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いらない存在
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翌日、予想していたことではあるが雨水がうるさかった。それはもう結構やかましいくらいに。いい歳して何やってるんだか。
はぁと大きく息をつき自分の椅子に座りパソコンを起動する。
月曜日になっても何も変わらない。いつも通り、パソコンを打って帰るだけだと思っていた。しかし今日はそれで終わりというわけでもなさそうだ。
今日はいわゆる接待飲み会のようなものがあったようで、雨水のくだらない誘いのように簡単にキャンセルするわけにもいかないのだ。
そもそもアルコールを飲むときは基本一人でゆっくりと楽しむのが好きだから飲み会自体が好きな訳ではないのだが。大人数で集まって呑むのは落ち着かない。後居酒屋のテンションがどうしても苦手だ。
などと考えながらコーヒーをすする、一息ついてまた机に向かう、今日は指があまり動かない。仕事が身に入っていない、集中して作業しないとミスが出るからそれは避けなくてはならない。ミスをして、それの修正をして、確認して、通常よりも時間がかかってしまうからだ。手間は省けるところで省いておかないと後々面倒になる。ミントのタブレットを口に入れ、再びパソコンと向き合う。
昼休憩になった、先のことが思いやられて気が重い、本当だったら早く帰って紫苑と晩御飯にしたいのだが今日は難しいようだ。紫苑の夕食を作れないのだ。作らせないといったほうが正しいか。
普段昼食は冷蔵庫に入れてある、残業で帰りが遅い時は作り置きを多くしてある、しかし今日は予定を確認せず来てしまったため紫苑のご飯を用意できていないのだ。これはかなりまずい事態である。紫苑に料理なんてさせたが最後、マイホームは焦土と化す。とまでは行かないだろうが何かしら起きる、何も起きないなんてありえない。ただでさえ電子レンジを使わせるだけでもまだヒヤヒヤものだ。今日はどうにか帰りたいのだが、どうしたものか、紫苑の夕食をどうにかしたい。しかし自分が独り身なのはこの部署では認知されているので普通に言ったところで無理だろう。
匿う生活というのはどこかでボロが出る、今ピンチである。
最も今日の予定をしっかり確認せずに家を出でしまった自分の失態だ。しっかりスケジュールを見ていればこうはならなかった。
「昴、お前またすごい悩んだ顔してるぞ、大丈夫、じゃないな。具合でも悪いか。」
まさか雨水にまで心配されるとは、僕は顔に出やすいタイプであることが確定してしまったようなものではないか。 しかしこいつに心配されるのは癪だが間違いでは無いので素直に答える。
「まあ僕にだって悩み事の一つや二つくらいあるさ。」
「そんなこと言ってどうせ今日の飲み会だろ、こういうことはお前好きじゃないからな。一応これでも昴とは長いこと一緒に仕事してきてんだ。それくらいわかるよ。」
「わかってるんだったら昨日は余計な連絡入れるなよ。面倒ごとに巻き込まれたくはないんだから。」
「まあ本気でお前を誘ってるわけじゃないしさ。適当なこと言って断るだろうと思ってたから当てにはしてなかったよ。他のあてになるやつ誘ってたからな。」
なら最初から誘わなければいいのに。本当にこいつはよく分からない。良い奴か悪い奴かと言われたら良い奴と答えるが、基本脳天気なのにこういう時だけやたらに聡い。変わったやつなのだ。
「最近、昴に家族がいる人みたいな、なんというか楽しそうな感じか伝わってくる。うまく言えないけどさ。」
「まあ最近楽しいことは認めるよ。」
こうして今日の昼休みは終わった。あまり疲れが取れた感じはしなかった。むしろ少し疲れてしまった。
午後も変わらないデスクワーク、パソコンを打つだけだ。その前に少し事務連絡が入った。そろそろ春になる、新入社員が来るのだ、まあいわゆる後輩の受け入れの準備を進めておけとかそういった感じのものだった。
こういうのは雨水が積極的に取り組んでいる、先輩風吹かせたいだけらしいが、おかげで僕はそれをしなくて済む。後輩の面倒なんて見てられない、お人好しなのと面倒見がいいというのはイコールではつながらない。ただ困っていることがあれば進んで手伝うが。
