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魔の森
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翌朝から、私は大佐に呼び出されて大佐の身の回りの世話を週に二、三回やる事になった。
最初は身の回りの世話をしていたがいまでは身の回りの世話なんて単なる口実に過ぎない事がわかった。
本当の任務は身の回りの世話とはかけ離れたものだった。
軍の内部には派閥がある。大佐には政敵となる家の男がいて、本来なら少将だった大佐は政敵である中将に蹴落とされて今の地位に追いやられたらしい。
密偵を殺されて手駒も刈り取られた大佐の新たな駒が私らしい。
三ヶ月が過ぎた頃、大佐の政敵の取り巻き達が自滅した。
大佐を蹴落す際に彼等は罪の無い一般人まで問答無用と殺していた。その証拠を集めて中将の取り巻き達の名で告発したのだ。
告発された方は裏切られたと思ったのだろう。告発者の罪をお返しとばかりに告発し、互いに潰しあって自滅して行った。
どうやら、マジで私を男だと思っている大佐は二年以内に、政敵の守りとなっている魔法使いや、直属の部下の数を三割減らせたら褒美をやる。女だって抱かせてやる。と言っていた。
いらんし。
大佐は最低な男だ。人間の屑である。
そんな奴の指示を素直に聞いてやる義理は無い。なのでさっさとここから逃げる為に最近は抜け道を探している。
昼ごはんは五分。ご飯をかっ込んだ瞬間には走り出す。
勿論、脇腹が痛い!
はぁはぁと走る事暫し、グラウンドの真ん中に上官達にしごかれた、ぐちゃぐちゃでヨレヨレの先輩隊員達が倒れている。
使い潰しの気晴らし部隊と影で言われている私達の先輩達。庶民の中でも元スラム地区出身者や孤児達や売られた庶民の子供達の成れの果てだ。
つまり、今の自分達の未来の姿である。
まだ見習いの時点で既に、命令と暴力がセットになった苛虐趣味の上官に目をつけられて、この軍事施設から逃げ出そうとして見つかり、早々に死んでしまった少年達も少なくない。
ここは馬鹿みたいに高い塀に囲まれていて脱出は不可能と言われている。
絶望しかないこの施設内で私は最近いつも思う。
果たして自分は以前の記憶が戻って良かったのか、悪かったのか。
以前の自分なら疑問など持たずに淡々と業務を遂行していたはずだ。
暗殺はどれくらい一瞬で片をつけられるか。魔法を使い敵を屠る場合も、自分の魔力量を計算して体術や相手の精神を操り、仲間に襲わせて。やり口の汚さを気にしたりなんかしなかった。
哀れみや絶望、怒りや恐怖も感じたか怪しい。
今日ご飯が食べられたか、食べられるかどうかが大事で後は後回しにして考えていた。生に執着があったかわからない。ご飯以外どうでもよかったから生に執着はしていたのかもしれない。
私は女の子だ。顔も身体も傷だらけで髪はベリーショート。成長が悪いせいか胸は無いし、初潮もまだだ。
能天気で幸せに浸かっていた私の前世の感覚がすっかり私にかかっていた洗脳も精神干渉の魔法も解いてしまったのだろう。
今はここにいる事か怖くて仕方ない。恐怖で吐きそうだ。
今はまだ誰にも女だとバレていないけどいつバレるか。バレたらどうなるかわからない。
早く、早く何とかしてこの施設から抜け出さなきゃと焦りだけが募る。
「No.78足を持ってくれ」
「はい!了解です!」
この人はたぶん見習いの中のリーダーだろう。彼を中心に私を含む見習い達が動いている。
名は知らない。誰も呼ばないからもしかしたら名が無い、名無しさんかも知れない。私はこの名無しさんが気に入っていた。
彼は人並外れた頑丈な身体とずば抜けた身体能力があるらしく上官達に殴られてもビクともしない。代わりに殴った方が痛がっているくらいだ。
