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そろーり
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今、私は国境警備隊の詰所となる砦に居た。
「それで、坊主は………ひぇっ!?い、いや!君は!なぜ、その、あちらの尊きお方に乗って来たのかな?あの、とんでもなく尊き方に…」
国境警備隊の詰所の窓から見える景色におっちゃんをはじめ、みんなが冷や汗を流し目を泳がせていた。
─────────
マッシモさんの代わりにとなぜかヒャッハー兄さんが教官代理として来ていたが初めの日にマッシモさんに召喚魔法だけ教えられるだろ?と言われたヒャッハー兄さんが浮かれて召喚魔法の授業をしてくれた。
確かに素敵な訓練だった。
召喚魔法は得意と言うだけあってヒャッハー兄さんは成功率100%で鼻高々。
しかしその後。
ほぼヒャッハー兄さんにマッシモさんは指示をしておらず。「……えー、では、各自自習を」と言ってほぼほぼ自習であったためカルテイラちゃんに「これ、ここに来る意味、無い。帰る。自宅自習でいい?」と言ってコテン、と首を傾げられヒャッハー兄さんは崩れ落ちシクシクしていたけど。
おかげでマッシモさんが戻るまでの間、養成所はしばらくは休みになった。
なので今日は朝から冒険者ギルドに向かった。まずは冒険者ギルド内で気配遮断をするとギルドマスターの部屋で現在のエタン達の戦況を探る為に。
一つの階層を進むのに普通のCランク冒険者達のパーティで一日から二日、最大で三日だとして、あのエタンやマッシモさん、イチイさん達が行ってももう三日目だ。
更にエタンが出て行ってしまってもう二週間近い。
エタンは大丈夫かな。なんて気になって仕方なかったのだ。
報告書を見つけ目を通すと、どうやらダンジョン内には冒険者達とアンバンシーブル騎士団の先鋭部隊や他団員達、総勢三百を超える人達でダンジョン内の『狂暴化』した魔物達に挑んでいる様だ。
しかも冒険者たちの報告の中に『覚醒者二名』と書かれていてビックリした。
覚醒すると化け物並に進化するとか聞いたことがある。
誰だろう、なんて思っていると、先祖返りのエタン以外にも規格外の力を解放した冒険者がイチイさんだと書かれていて、私は首を傾げた。
これを見るとエタンが既に覚醒した様に見受けられたからだ。
…エタンが覚醒?
それはエタンの怒りで世界が終わったりしないの?大丈夫?
なんて考えてしまった。だってエタンは今ですら規格外なのに。
そして、イチイさんもエタン程では無いが幻の種族と言われる鎌鼬だ。
だったらかなりの力を得たのだろう。
うん、ダンジョンの方は全く問題なさそう。
「………寝る時は帰って来てるんだ」
報告書にはダンジョン内は移動石で移動出来る為極力荷物を少なくして寝る時だけ一旦地上に戻っているとあった。
私はじわりとせり上がった悲しさを紛らわせる様に報告書を漁った。
次に見つけたのは国境線にいる騎士団や傭兵達の状況だ。
冒険者も傭兵の依頼を受けて向かっているらしく状況なんかも書かれていた。
『敵国の軍人達を一度捕縛したが、敵軍の大佐が呪いや獣人の聴覚障害をもたらす音を出して逃げ、一時撤退したが再度侵攻してきている。解呪の得意な者がいれば協力して欲しい』
その文を見て心臓が嫌な音を立てた。
この聴覚障害をもたらす道具に心当たりがあった。
鳥や害獣駆除に使う軍施設の魔道具が壊れていたから魔石の交換ついでに威力を上げられたら『休みと金をやる』なんて言われて回線を一つ増やし、同時に中に入れる魔石も増やした。
すると普通の野鳥だけで無く魔物の鳥まで落下し、弱い種の魔獣達もよろよろと逃げだしたと言っていた。
私としては逃げる為の、大佐の弱みを握る為の有意義な時間を持てて喜んだけど…
あれを使ったのかも知れない。
私は思わず呻きそうになった。
あれは破壊するしかない。破壊するにも魔法攻撃を魔石に当てなきゃならない。行こう。
あの魔道具を壊さなきゃ。
そっとギルドを後にした私は国境警備隊の詰所まで行く為開けた場所を探して走った。
国境警備隊の詰所がある砦付近が最前線だろう。途中にあるあの山を例え超えたとして十日はかかってしまう。だからここは奥の手で行くしかない。
「いでよ!ミニドラゴン!!召喚!!」
…魔法陣が光り出す。
召喚魔法は魔法陣を手で書くのでは無く脳内で魔法陣を作成して魔力を込めて出現させるのだ。
だから、馬鹿みたいに難しい!
