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再び戦場に!
サラマンダー。
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中隊長になってからはBランクの魔物を中心に戦うことが多くなっていた。
最近では弱い魔物も討伐され、残るのは中級以上の魔物ばかりだ。
「アド…じゃなかったエルヴィール中隊長。今日の魔物討伐はサラマンダーとの事です。」
「サディ。わかった。それと言いづらいならエルでいい。」
サディは中隊長になってから配属されてきた1人だ。副隊長は相変わらずルエルが行ってくれている。
「は、はい!エル中隊長。失礼します!」
それだけ言うと走り去っていく。
向こうで「中隊長と話しちゃったぁ」「ずるーい」みたいな声が聞こえてきたけど…少し複雑な心境だ。
女の子っぽい雰囲気だが、声音がすべて野太いのだ。
女と明かした時は、皆に軽蔑されるかとも思ったが、そんなことは無く…
「女であれだけつえーの?逆にかっこよすぎるわ!」
「何となくわかってました。女だろうが男だろうが関係ねぇ。隊長は隊長っす。」
野次が飛ぶことはなく、ただ尊敬の眼差しで見られた時には吃驚したものだ…。
まぁ、その根本にはラウルとマウロの兄弟ということもあるらしいが。
あの二人は一体何をやったのか…聞いても皆顔を逸らすので分からない…が何となく他の人ではできない何かをやったんだろうなとは思う。
朝食を食べ終え準備を開始する。
今回の魔物はサラマンダーという事で、初Aランクの魔物だ。
「ルエル。サラマンダーは火を吹くでかいトカゲだよな。皮とかは硬いのか?」
「そうですね。でかいトカゲではありますね。皮とかはそんなに固くないと思います。」
皮はそんなに固くないという事であれば、火に気をつけていれば何とかなりそうな感じがするな。
「固くは無いですが、火を噴くくらいですから体は高温ですよ。だから素手で行けるだろうと思っているなら考えを改めた方がいいかと…」
打撃で闘う方が楽なのに残念だ。
取り敢えず強さが分からないが…敵対したら何かしら分かるかもしれない。
「素手で戦えないのは残念だが…取り敢えず前にいるヤツらは盾を装備させろ。皮が固くないということは弓も通るかもしれないからな。今回は盾と弓をメインで進めていく。他の皆は補助に回るように。」
Aランクとなってくると1人で倒せないため皆で攻撃して倒さなくてはならないため少し厄介だったりするが…皆で倒す分、絆が深まるような気がしている。
慎重に四方八方を見ながら少しづつ進んでいくと戦闘を進んでいた、ヘッディーさんが手を挙げて止まるように指示を出す。
どうやらサラマンダーが一体いるらしい。そのまわりにはスライムなどのモンスターがいるようだ…
スライムはサラマンダーと一緒にいることでレッドスライムとなっているみたいだ。
「レッドスライムは投擲部隊で倒せるはずだ。一体ずつ確実に倒していけ。近づいたら熱で溶けるから気をつけろよ。」
レッドスライムは攻撃性が強い訳では無いものの、熱でものを溶かすという習性がある。そのため、周りの草なども燃やしてしまう可能性が高い。
サラマンダーを倒す前に周りにいるレッドスライムから片付けていく。
「ヘッディー。ルエル。このまま進んでサラマンダーの所へ迎え。私が後ろから投擲指示を出す。」
「「了解!」」
私は投擲している部隊のところに1度下がり一緒になって投擲をしていく。
「中隊長、投擲もできるんですか!?しかも早すぎて投げたか見えませんでした…」
ん?そうだろうか。いつもこの位のスピードだったし、むしろ兄弟の中ではいちばん遅いくらいだ。
「そうか?これでもかなりゆっくり投げたんだがな…。」
投擲で投げた石はスライムのコアにぶつかった。コアにぶつかれば分裂することも無いため増えることもない。
「そうですよ。どうやったらそんなに早く正確に投げられるんですか?」
「そうだな。まずは当てたいところをよく見て。ゆっくり体をひねりながら腕を回す。で最後はヒュンって感じで投げるんだ。」
最後石を話す時はヒュンって音が出ないと当たらないんだよな。他の音だと何故か上手く当たらない。
「ヒュンですか?」
「そうだ。その音が重要だから覚えておくといい。あとは嫌いな奴の顔を思い浮かべてもよく飛ぶからおすすめだ!」
「「「な、なるほど…勉強になりました!」」」
ちゃんと理解出来たのならいいが…少し心配になっているとどんどんスライムが集まってくる。
私はずっと石を長続けた。
⟡.·*.··············································⟡.·*.
