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食いしん坊聖女。荒地を開拓する②~海の町を復興しよう~
一体どこに魔物はいるのだろうか…。
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「ついに来たわね…この時が。」
海の底、光の届かぬ深淵に沈む、珊瑚に覆われた巨大な遺跡。
かつては、魔物と人が肩を並べて暮らしていた場所。
毎日笑い声で溢れ、いたるところから音楽が聞こえる。
——あの頃は、確かに幸せだった。
しかし…ルシフェールが攻めてきたことでその幸せは突然終わりを迎えることになった…。
セラフィエル帝国よりも少し離れた小島。
セラフィエル帝国に属してはいなかったが、近くにあった小島というだけで巻き込まれたくさんの命が奪われた。
あの時の、絶望・恐怖・怒り・悲しみ・寂しさ…
そういった恐怖が今もまだなおこの遺跡には多く残っている。
「やっとこの地を解放してくれるかしら…。」
海の奥深くで歌い続けるサイレーン…その目は赤く光を放ち、寝ていた魔物たちを呼び起こした。
***
「んー…どこに行けば魔物の大群に会えるのかしら…」
歩き始めて数時間…
アンネリーゼは歩くのに飽きて近くにあった木の棒片手に草を掻き分け始めた。
「そんな所探しても見つからないぞ?それよりシルトクレーテはなんか言ってなかったのか?」
…
……
………
アンネリーゼは、シルトクレーテが何を言っていたかを思い返してみる。
「そういえば……魔物の名前はサイレーン。人魚姫のような恰好をしているって言ってたわ」
「人魚姫?」
ケルネリウスは、人魚姫を想像することができなかった。
海のない世界で育ったケルネリウスにとって、この世界に人魚姫を題材とした物語は存在しないのだから、仕方がない。
アンネリーゼは、持っていた棒で地面に人魚姫の絵を描き始める。
「そうそう! こんな感じよ!」
…
……
………
アンネリーゼの絵を見たケルネリウスは、思わずアンネリーゼを二度見した。
「え!? これが本当に人魚姫なのか!? どう見たって魚に食われた女性にしか見えないんだが」
そこに描かれていたのは、魚の口から女性の上半身が突き出ているという——
人魚姫とは程遠い絵だった。
「私は画家じゃないんだもの。絵のセンスは求めないで頂戴。まぁ、“こんなもの”ってくらいで思っていてくれればいいわよ」
適当に流すアンネリーゼ。
もしかしたら、彼女の記憶にある人魚姫はこの形なのかもしれない。
(絶対嘘だろ……“姫”って付くくらいだ。もっと美しいものを想像してたんだが……本当にこれで合ってるのか?)
アンネリーゼの絵を見ても信じきれないケルネリウスだったが、絵を見ていてあることに気づく。
「……おい、これ。足が魚ってことは……陸に上がれないんじゃないか? それとも、実は魚って陸を歩けるのか?」
シルトクレーテの物語に出てきた魚は、水の中を泳いでいるものしか見たことがない。
物語の中でしか見たことのない"魚"は泳げなかったがもしかしたら陸地も泳げるのか、そこの判断はケルネリウスにはできなかった。
…
……
………
「……そうよ! そうじゃない……! なんでそんな初歩的なことに気づけなかったのかしら!!」
アンネリーゼはケルネリウスの言葉を聞いて、何かを思い出したようにバッと彼の方を振り返った。
「人魚姫は歩けないわ! だからこんな陸地を探し回っていても、見つかるわけなかったのよ!!」
この数時間、歩き続けていたのは陸地のみ。海の方はまったく見ていなかった。
とはいえ、海面にはシルトクレーテがいる。
もし何かしら魔物が現れれば、聖女たちの声が聞こえてもおかしくないはずなのだが——
そういった声は一切聞こえない。
ということは、他に人魚姫が住めそうな場所があるのだろうか。
「人魚姫がいそうな場所……岩肌とか、洞窟とか、海底とかかしら…あ、ケルネリウス、地図を出して頂戴!」
この周辺に島などは見えなかったが、もし昔、島があって沈んだのだとすれば——
ケルネリウスが広げた地図を見ると、そこには小さいながらも、いくつかの島が点々と描かれていた。
「あった……もしかしてこの島、何かの原因で沈んだのかもしれないわね。そして、ここに住んでいた人がいたのだとすれば……?」
