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第三章 妖刀と姉と弟
一方その頃、掌の上で転がされ続ける王毅一行は……
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「改めて……状況を整理しよう。花織、奪われた妖刀は『禍風』一つじゃあなかったんだね?」
「はい……その通りでございます。このような重大な情報を秘匿してしまい、本当に申し訳ございませんでした」
「どうして、そんな真似を? 幕府の指示なのかい?」
「左様でございます。御上は幕府の失態を隠すため、奪われた妖刀は一本だけだと嘘をついていたのです。『禍風』は、盗まれた妖刀の中で最も強力な武神刀。それさえ奪還出来れば面目は立つからと、他の妖刀のことは秘匿しておけと仰せでした」
「ちっ、面倒な仕事を押し付けた癖して大事なことは教えねえで……! 幕府の奴ら、帰ったら覚えてやがれよ!」
深夜、磐木での拠点となっている旅館の一室で、王毅たちは状況整理を含めた話し合いを行っていた。
この場に正弘と冬美の姿はない。
燈の処遇に納得がいっていない彼を冬美が宥めているためだ。
花織は、そんな正弘の様子を見て、もしかしたら燈に何か洗脳のようなことをされてしまったのかもしれないと言っていた。
若干、その説明に腑が落ちないでいる王毅であったが、他の仲間たちは大体が花織の言葉に納得してしまっているようだ。
「そ、それでさ。虎藤のことはどうするの? やっぱり、妖刀を持ってる以上は敵なんだよね?」
「ああ、当然だ。『禍風』だけじゃない。あいつが持ってる『紅龍』とかいう刀と、あの農民崩れが持ってた妖刀。占めて三本は俺たちが回収する。というより、あいつが妖刀盗難事件から続く一連の事件の黒幕に繋がってる可能性だってあるんだ。このままにはしちゃおけねえな」
「死んだと思われていた燈さまが生きていて、妖刀の使い手になっていただなんて、英雄の皆様方も大いに心を痛めたことでしょう。辛いお気持ち、ご察し致します」
白々しく、『紅龍』を妖刀であるとの嘘をついた花織が痛ましい表情を浮かべながら言う。
巫女として、陰陽道に通じている彼女には、燈が妖の変装でないことも『紅龍』が類まれなる力を持つだけのただの武神刀であることも判っていた。
それでも、彼女がどうして王毅たちと燈を敵対させたかというと、こころの予想通りに自分の失態を隠すためだ。
試し刀の試練を経て、気力を持たない落伍者の烙印を押したはずの燈が、王毅たちすらも苦戦する敵を相手に互角以上の戦いを繰り広げてみせた。
それはつまり、彼の資質を検査した花織がその才覚を見逃したということであり、そんなことが幕府に知られれば彼女が大目玉をくらうなんて生易しい処罰では済まないことは火を見るよりも明らかだ。
それに、幕府たちも王毅を中心としたメンバーたちを英雄の中の英雄として大々的に国中に宣伝してしまっている。
今更、彼以上の逸材が存在していたなどといわれても、王毅から燈に鞍替えすることなど出来ない。今まで一番の英雄として祭り上げてきた王毅が、実は二番手だったなどとどの面を下げて国民たちに言えばいいのだ?