もっともパソコンを打つだけの仕事に先輩後輩の違いがあったものか、仕事に慣れればなんてことない、真面目にやるのも手を抜くのも簡単だ。この仕事から成功して出世するということもないが。
この会社に勤めてそこそこの時間がたつが出世の見込みは特にない、そもそも興味がないから当然といえば当然か。
出世に興味がないのは事実、理由は簡単。出世しなくても生きていけるからだ。それに出世してお偉いさんになった場合、仕事に責任を負わなくてはならない、それなら余計な責任を負わされる必要もない平社員のままでいいと思っている。だがデスクワークが好きな訳ではない。
本格的に目が疲れてきた。昨日買っておけばよかっただろうか。などと考え、時間が過ぎていくのだった。
きょうは昴さんの帰りが遅い、本当だったらもう帰ってくる時間なのに、お腹がすいた、お昼ご飯は用意してくれていたけど今日は夕飯の分はない。
うす暗いリビングのソファで仰向けになって天井を仰いだ。外は学校か、塾の帰りなのか、私と同じくらいの年の子たちが集まって話している声が聞こえる、テレビはこの時間はニュースしかやっていない、朝も昼も見ているからよほどのことがない限り内容の変わらないニュースはつまらない。
大きなため息が出る、少し前までは何のない時間もなんてことなくて、ぼーっと過ごして、たまに変な人に声をかけられて、いつの間にか朝になって、そんな毎日を送っていたのに今はもうそれはできない、時間が惜しくなってきてしまう。
昴さんは夜帰りが遅くなる時は必ず用意してくれる。とっても美味しいご飯を。
今日は早く帰るといっていたから急用ができて帰りが遅くなっているのかもしれない。なら、私はゆっくりと待つしかない。私一人でどうにかできるのならしたいけど昴さんの家で不用意に何かやって問題をおこしちゃったら取り返しがつかなくなってしまう。それは嫌だ、昴さんに迷惑をかけたくない。
でも今こうして待っていて、昴さんが戻ってくるまで待っていたとして昴さんに何か作ってもらうのはそれも同じく昴さんに迷惑をかけることになる。この状態は昴さんにとってどう転んだって迷惑になってしまう。
私のお父さんがもっと普通な神だったらこうはならなかったかもしれない。生まれてもってして不幸になることが定められている娘を邪険に扱い挙句の果てには捨てる、そんな父親だった、母親は、いたのかさえ知らない。私に物心ついた時には母はいなかった。お父さんのことも、もう昔のことで顔も覚えてないけど。
私のお父さんが昴さんみたいな人だったら、こんなつらい目には合わなかったかもしれない、いや、きっと変わらない。私は、貧乏神。
私は昴さんにとって邪魔な存在なんだ。
「ああ、疲れた。」
すっかり深夜になってしまった。疲れたがそれでは済まないほどに、言葉にできないほどにつかれてしまった。相手を敬うのと紫苑が心配なのとで胸中穏やかでなかった。
「お疲れ、昴こういうの苦手だもんな。」
「ああ大っ嫌いだよこういう飲み会は、もう二度としたくないよ本当に。」
「ほら、早く帰れよ、待たせてるんだろ、俺にかまわなくたっていいからよ。」
その言葉を聞いて思わず雨水のほうを見てしまった。僕は一度たりとも紫苑のことは外で話していない。
「気づいてないとでも思ったか、ばれてるぜ、俺にはさ。取っても人の好いお前のことだからどうせ身寄りのない子を住まわせてるとかそんなんだろ。予想でしかないけどよ。」
僕は素直に答えることができなかった。それ以前に雨水にそんなことを言われると思っていなかった。
「まあ、早く帰らせてもらうことにするよ。」
それだけ言って雨水と別れ、帰路をたどった。相変わらず、よくわからないやつだ。少しだけ落ち着きを取り戻すことができた。
少し早歩きで駅まで向かい、電車に乗る。この駅は一度乗り遅れると次が来るのが遅いから早く乗れてよかった。スマホを鞄から出す。二十二時。普段残業がある人同じくらいの時間だが流石に何位若田部津子の時間まで待つのは大変である。家にあったものの残りでうまく何かを作れないか頭でシミュレーションを繰り返す。
大体の構造が決まったところで電車が最寄りの駅に着いた。
足早に家に帰る。今日は曇っていて星も見えないくらい曇天だ。わずかな街灯を頼りに自宅まで向かう。
