まやかのスキルは魔王級 面倒な仕事は誰か他の人にやってもらいたい

けろよん

文字の大きさ
14 / 21

第14話 迫る魔の手

しおりを挟む
 警報が鳴って正也はすぐに昼食を置いて校庭へと飛び出した。校門の向こうからモンスター達がやってくる。いつものスライムやゴブリンに加え、オークがいるのが見えた。
 そこそこ手強いが手に負えないほど強いモンスターはいないようだ。
 校門は開けてある。わざと入りやすい場所を用意する事で敵をスキルマスターのいる位置に誘導する作戦だ。その方が正也にとっては戦いやすい。
 敵は学校に真っすぐ向かってくる。周囲の町には見向きもせずに。

(敵はなぜ学校を狙ってくるのか)

 以前から感じる疑問だがモンスター達が喋ってくれるわけでもない。今は戦いに集中だ。
 正也が攻撃のタイミングを計っていると、隣に魔法使いの帽子とマントを身に付けたセツナが降りてきた。

「お待たせしました、正也さん」
「あんたも戦ってくれるのか。スキルは何が使えるんだ?」
「しいていえば魔法です」
「魔法か」

 また不思議な名前のスキルである。この辺りには属性を使えるマスターが多いが、遠くの地域にはそういった物もあるのだろう。
 正也はこの機会に気になっていた事をこの遠くの町から来たというスキルマスターに訊く事にした。

「なあ? 何でモンスターは学校を狙ってくるんだと思う?」
「おそらくですが、この学校を城だと思っているのかもしれません」
「この学校が城だって!?」

 まさか答えてくれるとは思わなくて。また、その答えが意外で正也は驚いてしまった。
 セツナは近づいてくるモンスターを見ながら自分の考えを話してくれた。

「侵入を阻む強固な塀があって、門があって、庭があって、奥には大きな建物がある。ここの構造は王都の城に似ています。モンスター達は封印される直前まで城を攻めていましたから、おそらくその時の命令がまだ生きているのだと思います」
「そうなのか」

 セツナは正也の知らない事まで知っているようだ。そして、その考えはおそらく正しいのだろう。
 同じスキルマスター同士もっと話し合うべきなのだろうが、今はモンスターを倒すのが先決だ。

「頼りにしてるぜ、セツナ」
「任せてください。今は私もここの生徒ですから」

 先頭のモンスターが校門を越えた。セツナは素早く飛び出して攻撃に打ってでる。

「逃がしたモンスターとこのような形で相対するとは。ここは片付けさせてもらいます」

 杖を回してセツナの魔法が発動する。

「風の力よ、刃となって敵を刻め。ウインドカッター!」

 杖から放たれたのは風の刃。それが途中で分裂してモンスター達に降り注ぐ。

『グガアアッ!?』

 次々に命中して敵の足を止める。さすがに体力の高いオークは仕留めきれないが、スライムやゴブリンはどんどん消滅していく。

「やるな、セツナ。これは俺もうかうかしていられないな」

 正也も得意の炎のスキルを発動する。

「燃えろ! フレイムボム!!」

 火炎の爆弾でオークを吹き飛ばす。体力の高い敵もこれで一掃だ。

「よし、このまま一気にいくぞ」
「はい」

 二人は次々と襲い掛かるモンスターを倒していく。今度の戦いは順調に終わりそうだった。



 私と菜々ちゃんは屋上からその戦いを見ていた。さすがにスキルマスターが二人もいると安定感が違う。モンスター達が次々と倒されていく。
 順調な戦いぶりに日頃は逃げ腰な菜々ちゃんも無邪気に喜んでいた。

「すごいね。これなら全部やっつけちゃうんじゃないかな? そうだ、スマホで録画しておかないと」
「菜々ちゃんはマメだねえ」
「今ならきっとドラゴンも倒せると思うよ。それぐらい勢いがあるもん」
「それはどうだろう」

 軽口を叩きながら私は何か嫌なものを感じていた。この感覚が何なのかよく分からないけど、油断はできない。そんな気がしていた。

「セツナちゃんが私に……何かをするというのだろうか」
『そうじゃ。あいつはお前の敵じゃ』
「!!」

 謎の声が聞こえた瞬間、私は苦しくなって膝を付いた。気づけば私は真っ暗な闇の中にいた。苦しさは続く。より苦しめようとしてくる。私の魔王の印を握り潰そうと力が強められていく。

『セツナから報告を受けて辿ってきたが、これが今の魔王なのか。随分と弱くなったものじゃな。このままお前を捻り潰すのは簡単じゃが、それではわしは満足せぬ』
「誰!?」
『賢者マム・レイハート』
「お前が……!」