だから、彼に何かする人は少ない。そんな彼が殴られている少年達の保護に行くのを何回か見た。
誰かを陥れる事も無く、唯一、人を助ける為に嘘をつく様な人だ。
私の知るこの世界は、人の命がとても軽い。
私が入った初日に血まみれになっていた少年は実は数日あの状態だったらしい。
綺麗に洗ったバケツに入れた水で患部を洗ったし、なるべく綺麗に洗った布で身体を拭いたり水を飲ませたりしてみたが、すっかり弱り死んだ。
消毒液や、酒は貰えず、薬草で作る薬すら貰えない。だから、訓練の時に目に付いた薬草で消毒して、水分だけは何とか与えていたけど。ダメだった。
上官が処理しとけと言い捨てた姿を見て目頭が熱くなったけどここはそう言う所なのだと頭の隅では理解していたし、「了解です!少佐!」と私は返事を返した。
だけど、胸の中は黒い悲しみと怒りや様々な感情でモヤモヤとして気分が悪かった。
「ぐあっ」
持って運んでいた軍服姿のズタボロの青年が少しだけ覚醒してしまったらしく痛みに呻き、暴れ出した。
「くっ……うぎゃ!?」
バランスを崩して運んでいた青年と共に倒れ込み。
痛たたた…
起き上がって見れば青年の履いていた長靴の底のひび割れの部分で両腕がバッサリと切れていた。
靴の底の安物のゴムかぁ…早く洗った方が良さそうだ。
私は顔を顰めた。
「怪我をしたのか。持てそうか?」
「はい、問題ありません!」
そうは言ったが痛い。
結局、私はこの傷のおかげで夕刻、高熱を出した。
熱に浮かされた状態で目が覚めた。薄暗い室内で、話声がする。
「こいつのボタンを外してシャツを脱がせろ。拭く為の布はこれで良いだろう」
「了解です!」
伸びてきた細すぎる腕が自分の薄汚れたシャツのボタンにかかる。
不味い、胸はまだ無いけど一応は、ちんまい膨らみがちゃんとある。
だって女の子だもん!
私はじたばたと動き何とか少年の手を掴んで「…自分で、出来るよ」と言って微笑んだ。
バクバクと心音が乱れる。
すると大柄な少年も一緒に硬直して、ジリジリと後退りし、彼等はどんどん私から離れて行き、終いには部屋からも出て行った。
どうやら夕飯の前らしくみんなの姿はなかった。食べる時間は五分だけど、みんな給仕をしていて夕方から三時間は食堂に立っている。
先程の彼等は名無しさんと私の前にここに入ったらしい少年だった。拭いてくれようとしていたのだろうけど。目が覚めて良かった。
ぐらりと揺れる視界を何とか誤魔化しながら、よろよろと外に出た。
確か、訓練所の奥の茂みに薬草があるはず。まだあればいいけど。
自分達少年兵には、医者や薬なんて無関係な言葉だ。
弱ったら勝手に死ねばいい。
そんな感じだから、自分の身は自分で守らなくちゃ本当に死んでしまう。
ガサゴソと塀の近くの茂みを分けて覗くと傷薬になりそうな薬草がいくつか見えた。
ブチブチと数本抜いて手の平で擦り合わせて出てきた汁を傷口に塗る。
そうこうしていたら何だか急に傷が治り熱があっという間に下がった。
「あれ?即効性のある薬草だった?」
首を傾げるがまぁ、いいやと立ち上がった。
「……ホタル?いやいや、この世界には居ないよね?」
そう言いつつ私は目の前をふよふよと飛び回る光る虫を目で追った。
その虫が木の板で補強された塀の穴からふよふよと外に出た。
穴がある?
疑問に思って板に手をかけてみると板はぼろりと簡単に外れた。
「………え?」
私は恐る恐るともう一つの板に手を伸ばした。穴を広げる事が出来たりして、なんて軽い気持ちで板を手にしてみた。
又もやボロッと地面に落ちた朽ちた板と手に持ったままの板の欠片を見つめて暫し呆然と突っ立っていた。
老朽化していたのだろうか?
でもこれって、チャンスでは?
私、脱走出来ちゃいそうな穴を発見しちゃったよ!!
