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フロヒオンの無双日和─2

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小型の竜に乗りギルドを出て少しした辺りでフロヒオンは竜ごと移転陣を潜る。
着いた先は目的地である辺境の地、デレッダ。
断崖絶壁の峨峨たる稜線。

巨大なドゥーチェイ山脈。

その麓の街に向かって進んで行った。

フロヒオンは竜をひと撫でして竜の歩みを止めると眼下に広がる村の惨状に眉間に皺を寄せる。

「霊鬼か……」

砂となり廃墟となった街。砂ぼこりが舞うごとに消え去る街並みからは人の姿は無くフロヒオンは次の街へと向かう事にした。

『フロヒオン様ー!!た、助けて下さいませ!』
「……コンスタンティナ?」
急に耳にごだますのは愛しい嫁コンスタンティナの声だった。

フロヒオンは舌打ちすると「くっそぉ!このまま行ったら絶対バレる!」と言いながらも魔力を印に流し嫁(コンスタンティナ)の元へと竜ごと瞬間移動したのだった。

───────

「きゃぁぁぁ!………あ?え?──んー!?」
コンスタンティナは巨大なGにそっくりな数十体の虫型の魔物に追われていた。一瞬で黒光りする魔物Gを消し炭に変えたフロヒオンはコンスタンティナの意識が竜と己の姿に向く前に素早く口付けを行った。

腰が砕けるまで弄り倒して公爵家に送り届けよう。んで霊鬼退治と帝国の霊鬼魔剣の奪還に、破壊と諸々やって帰ったらやっぱ早くこいつ嫁にしよう。そうしよう!

と、ばかりにフロヒオンはねちっこくコンスタンティナの舌を絡め取りコンスタンティナの熱を煽った。

─────

元は成也の記憶を持っている俺の嫁─
(今はまだ不本意ながら婚約者。急いで娶りたくとも卒業までは嫌だとコンスタンティナが言ったから)

神様に成也はどうなったのかと聞いたら日本の成也の姪っ子の息子に転生予定だと言っていた。
しかも美少年に生まれ変わるのだと。そして見目の良いに大事にされ、生涯その青年に愛されるのだと。

最初、俺は「成也が美少年かぁーw」なんて呑気に考えていた。
でも、おや?とおかしな単語に気付いた。
「え?青年?」

《うむ、お主がその青年だがな?》

「はぁああああ?!」

まさかのモーホー……

俺の次の転生先は3つあった。その内のひとつがソレだった。


徳を積んでなければ問答無用で俺は末の妹の息子として生まれ変わる予定だったのだ。

しかし俺の魂は代々徳を積むのが趣味なのか?と言うほどに驚く程徳を積んでいた。
おかげで俺の転生の選択肢は広がり、異世界の王子様、なんて選択肢まで増えていた。

魔法と聞いて選ばないはずが無い!魔法の世界、ソレにしよう。

そう決めた瞬間、思い出した。

成也は平和な日本大好き人間だった事を。日本で転生と言う選択肢以外にいくつか選択肢があってもあいつは選ばない可能性が高い。

聞けば成也は既に日本を選んだと言う。今はその準備段階で寝てるらしいが。

成也が日本で美少年に生まれ変わるとして、その成也を愛する青年(俺)が居ない場合はどうなるのだろう。
《そりゃー他の男が彼を可愛が……ゲホゲホ、愛するじゃろうな》

それは嫌だ。

だったら成也は俺が連れて転生する。

《まぁ、お前さんほどの徳ならオプション装備として追加しても良かろう》

神様がそう言った途端。巨大なパネルが宙に現れる。パネルにはオプションに追加するチートや伝説の武器、加護、付属品やオプション装備のキャラクター一覧など様々な表示が書かれている。
キャラクター一覧には一人だけ自分の嫁、旦那、子、友人、として設定する事が可能らしい。

迷わず俺は嫁のパネルにタッチして成也をその枠に入れた。
キャラクター設定には俺の夢と希望を注ぎ込み。
結局、成也の設定を終えた瞬間タイムアップになりチートも伝説の武器も、加護も付属品も選べず終いだったことに気づいたが俺は満足していた。

転生の輪の眩い光に包まれた瞬間
《チートも何も選んでおらんのか?仕方ないのぉ。わしががっつ──》


最後の方、なんて言ったか聞こえなかったけどさ。たぶんあの神様あそこ(パネル)にあったヤツ、全部くっつけたんだな…

────────

「ねぇ、フロヒオン様?ご存知ですか?私がフロヒオン様に助けて頂いて、尚且つ、襲われてぶっ倒れてたあの日!!」

可愛いコンスタンティナはギロリと一生懸命に背伸びをして俺を睨んでいる。
「まぁ、まぁ、落ち着いて。コンスタンティナ、とりあえず座ろうか」
ふらりとして危険なので俺はさっさと抱えてソファーにコンスタンティナを抱いたまま座って侍従にアフタヌーンティーの準備をさせる。以前は抵抗を見せていたコンスタンティナだったが最近は既に諦めている様だ。いい事だ。

「あの日になんと、あのSランク冒険者のフロォ様がまたまたまた大活躍したんですって!!見たかった!私も現場で、バッチリ見たかった!フロヒオン様のいけずー!!」

「ん?あぁ、また今度ね」

コンスタンティナが珍しく俺の部屋に飛び込んで来たな、と思えばあの事か。
城の中を自由に行き来出来る、フリーパスが許されているコンスタンティナはしかし、いつもならそんな特別扱いが他の令嬢達にバレたらめんどいからと先触れを出してやって来るのに。今日は俺が帰って来たと聞いて我慢出来なかったようだ。

プルプル唇を震わせて睨む大好物の銀髪の美少女。

今日も俺の嫁は可愛い。
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