ケルネリウスも気づいたのか、ばっとアンネリーゼの方を向く。
「遺跡か……」
「そういうこと! 海底遺跡が沈んでいるかもしれないわ。そして、もしかしたらそこにつながる何かもあるのかもしれない……。とりあえず、洞窟や岩の間などを探してみましょう!」
持っていた枝をくるりと回すと、まるで子供が探検を楽しんでいるかのような笑顔で、あたりの茂みを探し始めた。
それからしばらくすると——
アンネリーゼは足元の地面がやけに湿っていることに気づいた。
靴の裏にぬめりがまとわりつくような感覚。まるで、先ほどまでここに水が流れていたようだ。
「……ねぇ、ケルネリウス。ここだけ、なんか湿っぽくない?」
しゃがみ込んだアンネリーゼが指先で土をすくうと、そこには苔と一緒に小さな貝殻が混じっている。
試しに匂いを嗅いでみると、土には潮の匂いが混じっていた。
「……この近く、何かあるかもな。」
先ほどから何度かこの辺りを見ていたケルネリウスだったが、この道は以前にはなかったことを記憶していた。
シルトクレーテの時と同じように時間の経過によって道が開いたのだろうか。
ケルネリウスが周囲を見渡すと、岩肌の一部が不自然に崩れているのが見える。
「おい、あそこ……!!」
二人で近づいていくと、その隙間から微かに冷たい風が吹き抜けてくる。
そして、そこからかすかに——誰かの歌声が聞こえてきた。
「リース……聞こえた?」
「あぁ……聞こえた。歌声か……」
二人は顔を見合わせるとにぃーっと笑った。
「これは、行くしかないわね!」
「そうだな!行くしかない!!」
先ほどまでの「飽きた」「つまらない…」という表情はなくなり、「ワクワク」という好奇心で支配されているのが分かる。
どうやら、この二人に「警戒心」という言葉は存在しないようだ。
アンネリーゼは棒をくるりと回し、ケルネリウスは一応、何かあったときのために腰の剣に手を添える。
まるで遠足にでも向かうかのような軽い足取りで、二人は裂け目へと進んでいった。
海の底、光の届かぬ深淵に沈む、珊瑚に覆われた巨大な遺跡。
かつては、魔物と人が肩を並べて暮らしていた場所。
毎日笑い声で溢れ、いたるところから音楽が聞こえる。
——あの頃は、確かに幸せだった。
しかし…ルシフェールが攻めてきたことでその幸せは突然終わりを迎えることになった…。
セラフィエル帝国よりも少し離れた小島。
セラフィエル帝国に属してはいなかったが、近くにあった小島というだけで巻き込まれたくさんの命が奪われた。
あの時の、絶望・恐怖・怒り・悲しみ・寂しさ…
そういった恐怖が今もまだなおこの遺跡には多く残っている。
「やっとこの地を解放してくれるかしら…。」
海の奥深くで歌い続けるサイレーン…その目は赤く光を放ち、寝ていた魔物たちを呼び起こした。
***
「んー…どこに行けば魔物の大群に会えるのかしら…」
歩き始めて数時間…
アンネリーゼは歩くのに飽きて近くにあった木の棒片手に草を掻き分け始めた。
「そんな所探しても見つからないぞ?それよりシルトクレーテはなんか言ってなかったのか?」
…
……
………
アンネリーゼは、シルトクレーテが何を言っていたかを思い返してみる。
「そういえば……魔物の名前はサイレーン。人魚姫のような恰好をしているって言ってたわ」
「人魚姫?」
ケルネリウスは、人魚姫を想像することができなかった。
海のない世界で育ったケルネリウスにとって、この世界に人魚姫を題材とした物語は存在しないのだから、仕方がない。
アンネリーゼは、持っていた棒で地面に人魚姫の絵を描き始める。
「そうそう! こんな感じよ!」
…
……
………
アンネリーゼの絵を見たケルネリウスは、思わずアンネリーゼを二度見した。
「え!? これが本当に人魚姫なのか!? どう見たって魚に食われた女性にしか見えないんだが」
そこに描かれていたのは、魚の口から女性の上半身が突き出ているという——
人魚姫とは程遠い絵だった。
「私は画家じゃないんだもの。絵のセンスは求めないで頂戴。まぁ、“こんなもの”ってくらいで思っていてくれればいいわよ」
適当に流すアンネリーゼ。
もしかしたら、彼女の記憶にある人魚姫はこの形なのかもしれない。
(絶対嘘だろ……“姫”って付くくらいだ。もっと美しいものを想像してたんだが……本当にこれで合ってるのか?)