手を先ず、出してみる。
大丈夫そう。
それから頭をそろりと出した。
塀の外は森だった。
確か孤児院の近くに森があったな…
孤児院からこの軍事施設まで駆け足で十分と少し。
きっとあの森だわ。
私はそう当たりをつけ、そっと足を踏み入れた。
森には小さな魔物がいて森の入り口付近には冒険者達が狩りをする穴場がある。
小さい魔物が生まれやすい魔素溜まりとか、瘴気の多い魔物達の住む森だから奥には大型の凶暴な魔物もいて中々に危険な場所だ。
グァァグァァ!と鳴く気味の悪い斧鳥が颯爽と斧の形の頭や尻尾を振り回して急降下して来る姿を目で捉えた。
最悪だ。凶暴な肉食の魔物だ。
地面に手を当て、急いで土から化合物を取り出し、弾を土魔法で作り出す。
その弾をジャラジャラと手に持ち、自分の右手で弾を握りしめると手に魔力を注ぐ。
そして左手で自分の周囲を魔法の防御シールドで包んだ。
良し、殺るか。そう自分が意識するとたちまちぎゅいん、と右手がまるで機関銃の様に変化した。
ババババッ!と撃ち出す銃弾は全て魔物の身体を撃ち抜き、穴ぼこだらけになった魔物が弾丸に込められた魔力が弾ける事で体内が破裂し大破する。
うん、バッチリね。
自分の魔法の腕に一人納得して私は森の奥に向かって歩き出した。
暗器ばかりじゃ無いのだ。ちゃんと私だって普通の魔法も使える!
ちょっと気分が上向いた。
向かう先は隣国に繋がる道。
あー、不安だ。
確か、隣国って獣人の多い国だったよね?
隣国に一人で。大丈夫かなぁ。
この山は魔物がたくさん潜む魔の森だ。
だから、隣国までの最短ルートなのに誰も通らない。魔の森とも、死に一番近い森とも呼ばれている。
気合い充分に地面に手を当て予めたくさんの弾の予備を作り、私は森の奥へと進んだ。
もしかしたら、死ぬかもしれない。でも、これ以外に道は無いんだ。
最初は身の回りの世話をしていたがいまでは身の回りの世話なんて単なる口実に過ぎない事がわかった。
本当の任務は身の回りの世話とはかけ離れたものだった。
軍の内部には派閥がある。大佐には政敵となる家の男がいて、本来なら少将だった大佐は政敵である中将に蹴落とされて今の地位に追いやられたらしい。
密偵を殺されて手駒も刈り取られた大佐の新たな駒が私らしい。
三ヶ月が過ぎた頃、大佐の政敵の取り巻き達が自滅した。
大佐を蹴落す際に彼等は罪の無い一般人まで問答無用と殺していた。その証拠を集めて中将の取り巻き達の名で告発したのだ。
告発された方は裏切られたと思ったのだろう。告発者の罪をお返しとばかりに告発し、互いに潰しあって自滅して行った。
どうやら、マジで私を男だと思っている大佐は二年以内に、政敵の守りとなっている魔法使いや、直属の部下の数を三割減らせたら褒美をやる。女だって抱かせてやる。と言っていた。
いらんし。
大佐は最低な男だ。人間の屑である。
そんな奴の指示を素直に聞いてやる義理は無い。なのでさっさとここから逃げる為に最近は抜け道を探している。
昼ごはんは五分。ご飯をかっ込んだ瞬間には走り出す。
勿論、脇腹が痛い!
