15 / 23
告白。
信用。 リディアーヌ視点。
しおりを挟む
2人がこの家に来てから、以前よりもにぎやかになったような気がする。
まさか、起きて早々に告白されるとは思ってもみなかったけど…正直、嘘偽りのないあの目にはとても引き付けられた。
ルノアール国。
この辺りで一番大きな国で、国王陛下も優れた政治力を持っていると聞いたことがある。
夜会でお会いした時少しお話をしてみたいと思っていた。そしてできればアルデール国がセリエール国から抜けるための手助けをしてほしいとも…
まぁ、話す前にセリエール国の王太子が色々やらかしてくれたおかげで何とかなったわけだけど…
私的にはあれで全てが終わったと思っていない。
きっと何かしら仕掛けてくるだろう…クズ国王だからかわからないが、嫌な方向には頭が回る人だ…。
「今頃2人のことを探している人もいるんじゃないかしら…」
サミュエル・ルノアール王太子殿下。
いつも何を考えているかわかりにくいお方ではあるけれど、悪い気はしない。
常に周りをみて、自分たちがどう動くのが最適なのかを考えているようにも感じる。笑顔で常に自分の心を隠しているタイプだ。
逆に、リュシアン様は分かりやすいわ。あまり表情は動かなないけれど嘘がつけないタイプね。
まっすぐ言葉をぶつけてくる分、ずっとセリエール国という味方のいないところで生きてきた私にとってはリュシアン様のような人と一緒にいるほうが気楽だったりする。人によっては苦手かもしれないけど…。
今回、アルデール国の昔について話したのには意味があった。もし、リュシアン様が本当に私と一緒にいたいというのであればそれ相応に覚悟をしてもらう必要があったからだ。
特に長く生きること、見た目が変わらないことは気味悪がられる所だ。
それでも一緒にいたいと思ってもらえるか…それは私たちにとってとても重要なことである。
現在、他国でアルデール国民のことについて話すことはほとんどない。
別に話すのがタブーというわけではないけど、いつからかそんな暗黙のルールができていた。
「まさか、あの話をしてあんな答えが返ってくるとは思ってもいなかったわ…」
リュシアン様たちに話した後、逃げるように部屋を出た私は廊下から庭を眺めていた。
廊下から見る庭は季節ごとに花の色を変えるので見ていて楽しいし、落ち着く。
「ふふ…そうだろう。リュシアンは真っ直ぐなんだ。俺と違って嘘もつけないしね。だからリディアーヌ嬢。彼の気持ちにはきちんと応えてやってほしい。断るにしても、これから一緒にいるとしてもね。」
誰からも返ってこないと思っていた独り言に、返事が返ってきた。
「サミュエル王太子殿下…。そうですね…。きちんと考えてからお返事させていただきたいと思っています。できればすべてが片付いてから…」
そう伝えると、「それならよかった」といって片手をあげて部屋に戻っていった。
忠告しに来たという感じだろうか…。あの二人は幼馴染と言っていたし、きっとほっとけないのだろう。
「私もずっとこのまま…というわけにはいかないわね…。サーニャ。セリエール国の現状と、周辺諸国の実情を調べて頂戴。それとお父様たちに話があると伝えてほしいの。」
「承知いたしました。リディアーヌお嬢様。」
サーニャが離れた後、私もゆっくりお父様たちのところへ向かった。
「お父様、お兄様。急に集まってもらってすみません。これからのこの国についてそろそろ考えましょう。私、セリエール国がずっとこのままというわけはないと思っているのです。きっとこれからこちらの嫌がる方法をとってくると思っています。あのクズ国王は変なところで頭が回りますからね…。」