ドラゴンが呼びたい!でも巨大なドラゴンなんて何年かかっても魔法陣の陣すら組めないと確信している。
なんで、ミニドラゴンを召喚して空を飛んでもらうのだ!
魔法陣を思い浮かべ魔力を手から細く出すと丸い円が現れキラキラとした緻密な古代文字が描かれていき、陣は眩く発光し金色に輝く。
キラキラした光の中から召喚されたミニドラゴンが……
「………ん?」
私はゴシゴシと目を擦った。前回訓練で成功した時は私と変わらない大きさだった気がするんだけど………
デカくない?
「漸く召喚魔法を使ったな。小娘よ」
光がおさまり、現れたのは金色のドラゴンだった。想像よりも硬質そうだな。
城くらいの高さに見える。
ドラゴン……およ?
「……あれ?あの、貴方様はミニドラゴンでは無く…て……。もしや、本物のドラゴン様だったり…」
「如何にも、我は天界の門番であるエンシェントドラ………」
「ひっ!ひぇぇー!!すいません!ま、間違えましたァァァ!」
おかしい!なんでなの?!
前に召喚して私が漸く運べるくらいの大きさのあの子をイメージしてたのに!?
この世界のドラゴンは地上にいる小さなコウモリみたいな羽付きの翼竜や竜騎などで地を走る小さな竜、地中に住む土竜(モグラ)っぽいヤツが大半で言葉を解す竜種は聖獣の分類になり、ドラゴンと呼ばれている。
神獣は半透明で触れないと言うが聖獣はどうなんだろう。
透けてはいないわね…
聖獣や神獣は基本的に地上の生物では無い。
魔界だ天界だ、と住む次元が違う場所にいるらしい。
その為良くゲームだとテイマーやら召喚士なんて職もあるけどこの世界には無い。彼らを従えるなんて有り得ない話だからだ。
召喚魔法は魔法陣に魔力を流し、その魔力に惹かれたミニ聖獣を魔力を与える代わりにと力をちょっとだけ貸してもらうのだ。
ミニドラゴンには抱っこさせて下さい!って言って抱っこさせてもらった。黒いドラゴンで円な赤い瞳が可愛かった!
そんなミニ聖獣達の召喚だけど成功率は魔法陣の出来次第。
しかもちょっとした願いのみしか叶えられない。
なのであまり召喚魔法を使う人もいないらしい。
もふもふがもふもふを呼び出しても楽しくないとカルテイラちゃんが言っていた。彼女は聖獣のミニフェニックスを呼び出してもふもふを楽しんでいる様に見えたのに。
私には耳も尻尾も無いからもふもふの為に召喚もありだ!
だけど、今はひとまず!
逃げなきゃ!?
じゃり、と後退するとドラゴンが反応した。
「むぅ、待て小娘。我を呼び出した挙句、放置するつもりではなかろうな」
不機嫌極まりない、その低い唸り声に私は首を一生懸命に振った。
く、喰われる!?
「よし、では何か願うが良い」
「…………へ?」
「なんだお主、我を呼び出したのは願い事を叶えてもらうためでは無いのか?願い事は、物理的でかつ、不殺生で、かつ、世界の脅威にならぬことで頼む。願い事を叶えたらそなたの魔力をちと貰う!それで良いな!!」
ちと、それはどのくらいなので?ちょっとだけ?ドラゴンのちょっとは私のたくさんだったりしないよね?
「………あ、あの。でしたら!私を国境警備隊の詰所まで連れて行ってもらえませんか!?」
詰所にはおっちゃんがいる。
「よかろう!」
ドラゴンがかがみ背に乗れと言われて「失礼します」と言って乗り込んだ。
魔法で私を保護しながら飛んでくれるらしくキンキラキンのシールドが現れた。
「よし!行くぞ!!」
途端に膨大な魔力が辺りにタレ流されてビリビリと空気さえ震え出す。
「まっ!待ってください!ドラゴン様!この状態で、ドラゴン様の力がダダ漏れの状態で行かれると敵だけじゃなく味方すら大混乱になるかもしれません!なので!」
「………う、うむ。なので、なんだ?」
「えっと、なので~………そろーりと、気配を消して頂いて行きたいのですが!」
「うむ。よかろう」
そんな訳で、私はすっかり忘れていた。気配遮断しても目の前に現れたドラゴン見たらそりゃー大混乱だ。
ついでに敵国は戦意喪失で一斉捕縛。
うん、私何しに来たんだろ?
