18 / 35
全てを返してもらいます。
アドルフの動向を探る。ラウル視点
先日、オディから手紙が届いた。
男同士の手紙ということもあり簡潔にしか書かれていないが、エルの任期が満了するということ。騎士爵を賜ったということ。そして、これが一番重要なことなのだろう。書類を送るということだった。
勿論、爵位を賜るということもありがたいことではあるのだろうが、家の全員が貰っているということから、貰うのは普通なのだろうという認識でしかない。
その前の手紙ではエルが倒れたと書かれていたので何も無くて安心した。
「ラウル兄、手紙なんだって?」
「エルがそろそろ帰ってくるって話しだったよ。」
「そうなんだね!無事帰って来れて何よりだよ。アドルフについてはどうなの?」
エルが帰ってきたからといって全てが終わるかと言ったらそうではない。一番の問題でもあるアドルフのことが残っているのだ。
「あぁ、この5年…いや、7年か。エルが騎士団にいた時だから。情報は集まったよ。」
そう言って書類を渡すとマウロはその書類に目を通していく。
この7年。あいつはやりたい放題だった。
始めの2年は、仕事をしていることにして、女の家に入り浸っていたらしい。よく働かなくても何も言われなかったなと思うが、相手が家事をしてくれるなら仕事しなくていいと言ってたようだ。
そしてそこで子供が出来た。
子供が出来たことで、出稼ぎに行ってくると言って家を出たアドルフはエルと結婚した。
「出稼ぎに行くと言ったのはエルと結婚して金だけむしり取ろうとしていたんだろう。」
「でもエル姉だって仕事辞めてるんだ。いつお金がそこをついてもおかしくないじゃない……そういう事か…」
マウロも話していて気付いたようだ。
「そうだ…あいつは元からエルを自分の代わりに魔物討伐に行かせようとしてたんだよ。」
この国では必ず1度男は魔物討伐もしくは戦に徴集される。ココ最近隣国との小競り合いはなかったから、行くとしたら魔物討伐になるのは予想が着く。
そして、俺たちの年代でまだ呼ばれていなかったのはアドルフくらいで、他の奴らは皆行って帰ってきている奴らばかりだった。
アドルフ自身もそろそろ自分が呼ばれることは分かっていたんだろう。
「だから子供もつくらなかったって事か…」
「そういう事だな。本当に腹立つほどクソ野郎だぜ。そこからはあいつの思いどおりに事が進んでいる。」
近所の人たちには本当の家族は今いる家族で、エルのことは幼馴染がしつこく追いまわしてきていると吹き込み、それを周りは信じた。
あの家の周辺は少し距離があるからうちの名前を知ってる人がいなかったんだろう。
洋食屋「アルデンテ」は色々な意味で有名だ。味も美味しいも自負しているが、辺境伯家からも1目置かれている。それは家族それぞれが騎士爵を持ちながらも今までと変わらぬ生活をずっと続けているからだ。
辺境伯家から、ことある事に仕事を頼まれるが俺とマウロが代わる代わる引き受けている。
そのお陰かあまりうちの周りでは大きな問題が起きない。
「女と前に一緒に住んでいた家は見つけたの?」
「見つけた。ラッキーなことに知り合いの多いところに住んでくれていたから証言も取りやすかったよ。」
うちの実家から離れた所で女と一緒に住んでいたつもりのようだが、なんだかんだ知り合いが多いおかげで直ぐにアドルフの居場所はわかった。合わせて女の名前も確認済みだ。
「女の名前は、ガーナ、子どもはメージと言うらしい。メージは目元がガーナに似ていて輪郭や髪の色はアドルフそっくりらしいから血縁かどうかはすぐわかるだろう。」
騎士団にいた時はまだ婚姻関係になかったし、許嫁といったも口約束だけだ。だから浮気かどうかを証明するのは難しいが、その後に何も伝えず結婚をしている時点で充分慰謝料は取れるだろう。
「最近はアドルフを待ちの中でよく見かけるようになったよ。家族というのか分からないけどガーナとメージ、あともうひとり子供を連れて歩いている。が、なぜかその子はガーナに似ているだけでアドルフの面影はなかった…。」
「一応エルは5年帰ってきてないことになっているからな。あいつはもう死んだとでも思っているんじゃないか?噂を流すくらいだし。」
