名もなき民の戦国時代

のらしろ

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第七章 公家の政

第二百六十七話 この国の新たなあり方

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 そうなると、そろそろこの国の在り方を決めていかないといけなくなってくる。
 正直それを俺が中心になって、賛同してくる人たちを引っ張る形ですることに抵抗はあるが、どうも回りがそれを許してはくれそうにないことも理解している。

 そのように考えが及ぶと、此度の二国の占有も仕組まれていたようにも思えて仕方もない部分がある。
 近衛の件で、当然近衛側でも仕掛けてきてはいたのだろうが、それでもあの糞親父松永久秀が受け身に回るだけでおとなしくしているはずもない。

 それにあの信長さんだ。
 安土に城を造っていて忙しいのはわかるが、それでも越前については信長さんが占有しても良いはずだ。
 地繋がりにもなるし、何より一乗谷へは美濃とも近い。

 それを俺にと、俺が断れない状況であの戦を終わらせるとなると疑いたくもなる。
 しかし、俺の知る歴史上では信長さんは天下人として成り上がる寸前までいった人だし、大和の弾正も天下を望んであの時に信長さんと袂たもとを分かれたという説まである。
 しかし実際にあの二人と接しても、どちらも天下など望んでいるようには見えない。

 二人とも真摯に領民のために安寧を求めて戦をしているようにしか見えないのだ。
 ただ、この時代がそう簡単に領民の安寧を許してはくれないだけだ。
 そこに俺たちがのこのこと伊勢を押さえてしまったので、取り込まれたというのが多分正解なのだろう。

 鴨葱(かもねぎ)状態で戦国チートに飲み込まれたという訳か。
 今の状態を俯瞰(ふかん)的に眺めてみることができたことで、やっと見えてきたものがある。
 俺の転移が、鴨葱だったとか。

 それならばそうと神様も教えてくれればいいのに、そういえば俺はそんな存在にあったことはないかな。
 いきなり玄奘様に保護されたわけだし……考えても答えなどでないことくらいはわかるので、考えを辞めた。

 そうなると、すぐにではないが新たな日本の形についても考える必要はあるが、これは俺一人でして良い筈は無い。
 糞親父に信長さんは絶対に逃がさないとして、武士だけでなく公家の中からも人を探して新たな形を探さないといけないか。

 あ、ここで有名なセリフが出るのだな。
 『いま一度日本を洗濯したく……』なんてね。

 まあ、どちらにしても俺が落ち着かないとできない話だ。

 伊勢の時はなぜかしらうまくいった感じで、俺はほとんど手を出した記憶が無いが、今回ばかりはそうもいかないようだ。
 若狭と越前の二国は俺が率先してまとめないとまずい……それならば、いっそのこと実験でもしてみるか。
 幸いなことに内政については葵に任せていることから、この世界での常識はとっくに通じていない。

 一応、地元の豪族たち相手に対しては半兵衛さんからの通達という形にはしてあるが、実質の政は葵が仕切ることになる。
 戦災孤児の女性が一国を仕切るのだ。
 考えたら面白そうな話だ。
 葵や、葵に付けた孤児たちに色々と考えさせ、失敗もさせながらいろいろと試してみよう。

 その結果を以て、新たな形を見つけられるような気がしてきた。
 別に急ぐ話でもないし、とにかく今回のケースで一応畿内全土を俺たちが押さえたのだ。
 まだまだ各地には戦国大名が俺たちの領地を狙っているが、葵の実験が終わるまでは絶対に守り切らないとまずい。

 俺は京に戻り、検非違使の仕事をつづけながら、この先について考えを巡らせている。

 俺の実験はみごとに図に当たったようだ。
 葵が張さんや珊さんの協力を仰ぎながらだが、小浜を手中に収めたようだ。
 俺も頻繁に届く手紙などから状況を聞いているが、あまりに見事な手腕に驚いた。

 葵は、最初に若狭の財政基盤の構築にあたった。
 俺が今までしてきたのを身近で見ていたのも葵だったが、まずは銭集めからなんて、もろに俺が最初にやりそうなことだ。
 確かに伊勢では商売に血眼ちまなこになっていた記憶はあるけど、一応は公卿にまでなった俺の嫁でもあるのに、京の公家連中からは下品ともとられかねない。

 しかし、葵の方針は令和に限らず為政者としては当たり前の話だ。
 財政の安定は基本の中の基本だ。
 その基本に忠実なのがいい。
 しかも、俺なんか考えつかないやりようは無理のない手順でまとめ上げるのなんか半兵衛さんも驚いていたな。

 まあ、先に小浜の実態状況調査をするのはわかるが、それを元にしても海千山千の商人がそう簡単に冥加金(みょうがきん)を収めるはずはないのだが、商人たちの方から収めてくるように仕向けるのなんか見事だ。

 聞いたところでは小浜の港の調査を先にして、港施設の問題点を把握後に、珊さんに協力して貰い、近くに新たな船着き場と倉庫群を作り、そこの利用を制限して商人を仕分けして冥加金を商人の方から収めるように持って行ったのは、いったい誰が考えたんだ。

 しかも、先月には小浜と博多との間に定期便を作りたいから協力を願い出てきたのは驚いた。
 それも、俺に許可だけを求めてきたのだ。 
 葵が言うには賢島の幸と協力して常駐している博多の紅谷と話を付けたいので許可くれだって、もう驚くしかないほど成長している。

 紅谷さんとの交渉事ならば張さんからも一人でしてもかまわないとまで許可を取っているから、俺には選択肢が無い。
 もう頷くだけだった。

 すぐに話もまとまるそうだから、じきに小浜と博多の間には物流のルートができる。
 そうなれば、今以上に冥加金をとれそうだとも言っていた。

 そこで俺は葵に、冥加金についてもアドバイスを行った。
 登録商人について、港施設や物流経費については今のまま徴収する方向で、そのうえで小浜で商売をする上での年貢の代わりに銭を収めさせる仕組みを作るよう指示を出した。

 すでに三蔵村での子供たちの教育も順調になってきており、毎年一定数のテクノクラートの輩出を可能としている。

 なので、小浜の商人についてはこの世界の常識に近い形で、商家の規模に応じた金額を毎年治めさせるのと、売上金額に応じて取引金額の半分を収めさせるもの、それ以外に俺たちが使っている帳簿の提出を義務付けるが利益の2割の徴収の三つ、正確には商売を禁止もあるが、これは俺たちに銭を収めることなく商売をしようとしている者に限るので説明は省くが、利益に応じての徴収が実は一番支払う額が少なくなるようにしてもらう。

 将来的には全部この方向に変
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