「それで、坊主は………ひぇっ!?い、いや!君は!なぜ、その、あちらの尊きお方に乗って来たのかな?あの、とんでもなく尊き方に…」
国境警備隊の詰所の窓から見える景色におっちゃんをはじめ、みんなが冷や汗を流し目を泳がせていた。
─────────
マッシモさんの代わりにとなぜかヒャッハー兄さんが教官代理として来ていたが初めの日にマッシモさんに召喚魔法だけ教えられるだろ?と言われたヒャッハー兄さんが浮かれて召喚魔法の授業をしてくれた。
確かに素敵な訓練だった。
召喚魔法は得意と言うだけあってヒャッハー兄さんは成功率100%で鼻高々。
しかしその後。
ほぼヒャッハー兄さんにマッシモさんは指示をしておらず。「……えー、では、各自自習を」と言ってほぼほぼ自習であったためカルテイラちゃんに「これ、ここに来る意味、無い。帰る。自宅自習でいい?」と言ってコテン、と首を傾げられヒャッハー兄さんは崩れ落ちシクシクしていたけど。
おかげでマッシモさんが戻るまでの間、養成所はしばらくは休みになった。
なので今日は朝から冒険者ギルドに向かった。まずは冒険者ギルド内で気配遮断をするとギルドマスターの部屋で現在のエタン達の戦況を探る為に。
一つの階層を進むのに普通のCランク冒険者達のパーティで一日から二日、最大で三日だとして、あのエタンやマッシモさん、イチイさん達が行ってももう三日目だ。
更にエタンが出て行ってしまってもう二週間近い。
エタンは大丈夫かな。なんて気になって仕方なかったのだ。
報告書を見つけ目を通すと、どうやらダンジョン内には冒険者達とアンバンシーブル騎士団の先鋭部隊や他団員達、総勢三百を超える人達でダンジョン内の『狂暴化』した魔物達に挑んでいる様だ。
しかも冒険者たちの報告の中に『覚醒者二名』と書かれていてビックリした。
覚醒すると化け物並に進化するとか聞いたことがある。
誰だろう、なんて思っていると、先祖返りのエタン以外にも規格外の力を解放した冒険者がイチイさんだと書かれていて、私は首を傾げた。
これを見るとエタンが既に覚醒した様に見受けられたからだ。
…エタンが覚醒?
それはエタンの怒りで世界が終わったりしないの?大丈夫?
なんて考えてしまった。だってエタンは今ですら規格外なのに。
そして、イチイさんもエタン程では無いが幻の種族と言われる鎌鼬だ。
だったらかなりの力を得たのだろう。
うん、ダンジョンの方は全く問題なさそう。
「………寝る時は帰って来てるんだ」
報告書にはダンジョン内は移動石で移動出来る為極力荷物を少なくして寝る時だけ一旦地上に戻っているとあった。
私はじわりとせり上がった悲しさを紛らわせる様に報告書を漁った。
次に見つけたのは国境線にいる騎士団や傭兵達の状況だ。
冒険者も傭兵の依頼を受けて向かっているらしく状況なんかも書かれていた。
『敵国の軍人達を一度捕縛したが、敵軍の大佐が呪いや獣人の聴覚障害をもたらす音を出して逃げ、一時撤退したが再度侵攻してきている。解呪の得意な者がいれば協力して欲しい』
その文を見て心臓が嫌な音を立てた。
この聴覚障害をもたらす道具に心当たりがあった。
鳥や害獣駆除に使う軍施設の魔道具が壊れていたから魔石の交換ついでに威力を上げられたら『休みと金をやる』なんて言われて回線を一つ増やし、同時に中に入れる魔石も増やした。
すると普通の野鳥だけで無く魔物の鳥まで落下し、弱い種の魔獣達もよろよろと逃げだしたと言っていた。
私としては逃げる為の、大佐の弱みを握る為の有意義な時間を持てて喜んだけど…
あれを使ったのかも知れない。
私は思わず呻きそうになった。
あれは破壊するしかない。破壊するにも魔法攻撃を魔石に当てなきゃならない。行こう。
あの魔道具を壊さなきゃ。
そっとギルドを後にした私は国境警備隊の詰所まで行く為開けた場所を探して走った。
国境警備隊の詰所がある砦付近が最前線だろう。途中にあるあの山を例え超えたとして十日はかかってしまう。だからここは奥の手で行くしかない。
「いでよ!ミニドラゴン!!召喚!!」
…魔法陣が光り出す。
召喚魔法は魔法陣を手で書くのでは無く脳内で魔法陣を作成して魔力を込めて出現させるのだ。
だから、馬鹿みたいに難しい!