新人視点
「お前、ずるいじゃないか!?」
鼻息を荒くした先輩が声をかけてくる。
「なんでですか?」
「中隊長の伝説を知らないのか?」
まだ入ってきたばかりだからか、中隊長の伝説などは知らない。ただすごい人というのはわかるが…
「あの人はな。素手でゴブリンを倒し、オークもほぼ素手で殴るようなお人だ。レイピアを使う時もあるが…空高く飛び上がって、空中からレイピアを振り下ろす姿が本当にかっこいいんだ。」
周りの先輩たちは頷きながら話を聞いている。
「それだけじゃないぞ、弓も投擲も外すことはほぼない。狙った獲物は逃がさないカワセミという鳥のように綺麗なんだ。」
「そして、伝説になった理由は…」
「なった理由は…?」
「新人時代の100体討伐だよ。」
話を聞くに銀のレイピアを片手に殴りながら切り殺すという荒業で1人で100体を討伐したらしい。
「あの時は中隊長男と偽って参加してたからな。それでも凄かったが…女性と知ってからファンが増えてるんだ。」
「「「だから、今日そんな中隊長と話せたお前が羨ましいぜ!!!」」」
強面の先輩に前のめりで言われた俺はあまりの勢いに唖然とした。
なるほど。この3人だけでなく中隊長の下についている人ほとんどが隊長の虜というわけか…。
そこまでの凄さが分からない俺はどんどん自分が隊長のファンになっていくと言うことを知る由もない。
最近では弱い魔物も討伐され、残るのは中級以上の魔物ばかりだ。
「アド…じゃなかったエルヴィール中隊長。今日の魔物討伐はサラマンダーとの事です。」
「サディ。わかった。それと言いづらいならエルでいい。」
サディは中隊長になってから配属されてきた1人だ。副隊長は相変わらずルエルが行ってくれている。
「は、はい!エル中隊長。失礼します!」
それだけ言うと走り去っていく。
向こうで「中隊長と話しちゃったぁ」「ずるーい」みたいな声が聞こえてきたけど…少し複雑な心境だ。
女の子っぽい雰囲気だが、声音がすべて野太いのだ。
女と明かした時は、皆に軽蔑されるかとも思ったが、そんなことは無く…
「女であれだけつえーの?逆にかっこよすぎるわ!」
「何となくわかってました。女だろうが男だろうが関係ねぇ。隊長は隊長っす。」
野次が飛ぶことはなく、ただ尊敬の眼差しで見られた時には吃驚したものだ…。
まぁ、その根本にはラウルとマウロの兄弟ということもあるらしいが。
あの二人は一体何をやったのか…聞いても皆顔を逸らすので分からない…が何となく他の人ではできない何かをやったんだろうなとは思う。
朝食を食べ終え準備を開始する。
今回の魔物はサラマンダーという事で、初Aランクの魔物だ。
「ルエル。サラマンダーは火を吹くでかいトカゲだよな。皮とかは硬いのか?」
「そうですね。でかいトカゲではありますね。皮とかはそんなに固くないと思います。」
皮はそんなに固くないという事であれば、火に気をつけていれば何とかなりそうな感じがするな。
「固くは無いですが、火を噴くくらいですから体は高温ですよ。だから素手で行けるだろうと思っているなら考えを改めた方がいいかと…」
打撃で闘う方が楽なのに残念だ。
取り敢えず強さが分からないが…敵対したら何かしら分かるかもしれない。
「素手で戦えないのは残念だが…取り敢えず前にいるヤツらは盾を装備させろ。皮が固くないということは弓も通るかもしれないからな。今回は盾と弓をメインで進めていく。他の皆は補助に回るように。」