花織個人としても、幕府としても、こうなった以上は王毅を首魁とした武士組織を全面に押し出して活躍させるしかない。
彼以上の強さと素質を持っているかもしれない燈の存在は、彼女たちにとっては非常に目障りなものだ。
出来ることならば、ここで燈たちを始末してほしいというのが花織の本音だった。
彼らは妖刀についての情報も知り過ぎてしまった。燈たちの口から情報が洩れ、幕府の信頼が失墜することだけは避けなければならない。
幸いにも、王毅たちは花織の言葉をすんなりと信じて燈を敵だとみなしてくれたようだ。
あとは上手いこと、彼ら一味を殲滅してくれればいい……と、考える花織の耳には、悪い方へ悪い方へと勘違いを深める王毅たち一行の話し合いの声が届いていた。
「取り合えず、取り合えずだ。虎藤の奴は殺そう。あいつが本物かどうかはわからねえが、妖刀を持ってるってことはもう助けようがないんだろ?」
「そうだな。あの虎藤が本物かどうかもわからねえし、真実を話すかもわからねえ。情報を聞きだすなら一人とっ捕まえればいいんだし、妖刀持ちのあいつは斬るしかないだろ」
何処か落ち着かない順平の様子に気が付かぬまま、慎吾が彼の言葉に頷く。
燈と会ってから、順平はどこか様子がおかしい。おそらくは、何か後ろめたいものがあるのだろう。
今はまあ、それについて追及するのは止そう。
それを利用して、燈たちを排除した方が何倍も利口というものだ。
「捕まえるならやよいちゃんと栞桜ちゃんがいいよ! あの蒼って奴は、雰囲気的に黒幕っぽいもん! きっとあいつがみんなを洗脳して操ってるんだ。……じゃなきゃ、あんな奴が僕のヒロインを奪えるわけがない。そうだ。ここで僕がやよいを救って、惚れられるシナリオなんだ……!!」
ぶつぶつといつも通りの気持ちの悪い妄想に浸るタクトも放っておこうと花織は思った。
慎吾もそうだが、思い込みの強い男というのは扱いやすい。都合の良い話だけを信じ込んで、自分の良いように解釈してくれる点は大いに助かる。
これでもう、王毅たちの中では燈は妖刀関連の事件に関わる黒幕の一味ということになっていた。
何の疑いもなく彼を倒そうとしている慎吾たちの様子に心の中でほくそ笑みながら、そんな感情を欠片も表に出さずに、花織は未だに思い悩んでいる王毅へと、たおやかな態度で声をかける。
「王毅さま……ご友人と戦わなければならない苦悩、お察しいたします。ですが、妖刀を手にした人間に対抗出来るのは、王毅さまたちを除いて他にいないのです。どうか、どうか……大和国を救ってくださいませ……!!」
「は、花織……!」
深々と、頭を下げる。
床に額を擦り付け、すすり泣くような声を漏らし、弱々しい女としての振る舞いを見せながら王毅に懇願してみせた花織は、内心で静かにほくそ笑んでいた。
「……顔を上げてくれ、花織。君の頼みを聞いて覚悟を決めた。俺は、迷いを捨てるよ」
「王毅さま……!」
言われるがまま、土下座の姿勢から顔を上げた花織が見たのは、神妙な王毅の表情だった。
花織を落ち着かせるように、出来る限り力強く頼り甲斐のある男の姿を演じながら、彼はこの場に集まる仲間たちに向けて宣言する。
「俺は、もう迷わない。次に虎藤くんと出会っても、躊躇わずに彼を斬る! 彼が本物であっても、偽物であっても、妖刀を手にしている以上は俺たちの敵だ。なら、俺がこの手で……!!」
「よく言った、王毅! 大丈夫、奴らは俺たちに手も足も出せずに逃げ出すような連中だ。次こそは、必ず仕留められるぜ!」
「お、女の子は殺さないでね! 最悪、やよいちゃんだけは助けてあげてくれよ! あと、黒幕の蒼は僕がやっつけるから!!」
「ああ、王毅さま……!! 勇ましい決断に、この花織は感服いたしました。未来のために成すべきことを成す。貴方様こそ、真の英雄でございます……!!」
感極まった様子の花織が王毅へと抱き着き、熱烈なその反応に仲間たちから歓声と嫉妬の声が上がる。
王毅がまた女を口説いただとか、捕まえた女の子たちもその調子で惚れさせたりするなよだとか、そんな風に好き勝手に騒ぎ、緊張感の欠片も感じさせないやり取りを行う男たちの声を聞きながら、花織は彼らを嗤う。
(本当に、単純で可愛い人たちですこと……!)
王毅の背に顔を回し、男たちに見られぬようにして黒い笑みを浮かべる彼女は、王毅たちを掌の上で転がし続ける。
既に仲間を斬ることへの罪悪感を薄れさせ、浮ついた覚悟しか持たない王毅たちは、そんな花織の企みに気が付くこともなく、ただただ彼女の操り人形として弄ばれ続けるのであった。
「はい……その通りでございます。このような重大な情報を秘匿してしまい、本当に申し訳ございませんでした」
「どうして、そんな真似を? 幕府の指示なのかい?」
「左様でございます。御上は幕府の失態を隠すため、奪われた妖刀は一本だけだと嘘をついていたのです。『禍風』は、盗まれた妖刀の中で最も強力な武神刀。それさえ奪還出来れば面目は立つからと、他の妖刀のことは秘匿しておけと仰せでした」
「ちっ、面倒な仕事を押し付けた癖して大事なことは教えねえで……! 幕府の奴ら、帰ったら覚えてやがれよ!」
深夜、磐木での拠点となっている旅館の一室で、王毅たちは状況整理を含めた話し合いを行っていた。
この場に正弘と冬美の姿はない。
燈の処遇に納得がいっていない彼を冬美が宥めているためだ。
花織は、そんな正弘の様子を見て、もしかしたら燈に何か洗脳のようなことをされてしまったのかもしれないと言っていた。
若干、その説明に腑が落ちないでいる王毅であったが、他の仲間たちは大体が花織の言葉に納得してしまっているようだ。
「そ、それでさ。虎藤のことはどうするの? やっぱり、妖刀を持ってる以上は敵なんだよね?」
「ああ、当然だ。『禍風』だけじゃない。あいつが持ってる『紅龍』とかいう刀と、あの農民崩れが持ってた妖刀。占めて三本は俺たちが回収する。というより、あいつが妖刀盗難事件から続く一連の事件の黒幕に繋がってる可能性だってあるんだ。このままにはしちゃおけねえな」
「死んだと思われていた燈さまが生きていて、妖刀の使い手になっていただなんて、英雄の皆様方も大いに心を痛めたことでしょう。辛いお気持ち、ご察し致します」
白々しく、『紅龍』を妖刀であるとの嘘をついた花織が痛ましい表情を浮かべながら言う。
巫女として、陰陽道に通じている彼女には、燈が妖の変装でないことも『紅龍』が類まれなる力を持つだけのただの武神刀であることも判っていた。
それでも、彼女がどうして王毅たちと燈を敵対させたかというと、こころの予想通りに自分の失態を隠すためだ。
試し刀の試練を経て、気力を持たない落伍者の烙印を押したはずの燈が、王毅たちすらも苦戦する敵を相手に互角以上の戦いを繰り広げてみせた。
それはつまり、彼の資質を検査した花織がその才覚を見逃したということであり、そんなことが幕府に知られれば彼女が大目玉をくらうなんて生易しい処罰では済まないことは火を見るよりも明らかだ。
それに、幕府たちも王毅を中心としたメンバーたちを英雄の中の英雄として大々的に国中に宣伝してしまっている。
今更、彼以上の逸材が存在していたなどといわれても、王毅から燈に鞍替えすることなど出来ない。今まで一番の英雄として祭り上げてきた王毅が、実は二番手だったなどとどの面を下げて国民たちに言えばいいのだ?