はぁはぁと走る事暫し、グラウンドの真ん中に上官達にしごかれた、ぐちゃぐちゃでヨレヨレの先輩隊員達が倒れている。
使い潰しの気晴らし部隊と影で言われている私達の先輩達。庶民の中でも元スラム地区出身者や孤児達や売られた庶民の子供達の成れの果てだ。
つまり、今の自分達の未来の姿である。
まだ見習いの時点で既に、命令と暴力がセットになった苛虐趣味の上官に目をつけられて、この軍事施設から逃げ出そうとして見つかり、早々に死んでしまった少年達も少なくない。
ここは馬鹿みたいに高い塀に囲まれていて脱出は不可能と言われている。
絶望しかないこの施設内で私は最近いつも思う。
果たして自分は以前の記憶が戻って良かったのか、悪かったのか。
以前の自分なら疑問など持たずに淡々と業務を遂行していたはずだ。
暗殺はどれくらい一瞬で片をつけられるか。魔法を使い敵を屠る場合も、自分の魔力量を計算して体術や相手の精神を操り、仲間に襲わせて。やり口の汚さを気にしたりなんかしなかった。
哀れみや絶望、怒りや恐怖も感じたか怪しい。
今日ご飯が食べられたか、食べられるかどうかが大事で後は後回しにして考えていた。生に執着があったかわからない。ご飯以外どうでもよかったから生に執着はしていたのかもしれない。
私は女の子だ。顔も身体も傷だらけで髪はベリーショート。成長が悪いせいか胸は無いし、初潮もまだだ。
能天気で幸せに浸かっていた私の前世の感覚がすっかり私にかかっていた洗脳も精神干渉の魔法も解いてしまったのだろう。
今はここにいる事か怖くて仕方ない。恐怖で吐きそうだ。
今はまだ誰にも女だとバレていないけどいつバレるか。バレたらどうなるかわからない。
早く、早く何とかしてこの施設から抜け出さなきゃと焦りだけが募る。
「No.78足を持ってくれ」
「はい!了解です!」
この人はたぶん見習いの中のリーダーだろう。彼を中心に私を含む見習い達が動いている。
名は知らない。誰も呼ばないからもしかしたら名が無い、名無しさんかも知れない。私はこの名無しさんが気に入っていた。
彼は人並外れた頑丈な身体とずば抜けた身体能力があるらしく上官達に殴られてもビクともしない。代わりに殴った方が痛がっているくらいだ。
だから、彼に何かする人は少ない。そんな彼が殴られている少年達の保護に行くのを何回か見た。
誰かを陥れる事も無く、唯一、人を助ける為に嘘をつく様な人だ。
私の知るこの世界は、人の命がとても軽い。
私が入った初日に血まみれになっていた少年は実は数日あの状態だったらしい。
綺麗に洗ったバケツに入れた水で患部を洗ったし、なるべく綺麗に洗った布で身体を拭いたり水を飲ませたりしてみたが、すっかり弱り死んだ。
消毒液や、酒は貰えず、薬草で作る薬すら貰えない。だから、訓練の時に目に付いた薬草で消毒して、水分だけは何とか与えていたけど。ダメだった。
上官が処理しとけと言い捨てた姿を見て目頭が熱くなったけどここはそう言う所なのだと頭の隅では理解していたし、「了解です!少佐!」と私は返事を返した。
だけど、胸の中は黒い悲しみと怒りや様々な感情でモヤモヤとして気分が悪かった。
「ぐあっ」
持って運んでいた軍服姿のズタボロの青年が少しだけ覚醒してしまったらしく痛みに呻き、暴れ出した。
「くっ……うぎゃ!?」
バランスを崩して運んでいた青年と共に倒れ込み。
痛たたた…
起き上がって見れば青年の履いていた長靴の底のひび割れの部分で両腕がバッサリと切れていた。
靴の底の安物のゴムかぁ…早く洗った方が良さそうだ。
私は顔を顰めた。
「怪我をしたのか。持てそうか?」
「はい、問題ありません!」
そうは言ったが痛い。
結局、私はこの傷のおかげで夕刻、高熱を出した。
熱に浮かされた状態で目が覚めた。薄暗い室内で、話声がする。
「こいつのボタンを外してシャツを脱がせろ。拭く為の布はこれで良いだろう」
「了解です!」
伸びてきた細すぎる腕が自分の薄汚れたシャツのボタンにかかる。
不味い、胸はまだ無いけど一応は、ちんまい膨らみがちゃんとある。
だって女の子だもん!
