宝玉を飲めばまたきっといつかまた会えると宝玉を飲んだあのスチルの場所を!!!
物語の始まりの場所を!!!!!!
と、覗いていると……。
「おや~?かわいい泥棒さんかな?」
私の心臓がドクンと跳ねた。
その言葉にではない……。
その声にだ。
だって……
その……声……は…………。
「あ、すみません!神主さん!すぐやめさせますので!」
神主……さん……。
それは……つまり……。
私の心臓はドクドクと張り裂けそうだった。
ヤバイヤバイヤバイ!
今日、二人目!!??二人目!!!!????
しかも攻略不可だけど、このキャラは!!!!!
「ん~?そんなとこ覗いて何してるのかな~?」
この声は!軽い調子で渋い声のこのキャラはーーーーー!!!!!!
私は意を決してゆっくり振り返る…………
鈴の横で、袴姿の白髪混じりの短髪あご髭眼鏡の
その……その……イケオジは…………
(九五さんキターーーーーーーーーー!!!!!!!!)
私はその場で目を見開いて硬直して動けなかった。
ひょっとしたら一番の推しキャラかもしれない。
そんなキャラだった。
九五さん……イケオジ……いる……そこにいる……。
今日はなんなんだ……麻日くんにも会うし……九五さんにも会った……。
町を歩けば攻略キャラに当たるのか……九五さんは違うけど……。
私は泡を吹いて倒れそうだった……。
69
あなたにおすすめの小説
【完結】神から貰ったスキルが強すぎなので、異世界で楽しく生活します!
桜もふ
恋愛
神の『ある行動』のせいで死んだらしい。私の人生を奪った神様に便利なスキルを貰い、転生した異世界で使えるチートの魔法が強すぎて楽しくて便利なの。でもね、ここは異世界。地球のように安全で自由な世界ではない、魔物やモンスターが襲って来る危険な世界……。
「生きたければ魔物やモンスターを倒せ!!」倒さなければ自分が死ぬ世界だからだ。
異世界で過ごす中で仲間ができ、時には可愛がられながら魔物を倒し、食料確保をし、この世界での生活を楽しく生き抜いて行こうと思います。
初めはファンタジー要素が多いが、中盤あたりから恋愛に入ります!!
困りました。縦ロールにさよならしたら、逆ハーになりそうです。
新 星緒
恋愛
乙女ゲームの悪役令嬢アニエス(悪質ストーカー)に転生したと気づいたけれど、心配ないよね。だってフラグ折りまくってハピエンが定番だもの。
趣味の悪い縦ロールはやめて性格改善して、ストーカーしなければ楽勝楽勝!
……って、あれ?
楽勝ではあるけれど、なんだか思っていたのとは違うような。
想定外の逆ハーレムを解消するため、イケメンモブの大公令息リュシアンと協力関係を結んでみた。だけどリュシアンは、「惚れた」と言ったり「からかっただけ」と言ったり、意地悪ばかり。嫌なヤツ!
でも実はリュシアンは訳ありらしく……
(第18回恋愛大賞で奨励賞をいただきました。応援してくださった皆様、ありがとうございました!)
せっかく転生したのにモブにすらなれない……はずが溺愛ルートなんて信じられません
嘉月
恋愛
隣国の貴族令嬢である主人公は交換留学生としてやってきた学園でイケメン達と恋に落ちていく。
人気の乙女ゲーム「秘密のエルドラド」のメイン攻略キャラは王立学園の生徒会長にして王弟、氷の殿下こと、クライブ・フォン・ガウンデール。
転生したのはそのゲームの世界なのに……私はモブですらないらしい。
せめて学園の生徒1くらいにはなりたかったけど、どうしようもないので地に足つけてしっかり生きていくつもりです。
少しだけ改題しました。ご迷惑をお掛けしますがよろしくお願いします。
転生したら乙女ゲームのヒロインの幼馴染で溺愛されてるんだけど…(短編版)
凪ルナ
恋愛
転生したら乙女ゲームの世界でした。
って、何、そのあるある。
しかも生まれ変わったら美少女って本当に、何、そのあるあるな設定。
美形に転生とか面倒事な予感しかしないよね。
そして、何故か私、三咲はな(みさきはな)は乙女ゲームヒロイン、真中千夏(まなかちなつ)の幼馴染になってました。
(いやいや、何で、そうなるんだよ。私は地味に生きていきたいんだよ!だから、千夏、頼むから攻略対象者引き連れて私のところに来ないで!)
