異世界に召喚された失格勇者はコンバットスーツで無双します ~いきなり俺を殺そうとした国王! てめえは許さねぇ!!~

三原みぱぱ

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第31話 異世界の支店長のカウンター

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 ベレートはふらりとしたかと思うと、十メートル向こうから一瞬で俺の目の前に現れた。
 反射的に俺はシールドを前にかざした瞬間、俺の目の前から消えた。

『マモル、右、いや左、え! なんで?』

 いつも冷静なナビちゃんに動揺が走る。
 ベレートが分裂した。
 催眠術だとか超スピードだとかそんなチャチなもんじゃあ、断じてねぇ。
 分身の術か? 
 五人に分かれたベレートが一斉に俺に襲いかかってくる。

「五人になるのは五等分の花嫁だけで十分だ! なめるな!」

 俺はレーザーブレードを抜き、振り向きざま死角から襲いかかってこようとするベレート五月に襲いかかる。死角から来る奴は一方的に攻撃ができると思い込んで、心の死角ができる。
 そして、光線銃ブラスターを左手に持ち、後ろも見ずに他のベレート達に威嚇射撃を行う。
 一瞬の隙ができれば良い。
 俺はベレート五月に向かってレーザーブレードを振るう。
 これ以上にないタイミングだったはずだった。
 しかし、手応えがなかった。
 ベレート五月は自ら仰向けになるように地面に倒れた。
 その動きを俺は映画で見たことがあった。
 酔拳か!
 まずい。俺はベレート五月を飛び越すようにして距離を取ろうとする。その瞬間、背中に衝撃が走る。ベレート四葉による跳び蹴りだった。
 俺は前転するように転がって、次の攻撃に備える。
 いつの間にか俺の目の前にベレート三玖が口を大きく開けていた。
 巨大音波攻撃!
 俺は左手でその音波を吸い込もうとしたが、その波は俺の手を迂回して、襲いかかる。

「ナビちゃん、カウンター音波!」
『了解です』

 音波は同じ波長の音波を当ててやれば相殺できる。
 俺がベレート三玖の音波に気を取られた隙に、ベレート二乃の鞭が俺の左手に絡みつく。
 以前、片腕で俺の身体を軽々と持ち上げられたのを思い出した。

「ナビちゃん、フルパワー!」

 俺は力負けしないようにフルパワーで鞭を引っ張る。
 力勝負であれば五分、もしくはベレートに分があるかも知れない。
 しかし予想に反して、ベレート二乃は俺に引っ張られて遠くへ放り投げられた。

「あれ? 思ったより力が弱い? もしかして、分裂した分、能力も落ちている?」
「あ! ばれた? みんな~合流~」

 ベレート一花が声をかけると、残りの四人が集まってきて、合体して元々のベレートに戻った。
 数が多くても、一人一人が弱ければ、各個撃破すれば済むので、ありがたかったのだが、仕方が無い。
 ベレートは離れたところで手を振って俺に笑いかける。

「ねえ、ねえ、あのマモルバスターって使わないの?」
「使わないよ! あれはかなりエネルギー使うんだよ!」
「え~そうなの? どうやったらそのエネルギーって増えるの?」
「魔力を吸収すれば増えるけど?」
「じゃあ、あとでボクの魔力を分けてあげるから良いでしょう」

 え! ベレートの魔力を分けてくれる? サラマンディーネで400%オーバーだった。それがベレートだとどれくらい増えるんだ?

「分かりました。ただし、ノラリスに放ったのよりは威力を抑えますからね」
「いいよ~」

 本当に分かっているんだろうか? まるでボールを投げてくれといった気軽さで俺に話しかける。
 俺はひとつ息を吸うと、両手をベレートに向ける。

「マモルバスター!」

 両腕の間に発生したエネルギーはベレートに向かってまっすぐ襲いかかる。
 ベレートは避けるでもなく、防御態勢を取るでもなく棒立ちで、両手を無造作にこちらに向けていた。
 威力は落としているとはいえ、さすがに直撃すればいくらベレートとは言え、無傷では済まないだろう。
 直撃した。そう思った瞬間、マモルバスターはUターンして俺に向かってきた。
 ベレートの野郎! エネルギー砲を受け流して返しやがった!
 こっちはマモルバスター発射後のわずかな硬直時間!
 やばい! こっちが直撃する。

「ナビちゃん! 吸収モード!」

 俺は左手を開き、自分の攻撃を自分で吸収した。
 あっぶね~。なんてことしやがる。心臓がバクバク言ってるじゃねえか。

「できた、できた。昨日、見てからできるかどうか気になってたいたんだよね」

 そう言いながら嬉しそうにきゃっきゃ、きゃっきゃとベレートは飛び跳ねて喜んでいた。
 それだけ見ると、すごく可愛いいのだが、可愛いだけに腹が立った。

「もうおしまい! 終了! もう気が済んだでしょう。こっちはもう眠いし、おしまい! 降参! ギブアップ!」
「え~もう終わり~」
「終わり! 初めに決めたでしょう。ギブアップしたらおしまいだって。また、そのうち遊びましょう。そのときはまた強くなっときますよ」
「う~ん、分かった。約束だよ。あー楽しかった!」

 さすがにベレートも納得してくれたようだった。
 ふ~、まあ、今回も戦闘データーが取れたし、エネルギーも補充してくれるし、大きな怪我もなく模擬戦が終わって助かった。

「じゃあ、どうやって魔力を送れば良い?」
「左手を握って、魔力を送ってください」

 ベレートは素直に俺の左手を握って、しばらく考え込む。

「どうかしましたか?」
「いや~ね。このままこの左手を握りつぶしたらどうなるのかな~って思って……」

 不穏な事を考えるの、やめ~や! 修理は可能なんだろうが、エネルギーを使う上に、修理が終わるまでエネルギーを吸収できなくなる。かなりの痛手だ。それ以前に俺の手が砕けてしまう。

「はははは、おもしろい冗談ですね。さあ、約束通り魔力を送ってくださいね」
「冗談じゃないんだけどな……まあ、いいや。それじゃあ、行くよ」

 そう言ってベレートは魔力を送ってきた。
 エネルギー残量が次々に上がっていく。
 1000%を越した時、ナビちゃんが宣言した。

『エネルギー残量1000%、マモルロボ召喚可能です』

 ロボ!? ロボとな! どんなタイプだ! ボトムズのようなパワードスーツに近い物か? バルキリーのような変形タイプ? ゲッターロボのように合体タイプ? まさか、イデオンのような超巨大ロボ!? 夢が広がる~。
 俺がロボに思いをはせていると、残量はどんどん増えていった。

「ベレート、もう良いですよ」
「ああ、そう? 加減がわかんないから、マモルが良いって言うまで送ろうかと思っていたんだ。結構送っちゃったな。つかれた~ふぁ~あ」

 そう言ってベレートは大きく伸びをしてあくびをして、大の字になって地面に横になった。
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