この時は失念していた。紫苑は必ず家にいると、何があっても僕の家にいてくれると、そう思っていた。とある最悪の選択肢を頭の中から消し去っていたのだ。
僕の家に、紫苑の姿はなかった。
はぁと大きく息をつき自分の椅子に座りパソコンを起動する。
月曜日になっても何も変わらない。いつも通り、パソコンを打って帰るだけだと思っていた。しかし今日はそれで終わりというわけでもなさそうだ。
今日はいわゆる接待飲み会のようなものがあったようで、雨水のくだらない誘いのように簡単にキャンセルするわけにもいかないのだ。
そもそもアルコールを飲むときは基本一人でゆっくりと楽しむのが好きだから飲み会自体が好きな訳ではないのだが。大人数で集まって呑むのは落ち着かない。後居酒屋のテンションがどうしても苦手だ。
などと考えながらコーヒーをすする、一息ついてまた机に向かう、今日は指があまり動かない。仕事が身に入っていない、集中して作業しないとミスが出るからそれは避けなくてはならない。ミスをして、それの修正をして、確認して、通常よりも時間がかかってしまうからだ。手間は省けるところで省いておかないと後々面倒になる。ミントのタブレットを口に入れ、再びパソコンと向き合う。
昼休憩になった、先のことが思いやられて気が重い、本当だったら早く帰って紫苑と晩御飯にしたいのだが今日は難しいようだ。紫苑の夕食を作れないのだ。作らせないといったほうが正しいか。
普段昼食は冷蔵庫に入れてある、残業で帰りが遅い時は作り置きを多くしてある、しかし今日は予定を確認せず来てしまったため紫苑のご飯を用意できていないのだ。これはかなりまずい事態である。紫苑に料理なんてさせたが最後、マイホームは焦土と化す。とまでは行かないだろうが何かしら起きる、何も起きないなんてありえない。ただでさえ電子レンジを使わせるだけでもまだヒヤヒヤものだ。今日はどうにか帰りたいのだが、どうしたものか、紫苑の夕食をどうにかしたい。しかし自分が独り身なのはこの部署では認知されているので普通に言ったところで無理だろう。
匿う生活というのはどこかでボロが出る、今ピンチである。
最も今日の予定をしっかり確認せずに家を出でしまった自分の失態だ。しっかりスケジュールを見ていればこうはならなかった。
「昴、お前またすごい悩んだ顔してるぞ、大丈夫、じゃないな。具合でも悪いか。」
まさか雨水にまで心配されるとは、僕は顔に出やすいタイプであることが確定してしまったようなものではないか。 しかしこいつに心配されるのは癪だが間違いでは無いので素直に答える。
「まあ僕にだって悩み事の一つや二つくらいあるさ。」
「そんなこと言ってどうせ今日の飲み会だろ、こういうことはお前好きじゃないからな。一応これでも昴とは長いこと一緒に仕事してきてんだ。それくらいわかるよ。」
「わかってるんだったら昨日は余計な連絡入れるなよ。面倒ごとに巻き込まれたくはないんだから。」
「まあ本気でお前を誘ってるわけじゃないしさ。適当なこと言って断るだろうと思ってたから当てにはしてなかったよ。他のあてになるやつ誘ってたからな。」
なら最初から誘わなければいいのに。本当にこいつはよく分からない。良い奴か悪い奴かと言われたら良い奴と答えるが、基本脳天気なのにこういう時だけやたらに聡い。変わったやつなのだ。
「最近、昴に家族がいる人みたいな、なんというか楽しそうな感じか伝わってくる。うまく言えないけどさ。」
「まあ最近楽しいことは認めるよ。」
こうして今日の昼休みは終わった。あまり疲れが取れた感じはしなかった。むしろ少し疲れてしまった。
午後も変わらないデスクワーク、パソコンを打つだけだ。その前に少し事務連絡が入った。そろそろ春になる、新入社員が来るのだ、まあいわゆる後輩の受け入れの準備を進めておけとかそういった感じのものだった。
こういうのは雨水が積極的に取り組んでいる、先輩風吹かせたいだけらしいが、おかげで僕はそれをしなくて済む。後輩の面倒なんて見てられない、お人好しなのと面倒見がいいというのはイコールではつながらない。ただ困っていることがあれば進んで手伝うが。
もっともパソコンを打つだけの仕事に先輩後輩の違いがあったものか、仕事に慣れればなんてことない、真面目にやるのも手を抜くのも簡単だ。この仕事から成功して出世するということもないが。