Aランクとなってくると1人で倒せないため皆で攻撃して倒さなくてはならないため少し厄介だったりするが…皆で倒す分、絆が深まるような気がしている。
慎重に四方八方を見ながら少しづつ進んでいくと戦闘を進んでいた、ヘッディーさんが手を挙げて止まるように指示を出す。
どうやらサラマンダーが一体いるらしい。そのまわりにはスライムなどのモンスターがいるようだ…
スライムはサラマンダーと一緒にいることでレッドスライムとなっているみたいだ。
「レッドスライムは投擲部隊で倒せるはずだ。一体ずつ確実に倒していけ。近づいたら熱で溶けるから気をつけろよ。」
レッドスライムは攻撃性が強い訳では無いものの、熱でものを溶かすという習性がある。そのため、周りの草なども燃やしてしまう可能性が高い。
サラマンダーを倒す前に周りにいるレッドスライムから片付けていく。
「ヘッディー。ルエル。このまま進んでサラマンダーの所へ迎え。私が後ろから投擲指示を出す。」
「「了解!」」
私は投擲している部隊のところに1度下がり一緒になって投擲をしていく。
「中隊長、投擲もできるんですか!?しかも早すぎて投げたか見えませんでした…」
ん?そうだろうか。いつもこの位のスピードだったし、むしろ兄弟の中ではいちばん遅いくらいだ。
「そうか?これでもかなりゆっくり投げたんだがな…。」
投擲で投げた石はスライムのコアにぶつかった。コアにぶつかれば分裂することも無いため増えることもない。
「そうですよ。どうやったらそんなに早く正確に投げられるんですか?」
「そうだな。まずは当てたいところをよく見て。ゆっくり体をひねりながら腕を回す。で最後はヒュンって感じで投げるんだ。」
最後石を話す時はヒュンって音が出ないと当たらないんだよな。他の音だと何故か上手く当たらない。
「ヒュンですか?」
「そうだ。その音が重要だから覚えておくといい。あとは嫌いな奴の顔を思い浮かべてもよく飛ぶからおすすめだ!」
「「「な、なるほど…勉強になりました!」」」
ちゃんと理解出来たのならいいが…少し心配になっているとどんどんスライムが集まってくる。
私はずっと石を長続けた。
⟡.·*.··············································⟡.·*.
新人視点
「お前、ずるいじゃないか!?」
鼻息を荒くした先輩が声をかけてくる。
「なんでですか?」
「中隊長の伝説を知らないのか?」
まだ入ってきたばかりだからか、中隊長の伝説などは知らない。ただすごい人というのはわかるが…
「あの人はな。素手でゴブリンを倒し、オークもほぼ素手で殴るようなお人だ。レイピアを使う時もあるが…空高く飛び上がって、空中からレイピアを振り下ろす姿が本当にかっこいいんだ。」
周りの先輩たちは頷きながら話を聞いている。
「それだけじゃないぞ、弓も投擲も外すことはほぼない。狙った獲物は逃がさないカワセミという鳥のように綺麗なんだ。」
「そして、伝説になった理由は…」
「なった理由は…?」
「新人時代の100体討伐だよ。」
話を聞くに銀のレイピアを片手に殴りながら切り殺すという荒業で1人で100体を討伐したらしい。
「あの時は中隊長男と偽って参加してたからな。それでも凄かったが…女性と知ってからファンが増えてるんだ。」
「「「だから、今日そんな中隊長と話せたお前が羨ましいぜ!!!」」」
強面の先輩に前のめりで言われた俺はあまりの勢いに唖然とした。
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