エルが1度帰ってきてから1年くらい経った頃だろうか、エルが死んだと泣きながらうちに来ていたことを思い出す。
「あの時の父さんの演技出来たらエル姉にも見て欲しかったよ。」
「本当に、笑いそうになった。」
半分は演技だったんだろうが、おそらく半分は怒りのまま殴ったんだとおもう。
表向きは「エ、エルが死んだ、だと?どうしてお前という者がいながら…」と言って泣いていたが…
「大事な一人娘をよくも魔物討伐に送ってくれたな。このクソ野郎」って心の中では思っていたはずだ。
「今は相手の女も仕事していないようだからな。おそらく2人揃ってエルの金を使ってるんだよ。あれは女も知っててやってるな…。」
2人目の子供は恐らくアドルフの子では無い別のやつの子だろう。アドルフは信じているようだが…
今からあの家族がどん底に落ちる姿が楽しみだ。
そして数日後、俺たちの気持ちも知らずにエルは声高らかに「ただいまぁー」と帰宅したのである。
男同士の手紙ということもあり簡潔にしか書かれていないが、エルの任期が満了するということ。騎士爵を賜ったということ。そして、これが一番重要なことなのだろう。書類を送るということだった。
勿論、爵位を賜るということもありがたいことではあるのだろうが、家の全員が貰っているということから、貰うのは普通なのだろうという認識でしかない。
その前の手紙ではエルが倒れたと書かれていたので何も無くて安心した。
「ラウル兄、手紙なんだって?」
「エルがそろそろ帰ってくるって話しだったよ。」
「そうなんだね!無事帰って来れて何よりだよ。アドルフについてはどうなの?」
エルが帰ってきたからといって全てが終わるかと言ったらそうではない。一番の問題でもあるアドルフのことが残っているのだ。
「あぁ、この5年…いや、7年か。エルが騎士団にいた時だから。情報は集まったよ。」
そう言って書類を渡すとマウロはその書類に目を通していく。
この7年。あいつはやりたい放題だった。
始めの2年は、仕事をしていることにして、女の家に入り浸っていたらしい。よく働かなくても何も言われなかったなと思うが、相手が家事をしてくれるなら仕事しなくていいと言ってたようだ。
そしてそこで子供が出来た。
子供が出来たことで、出稼ぎに行ってくると言って家を出たアドルフはエルと結婚した。
「出稼ぎに行くと言ったのはエルと結婚して金だけむしり取ろうとしていたんだろう。」
「でもエル姉だって仕事辞めてるんだ。いつお金がそこをついてもおかしくないじゃない……そういう事か…」
マウロも話していて気付いたようだ。
「そうだ…あいつは元からエルを自分の代わりに魔物討伐に行かせようとしてたんだよ。」
この国では必ず1度男は魔物討伐もしくは戦に徴集される。ココ最近隣国との小競り合いはなかったから、行くとしたら魔物討伐になるのは予想が着く。
そして、俺たちの年代でまだ呼ばれていなかったのはアドルフくらいで、他の奴らは皆行って帰ってきている奴らばかりだった。
アドルフ自身もそろそろ自分が呼ばれることは分かっていたんだろう。
「だから子供もつくらなかったって事か…」
「そういう事だな。本当に腹立つほどクソ野郎だぜ。そこからはあいつの思いどおりに事が進んでいる。」
近所の人たちには本当の家族は今いる家族で、エルのことは幼馴染がしつこく追いまわしてきていると吹き込み、それを周りは信じた。
あの家の周辺は少し距離があるからうちの名前を知ってる人がいなかったんだろう。
洋食屋「アルデンテ」は色々な意味で有名だ。味も美味しいも自負しているが、辺境伯家からも1目置かれている。それは家族それぞれが騎士爵を持ちながらも今までと変わらぬ生活をずっと続けているからだ。
辺境伯家から、ことある事に仕事を頼まれるが俺とマウロが代わる代わる引き受けている。
そのお陰かあまりうちの周りでは大きな問題が起きない。
「女と前に一緒に住んでいた家は見つけたの?」
「見つけた。ラッキーなことに知り合いの多いところに住んでくれていたから証言も取りやすかったよ。」
