氷の貴公子は隣国の仮面令嬢に恋をする。

ゆずこしょう

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告白。

信用。 リディアーヌ視点。

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2人がこの家に来てから、以前よりもにぎやかになったような気がする。
まさか、起きて早々に告白されるとは思ってもみなかったけど…正直、嘘偽りのないあの目にはとても引き付けられた。

ルノアール国。
この辺りで一番大きな国で、国王陛下も優れた政治力を持っていると聞いたことがある。
夜会でお会いした時少しお話をしてみたいと思っていた。そしてできればアルデール国がセリエール国から抜けるための手助けをしてほしいとも…

まぁ、話す前にセリエール国の王太子が色々やらかしてくれたおかげで何とかなったわけだけど…
私的にはあれで全てが終わったと思っていない。

きっと何かしら仕掛けてくるだろう…クズ国王だからかわからないが、嫌な方向には頭が回る人だ…。


「今頃2人のことを探している人もいるんじゃないかしら…」

サミュエル・ルノアール王太子殿下。
いつも何を考えているかわかりにくいお方ではあるけれど、悪い気はしない。
常に周りをみて、自分たちがどう動くのが最適なのかを考えているようにも感じる。笑顔で常に自分の心を隠しているタイプだ。


逆に、リュシアン様は分かりやすいわ。あまり表情は動かなないけれど嘘がつけないタイプね。
まっすぐ言葉をぶつけてくる分、ずっとセリエール国という味方のいないところで生きてきた私にとってはリュシアン様のような人と一緒にいるほうが気楽だったりする。人によっては苦手かもしれないけど…。


今回、アルデール国の昔について話したのには意味があった。もし、リュシアン様が本当に私と一緒にいたいというのであればそれ相応に覚悟をしてもらう必要があったからだ。

特に長く生きること、見た目が変わらないことは気味悪がられる所だ。
それでも一緒にいたいと思ってもらえるか…それは私たちにとってとても重要なことである。

現在、他国でアルデール国民のことについて話すことはほとんどない。
別に話すのがタブーというわけではないけど、いつからかそんな暗黙のルールができていた。


「まさか、あの話をしてあんな答えが返ってくるとは思ってもいなかったわ…」

リュシアン様たちに話した後、逃げるように部屋を出た私は廊下から庭を眺めていた。
廊下から見る庭は季節ごとに花の色を変えるので見ていて楽しいし、落ち着く。


「ふふ…そうだろう。リュシアンは真っ直ぐなんだ。俺と違って嘘もつけないしね。だからリディアーヌ嬢。彼の気持ちにはきちんと応えてやってほしい。断るにしても、これから一緒にいるとしてもね。」

誰からも返ってこないと思っていた独り言に、返事が返ってきた。


「サミュエル王太子殿下…。そうですね…。きちんと考えてからお返事させていただきたいと思っています。できればすべてが片付いてから…」


そう伝えると、「それならよかった」といって片手をあげて部屋に戻っていった。
忠告しに来たという感じだろうか…。あの二人は幼馴染と言っていたし、きっとほっとけないのだろう。


「私もずっとこのまま…というわけにはいかないわね…。サーニャ。セリエール国の現状と、周辺諸国の実情を調べて頂戴。それとお父様たちに話があると伝えてほしいの。」


「承知いたしました。リディアーヌお嬢様。」

サーニャが離れた後、私もゆっくりお父様たちのところへ向かった。



「お父様、お兄様。急に集まってもらってすみません。これからのこの国についてそろそろ考えましょう。私、セリエール国がずっとこのままというわけはないと思っているのです。きっとこれからこちらの嫌がる方法をとってくると思っています。あのクズ国王は変なところで頭が回りますからね…。」

この国自体はアルデール樹海に囲まれているから手を出せないと思うけど…一つだけ私たちを外に引っ張り出す方法がある。

それは、アルデール国の外に出ているアルデール民を捕まえるということだ。


以前も似たような方法を使って私との婚姻を無理やり決めていたし。同じ方法をとってくる可能性が高いだろう。
自分が出たくて外に出ているアルデール民なのだからほっておけばいいという気持ちもないわけではないが…できる限り自分たちの民は守りたいものである。


それに、一番狙われやすいのが、外の国の人と結婚してその間に生まれた子供たちだ。
不思議なことにアルデール国と他国の間に生まれた子はアルデール国の血を強く受け継ぐのか、長命であるものが多い。もしくは長命ではないが特殊能力が使える…そのどちらかである。


統計を取っているわけではないが、女性がアルデール国民の場合は、長命。男性がアルデール国民の場合は特殊能力が備わっている可能性が高いようだ。


「そうだな。特に女性、子供は狙われやすいだろう。私もそろそろ動かねばならないと思っていたところだ。アデラールよ。領主たちを集めてくれないか。」

「わかりました。父上。早急に集めましょう。」
い。

出来れば昔のような惨劇は生みたくないと思っているのだろう。


「お父様、今回の件ですが…できればサミュエル王太子殿下と、リュシアン様にもご助力いただきましょう。あの二人は信用に値すると思います。何せ、樹海を抜けてこちらにたどり着かれたのですから…」


お父様は少し考えた後「そうだな…。」と一言返してきた。

あまり他国の人を巻き込みたくはないところだが、戦に慣れていない私たちからするとルノアール国の意見が聞けるのはとてもありがたいことだ。


2人にお願いするために急いで部屋へ向かった。
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