地味に転生していた少女は冒険者になり旅に出た

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うさぎが2匹潰れてる?

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「シャー!!」
目の端にいた砂蛇がこちらを威嚇する様に口を開き火を噴き出す。
ぐっと頭が沈みそのままズボッと巣穴に潜り込んで地中をこちらに向かってズズ、と移動しているのが音でわかった。
無数にある巣穴が繋がっているのだろう。途中の穴から頭を出した砂蛇はこちらに火を噴き出す。

火が触れると毒も一緒に受けてしまうので一旦後ろに飛び、手のひらに魔力を溜め、砂蛇目掛け圧縮した刃に変わる風魔法を砂蛇に撃ち込む。
無数の小さな刃に切り刻まれる砂蛇がグニョグニョと蠢くが直ぐに砂となって小さな魔石を残しサラサラと消えていった。

火を噴く砂蛇は、素早さと毒を気にしなければ、剣で刺しても直ぐに砂となって消えるか弱い魔物だ。けれどマッシモさんには初心者に戻ったつもりで、あいつらにお手本を見せる感じで頼んだぞ!なんて言われている為、少々面倒な、けれど初心者の模範的な動きをしたのだ。

けっして、近くにいたバッタ擬きや、蜘蛛にビクついて手間取っていた訳じゃない。

「じゃぁ、私は『ウォーターボール』」
ふよふよと巨大な水の球がトンボバッタに近づくとバッタ擬き、トンボバッタがズッポリとウォーターボールに包み込まれた。

トンボバッタは鋭い爪で水の膜を切り付けるが、切っても切っても水はまた元の状態になる為次第にトンボバッタの動きが鈍くなり、もがく様にジタバタとした動きになりバタンと倒れた。

「やったです!」

しかし、そんなミミちゃんに他のトンボバッタが飛んでくる。ババババ。とちょっと、いや、かなり羽音が気持ち悪い。

「きゃぁぁぁ!」

「ミミ!『闇の手』」
ガイ君の影から飛び出した真黒な手がびょんと伸びて、トンボバッタにへばり付きミシミシとトンボバッタを潰して行く。

トンボバッタ、最後はちょっと、キモイ!と言うお亡くなり方をしたので、私もだけど、女性陣は皆鳥肌を立てながら後ずさった。

『闇の手』は闇魔法と言うよりもスキルの一種だ。意のままに動く為、ノーコンのガイ君としてはミミちゃんを傷付けるよりは、と出した奥の手。
本人はこの闇の手が好きでは無いらしく余り私達もお目にかかった事がなかった。

このガイ君の闇の手にマッシモさん以外の大人達は若干顔を引きつらせていた。

マッシモさん曰く。この闇の手はかなり強力なスキルであり、強力なスキルを持たない者からしたら羨望と嫉妬を持たれるらしく、ガイ君自身が強くなるまでは悪目立ちする可能性があるからと、今は無闇に出さない様にと言われていたりする。

幸い、マッシモさんの知り合いらしい至宝のグローリーのメンバーは良い人達だったらしく、たぶん彼らも強力なスキルを所持しているのだろう。「変なのに目ェ付けられたら俺らに言えよ」とか言われている。
良かったねガイ君。

スキルの発動は魔法とは違って魔力を使わなくて良い。だからみんなスキルのランクを上げている。

「よっ、よし、じゃあ僕は」

カルテイラちゃんがユージン君にキラキラした、期待でいっぱいの眼差しをむけていた。
その様子に気付いたユージン君は砂蛇に向けていた手をす、す、す、とずらして蜘蛛に向き合う。

「…よし、行こう。カルテイラ君は僕が守るよ。」

なるほど、やっぱりユージン君も男なんだな。

けれど、魔法攻撃を蜘蛛に向けて撃ち込んだが、何事も無かった様に蜘蛛は子蜘蛛に小さな虫(たぶんトンボバッタの子)を餌として与えていた。


蜘蛛はそこでふと、あ、餌が足りない。と言いたげにユージン君の足に糸を飛ばしてしゅるりと引き寄せた。

「うわぁ、ぎゃぁぁぁぁ!?」
「蜘蛛、許すまじ」
カルテイラちゃんがくるりと華麗に回った。
回転したと同時に蜘蛛に真っ赤な魔力の塊をジュっ、と飛ばし。蜘蛛はそれをまともに腹にくらいマグマに焼かれる様に赤く爛れて溶けていった。
無詠唱だ。スキルを極めると使えるらしい技である。カルテイラちゃんかっこいい。

けれど、それが合図になった様に子蜘蛛達がギュンギュンと穴から糸を飛ばして巣穴から這い出して来た。

「ひぃ!?ふ、ふぇぇぇ」


き、キモイ!!蜘蛛の大群だよー!


私の怯えにエタンが小首を傾げた。

「クリス、もしかして…」

「だ、だって!ダメなものはダメなんだもん。虫、ムリ!?もー無理!!」

私は地に手を置いて瞬く間に弾丸を作成した。これもスキルだ。
あんまり目立つなよー。とか言っていたマッシモさんの忠告なんて空の彼方である。
私の頭は現在、蜘蛛、虫、殲滅!!である。


そんな気が立っている私の耳にエタンに絡みつくうさぎさん達の声が聞こえて来た。
「エタンさーん!私もぉ、虫が、苦手なんです~」
「あっ!ちょっと、貴方なんなの!?私がエタンさんとイチャイチャしようと思ってたのに!」
「私はミューよ!『白き牙』のアイドルなのよ!あんたこそ誰よ!私のエタンさんを自分のものみたいに言わないでよね!!」

「はぁー!?なんですってー!」

ガシャン、ガチャ、ガン!ジャキン、と武器を形成して弾丸を詰め込んで装填を終えると無言で跳躍して私は数回くるくると回転しながら子蜘蛛目掛けて撃発した。

着地した際にぐしゃ、と何かを二匹ほど踏み潰してしまったかもしれないが、私は構わずエタンに「もっかいやるから私を飛ばしてくれる?」と聞いた。

「………ふっ、良いぞ。手をかそう」
なんて笑っていたけど私の目がちょっと血走っていたからか、私の顔を見て、「いや、うん、さっさと終わらせような」なんて言ってくる。

いったいどんな顔をしていたのだろうと全てを終えた今はちょっぴり気になっていたりする。

弾丸を全て撃ち込んだら、蜘蛛達は全て黒い小さな魔石になっていた。

だけど、私は絶対に手では触るまいと風魔法で雑に集めてマッシモさんにしばかれた。「この魔石いくらすると思ってんだ!」とか言われたって私からしたらそれは蜘蛛(虫)が生み出した石である。
「………わかった、俺が拾うから!そんな絶望した目で見るな!」どうやら絶望した様にマッシモさんを見ていたらしい。


「よし、この階はもう良いだろう次に行くか。」

なんだか養成所のみんなが私を怒らせないようにしようぜ、と話していたのが気になったけど。

ついでに、なんかあの場でべしゃっ、って潰れていたうさぎ獣人のお姉様方お二人が私をちょっと怯える様にチラチラと見てくるのが気になると言えば気になるんだけど。

「次は魔法だけだと長引きそうだな、魔法と剣でやってみるか」

と言うマッシモさんの声に、次は虫じゃ無ければ良いな。と切実に思った。
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