と、主人公が、内心荒ぶりながらも、乙女ゲームヒロイン千夏から溺愛され、そして、攻略対象者となんだかんだで関わっちゃう話、になる予定。
ーーーーー
とりあえず短編で、高校生になってからの話だけ書いてみましたが、小学生くらいからの長編を、短編の評価、まあ、つまりはウケ次第で書いてみようかなっと考え中…
長編を書くなら、主人公のはなちゃんと千夏の出会いくらいから、はなちゃんと千夏の幼馴染(攻略対象者)との出会い、そして、はなちゃんのお兄ちゃん(イケメンだけどシスコンなので残念)とはなちゃんのイチャイチャ(これ需要あるのかな…)とか、中学生になって、はなちゃんがモテ始めて、千夏、攻略対象者な幼馴染、お兄ちゃんが焦って…とかを書きたいな、と思ってます。
もし、読んでみたい!と、思ってくれた方がいるなら、よかったら、感想とか書いてもらって、そこに書いてくれたら…壁|ω・`)チラッ
【完結】せっかくモブに転生したのに、まわりが濃すぎて逆に目立つんですけど
monaca
恋愛
前世で目立って嫌だったわたしは、女神に「モブに転生させて」とお願いした。
でも、なんだか周りの人間がおかしい。
どいつもこいつも、妙にキャラの濃いのが揃っている。
これ、普通にしているわたしのほうが、逆に目立ってるんじゃない?
猫なので、もう働きません。
具なっしー
恋愛
不老不死が実現した日本。600歳まで社畜として働き続けた私、佐々木ひまり。
やっと安楽死できると思ったら――普通に苦しいし、目が覚めたら猫になっていた!?
しかもここは女性が極端に少ない世界。
イケオジ貴族に拾われ、猫幼女として溺愛される日々が始まる。
「もう頑張らない」って決めたのに、また頑張っちゃう私……。
これは、社畜上がりの猫幼女が“だらだらしながら溺愛される”物語。
※表紙はAI画像です
この世界、イケメンが迫害されてるってマジ!?〜アホの子による無自覚救済物語〜
具なっしー
恋愛
※この表紙は前世基準。本編では美醜逆転してます。AIです
転生先は──美醜逆転、男女比20:1の世界!?
肌は真っ白、顔のパーツは小さければ小さいほど美しい!?
その結果、地球基準の超絶イケメンたちは “醜男(キメオ)” と呼ばれ、迫害されていた。
そんな世界に爆誕したのは、脳みそふわふわアホの子・ミーミ。
前世で「喋らなければ可愛い」と言われ続けた彼女に同情した神様は、
「この子は救済が必要だ…!」と世界一の美少女に転生させてしまった。
「ひきわり納豆顔じゃん!これが美しいの??」
己の欲望のために押せ押せ行動するアホの子が、
結果的にイケメン達を救い、世界を変えていく──!
「すきーー♡結婚してください!私が幸せにしますぅ〜♡♡♡」
でも、気づけば彼らが全方向から迫ってくる逆ハーレム状態に……!
アホの子が無自覚に世界を救う、
価値観バグりまくりご都合主義100%ファンタジーラブコメ!
【完結済】私、地味モブなので。~転生したらなぜか最推し攻略対象の婚約者になってしまいました~
降魔 鬼灯
恋愛
マーガレット・モルガンは、ただの地味なモブだ。前世の最推しであるシルビア様の婚約者を選ぶパーティーに参加してシルビア様に会った事で前世の記憶を思い出す。 前世、人生の全てを捧げた最推し様は尊いけれど、現実に存在する最推しは…。 ヒロインちゃん登場まで三年。早く私を救ってください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる