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迷宮都市編
26.ドラマチックアシスト。願えば叶うとは思ったが、ここで叶わなくてもいいじゃないか
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俺はスタンピードを、後方から片付けた後、あとは金級冒険者とシリルさん達に任せて、俺はその補助をすることになった。
そして今、俺はウェストのギルドマスターのコーダーさんのところにいた。
「大丈夫ですか!コーダーさん!怪我したって…」
そこには脇腹から大量に血を流しているコーダーさんがいた。
コーダーさんのそばにイーストの冒険者が光魔法をかけていた。
回復魔法ほどではないが治癒効果のある魔法だ。
「ゆうたさん!!コーダーさんがやばいんです!!金級の女をかばってこんな事になってて!俺!どうすれば!!」
イーストの冒険者の男が、光魔法をかけながら俺に叫ぶように言った。
コーダーさんは気を失っていて、顔色も真っ青だ。
まだ生きているが、これ以上血を流せば、もう長くは持たなさそうだ。
このままだとやばいのでコーダーさんの元へ近づいた。
「ちょっと失礼します」
イーストの冒険者の男の人を少しどかして、コーダーさんの脇腹に手を当てた。
俺はコーダーさんに回復魔法をかけた。
あたりは回復魔法の薄緑色の光で照らされ、眩しくなった。
そして、光がなくなると、コーダーさんの脇腹から傷がなくなっていた。
……
あたりは一度静かになった。
「す、すげぇ!!コーダーさんの傷が!!治った!!」
「一応、傷は塞いで、ある程度血は増やしました」
「ゆうたさんは、回復魔法が使えるんですね!?教会の者でもないのに!」
「ん?ああ、そうですね。コーダーさんが目覚めたら避難しているように言ってください。俺は行きますんで」
そう言って俺は、外へ出た。
ちなみになのだが、なぜ万能薬を使わなかったかというと、理由がある。
万能薬を使うには口に運ぶ必要がある。マードさんの時は飲んでくれたが、今回、コーダーさんが飲むかは分からなかった。
それに、万能薬を使うと、傷が完全に治って、血も元に戻る。つまり完全に治る。
そんなことして、コーダーさんが目覚めたら、戦線に戻りそうなのでやめた。
怪我人は安静にしていた方がいい。
戦線に戻った。
魔物の数はシリルさん、アシル、サニーを中心に徐々に減らしていっている。
金級冒険者のゴルアルも周りに魔物の死体が並んでいるところを見ると結構倒している。
五名のパーティも、結構倒しているっぽく、怪我もかすり傷ほどしかしていない。
魔物の数も残り四万程になってラストスパートという感じだ。
順調だ。
だが、何だろうか。先程から何か違和感を感じる。
なんだか、さっきから誰かに見られているような気もする。
気配を探っても、これといっておかしな気配はない。
なんなんだ??何がおかしいんだ?
そう思いながら、骨が沢山いる、五名のパーティの所へ向かった。
「クレス!!」
「わかってるわよ!爆炎の舞!!」
細くて軽そうな剣に付与魔法で炎を纏わせ、まるで踊っているかのように、骨に攻撃をしていた。
骨の鎧は魔法に耐えるが、所詮耐えるだけなのでみるみる焼かれていき最後には骨は焼き斬られていた。
すごいな。付与魔法もさながら、攻撃の型は完成されたものだった。何か上品なものを感じる。
「チューシャ!リン!」
「「はい!!」」
そう言って、女性達は何かブツブツ言っていた。
しばらくすると敵の方をみて魔法を発動させていた。
「行きます!!水纏う大嵐!!」
女性達から大きめの魔法が発動された。
それは水を撒き散らす竜巻で、風によって加速された水は高威力の水の刃のように骨に攻撃を与えていた。
大多数の骨達はかなりのダメージを受けたみたいで、動きが鈍くなっていた。
「今だ!ピア!俺達がとどめを刺すぞ!」
「うん…」
そう言って、男と女は無属性の身体強化を使い、骨に最後の一撃とばかりに攻撃を与えて倒していった。
二人とも破壊力のある一撃で、弱った骨を一撃で倒せていた。
みるみると骨が減っていった。
うん、大丈夫そうだな。
そう思いながら、見てると男が最後の一体を倒そうとしていた。
「これで!トドメだぁぁ!!」
そう叫び、骨に向かい走っていった。
「聖なる斬撃!!」
そう叫び、骨の目の前まで到達しようとしたその時だった。
彼は地面を見ていなかった。
彼の剣から放たれる光で周りは眩しくて見えていなかった。
彼は勝利を確信して勢いをつけて攻撃を放とうとした。
そして、彼自身も剣の光で目をつぶっていて、何も見えていなかった。
故に彼は気づかなかった。
彼の足元には骨の死体が転がっていたことを。
彼は、敵の前で躓いてしまったのだ。
彼はゴロゴロと転がり、お尻を見せて倒れた。
骨はそれを見逃さなかった。たとえ、弱っている魔物でも人を殺すことは可能だ。さらに相手は骨。光など通じない。もともと目などないのだから。
骨は剣で彼の首を落とそうとしたその時。
カキン!
ズババババババ!!
骨は命を落とした。
あっ、ぶねぇぇ!!!!!!!
まじ危ねぇ!!ありえないだろ!普通!
よくあんな大事なところで躓いて隙を晒せるな!!
すげぇよ!!結界魔法で守るのがギリギリになっちまった!!
しかも驚きのあまり勢い余って三万くらい骨を斬撃を飛ばして倒しちまった!
いや、たしかに戦う前に躓いてしまえって願ったけど!普通叶わないだろ!やめろよそういうの!ちくしょう!
そう思いながら男の元から離れた。
離れた後、眩しい光が収まり、みんなが周りを見えるようになった。
光がなくなり、あたりが見えるようになると見えるのは、尻を晒した男と死屍累々となった骨達だ。
おそらく、現場の状況を理解できるやつは、俺だけだろう。
俺だって俺がこんなことしなければ何が何だかわからない。
俺が男の前に立っていれば状況は変わるだろうが、そんなことをしたらあの男は恥ずかしい事をした事実がバレるし、説明するのも可哀想なのでよくわからない状況にしておけばいいと思った。
この状況を確認した四人の女性は、何も言わないまま頭を整理していた。
だって、意味わからないもんな。
そんなこんなでしばらく沈黙が続くと、男は動き出した。
「…いってて、確か僕は躓いて…」
「……」
「…ん?」
あたりを見回して状況の整理をしているようだ。
まだ、魔物は残っているので、あまり思ってはいけないだろうが、この状況はちょっと面白いので黙って見てみる事にした。
いやぁ、どんな反応をするんだろうな!
俺の考えでは、骨達が大量に倒れていることを利用して、うまくかけたことをごまかしてほしいと思うなぁ!
そんなことを考えていると、男は何かを理解したようで、隠れるようにして四人の女性に紛れていた俺を見た。
お、なんかわかったみたいだな。てか、よくわかったな。
しかもよく見つけられたな。隠れてたのに。
そして、体制を整え、女性達の元へ向かって、俺に話しかけてきた。
「君!!危ないじゃないか!!こんなところにいて!!
俺がブラックヘルスケルトンを倒せるから良いけど!君にここは危険だよ!!」
「……え?」
そして今、俺はウェストのギルドマスターのコーダーさんのところにいた。
「大丈夫ですか!コーダーさん!怪我したって…」
そこには脇腹から大量に血を流しているコーダーさんがいた。
コーダーさんのそばにイーストの冒険者が光魔法をかけていた。
回復魔法ほどではないが治癒効果のある魔法だ。
「ゆうたさん!!コーダーさんがやばいんです!!金級の女をかばってこんな事になってて!俺!どうすれば!!」
イーストの冒険者の男が、光魔法をかけながら俺に叫ぶように言った。
コーダーさんは気を失っていて、顔色も真っ青だ。
まだ生きているが、これ以上血を流せば、もう長くは持たなさそうだ。
このままだとやばいのでコーダーさんの元へ近づいた。
「ちょっと失礼します」
イーストの冒険者の男の人を少しどかして、コーダーさんの脇腹に手を当てた。
俺はコーダーさんに回復魔法をかけた。
あたりは回復魔法の薄緑色の光で照らされ、眩しくなった。
そして、光がなくなると、コーダーさんの脇腹から傷がなくなっていた。
……
あたりは一度静かになった。
「す、すげぇ!!コーダーさんの傷が!!治った!!」
「一応、傷は塞いで、ある程度血は増やしました」
「ゆうたさんは、回復魔法が使えるんですね!?教会の者でもないのに!」
「ん?ああ、そうですね。コーダーさんが目覚めたら避難しているように言ってください。俺は行きますんで」
そう言って俺は、外へ出た。
ちなみになのだが、なぜ万能薬を使わなかったかというと、理由がある。
万能薬を使うには口に運ぶ必要がある。マードさんの時は飲んでくれたが、今回、コーダーさんが飲むかは分からなかった。
それに、万能薬を使うと、傷が完全に治って、血も元に戻る。つまり完全に治る。
そんなことして、コーダーさんが目覚めたら、戦線に戻りそうなのでやめた。
怪我人は安静にしていた方がいい。
戦線に戻った。
魔物の数はシリルさん、アシル、サニーを中心に徐々に減らしていっている。
金級冒険者のゴルアルも周りに魔物の死体が並んでいるところを見ると結構倒している。
五名のパーティも、結構倒しているっぽく、怪我もかすり傷ほどしかしていない。
魔物の数も残り四万程になってラストスパートという感じだ。
順調だ。
だが、何だろうか。先程から何か違和感を感じる。
なんだか、さっきから誰かに見られているような気もする。
気配を探っても、これといっておかしな気配はない。
なんなんだ??何がおかしいんだ?