私はじたばたと動き何とか少年の手を掴んで「…自分で、出来るよ」と言って微笑んだ。
バクバクと心音が乱れる。
すると大柄な少年も一緒に硬直して、ジリジリと後退りし、彼等はどんどん私から離れて行き、終いには部屋からも出て行った。
どうやら夕飯の前らしくみんなの姿はなかった。食べる時間は五分だけど、みんな給仕をしていて夕方から三時間は食堂に立っている。
先程の彼等は名無しさんと私の前にここに入ったらしい少年だった。拭いてくれようとしていたのだろうけど。目が覚めて良かった。
ぐらりと揺れる視界を何とか誤魔化しながら、よろよろと外に出た。
確か、訓練所の奥の茂みに薬草があるはず。まだあればいいけど。
自分達少年兵には、医者や薬なんて無関係な言葉だ。
弱ったら勝手に死ねばいい。
そんな感じだから、自分の身は自分で守らなくちゃ本当に死んでしまう。
ガサゴソと塀の近くの茂みを分けて覗くと傷薬になりそうな薬草がいくつか見えた。
ブチブチと数本抜いて手の平で擦り合わせて出てきた汁を傷口に塗る。
そうこうしていたら何だか急に傷が治り熱があっという間に下がった。
「あれ?即効性のある薬草だった?」
首を傾げるがまぁ、いいやと立ち上がった。
「……ホタル?いやいや、この世界には居ないよね?」
そう言いつつ私は目の前をふよふよと飛び回る光る虫を目で追った。
その虫が木の板で補強された塀の穴からふよふよと外に出た。
穴がある?
疑問に思って板に手をかけてみると板はぼろりと簡単に外れた。
「………え?」
私は恐る恐るともう一つの板に手を伸ばした。穴を広げる事が出来たりして、なんて軽い気持ちで板を手にしてみた。
又もやボロッと地面に落ちた朽ちた板と手に持ったままの板の欠片を見つめて暫し呆然と突っ立っていた。
老朽化していたのだろうか?
でもこれって、チャンスでは?
私、脱走出来ちゃいそうな穴を発見しちゃったよ!!
手を先ず、出してみる。
大丈夫そう。
それから頭をそろりと出した。
塀の外は森だった。
確か孤児院の近くに森があったな…
孤児院からこの軍事施設まで駆け足で十分と少し。
きっとあの森だわ。
私はそう当たりをつけ、そっと足を踏み入れた。
森には小さな魔物がいて森の入り口付近には冒険者達が狩りをする穴場がある。
小さい魔物が生まれやすい魔素溜まりとか、瘴気の多い魔物達の住む森だから奥には大型の凶暴な魔物もいて中々に危険な場所だ。
グァァグァァ!と鳴く気味の悪い斧鳥が颯爽と斧の形の頭や尻尾を振り回して急降下して来る姿を目で捉えた。
最悪だ。凶暴な肉食の魔物だ。
地面に手を当て、急いで土から化合物を取り出し、弾を土魔法で作り出す。
その弾をジャラジャラと手に持ち、自分の右手で弾を握りしめると手に魔力を注ぐ。
そして左手で自分の周囲を魔法の防御シールドで包んだ。
良し、殺るか。そう自分が意識するとたちまちぎゅいん、と右手がまるで機関銃の様に変化した。
ババババッ!と撃ち出す銃弾は全て魔物の身体を撃ち抜き、穴ぼこだらけになった魔物が弾丸に込められた魔力が弾ける事で体内が破裂し大破する。
うん、バッチリね。
自分の魔法の腕に一人納得して私は森の奥に向かって歩き出した。
暗器ばかりじゃ無いのだ。ちゃんと私だって普通の魔法も使える!
ちょっと気分が上向いた。
向かう先は隣国に繋がる道。
あー、不安だ。
確か、隣国って獣人の多い国だったよね?
隣国に一人で。大丈夫かなぁ。
この山は魔物がたくさん潜む魔の森だ。
だから、隣国までの最短ルートなのに誰も通らない。魔の森とも、死に一番近い森とも呼ばれている。
気合い充分に地面に手を当て予めたくさんの弾の予備を作り、私は森の奥へと進んだ。
もしかしたら、死ぬかもしれない。でも、これ以外に道は無いんだ。
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