この国自体はアルデール樹海に囲まれているから手を出せないと思うけど…一つだけ私たちを外に引っ張り出す方法がある。
それは、アルデール国の外に出ているアルデール民を捕まえるということだ。
以前も似たような方法を使って私との婚姻を無理やり決めていたし。同じ方法をとってくる可能性が高いだろう。
自分が出たくて外に出ているアルデール民なのだからほっておけばいいという気持ちもないわけではないが…できる限り自分たちの民は守りたいものである。
それに、一番狙われやすいのが、外の国の人と結婚してその間に生まれた子供たちだ。
不思議なことにアルデール国と他国の間に生まれた子はアルデール国の血を強く受け継ぐのか、長命であるものが多い。もしくは長命ではないが特殊能力が使える…そのどちらかである。
統計を取っているわけではないが、女性がアルデール国民の場合は、長命。男性がアルデール国民の場合は特殊能力が備わっている可能性が高いようだ。
「そうだな。特に女性、子供は狙われやすいだろう。私もそろそろ動かねばならないと思っていたところだ。アデラールよ。領主たちを集めてくれないか。」
「わかりました。父上。早急に集めましょう。」
い。
出来れば昔のような惨劇は生みたくないと思っているのだろう。
「お父様、今回の件ですが…できればサミュエル王太子殿下と、リュシアン様にもご助力いただきましょう。あの二人は信用に値すると思います。何せ、樹海を抜けてこちらにたどり着かれたのですから…」
お父様は少し考えた後「そうだな…。」と一言返してきた。
あまり他国の人を巻き込みたくはないところだが、戦に慣れていない私たちからするとルノアール国の意見が聞けるのはとてもありがたいことだ。
2人にお願いするために急いで部屋へ向かった。
まさか、起きて早々に告白されるとは思ってもみなかったけど…正直、嘘偽りのないあの目にはとても引き付けられた。
ルノアール国。
この辺りで一番大きな国で、国王陛下も優れた政治力を持っていると聞いたことがある。
夜会でお会いした時少しお話をしてみたいと思っていた。そしてできればアルデール国がセリエール国から抜けるための手助けをしてほしいとも…
まぁ、話す前にセリエール国の王太子が色々やらかしてくれたおかげで何とかなったわけだけど…
私的にはあれで全てが終わったと思っていない。
きっと何かしら仕掛けてくるだろう…クズ国王だからかわからないが、嫌な方向には頭が回る人だ…。
「今頃2人のことを探している人もいるんじゃないかしら…」
サミュエル・ルノアール王太子殿下。
いつも何を考えているかわかりにくいお方ではあるけれど、悪い気はしない。
常に周りをみて、自分たちがどう動くのが最適なのかを考えているようにも感じる。笑顔で常に自分の心を隠しているタイプだ。
逆に、リュシアン様は分かりやすいわ。あまり表情は動かなないけれど嘘がつけないタイプね。
まっすぐ言葉をぶつけてくる分、ずっとセリエール国という味方のいないところで生きてきた私にとってはリュシアン様のような人と一緒にいるほうが気楽だったりする。人によっては苦手かもしれないけど…。
今回、アルデール国の昔について話したのには意味があった。もし、リュシアン様が本当に私と一緒にいたいというのであればそれ相応に覚悟をしてもらう必要があったからだ。
特に長く生きること、見た目が変わらないことは気味悪がられる所だ。
それでも一緒にいたいと思ってもらえるか…それは私たちにとってとても重要なことである。
現在、他国でアルデール国民のことについて話すことはほとんどない。
別に話すのがタブーというわけではないけど、いつからかそんな暗黙のルールができていた。
「まさか、あの話をしてあんな答えが返ってくるとは思ってもいなかったわ…」
