地味に転生していた少女は冒険者になり旅に出た

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実戦

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「おーい!何をイチャついてんだ。時間だ、集合ー!」

マッシモさんの声で漸く今が訓練中だったと思い出し、私は腹に回されたエタンの腕をペチペチと叩き「離してエタン、ほら、もう行かなきゃ。」と伝えた。

そしてマッシモさんの物言いたげな視線に顔を上げて課題をしていなかった事に気付いた。

「あちゃぁー。すっかり忘れてた。エタン……」
「ん?」
「エタンを鑑定してもいい?」

私の言葉にエタンは私を見て、マッシモさんを見てハハン、と言う様に片眉を器用に上げた。
「教官(マッシモさん)に言われたのか?」
「……うん、私がさっきマッシモさんに指摘された事を試したいからもう一度!って頼んだら、教官にエタンを鑑定してみろって言われたの」
「なるほど。よし、いいぞ」
何やら頷きエタンが柔らかい笑顔でさぁ、どうぞと私を見下ろした。

「ありがとう。じゃぁ、『鑑定眼』」

《鑑定》

エタン

----不明

「………え?失敗?」
「悪い、まだ下げたほうがよかったか…よし、もう一度やって」
「ええ?うん」

─────
エタンが目を閉じると自分の鑑定結果が浮かんだ。

~~~~~~~~~~
《鑑定結果》

名・エタン

犯罪歴・無し(5、裁きの鉄槌)

年齢十八、性別・男

種族・白豹の獣人族の先祖返り

性癖・ナシ
(強いて言うなら匂いフェチと撫でたりすることかしら?)

保有スキル・狂戦士、狂化、怪力、カリスマ、無敵、鑑定眼、地の叡智、番の追跡者、強者の威圧、黄金の矢、白き炎の開拓者、雷豹、××の裁き(不明)

魔力量、750
~~~~~~~~~~

けれど、この全てを少女に見せる訳にはいかない。異端すぎる結果を見てドン引きされて怖がられた挙句一緒にいるのは嫌だと言われたら適わない。

以前魔力量のみクリスには見せている。更に今のクリスの鑑定眼のスキルは(1)だ。だったらスキルのひとつくらい見れる様に調整するか…
─────


《鑑定》
名・エタン
『白き炎の開拓者』
魔力量・750

「おー!見えた!」

あれ?でも私の魔力量よりも多いエタンの鑑定をしたのに全く負荷がかからなかった。
なんでだ?

私が首を傾げていると察したらしいエタンが頭を撫でながら教えてくれた。

「クリス限定で、魔力の差から来る負荷を下げたんだ。」

「そんな事ができるの!?」

ビックリだ。エタンって器用すぎる。

「まぁ、ある程度の魔力量がある奴は出来ると思うが………それよりもクリス──」

歯切れ悪くエタンが言葉を切り目を泳がせた。

「その先は後で俺が説明してやろう。なぁ、クリス君!それよりも今は!集合だと言ったはずだよなぁ!?」

背後からしたハキハキとした男性の野太い声がした。エタンの歯切れの悪い原因であり、今が集合の号令の後で、私は訓練生。この野太い声が教官の声だと理解して私が潔く頭を下げて謝罪したのは言うまでもない。

「クリスちゃん、大丈夫ですか?わぁー痛そう…ここ、たんコブができてるです」

頭に大きなコブを作った私をミミちゃんがよしよしと撫でながら癒してくれる。

ひんやりした魔力が私の患部(コブ)を包んで痛みを散らしてくれる。あぁ、ミミちゃん、癒しだ。

「……ぐぅ、クリスは女。アレは女。アレでも女だ!けっしてミミを狙ってる訳じゃねぇ。でもあんな男の外見じゃ俺は…俺は…ぐぁぁぁ!!
わかるか、クリス!?この俺の苛立ちが!!って事で、お前、明日っからちゃんと女装しろよ!良いな!?」

「ごめん、ミミちゃん。ちょっとアレをすり潰してきても良いかな?」

ゆらりとミミちゃんから離れる私の腹にタックルする様にミミちゃんが抱きついて「だ、ダメなのです!ガイ君謝るですよ!」と叫んだ。

「………お前ら、俺の話を聞く気があるのか?ん?」

そんなこんなで頭に出来たたんこぶをガイ君と一緒にミミちゃんに撫でて貰いながら私達は教官マッシモさんの説明を聞いていた。

痛い………


今日は二階から五階層まで行くので、先頭をマッシモさん、エタン、ミューさん。続いて私達。最後尾は至宝のグローリーの皆さんだ。

3階層はキノコの魔植物と肉食の魔植物が潜むジャングルの中だ。進むと背丈ほどの草が足にまとわりついてくる。

「ちょっと、クリスの足にまとわりつかない様に燃やして構わないか?」

燃やす?

「何言い出したのエタン!?」

「必要な薬草のある地帯じゃ無いから多分燃やしても問題はないが。密室で炎は危険だ。」

「あっ、一酸化炭素中毒ですね?」

「……なんだ?そのイッンカタンタってぇのは」

「いや、全然言えてないじゃないですか。」

そっか、一酸化炭素中毒なんて言葉は無いのか。

「それは大丈夫です。まぁ、百聞は一見にしかずだ。クリス、魔法の勉強にもなるし、手を重ねるぞ?」

エタンが触った私の手が光った!?と思った瞬間、周囲の植物が透明のシールドに囲われてエタンが魔力を注いだと感じた瞬間、チリチリ、バンバン!と小爆発しだした。

けれどじっとエタンがシールド内に魔力を注ぎ瞳から白く光を溢れさせるとボールの中に炎を閉じ込めたようにボゥ!と燃え盛りその炎の色は赤、紫、青、白と変化し、急に霧散した。
「どうだった?防御シールドを使って敵を囲いこんで、防御シールドの中に魔力を入れて攻撃魔法を注いだんだ。やり方何となくわかったか?」

何となく、次は私だけでも出来そうな気もしてきた。

「うん」

うん、出来そう。でもさ、エタン

なんにも無い。辺り一面、なんにも無い。

え?これって、普通にやれるもんなの?

プスプスと焼ける地面がエタンの防御シールドと共に取り払われると魔物が何処にいるか一発で分かる状態になっていた。
地から落ち着かない様子で顔を出す火の魔物、砂蛇。

風の魔物のトンボみたいな羽がたくさんあるバッタみたいな虫みたいな魔物。

地に張られた六角形の巨大な蜘蛛の巣からは子蜘蛛…と言っても人の子程の大きさの蜘蛛と親蜘蛛…トラック大、が地中の巣穴から頭を出していた。

一番強いのはCランクの蜘蛛だ。糸がなかなか厄介な魔物だとマッシモさんが説明してくれた。

予備知識で倒し方を知っていたのは蛇の魔物だけだった。
けっこう魔物の本を読んだ気になっていたけど知らない魔物の方が多い。

「うわぁー、顔がキモイ」
蜘蛛の頭は浮き出した血管が人の顔の様に見えて私はドン引きだった。

「よし、見通しが良いのも精々三十分位だ。あの魔植物は瘴気が糧で生えるから一瞬で元通りだからな。そんな訳で、訓練生は全員戦闘開始!?今日は魔法攻撃オンリーだぞ。」

マッシモさんの言葉に私とカルテイラちゃんは顔を見合わせ、ササッとガイ君から距離を取った。


「どうした?」

不思議そうに聞いてくるエタンを見上げて「ガイ君はノーコンなのよ」と端的に答える。
エタンはなるほどと見張りとしてだろうか、エタンがガイ君の背後に張り付いた。
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