アンネリーゼの絵を見ても信じきれないケルネリウスだったが、絵を見ていてあることに気づく。
「……おい、これ。足が魚ってことは……陸に上がれないんじゃないか? それとも、実は魚って陸を歩けるのか?」
シルトクレーテの物語に出てきた魚は、水の中を泳いでいるものしか見たことがない。
物語の中でしか見たことのない"魚"は泳げなかったがもしかしたら陸地も泳げるのか、そこの判断はケルネリウスにはできなかった。
…
……
………
「……そうよ! そうじゃない……! なんでそんな初歩的なことに気づけなかったのかしら!!」
アンネリーゼはケルネリウスの言葉を聞いて、何かを思い出したようにバッと彼の方を振り返った。
「人魚姫は歩けないわ! だからこんな陸地を探し回っていても、見つかるわけなかったのよ!!」
この数時間、歩き続けていたのは陸地のみ。海の方はまったく見ていなかった。
とはいえ、海面にはシルトクレーテがいる。
もし何かしら魔物が現れれば、聖女たちの声が聞こえてもおかしくないはずなのだが——
そういった声は一切聞こえない。
ということは、他に人魚姫が住めそうな場所があるのだろうか。
「人魚姫がいそうな場所……岩肌とか、洞窟とか、海底とかかしら…あ、ケルネリウス、地図を出して頂戴!」
この周辺に島などは見えなかったが、もし昔、島があって沈んだのだとすれば——
ケルネリウスが広げた地図を見ると、そこには小さいながらも、いくつかの島が点々と描かれていた。
「あった……もしかしてこの島、何かの原因で沈んだのかもしれないわね。そして、ここに住んでいた人がいたのだとすれば……?」
ケルネリウスも気づいたのか、ばっとアンネリーゼの方を向く。
「遺跡か……」
「そういうこと! 海底遺跡が沈んでいるかもしれないわ。そして、もしかしたらそこにつながる何かもあるのかもしれない……。とりあえず、洞窟や岩の間などを探してみましょう!」
持っていた枝をくるりと回すと、まるで子供が探検を楽しんでいるかのような笑顔で、あたりの茂みを探し始めた。
それからしばらくすると——
アンネリーゼは足元の地面がやけに湿っていることに気づいた。
靴の裏にぬめりがまとわりつくような感覚。まるで、先ほどまでここに水が流れていたようだ。
「……ねぇ、ケルネリウス。ここだけ、なんか湿っぽくない?」
しゃがみ込んだアンネリーゼが指先で土をすくうと、そこには苔と一緒に小さな貝殻が混じっている。
試しに匂いを嗅いでみると、土には潮の匂いが混じっていた。
「……この近く、何かあるかもな。」
先ほどから何度かこの辺りを見ていたケルネリウスだったが、この道は以前にはなかったことを記憶していた。
シルトクレーテの時と同じように時間の経過によって道が開いたのだろうか。
ケルネリウスが周囲を見渡すと、岩肌の一部が不自然に崩れているのが見える。
「おい、あそこ……!!」
二人で近づいていくと、その隙間から微かに冷たい風が吹き抜けてくる。
そして、そこからかすかに——誰かの歌声が聞こえてきた。
「リース……聞こえた?」
「あぁ……聞こえた。歌声か……」
二人は顔を見合わせるとにぃーっと笑った。
「これは、行くしかないわね!」
「そうだな!行くしかない!!」
先ほどまでの「飽きた」「つまらない…」という表情はなくなり、「ワクワク」という好奇心で支配されているのが分かる。
どうやら、この二人に「警戒心」という言葉は存在しないようだ。
アンネリーゼは棒をくるりと回し、ケルネリウスは一応、何かあったときのために腰の剣に手を添える。
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