リュシアン様たちに話した後、逃げるように部屋を出た私は廊下から庭を眺めていた。
廊下から見る庭は季節ごとに花の色を変えるので見ていて楽しいし、落ち着く。
「ふふ…そうだろう。リュシアンは真っ直ぐなんだ。俺と違って嘘もつけないしね。だからリディアーヌ嬢。彼の気持ちにはきちんと応えてやってほしい。断るにしても、これから一緒にいるとしてもね。」
誰からも返ってこないと思っていた独り言に、返事が返ってきた。
「サミュエル王太子殿下…。そうですね…。きちんと考えてからお返事させていただきたいと思っています。できればすべてが片付いてから…」
そう伝えると、「それならよかった」といって片手をあげて部屋に戻っていった。
忠告しに来たという感じだろうか…。あの二人は幼馴染と言っていたし、きっとほっとけないのだろう。
「私もずっとこのまま…というわけにはいかないわね…。サーニャ。セリエール国の現状と、周辺諸国の実情を調べて頂戴。それとお父様たちに話があると伝えてほしいの。」
「承知いたしました。リディアーヌお嬢様。」
サーニャが離れた後、私もゆっくりお父様たちのところへ向かった。
「お父様、お兄様。急に集まってもらってすみません。これからのこの国についてそろそろ考えましょう。私、セリエール国がずっとこのままというわけはないと思っているのです。きっとこれからこちらの嫌がる方法をとってくると思っています。あのクズ国王は変なところで頭が回りますからね…。」
この国自体はアルデール樹海に囲まれているから手を出せないと思うけど…一つだけ私たちを外に引っ張り出す方法がある。
それは、アルデール国の外に出ているアルデール民を捕まえるということだ。
以前も似たような方法を使って私との婚姻を無理やり決めていたし。同じ方法をとってくる可能性が高いだろう。
自分が出たくて外に出ているアルデール民なのだからほっておけばいいという気持ちもないわけではないが…できる限り自分たちの民は守りたいものである。
それに、一番狙われやすいのが、外の国の人と結婚してその間に生まれた子供たちだ。
不思議なことにアルデール国と他国の間に生まれた子はアルデール国の血を強く受け継ぐのか、長命であるものが多い。もしくは長命ではないが特殊能力が使える…そのどちらかである。
統計を取っているわけではないが、女性がアルデール国民の場合は、長命。男性がアルデール国民の場合は特殊能力が備わっている可能性が高いようだ。
「そうだな。特に女性、子供は狙われやすいだろう。私もそろそろ動かねばならないと思っていたところだ。アデラールよ。領主たちを集めてくれないか。」
「わかりました。父上。早急に集めましょう。」
い。
出来れば昔のような惨劇は生みたくないと思っているのだろう。
「お父様、今回の件ですが…できればサミュエル王太子殿下と、リュシアン様にもご助力いただきましょう。あの二人は信用に値すると思います。何せ、樹海を抜けてこちらにたどり着かれたのですから…」
お父様は少し考えた後「そうだな…。」と一言返してきた。
あまり他国の人を巻き込みたくはないところだが、戦に慣れていない私たちからするとルノアール国の意見が聞けるのはとてもありがたいことだ。
2人にお願いするために急いで部屋へ向かった。
103
あなたにおすすめの小説
冷徹宰相様の嫁探し
菱沼あゆ
ファンタジー
あまり裕福でない公爵家の次女、マレーヌは、ある日突然、第一王子エヴァンの正妃となるよう、申し渡される。
その知らせを持って来たのは、若き宰相アルベルトだったが。
マレーヌは思う。
いやいやいやっ。
私が好きなのは、王子様じゃなくてあなたの方なんですけど~っ!?