 私は立ち上がろうともがくが、体は言う事を聞かなかった。

『無理をするでない。今のお前はわしの小指一つで砕ける弱者に過ぎぬのだから』

 私は振り回されて暗闇の地面に投げ捨てられた。同時に私を苦しめていた手が離れていく。そこでやっと息を吐くことができた。

『今のお前の始末は弟子に一任しておる。わしを楽しませてみよ。それこそわしは望んでおるのじゃ』

 闇が去っていく。気が付くと私は屋上で膝をついていた。菜々ちゃんが心配そうに声を掛けてくる。

「まやかちゃん、大丈夫?」
「うん、ちょっと気分が悪くなっただけ。もう平気だよ。録画は?」
「もう、それどころじゃないよ。まやかちゃんがいきなり苦しそうにするんだもん。本当に保健室に行かないで大丈夫?」
「大丈夫大丈夫、もうトイレにも行かなくて平気だって」

 私は立ち上がって強がってみせる。菜々ちゃんは心配そうだ。ミノタウロスの時に続いて心配させてしまったようだ。もう仮病は言い訳に使わないようにしよう。
 私は校庭を見下ろす。戦いは片付いたようで正也君とセツナちゃんが話し合っていた。
 本当にセツナちゃんが敵で、マムの弟子なのだろうか。彼女は友好的でとてもそんな風には見えなかった。
 私には他人の気持ちなんて分からない。
 それ以上考えるのを止めて屋上を後にすることにした。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【もふもふ手芸部】あみぐるみ作ってみる、だけのはずが勇者ってなんなの!?

釈 余白(しやく)
児童書・童話
 網浜ナオは勉強もスポーツも中の下で無難にこなす平凡な少年だ。今年はいよいよ最高学年になったのだが過去5年間で100点を取ったことも運動会で1等を取ったこともない。もちろん習字や美術で賞をもらったこともなかった。  しかしそんなナオでも一つだけ特技を持っていた。それは編み物、それもあみぐるみを作らせたらおそらく学校で一番、もちろん家庭科の先生よりもうまく作れることだった。友達がいないわけではないが、人に合わせるのが苦手なナオにとっては一人でできる趣味としてもいい気晴らしになっていた。  そんなナオがあみぐるみのメイキング動画を動画サイトへ投稿したり動画配信を始めたりしているうちに奇妙な場所へ迷い込んだ夢を見る。それは現実とは思えないが夢と言うには不思議な感覚で、沢山のぬいぐるみが暮らす『もふもふの国』という場所だった。  そのもふもふの国で、元同級生の丸川亜矢と出会いもふもふの国が滅亡の危機にあると聞かされる。実はその国の王女だと言う亜美の願いにより、もふもふの国を救うべく、ナオは立ち上がった。

『異世界庭付き一戸建て』を相続した仲良し兄妹は今までの不幸にサヨナラしてスローライフを満喫できる、はず?

釈 余白(しやく)
児童書・童話
 毒親の父が不慮の事故で死亡したことで最後の肉親を失い、残された高校生の小村雷人(こむら らいと)と小学生の真琴(まこと)の兄妹が聞かされたのは、父が家を担保に金を借りていたという絶望の事実だった。慣れ親しんだ自宅から早々の退去が必要となった二人は家の中で金目の物を探す。  その結果見つかったのは、僅かな現金に空の預金通帳といくつかの宝飾品、そして家の権利書と見知らぬ文字で書かれた書類くらいだった。謎の書類には祖父のサインが記されていたが内容は読めず、頼みの綱は挟まれていた弁護士の名刺だけだ。  最後の希望とも言える名刺の電話番号へ連絡した二人は、やってきた弁護士から契約書の内容を聞かされ唖然とする。それは祖父が遺産として残した『異世界トラス』にある土地と建物を孫へ渡すというものだった。もちろん現地へ行かなければ遺産は受け取れないが。兄妹には他に頼れるものがなく、思い切って異世界へと赴き新生活をスタートさせるのだった。 連載時、HOT 1位ありがとうございました! その他、多数投稿しています。 こちらもよろしくお願いします! https://www.alphapolis.co.jp/author/detail/398438394

悪魔さまの言うとおり~わたし、執事になります⁉︎~

橘花やよい
児童書・童話
女子中学生・リリイが、入学することになったのは、お嬢さま学校。でもそこは「悪魔」の学校で、「執事として入学してちょうだい」……って、どういうことなの⁉待ち構えるのは、きれいでいじわるな悪魔たち! 友情と魔法と、胸キュンもありの学園ファンタジー。 第2回きずな児童書大賞参加作です。

勇者と聖女の息子 アレン ランダムスキルを手に入れて愉快に冒険します!