この会社に勤めてそこそこの時間がたつが出世の見込みは特にない、そもそも興味がないから当然といえば当然か。
出世に興味がないのは事実、理由は簡単。出世しなくても生きていけるからだ。それに出世してお偉いさんになった場合、仕事に責任を負わなくてはならない、それなら余計な責任を負わされる必要もない平社員のままでいいと思っている。だがデスクワークが好きな訳ではない。
本格的に目が疲れてきた。昨日買っておけばよかっただろうか。などと考え、時間が過ぎていくのだった。
きょうは昴さんの帰りが遅い、本当だったらもう帰ってくる時間なのに、お腹がすいた、お昼ご飯は用意してくれていたけど今日は夕飯の分はない。
うす暗いリビングのソファで仰向けになって天井を仰いだ。外は学校か、塾の帰りなのか、私と同じくらいの年の子たちが集まって話している声が聞こえる、テレビはこの時間はニュースしかやっていない、朝も昼も見ているからよほどのことがない限り内容の変わらないニュースはつまらない。
大きなため息が出る、少し前までは何のない時間もなんてことなくて、ぼーっと過ごして、たまに変な人に声をかけられて、いつの間にか朝になって、そんな毎日を送っていたのに今はもうそれはできない、時間が惜しくなってきてしまう。
昴さんは夜帰りが遅くなる時は必ず用意してくれる。とっても美味しいご飯を。
今日は早く帰るといっていたから急用ができて帰りが遅くなっているのかもしれない。なら、私はゆっくりと待つしかない。私一人でどうにかできるのならしたいけど昴さんの家で不用意に何かやって問題をおこしちゃったら取り返しがつかなくなってしまう。それは嫌だ、昴さんに迷惑をかけたくない。
でも今こうして待っていて、昴さんが戻ってくるまで待っていたとして昴さんに何か作ってもらうのはそれも同じく昴さんに迷惑をかけることになる。この状態は昴さんにとってどう転んだって迷惑になってしまう。
私のお父さんがもっと普通な神だったらこうはならなかったかもしれない。生まれてもってして不幸になることが定められている娘を邪険に扱い挙句の果てには捨てる、そんな父親だった、母親は、いたのかさえ知らない。私に物心ついた時には母はいなかった。お父さんのことも、もう昔のことで顔も覚えてないけど。
私のお父さんが昴さんみたいな人だったら、こんなつらい目には合わなかったかもしれない、いや、きっと変わらない。私は、貧乏神。
私は昴さんにとって邪魔な存在なんだ。
「ああ、疲れた。」
すっかり深夜になってしまった。疲れたがそれでは済まないほどに、言葉にできないほどにつかれてしまった。相手を敬うのと紫苑が心配なのとで胸中穏やかでなかった。
「お疲れ、昴こういうの苦手だもんな。」
「ああ大っ嫌いだよこういう飲み会は、もう二度としたくないよ本当に。」
「ほら、早く帰れよ、待たせてるんだろ、俺にかまわなくたっていいからよ。」
その言葉を聞いて思わず雨水のほうを見てしまった。僕は一度たりとも紫苑のことは外で話していない。
「気づいてないとでも思ったか、ばれてるぜ、俺にはさ。取っても人の好いお前のことだからどうせ身寄りのない子を住まわせてるとかそんなんだろ。予想でしかないけどよ。」
僕は素直に答えることができなかった。それ以前に雨水にそんなことを言われると思っていなかった。
「まあ、早く帰らせてもらうことにするよ。」
それだけ言って雨水と別れ、帰路をたどった。相変わらず、よくわからないやつだ。少しだけ落ち着きを取り戻すことができた。
少し早歩きで駅まで向かい、電車に乗る。この駅は一度乗り遅れると次が来るのが遅いから早く乗れてよかった。スマホを鞄から出す。二十二時。普段残業がある人同じくらいの時間だが流石に何位若田部津子の時間まで待つのは大変である。家にあったものの残りでうまく何かを作れないか頭でシミュレーションを繰り返す。
大体の構造が決まったところで電車が最寄りの駅に着いた。
足早に家に帰る。今日は曇っていて星も見えないくらい曇天だ。わずかな街灯を頼りに自宅まで向かう。
この時は失念していた。紫苑は必ず家にいると、何があっても僕の家にいてくれると、そう思っていた。とある最悪の選択肢を頭の中から消し去っていたのだ。
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