うちの実家から離れた所で女と一緒に住んでいたつもりのようだが、なんだかんだ知り合いが多いおかげで直ぐにアドルフの居場所はわかった。合わせて女の名前も確認済みだ。
「女の名前は、ガーナ、子どもはメージと言うらしい。メージは目元がガーナに似ていて輪郭や髪の色はアドルフそっくりらしいから血縁かどうかはすぐわかるだろう。」
騎士団にいた時はまだ婚姻関係になかったし、許嫁といったも口約束だけだ。だから浮気かどうかを証明するのは難しいが、その後に何も伝えず結婚をしている時点で充分慰謝料は取れるだろう。
「最近はアドルフを待ちの中でよく見かけるようになったよ。家族というのか分からないけどガーナとメージ、あともうひとり子供を連れて歩いている。が、なぜかその子はガーナに似ているだけでアドルフの面影はなかった…。」
「一応エルは5年帰ってきてないことになっているからな。あいつはもう死んだとでも思っているんじゃないか?噂を流すくらいだし。」
エルが1度帰ってきてから1年くらい経った頃だろうか、エルが死んだと泣きながらうちに来ていたことを思い出す。
「あの時の父さんの演技出来たらエル姉にも見て欲しかったよ。」
「本当に、笑いそうになった。」
半分は演技だったんだろうが、おそらく半分は怒りのまま殴ったんだとおもう。
表向きは「エ、エルが死んだ、だと?どうしてお前という者がいながら…」と言って泣いていたが…
「大事な一人娘をよくも魔物討伐に送ってくれたな。このクソ野郎」って心の中では思っていたはずだ。
「今は相手の女も仕事していないようだからな。おそらく2人揃ってエルの金を使ってるんだよ。あれは女も知っててやってるな…。」
2人目の子供は恐らくアドルフの子では無い別のやつの子だろう。アドルフは信じているようだが…
今からあの家族がどん底に落ちる姿が楽しみだ。
そして数日後、俺たちの気持ちも知らずにエルは声高らかに「ただいまぁー」と帰宅したのである。
あなたにおすすめの小説
初夜に「君を愛するつもりはない」と夫から言われた妻のその後
澤谷弥(さわたに わたる)
ファンタジー
結婚式の日の夜。夫のイアンは妻のケイトに向かって「お前を愛するつもりはない」と言い放つ。
ケイトは知っていた。イアンには他に好きな女性がいるのだ。この結婚は家のため。そうわかっていたはずなのに――。
※短いお話です。
※恋愛要素が薄いのでファンタジーです。おまけ程度です。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
夫から『お前を愛することはない』と言われたので、お返しついでに彼のお友達をお招きした結果。
古森真朝
ファンタジー
「クラリッサ・ベル・グレイヴィア伯爵令嬢、あらかじめ言っておく。
俺がお前を愛することは、この先決してない。期待など一切するな!」
新婚初日、花嫁に真っ向から言い放った新郎アドルフ。それに対して、クラリッサが返したのは――
※ぬるいですがホラー要素があります。苦手な方はご注意ください。
「お前を愛することはない」と言われたお飾りの妻ですが、何か?
あんど もあ
ファンタジー
「お前を愛することはない!」「そんな事を言うために女性の寝室に押し入ったのですか? もう寝るつもりで化粧を落として髪をほどいて寝着に着替えてるのに! 最っ低!」
仕事大好き女が「お飾りの妻最高!」と恋愛感情無しで結婚したらこうなるよね、というお話。
「お前を愛する事はない」を信じたので
あんど もあ
ファンタジー
「お前を愛することは無い。お前も私を愛するな。私からの愛を求めるな」
お互いの利益のために三年間の契約結婚をしたアヴェリンとロデリック。楽しく三年を過ごしたアヴェリンは屋敷を出ていこうとするのだが……。
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
【完結】あなたに知られたくなかった
ここ
ファンタジー
セレナの幸せな生活はあっという間に消え去った。新しい継母と異母妹によって。
5歳まで令嬢として生きてきたセレナは6歳の今は、小さな手足で必死に下女見習いをしている。もう自分が令嬢だということは忘れていた。
そんなセレナに起きた奇跡とは?