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一戦目、マクシミリアンは昨日の事件の対応に終われ寝不足のままアリーナ入りをした。
そんな騒ぎなど無縁の様に笑う美しい少女の姿を目の端に捉え少女クリスティナの元へと向かった。
間もなく対戦の時間だがアレが無事だと確認したかった。
恐怖に怯えていなければいい。
ただそれだけを考えてマクシミリアンは友人達とにこやかに話しながら移動するクリスティナの手を掴んだ。
「きゃっ」
驚いた紫色の瞳がマクシミリアンを捉え更に見開かれた。その紫色の美しい瞳に怯えの色を見つけてマクシミリアンは彼女を力任せに引き寄せた。
「どうした?何かあったか?」
「…ゃ」
彼女の発した小さな拒絶。その言葉にマクシミリアンの胸がズキリと痛んだ。
「…悪い。乱暴にした。どこか痛くないか?」サラリとした手触りのドレスに手を滑らせるとクリスティナが無反応な事に気づき俯く彼女の瞳を覗き込んだ。
その顔を見た途端はっ、と息を呑む。
あの頃クリスティナが俺に向けていた、恐怖に怯えた眼差し。
けれど俺に囚われたまま俺に乱暴に抱かれても捨てられなかった慕情を諦めた様に瞳に宿す、君がよく見せていたあの頃のあの表情。
それをなぜ今の君がしているんだ?
「…………クリスティナ?」
低い男性の声に振り向けば隣国最強と呼ばれるフロヒオン・インフォンティーノが怪訝そうにこちらを伺い見ていた。
「困り事か?クリスティナ」
フロヒオンの声は落ち着きの中にも俺への警戒を表していた。クリスティナが目をフロヒオンに向け「いえ、この方は…」と言葉に詰まった。
この方はなんだと言うのだ。
押し黙ったクリスティナにフロヒオンはマクシミリアンに対して更に不信感を露わにしてクリスティナとの間に身体を滑らせ自分の背に隠した。
「…フロヒオン・インフォンティーノ様ですね。私はマクシミリアン・ヴィスカルディと申します。以後お見知りおきを」
視線をクリスティナに定めたままチラリと目をフロヒオンにやればフロヒオンは目を眇めた。
「へぇ、君があの暗黒龍君か」
小馬鹿にしたその物言いをマクシミリアンは気にもせずクリスティナだけを見つめる。
クリスティナが「あの、インフォンティーノ様。彼はわたくしの…あの」とまたも言葉に詰まった。
だから、俺はクリスティナにとってどんな存在なんだ、と視線を強めた。
「…ああ、彼が。クリスティナにマーキングした彼?」
微かにあった臨戦態勢を解いたフロヒオンがマクシミリアンを品定めする様に見て「やっぱり、クリスティナを譲りたくはないな」と貴様のものでも無いクリスティナを譲らないと言い出し、マクシミリアンは面倒なライバルの登場を理解した。
「…わたしはそろそろ移動する時間なんで」
行きます。とマクシミリアンはクリスティナに視線を向けた。
瞳を不安そうに揺らすクリスティナに違和感を覚えたがクリスティナの背後から彼女の友人達がこちらを伺っているのを確認して「昨日少し騒ぎがあったからお前が無事か確認したかっただけだ。無事そうで良かった。」
そう言ってマクシミリアンはクリスティナの前に立つ男を一瞥し、その場を後にした。
「え?あ、あの、マクシミリアン様…ありがとうございました」
慌てたようなクリスティナの声に軽く頷きマクシミリアンはアリーナへと向かって飛び降りた。
「マクシミリアン様!?」
慌てたような叫び声を聞きマクシミリアンは軽くクリスティナへ手を上げ中央へと向かった。
マクシミリアンが降りた先には今日の第一試合目の相手が既に待ち構える様にアリーナ中央に仁王立している。
マクシミリアンは苛立つような焦燥をまるでねじ伏せる様に魔力を滾らせた。
先程見たクリスティナを背に庇った男の姿が脳裏をよぎる。
ギリッと、悔しさに知らず力が入っていた。
「よう、色男!!俺様を待たせてんじゃねぇよ!」
唾を飛ばす男が上位の騎士団所属であれ、怪力自慢で挑んだ半年前の御前試合で俺に敗れ、以降何かと絡んで来るようになったヤツであっても、普段のマクシミリアンなら軽くいなし降参させるか一発目で沈める位の手加減をしただろう。
役職が上がればそれだけ面倒が増えるからと、マクシミリアンは数年は大人しくするつもりで上を敢えて目指していなかった。
「…目障りだ」
その頭の足りないダミ声がマクシミリアンの癇に障る。ドスドスとこちらに向かってくる隙だらけの男の腹に蹴りを叩き込み真横に吹き飛ばす。
「ぐおっ!!」
運良く巨体故の重さで壁に激突するのを免れた男は横に転がりながらよろよろと立ち上がる。
「くそっ、油断した!ぐおぉ!くそがァァ!」
腹を抑えた男は目を血走らせ駆けてきた。赤く灯った魔法を手のひらから次々と打ち込みながらこちらに巨大な斧を振り下ろす。
「爆炎」「怒雷」マクシミリアンが呟く度に男の魔法攻撃が掻き消え、ついに男が吹き飛ぶ。
「くそっ、なめるなよ、なめてんじゃねぇぇ!!」
這いつくばった男が禁止魔法を闇雲に打ち込んだ。
そんな騒ぎなど無縁の様に笑う美しい少女の姿を目の端に捉え少女クリスティナの元へと向かった。
間もなく対戦の時間だがアレが無事だと確認したかった。
恐怖に怯えていなければいい。
ただそれだけを考えてマクシミリアンは友人達とにこやかに話しながら移動するクリスティナの手を掴んだ。
「きゃっ」
驚いた紫色の瞳がマクシミリアンを捉え更に見開かれた。その紫色の美しい瞳に怯えの色を見つけてマクシミリアンは彼女を力任せに引き寄せた。
「どうした?何かあったか?」
「…ゃ」
彼女の発した小さな拒絶。その言葉にマクシミリアンの胸がズキリと痛んだ。
「…悪い。乱暴にした。どこか痛くないか?」サラリとした手触りのドレスに手を滑らせるとクリスティナが無反応な事に気づき俯く彼女の瞳を覗き込んだ。
その顔を見た途端はっ、と息を呑む。
あの頃クリスティナが俺に向けていた、恐怖に怯えた眼差し。
けれど俺に囚われたまま俺に乱暴に抱かれても捨てられなかった慕情を諦めた様に瞳に宿す、君がよく見せていたあの頃のあの表情。
それをなぜ今の君がしているんだ?