ドラゴンが呼びたい!でも巨大なドラゴンなんて何年かかっても魔法陣の陣すら組めないと確信している。
なんで、ミニドラゴンを召喚して空を飛んでもらうのだ!
魔法陣を思い浮かべ魔力を手から細く出すと丸い円が現れキラキラとした緻密な古代文字が描かれていき、陣は眩く発光し金色に輝く。
キラキラした光の中から召喚されたミニドラゴンが……
「………ん?」
私はゴシゴシと目を擦った。前回訓練で成功した時は私と変わらない大きさだった気がするんだけど………
デカくない?
「漸く召喚魔法を使ったな。小娘よ」
光がおさまり、現れたのは金色のドラゴンだった。想像よりも硬質そうだな。
城くらいの高さに見える。
ドラゴン……およ?
「……あれ?あの、貴方様はミニドラゴンでは無く…て……。もしや、本物のドラゴン様だったり…」
「如何にも、我は天界の門番であるエンシェントドラ………」
「ひっ!ひぇぇー!!すいません!ま、間違えましたァァァ!」
おかしい!なんでなの?!
前に召喚して私が漸く運べるくらいの大きさのあの子をイメージしてたのに!?
この世界のドラゴンは地上にいる小さなコウモリみたいな羽付きの翼竜や竜騎などで地を走る小さな竜、地中に住む土竜(モグラ)っぽいヤツが大半で言葉を解す竜種は聖獣の分類になり、ドラゴンと呼ばれている。
神獣は半透明で触れないと言うが聖獣はどうなんだろう。
透けてはいないわね…
聖獣や神獣は基本的に地上の生物では無い。
魔界だ天界だ、と住む次元が違う場所にいるらしい。
その為良くゲームだとテイマーやら召喚士なんて職もあるけどこの世界には無い。彼らを従えるなんて有り得ない話だからだ。
召喚魔法は魔法陣に魔力を流し、その魔力に惹かれたミニ聖獣を魔力を与える代わりにと力をちょっとだけ貸してもらうのだ。
ミニドラゴンには抱っこさせて下さい!って言って抱っこさせてもらった。黒いドラゴンで円な赤い瞳が可愛かった!
そんなミニ聖獣達の召喚だけど成功率は魔法陣の出来次第。
しかもちょっとした願いのみしか叶えられない。
なのであまり召喚魔法を使う人もいないらしい。
もふもふがもふもふを呼び出しても楽しくないとカルテイラちゃんが言っていた。彼女は聖獣のミニフェニックスを呼び出してもふもふを楽しんでいる様に見えたのに。
私には耳も尻尾も無いからもふもふの為に召喚もありだ!
だけど、今はひとまず!
逃げなきゃ!?
じゃり、と後退するとドラゴンが反応した。
「むぅ、待て小娘。我を呼び出した挙句、放置するつもりではなかろうな」
不機嫌極まりない、その低い唸り声に私は首を一生懸命に振った。
く、喰われる!?
「よし、では何か願うが良い」
「…………へ?」
「なんだお主、我を呼び出したのは願い事を叶えてもらうためでは無いのか?願い事は、物理的でかつ、不殺生で、かつ、世界の脅威にならぬことで頼む。願い事を叶えたらそなたの魔力をちと貰う!それで良いな!!」
ちと、それはどのくらいなので?ちょっとだけ?ドラゴンのちょっとは私のたくさんだったりしないよね?
「………あ、あの。でしたら!私を国境警備隊の詰所まで連れて行ってもらえませんか!?」
詰所にはおっちゃんがいる。
「よかろう!」
ドラゴンがかがみ背に乗れと言われて「失礼します」と言って乗り込んだ。
魔法で私を保護しながら飛んでくれるらしくキンキラキンのシールドが現れた。
「よし!行くぞ!!」
途端に膨大な魔力が辺りにタレ流されてビリビリと空気さえ震え出す。
「まっ!待ってください!ドラゴン様!この状態で、ドラゴン様の力がダダ漏れの状態で行かれると敵だけじゃなく味方すら大混乱になるかもしれません!なので!」
「………う、うむ。なので、なんだ?」
「えっと、なので~………そろーりと、気配を消して頂いて行きたいのですが!」
「うむ。よかろう」
そんな訳で、私はすっかり忘れていた。気配遮断しても目の前に現れたドラゴン見たらそりゃー大混乱だ。
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うん、私何しに来たんだろ?
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