地味に転生していた少女は冒険者になり旅に出た

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面倒だし

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「クリス君だったっけ?」
にこやかな顔で教官のマッシモさんが近付いて来た。

「はい」

「君は……何者だ!!」

ガバッと教官、マッシモさんが両肩を掴んで来て、
─ちょっと顔近っ!
と私は必死に上半身を反らした。
ぐぬぬぅ
鍛え抜かれた鋼の肉体のせいで抜け出すことが出来なくて抜け出すことは諦めて渋々マッシモさんを見た。

「な、何者って言われても…先月、冒険者になったばかりのクリス、十二歳です!」
「そんな初心者マークつけた坊主がなんで魔法剣を…いや魔法刀?を、出したりできるんだ!それになんだあの身のこなしと見たことも無い魔法攻撃は!?あんな技術どこで身につけたんだ!」

「……な、内緒です」

まさか孤児院です。なんて言ったって信じてもらえないだろうし。

あと、坊主じゃ無いよ?私、クリス、十二歳!女の子!って言った方が良かったのかな?

まぁ、いっか。面倒だし…


でも、あれくらいでこんなに騒ぎになるんなら…

ちょっと調整して訓練を受けた方が良いのかな?なんだか悪目立ちしそうだし。

いや、でも手抜きして養成所の修了を受けられなくなって、Cランクになれなかったら嫌だし。

私は不安になってチラリと斜め前にいる養成所のメンバー達を見るとガイ君とカルヴァン君以外のメンバーからはちょっぴりビクッとして目をそっとそらされてしまった。
因みに、ガイ君はちょっと不貞腐れた顔をしている。どうやら自分の活躍が私のせいで霞んでしまい腹を立てて居る模様。
いや、そんな事、知らんし!
そしてカルヴァン君は何やら物思いにふけっているもよう。

ちなみに対戦相手の『黒雲』の少年達は目が合った瞬間にひと塊になって蹲った。「うぎゃ」とか、聞こえた気がするけど…きのせい?

結局、余りに差があり過ぎると言う事で残りのメンバーがちょっとした基礎訓練を受け終わるまでは、と。私はなぜか剣の訓練では教官の助手みたいな扱いを受けている。

「クリス君、ミミちゃんの指導、頼む!」
「………えぇ、私がやるとアイツらがウザイんですが」

アイツらとはガイ君とユージン君だ。

「まぁまぁ、女の子に怪我させらんねぇからな。」

剛腕の力自慢じゃ負けねぇ!と言うくらいあって、マッシモさんは剣を握るとスキルまで発動するもんだから女の子と、ユージンが相手の時はちょっと力加減を間違えると派手に吹き飛ばしてしまうのだ。その為、こうしてちょくちょく私に相手をする様にと言い付けてくる。

今まではマッシモさんが苦手なギルド職員が助手みたいな感じでお手伝いに来ていたらしい。
なら、是非ともその方に!と言ったのに。マッシモさん、スルー。結局こうなってしまった!

「よし!じゃあミミちゃん、やろっか」
「はい!なのです!」

ミミちゃん、本当に癒しだ。可愛い。
確かに天使はここに居た。

赤い目をキラキラさせて私を見つめていて、でっかい乳が手を組んでるからちょっともにゅっと、押し上げられている。ついでに若干、頬が赤い。

ちょーエロ可愛いんですけど!

はぅ……はぁ、危ない、危うくミミちゃん信者になるとこだった。

ミミちゃん信者約二名が、そんな私達を恨めしそうに見ているが私はニンマリと笑ってミミちゃんと打ち合うのだった。

おかげで、帰りにガイ君に絡まれてしまった。

「クリス!お前、ちょっと顔が綺麗だからって!あ、あと、ちょっと強いからって良い気になるなよ!!」

帰り道、宿の手前でガイ君がどうやら待ち伏せしていたみたいだ。だけど、ガイ君や?ちょっと君はタイミングが悪い。いや、悪すぎると思うのだよ。

前門の虎後門の狼、状態である。

「ちょっとじゃないです!クリス君は物凄ぉぉーく!強いんです!」

私の背後に、私の跡をつけてきていたうさぎ耳(ミミちゃん)がヒョコリと耳を建物の柱から出して叫んだ。

「…ミミちゃん!?うわっ、ちっ、違うんだ!」
ガイ君がアワアワしている。ガイ君の耳は困ったと言わんばかりに折れ曲がっていて、そんなガイ君に更なる驚異が迫った。

「うわぁぁ!なっ、ぎゃっ!」

私はガイ君の後ろから彼の頭をグワシッ!と鷲掴みにした存在に顔がひきつる。

「クリスがちょっと綺麗だと?ア゙ア゙?クリスは、可愛いんだ。小僧、訂正しろ」

完全に目が座ってるエタンを私は慌てて止めた。
「ストーップ!エタン、何小っ恥ずかしい言いがかりつけてんのさ!」
「…ひぃ、ずいマセ、ん。クリス、君は、世界一ぃ!可愛いデスー」
「なんだと?お前、まさか俺のクリスに惚れたんジャナイダロウナ?アア?」

いや、エタン?なんでそんなゴロツキみたくなってんの?言いがかりがバージョンアップしてやがる。


ポカーン、とエタンを見ているとエタンとやっと目が合った。
半泣きのガイ君を彼はポイッと放り投げると何事も無かったと言わんばかりに取り繕ったポーカーフェイスで私の目の前に立った。

「…お帰り。たまには宿の食堂いがいのとこに飯食いに行くか。」

なんて言って私の腕を引いて宿の方とは逆方向へと歩き出す。

「えっ、私がガイ君のお世話しなきゃなんですか!?」

なんか、後ろが騒がしい気がするけれど私は未だにゴロツキと化したエタンに衝撃を受けた状態でズルズルと引き摺られ、引き摺っている事に気付いたエタンによって抱っこでその場を後にした。


翌朝、私の鳥頭はミミちゃんに「昨日のイケメンは誰ですか!?」と突撃を受けるまですっかりガイ君とミミちゃんに帰りに出会った事も忘れていた。

「……あれは、ゴロツキバージョンのエタンですね。チョー怖かった!でも、なぜかご飯食べたらすっかりご機嫌バージョンのエタンに早変わりしてたから。たぶん、お腹が減ってたんだと思うけど」

「………なるほどです。ようするに、食いしん坊さんなんですね!イケメンで食いしん坊…私、かなり好みです」

はぅぅー、とミミちゃんが両手を頬にあてた。
頬を染めて、耳もじんわり赤いミミちゃんの様子を見ていたガイ君が膨れっ面で「イケメン兄弟とか、嫌味な奴だぜ!」と言って養成所のゴミ箱を蹴りつけたけど、ユージン君がすぐ様注意をしてゴミ箱のへこみをなおすガイ君であった。

うん、良く考えたら。私の性別、未だに男だと思われてるっぽい?

まぁ、いっか。面倒だし…


ん?なんか前も同じ事を思ったような?
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