月神世一
児童書・童話
伝説のS級冒険者である父と、聖女と謳われた母。 英雄の血を引く少年アレンは、誰もがその輝かしい未来を期待するサラブレッドだった。 しかし、13歳の彼が神から授かったユニークスキルは――【ランダムボックス】。 期待に胸を膨らませ、初めてスキルを発動した彼の手の中に現れたのは…プラスチック製のアヒルの玩具? くしゃくしゃの新聞紙? そして、切れたボタン電池…!? 「なんだこのスキルは…!?」 周りからは落胆と失笑、自身は絶望の淵に。 一見、ただのガラクタしか出さないハズレスキル。だが、そのガラクタに刻まれた「MADE IN CHINA」の文字に、英雄である父だけが気づき、一人冷や汗を流していた…。 最弱スキルと最強の血筋を持つ少年の、運命が揺らぐ波乱の冒険が、今、始まる!

#アタシってば魔王の娘なんだけどぶっちゃけ勇者と仲良くなりたいから城を抜け出して仲間になってみようと思う

釈 余白(しやく)
児童書・童話
 ハアーイハロハロー。アタシの名前はヴーゲンクリャナ・オオカマって言ぅの。てゆうか長すぎでみんなからはヴーケって呼ばれてる『普通』の女の子だょ。  最近の悩みはパパが自分の跡継ぎにするって言って修行とか勉強とかを押し付けて厳しいことカナ。てゆうかマジウザすぎてぶっちゃけやってらンない。  てゆうかそんな毎日に飽きてるンだけどタイミングよく勇者のハルトウって子に会ったのょ。思わずアタシってば囚われの身なのってウソついたら信じちゃったわけ。とりまそんなン秒でついてくよね。  てゆうか勇者一行の旅ってばビックリばっか。外の世界ってスッゴク華やかでなんでもあるしアタシってば大興奮のウキウキ気分で舞い上がっちゃった。ぶっちゃけハルトウもかわいくて優しぃし初めての旅が人生の終着点へ向かってるカモ? てゆうかアタシってばなに言っちゃってンだろね。  デモ絶対に知られちゃいけないヒミツがあるの。てゆうかアタシのパパって魔王ってヤツだし人間とは戦争バッカしてるし? てゆうか当然アタシも魔人だからバレたら秒でヤラレちゃうかもしンないみたいな?  てゆうか騙してンのは悪いと思ってるょ? でも簡単にバラすわけにもいかなくて新たな悩みが増えちゃった。これってぶっちゃけ葛藤? てゆうかどしたらいンだろね☆ミ

黒地蔵

紫音みけ🐾書籍発売中
児童書・童話
友人と肝試しにやってきた中学一年生の少女・ましろは、誤って転倒した際に頭を打ち、人知れず幽体離脱してしまう。元に戻る方法もわからず孤独に怯える彼女のもとへ、たったひとり救いの手を差し伸べたのは、自らを『黒地蔵』と名乗る不思議な少年だった。黒地蔵というのは地元で有名な『呪いの地蔵』なのだが、果たしてこの少年を信じても良いのだろうか……。目には見えない真実をめぐる現代ファンタジー。 ※表紙イラスト=ミカスケ様

【3章】GREATEST BOONS ~幼なじみのほのぼのバディがクリエイトスキルで異世界に偉大なる恩恵をもたらします!~

丹斗大巴
児童書・童話
 幼なじみの2人がグレイテストブーンズ(偉大なる恩恵)を生み出しつつ、異世界の7つの秘密を解き明かしながらほのぼの旅をする物語。  異世界に飛ばされて、小学生の年齢まで退行してしまった幼なじみの銀河と美怜。とつじょ不思議な力に目覚め、Greatest Boons(グレイテストブーンズ:偉大なる恩恵)をもたらす新しい生き物たちBoons(ブーンズ)とアイテムを生みだした! 彼らのおかげでサバイバルもトラブルもなんのその! クリエイト系の2人が旅するほのぼの異世界珍道中。  便利な「しおり」機能を使って読み進めることをお勧めします。さらに「お気に入り登録」して頂くと、最新更新のお知らせが届いて便利です! レーティング指定の描写はありませんが、万が一気になる方は、目次※マークをさけてご覧ください。

クールな幼なじみの許嫁になったら、甘い溺愛がはじまりました

藤永ゆいか
児童書・童話
中学2年生になったある日、澄野星奈に許嫁がいることが判明する。 相手は、頭が良くて運動神経抜群のイケメン御曹司で、訳あって現在絶交中の幼なじみ・一之瀬陽向。 さらに、週末限定で星奈は陽向とふたり暮らしをすることになって!? 「俺と許嫁だってこと、絶対誰にも言うなよ」 星奈には、いつも冷たくてそっけない陽向だったが……。 「星奈ちゃんって、ほんと可愛いよね」 「僕、せーちゃんの彼氏に立候補しても良い?」 ある時から星奈は、バスケ部エースの水上虹輝や 帰国子女の秋川想良に甘く迫られるようになり、徐々に陽向にも変化が……? 「星奈は可愛いんだから、もっと自覚しろよ」 「お前のこと、誰にも渡したくない」 クールな幼なじみとの、逆ハーラブストーリー。

処理中です...