「…………クリスティナ?」
低い男性の声に振り向けば隣国最強と呼ばれるフロヒオン・インフォンティーノが怪訝そうにこちらを伺い見ていた。
「困り事か?クリスティナ」
フロヒオンの声は落ち着きの中にも俺への警戒を表していた。クリスティナが目をフロヒオンに向け「いえ、この方は…」と言葉に詰まった。
この方はなんだと言うのだ。
押し黙ったクリスティナにフロヒオンはマクシミリアンに対して更に不信感を露わにしてクリスティナとの間に身体を滑らせ自分の背に隠した。
「…フロヒオン・インフォンティーノ様ですね。私はマクシミリアン・ヴィスカルディと申します。以後お見知りおきを」
視線をクリスティナに定めたままチラリと目をフロヒオンにやればフロヒオンは目を眇めた。
「へぇ、君があの暗黒龍君か」
小馬鹿にしたその物言いをマクシミリアンは気にもせずクリスティナだけを見つめる。
クリスティナが「あの、インフォンティーノ様。彼はわたくしの…あの」とまたも言葉に詰まった。
だから、俺はクリスティナにとってどんな存在なんだ、と視線を強めた。
「…ああ、彼が。クリスティナにマーキングした彼?」
微かにあった臨戦態勢を解いたフロヒオンがマクシミリアンを品定めする様に見て「やっぱり、クリスティナを譲りたくはないな」と貴様のものでも無いクリスティナを譲らないと言い出し、マクシミリアンは面倒なライバルの登場を理解した。
「…わたしはそろそろ移動する時間なんで」
行きます。とマクシミリアンはクリスティナに視線を向けた。
瞳を不安そうに揺らすクリスティナに違和感を覚えたがクリスティナの背後から彼女の友人達がこちらを伺っているのを確認して「昨日少し騒ぎがあったからお前が無事か確認したかっただけだ。無事そうで良かった。」
そう言ってマクシミリアンはクリスティナの前に立つ男を一瞥し、その場を後にした。
「え?あ、あの、マクシミリアン様…ありがとうございました」
慌てたようなクリスティナの声に軽く頷きマクシミリアンはアリーナへと向かって飛び降りた。
「マクシミリアン様!?」
慌てたような叫び声を聞きマクシミリアンは軽くクリスティナへ手を上げ中央へと向かった。
マクシミリアンが降りた先には今日の第一試合目の相手が既に待ち構える様にアリーナ中央に仁王立している。
マクシミリアンは苛立つような焦燥をまるでねじ伏せる様に魔力を滾らせた。
先程見たクリスティナを背に庇った男の姿が脳裏をよぎる。
ギリッと、悔しさに知らず力が入っていた。
「よう、色男!!俺様を待たせてんじゃねぇよ!」
唾を飛ばす男が上位の騎士団所属であれ、怪力自慢で挑んだ半年前の御前試合で俺に敗れ、以降何かと絡んで来るようになったヤツであっても、普段のマクシミリアンなら軽くいなし降参させるか一発目で沈める位の手加減をしただろう。
役職が上がればそれだけ面倒が増えるからと、マクシミリアンは数年は大人しくするつもりで上を敢えて目指していなかった。
「…目障りだ」
その頭の足りないダミ声がマクシミリアンの癇に障る。ドスドスとこちらに向かってくる隙だらけの男の腹に蹴りを叩き込み真横に吹き飛ばす。
「ぐおっ!!」
運良く巨体故の重さで壁に激突するのを免れた男は横に転がりながらよろよろと立ち上がる。
「くそっ、油断した!ぐおぉ!くそがァァ!」
腹を抑えた男は目を血走らせ駆けてきた。赤く灯った魔法を手のひらから次々と打ち込みながらこちらに巨大な斧を振り下ろす。
「爆炎」「怒雷」マクシミリアンが呟く度に男の魔法攻撃が掻き消え、ついに男が吹き飛ぶ。
「くそっ、なめるなよ、なめてんじゃねぇぇ!!」
這いつくばった男が禁止魔法を闇雲に打ち込んだ。
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