そう思いながら、骨が沢山いる、五名のパーティの所へ向かった。
「クレス!!」
「わかってるわよ!爆炎の舞!!」
細くて軽そうな剣に付与魔法で炎を纏わせ、まるで踊っているかのように、骨に攻撃をしていた。
骨の鎧は魔法に耐えるが、所詮耐えるだけなのでみるみる焼かれていき最後には骨は焼き斬られていた。
すごいな。付与魔法もさながら、攻撃の型は完成されたものだった。何か上品なものを感じる。
「チューシャ!リン!」
「「はい!!」」
そう言って、女性達は何かブツブツ言っていた。
しばらくすると敵の方をみて魔法を発動させていた。
「行きます!!水纏う大嵐!!」
女性達から大きめの魔法が発動された。
それは水を撒き散らす竜巻で、風によって加速された水は高威力の水の刃のように骨に攻撃を与えていた。
大多数の骨達はかなりのダメージを受けたみたいで、動きが鈍くなっていた。
「今だ!ピア!俺達がとどめを刺すぞ!」
「うん…」
そう言って、男と女は無属性の身体強化を使い、骨に最後の一撃とばかりに攻撃を与えて倒していった。
二人とも破壊力のある一撃で、弱った骨を一撃で倒せていた。
みるみると骨が減っていった。
うん、大丈夫そうだな。
そう思いながら、見てると男が最後の一体を倒そうとしていた。
「これで!トドメだぁぁ!!」
そう叫び、骨に向かい走っていった。
「聖なる斬撃!!」
そう叫び、骨の目の前まで到達しようとしたその時だった。
彼は地面を見ていなかった。
彼の剣から放たれる光で周りは眩しくて見えていなかった。
彼は勝利を確信して勢いをつけて攻撃を放とうとした。
そして、彼自身も剣の光で目をつぶっていて、何も見えていなかった。
故に彼は気づかなかった。
彼の足元には骨の死体が転がっていたことを。
彼は、敵の前で躓いてしまったのだ。
彼はゴロゴロと転がり、お尻を見せて倒れた。
骨はそれを見逃さなかった。たとえ、弱っている魔物でも人を殺すことは可能だ。さらに相手は骨。光など通じない。もともと目などないのだから。
骨は剣で彼の首を落とそうとしたその時。
カキン!
ズババババババ!!
骨は命を落とした。
あっ、ぶねぇぇ!!!!!!!
まじ危ねぇ!!ありえないだろ!普通!
よくあんな大事なところで躓いて隙を晒せるな!!
すげぇよ!!結界魔法で守るのがギリギリになっちまった!!
しかも驚きのあまり勢い余って三万くらい骨を斬撃を飛ばして倒しちまった!
いや、たしかに戦う前に躓いてしまえって願ったけど!普通叶わないだろ!やめろよそういうの!ちくしょう!
そう思いながら男の元から離れた。
離れた後、眩しい光が収まり、みんなが周りを見えるようになった。
光がなくなり、あたりが見えるようになると見えるのは、尻を晒した男と死屍累々となった骨達だ。
おそらく、現場の状況を理解できるやつは、俺だけだろう。
俺だって俺がこんなことしなければ何が何だかわからない。
俺が男の前に立っていれば状況は変わるだろうが、そんなことをしたらあの男は恥ずかしい事をした事実がバレるし、説明するのも可哀想なのでよくわからない状況にしておけばいいと思った。
この状況を確認した四人の女性は、何も言わないまま頭を整理していた。
だって、意味わからないもんな。
そんなこんなでしばらく沈黙が続くと、男は動き出した。
「…いってて、確か僕は躓いて…」
「……」
「…ん?」
あたりを見回して状況の整理をしているようだ。
まだ、魔物は残っているので、あまり思ってはいけないだろうが、この状況はちょっと面白いので黙って見てみる事にした。
いやぁ、どんな反応をするんだろうな!
俺の考えでは、骨達が大量に倒れていることを利用して、うまくかけたことをごまかしてほしいと思うなぁ!
そんなことを考えていると、男は何かを理解したようで、隠れるようにして四人の女性に紛れていた俺を見た。
お、なんかわかったみたいだな。てか、よくわかったな。
しかもよく見つけられたな。隠れてたのに。
そして、体制を整え、女性達の元へ向かって、俺に話しかけてきた。
「君!!危ないじゃないか!!こんなところにいて!!
俺がブラックヘルスケルトンを倒せるから良いけど!君にここは危険だよ!!」
「……え?」
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