花織個人としても、幕府としても、こうなった以上は王毅を首魁とした武士組織を全面に押し出して活躍させるしかない。
彼以上の強さと素質を持っているかもしれない燈の存在は、彼女たちにとっては非常に目障りなものだ。
出来ることならば、ここで燈たちを始末してほしいというのが花織の本音だった。
彼らは妖刀についての情報も知り過ぎてしまった。燈たちの口から情報が洩れ、幕府の信頼が失墜することだけは避けなければならない。
幸いにも、王毅たちは花織の言葉をすんなりと信じて燈を敵だとみなしてくれたようだ。
あとは上手いこと、彼ら一味を殲滅してくれればいい……と、考える花織の耳には、悪い方へ悪い方へと勘違いを深める王毅たち一行の話し合いの声が届いていた。
「取り合えず、取り合えずだ。虎藤の奴は殺そう。あいつが本物かどうかはわからねえが、妖刀を持ってるってことはもう助けようがないんだろ?」
「そうだな。あの虎藤が本物かどうかもわからねえし、真実を話すかもわからねえ。情報を聞きだすなら一人とっ捕まえればいいんだし、妖刀持ちのあいつは斬るしかないだろ」
何処か落ち着かない順平の様子に気が付かぬまま、慎吾が彼の言葉に頷く。
燈と会ってから、順平はどこか様子がおかしい。おそらくは、何か後ろめたいものがあるのだろう。
今はまあ、それについて追及するのは止そう。
それを利用して、燈たちを排除した方が何倍も利口というものだ。
「捕まえるならやよいちゃんと栞桜ちゃんがいいよ! あの蒼って奴は、雰囲気的に黒幕っぽいもん! きっとあいつがみんなを洗脳して操ってるんだ。……じゃなきゃ、あんな奴が僕のヒロインを奪えるわけがない。そうだ。ここで僕がやよいを救って、惚れられるシナリオなんだ……!!」
ぶつぶつといつも通りの気持ちの悪い妄想に浸るタクトも放っておこうと花織は思った。
慎吾もそうだが、思い込みの強い男というのは扱いやすい。都合の良い話だけを信じ込んで、自分の良いように解釈してくれる点は大いに助かる。
これでもう、王毅たちの中では燈は妖刀関連の事件に関わる黒幕の一味ということになっていた。
何の疑いもなく彼を倒そうとしている慎吾たちの様子に心の中でほくそ笑みながら、そんな感情を欠片も表に出さずに、花織は未だに思い悩んでいる王毅へと、たおやかな態度で声をかける。
「王毅さま……ご友人と戦わなければならない苦悩、お察しいたします。ですが、妖刀を手にした人間に対抗出来るのは、王毅さまたちを除いて他にいないのです。どうか、どうか……大和国を救ってくださいませ……!!」
「は、花織……!」
深々と、頭を下げる。
床に額を擦り付け、すすり泣くような声を漏らし、弱々しい女としての振る舞いを見せながら王毅に懇願してみせた花織は、内心で静かにほくそ笑んでいた。
「……顔を上げてくれ、花織。君の頼みを聞いて覚悟を決めた。俺は、迷いを捨てるよ」
「王毅さま……!」
言われるがまま、土下座の姿勢から顔を上げた花織が見たのは、神妙な王毅の表情だった。
花織を落ち着かせるように、出来る限り力強く頼り甲斐のある男の姿を演じながら、彼はこの場に集まる仲間たちに向けて宣言する。
「俺は、もう迷わない。次に虎藤くんと出会っても、躊躇わずに彼を斬る! 彼が本物であっても、偽物であっても、妖刀を手にしている以上は俺たちの敵だ。なら、俺がこの手で……!!」
「よく言った、王毅! 大丈夫、奴らは俺たちに手も足も出せずに逃げ出すような連中だ。次こそは、必ず仕留められるぜ!」
「お、女の子は殺さないでね! 最悪、やよいちゃんだけは助けてあげてくれよ! あと、黒幕の蒼は僕がやっつけるから!!」
「ああ、王毅さま……!! 勇ましい決断に、この花織は感服いたしました。未来のために成すべきことを成す。貴方様こそ、真の英雄でございます……!!」
感極まった様子の花織が王毅へと抱き着き、熱烈なその反応に仲間たちから歓声と嫉妬の声が上がる。
王毅がまた女を口説いただとか、捕まえた女の子たちもその調子で惚れさせたりするなよだとか、そんな風に好き勝手に騒ぎ、緊張感の欠片も感じさせないやり取りを行う男たちの声を聞きながら、花織は彼らを嗤う。
(本当に、単純で可愛い人たちですこと……!)
王毅の背に顔を回し、男たちに見られぬようにして黒い笑みを浮かべる彼女は、王毅たちを掌の上で転がし続ける。
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