実家が無害そう、という理由で王子の妃に選ばれたマレーヌと、冷徹宰相の恋物語。
(「小説家になろう」でも公開しています)
幽閉王女と指輪の精霊~嫁いだら幽閉された!餓死する前に脱出したい!~
二階堂吉乃
恋愛
同盟国へ嫁いだヴァイオレット姫。夫である王太子は初夜に現れなかった。たった1人幽閉される姫。やがて貧しい食事すら届かなくなる。長い幽閉の末、死にかけた彼女を救ったのは、家宝の指輪だった。
1年後。同盟国を訪れたヴァイオレットの従兄が彼女を発見する。忘れられた牢獄には姫のミイラがあった。激怒した従兄は同盟を破棄してしまう。
一方、下町に代書業で身を立てる美少女がいた。ヴィーと名を偽ったヴァイオレットは指輪の精霊と助けあいながら暮らしていた。そこへ元夫?である王太子が視察に来る。彼は下町を案内してくれたヴィーに恋をしてしまう…。
置き去りにされた転生シンママはご落胤を秘かに育てるも、モトサヤはご容赦のほどを
青の雀
恋愛
シンママから玉の輿婚へ
学生時代から付き合っていた王太子のレオンハルト・バルセロナ殿下に、ある日突然、旅先で置き去りにされてしまう。
お忍び旅行で来ていたので、誰も二人の居場所を知らなく、両親のどちらかが亡くなった時にしか発動しないはずの「血の呪縛」魔法を使われた。
お腹には、殿下との子供を宿しているというのに、政略結婚をするため、バレンシア・セレナーデ公爵令嬢が邪魔になったという理由だけで、あっけなく捨てられてしまったのだ。
レオンハルトは当初、バレンシアを置き去りにする意図はなく、すぐに戻ってくるつもりでいた。
でも、王都に戻ったレオンハルトは、そのまま結婚式を挙げさせられることになる。
お相手は隣国の王女アレキサンドラ。
アレキサンドラとレオンハルトは、形式の上だけの夫婦となるが、レオンハルトには心の妻であるバレンシアがいるので、指1本アレキサンドラに触れることはない。
バレンシアガ置き去りにされて、2年が経った頃、白い結婚に不満をあらわにしたアレキサンドラは、ついに、バレンシアとその王子の存在に気付き、ご落胤である王子を手に入れようと画策するが、どれも失敗に終わってしまう。
バレンシアは、前世、京都の餅菓子屋の一人娘として、シンママをしながら子供を育てた経験があり、今世もパティシエとしての腕を生かし、パンに製菓を売り歩く行商になり、王子を育てていく。
せっかくなので、家庭でできる餅菓子レシピを載せることにしました
おばさんは、ひっそり暮らしたい
波間柏
恋愛
30歳村山直子は、いわゆる勝手に落ちてきた異世界人だった。
たまに物が落ちてくるが人は珍しいものの、牢屋行きにもならず基礎知識を教えてもらい居場所が分かるように、また定期的に国に報告する以外は自由と言われた。
さて、生きるには働かなければならない。
「仕方がない、ご飯屋にするか」
栄養士にはなったものの向いてないと思いながら働いていた私は、また生活のために今日もご飯を作る。
「地味にそこそこ人が入ればいいのに困るなぁ」
意欲が低い直子は、今日もまたテンション低く呟いた。
騎士サイド追加しました。2023/05/23
番外編を不定期ですが始めました。
老聖女の政略結婚
那珂田かな
ファンタジー
エルダリス前国王の長女として生まれ、半世紀ものあいだ「聖女」として太陽神ソレイユに仕えてきたセラ。
六十歳となり、ついに若き姪へと聖女の座を譲り、静かな余生を送るはずだった。
しかし式典後、甥である皇太子から持ち込まれたのは――二十歳の隣国王との政略結婚の話。
相手は内乱終結直後のカルディア王、エドモンド。王家の威信回復と政権安定のため、彼には強力な後ろ盾が必要だという。
子も産めない年齢の自分がなぜ王妃に? 迷いと不安、そして少しの笑いを胸に、セラは決断する。
穏やかな余生か、嵐の老後か――
四十歳差の政略婚から始まる、波乱の日々が幕を開ける。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
【完結】6人目の娘として生まれました。目立たない伯爵令嬢なのに、なぜかイケメン公爵が離れない
朝日みらい
恋愛
エリーナは、伯爵家の6人目の娘として生まれましたが、幸せではありませんでした。彼女は両親からも兄姉からも無視されていました。それに才能も兄姉と比べると特に特別なところがなかったのです。そんな孤独な彼女の前に現れたのが、公爵家のヴィクトールでした。彼女のそばに支えて励ましてくれるのです。エリーナはヴィクトールに何かとほめられながら、自分の力を信じて幸せをつかむ物語です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる