3 / 4
○ッ○リ
ここ数日で俺がコッソリ自分の荷物を持ち帰っていたことに鈍感な先輩は気付いていないだろう。
残すところあと一つ、このカバンを持って帰りさえすれば、俺がこの家にいた痕跡は綺麗サッパリなくなる。
基本的にはゲームをやったりマンガを読んだりしてマッタリ過ごしていただけではあるけれど、ここで過ごした日々は本当に楽しかった。
お互い売れてないからテレビを見ながら芸能人にガッツリ悪口を言うこともあった。大御所にだって平気で毒吐き、丸腰でバラエティ番組に出演しているタレントをバッサリ斬ってきた。
だけど、先輩がテレビに出始めてからはどうもシックリ来ないことが多くなってしまった。一仕事終えて帰ってきた先輩から土産話を聞く度に俺の中に芽生えるのは、喜ばしいような腹立たしいような、なんともスッキリしない気持ち。
目の前の芸能人に対してチョッピリ不満を持ってしまった以上、勝手に家に転がり込んだ居候は出ていくしかないだろう。
「俺、自分ち帰りますね」
家を出る前に一応、眠れる先輩にヒッソリそう告げてみる。意識はハッキリしていないかと思いきや、寝起き特有のかすれた声で質問が返ってきた。
「何時に戻ってくんの?」
「戻ってきません」
「え?」
「完全に帰ります」
キッパリ言い切る俺。ムックリ起き上がる先輩。
「帰るって……急に言われたって無理だよ」
「なんでですか」
「今日もいてくれなきゃ困るんだって」
経験上、俺がいないと困る程の用事があったことなんて一度もないから、これは恐らくハッタリだ。
「なんか予定でもあるんすか」
「ゲームやって、テレビ見て、マンガ読んで……」
「そんなのいつも通りじゃないですか」
ヤッパリ何もないらしいとわかってカバンを肩に掛けたのだけれど。
「でも、いつも通りの中にいてくれなきゃやなの!」
「うわー……」
大の大人に駄々をこねられて、ウッカリそんな言葉が口を突いて出てしまった。
「ダメ?」
寝起きにしてはパッチリ開いた目が不安気に俺を見上げている。ものの数秒で猛烈に罪悪感が湧いて来て、スッカリ根負けしてしまった俺はカバンを下ろした。
「わかりましたよ。ゲームやりましょう」
「やったぁ」
前々から知ってはいたけれど、先輩はビックリするくらい真っ直ぐで子供みたいに純粋な人だ。
むしろ俺はそれを知っているからこそ、業界色に染まり掛けている様を見てガッカリしたくないのかもしれない。
だけど「ムカつくので芸能人ぶらないでください」なんて俺には言えないから、せめてゲームの世界でだけはタップリ殴ってやることにした。
残すところあと一つ、このカバンを持って帰りさえすれば、俺がこの家にいた痕跡は綺麗サッパリなくなる。
基本的にはゲームをやったりマンガを読んだりしてマッタリ過ごしていただけではあるけれど、ここで過ごした日々は本当に楽しかった。
お互い売れてないからテレビを見ながら芸能人にガッツリ悪口を言うこともあった。大御所にだって平気で毒吐き、丸腰でバラエティ番組に出演しているタレントをバッサリ斬ってきた。
だけど、先輩がテレビに出始めてからはどうもシックリ来ないことが多くなってしまった。一仕事終えて帰ってきた先輩から土産話を聞く度に俺の中に芽生えるのは、喜ばしいような腹立たしいような、なんともスッキリしない気持ち。
目の前の芸能人に対してチョッピリ不満を持ってしまった以上、勝手に家に転がり込んだ居候は出ていくしかないだろう。
「俺、自分ち帰りますね」
家を出る前に一応、眠れる先輩にヒッソリそう告げてみる。意識はハッキリしていないかと思いきや、寝起き特有のかすれた声で質問が返ってきた。
「何時に戻ってくんの?」
「戻ってきません」
「え?」
「完全に帰ります」
キッパリ言い切る俺。ムックリ起き上がる先輩。
「帰るって……急に言われたって無理だよ」
「なんでですか」
「今日もいてくれなきゃ困るんだって」
経験上、俺がいないと困る程の用事があったことなんて一度もないから、これは恐らくハッタリだ。
「なんか予定でもあるんすか」
「ゲームやって、テレビ見て、マンガ読んで……」
「そんなのいつも通りじゃないですか」
ヤッパリ何もないらしいとわかってカバンを肩に掛けたのだけれど。
「でも、いつも通りの中にいてくれなきゃやなの!」
「うわー……」
大の大人に駄々をこねられて、ウッカリそんな言葉が口を突いて出てしまった。
「ダメ?」
寝起きにしてはパッチリ開いた目が不安気に俺を見上げている。ものの数秒で猛烈に罪悪感が湧いて来て、スッカリ根負けしてしまった俺はカバンを下ろした。
「わかりましたよ。ゲームやりましょう」
「やったぁ」
前々から知ってはいたけれど、先輩はビックリするくらい真っ直ぐで子供みたいに純粋な人だ。
むしろ俺はそれを知っているからこそ、業界色に染まり掛けている様を見てガッカリしたくないのかもしれない。
だけど「ムカつくので芸能人ぶらないでください」なんて俺には言えないから、せめてゲームの世界でだけはタップリ殴ってやることにした。
あなたにおすすめの小説
邪神の祭壇へ無垢な筋肉を生贄として捧ぐ
零
BL
世間に秘された名門男子校・平坂学園体育科
空手の名選手であった高尾雄一は、新任教師として赴任する
高潔な人格と鋼のように鍛えられた肉体
それは、学園にとって最高の生贄の候補に他ならなかった
至高の筋肉を持つ、精神を削られ意志をなくした青年を太古の神に捧げるため、“水”、“風”、“土”の信奉者達が暗躍する
意志をなくし筋肉の操り人形と化した“デク”
消える教師
山奥の男子校で繰り広げられるダークファンタジー
魔性の男
久野字
BL
俺はとにかくモテる。学生の頃から、社会人になった今でも、異性問わずにモテてしまう。
最近、さえない同性の先輩に好意を持たれている。いつものことだろう。いい人だから、傷つけたくはないな。
そう、思っていた。
大嫌いな歯科医は変態ドS眼鏡!
霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
……歯が痛い。
でも、歯医者は嫌いで痛み止めを飲んで我慢してた。
けれど虫歯は歯医者に行かなきゃ治らない。
同僚の勧めで痛みの少ない治療をすると評判の歯科医に行ったけれど……。
そこにいたのは変態ドS眼鏡の歯科医だった!?