4 / 29
2話②
しおりを挟む
「……なぁ。ところでひとつ聞いてもいいか」
「はい……?」
少し日が下を向き始めたくらいの午後。ステラも自習を終えたのか、ぼーっと窓の外を眺めていた。俺の言葉に気づくとくるりと振り向き、俺の顔を見る。何度見ても整った顔が、何度も見たからこそわかる整った顔と向かい合う。コミュ障が向き合うにはハードルの高い顔が正面にある。そんな美品を前に、俺はばれない程度視線を彼女の後ろの壁の方へとずらした。
「気になっていたことがあるんだ」
「……なんでしょう」
「ここに来たっていうことは、そういうことだよな」
尋ねる上であえて具体的な言葉を使わずにはぐらかした表現を使ったのは、俺なりの配慮のつもりだった。
「……まぁ、そういうことになります、ね」
探り合うように言葉を交わす。
「……先輩は、人と話すの、好きですか?」
「場合にもよるがそもそもあまり得意じゃないな。嫌いではないが、好きでもないという感じかな。曖昧な答えにはなるけれど」
「いえ、大丈夫ですよ」
ステラは少しうつむくように言葉を口にする。
「私は好きです。……いえ、好き、でした」
「……過去形、か」
あえて比べるように、時系列の見えるように紡がれたセリフにステラという人間の深部が映ったように見えた。
「私、ちょっと前までは見た目が違ったんです」
「……これ、今よりも髪が、長い、よな」
見せてくれたスマホの画面には、ステラらしき人物が映っていた。ステラらしき、という認識になってしまうのは、その画像のステラと目の前にいるステラが違う存在のように見えたからだった。
画面の中のステラは今も綺麗なあの銀髪を腰のあたりまで長く伸ばし、風に靡かせていた。ブラウスの上にはパーカーの代わりに学校指定のベストを着ており、服装の影響もあるのか、表情も画像の方が柔らかく感じる。
誰もが馴染みやすそうな優等生の雰囲気を醸し出していた。
「はい。それが元々の私、です」
「なんで切ってしまったんだ?」
髪は長くとも十分にステラに似合っていた。なんなら今のステラよりの元々のステラの方が言い方は悪いがとっつきやすく明るい印象だった。今のステラが見劣りすると言ったことではないものの、でも元々の方が良かったという感想を抱いてしまう。そもそも、髪は女の命とも言われるような代物であるというのに。
「……人付き合いに、もう疲れちゃったんです」
「疲れ、た?」
「先輩は今の私と元々の私。どっちの方が好き、ですか?」
「どっちって、……ま、まぁ、強いて言えば元々のステラの方が俺としては声かけやすいかな、と思うけど」
率直な感想だった。俺はまだ大してステラという人間のことを知らないが、見た目と言う点ではそう思った。もちろん、だからといって俺に声をかけるような勇気はないが。
「……だから、髪を切ったんですよ」
そう言うとステラは短くなったはずの自身の髪を梳かすように指に絡ませる。手櫛で髪を梳かすようなその仕草は、どこかあの時の長髪を懐かしむような哀愁があった。
「自慢にもならないし、今考えてみたらこれはすごく幸せなことだったのかもしれないんですけど。私、自分でもよくわかんないくらいに色んな方々に好意を抱かれていたんです」
「好かれていたってことか」
「はい。それもクラスメイトだけではなく、隣のクラス、同じ学年の生徒。しまいには他学年の生徒からも、告白されるようになったんです。最初はもちろん、それだけ好かれているんだという現状にありがたく思っていたんですけど、断っても断っても告白が絶たなくなってしまって」
「すごい、な」
正直そんな話は小説の中だけだと思っていた。
「まだこれだけで済むならよかったんですけどね。告白を断るとそれはそれで女子からのブーイングが生まれてしまって」
「ブーイング? ……あぁ、僻みってことか」
「まぁそんな感じです。私に告白してきた人の中には、学年でも才色兼備だと人気の男の子もいたみたいで。私は彼にあまり興味が無かったので丁重にお断りさせていただいたんですけど、それが発端になったみたいです。ちやほやされるからってお高くつくな、って。非難されることも多かったです」
「完全に理不尽だな」
「本当にそう思います。そもそも、出会って数ヶ月で何がわかるんだろうって思います。クラスメイトはまだしも、学年の違う生徒なんて私との接点もほとんどないのにどうやって私のことを好きになるんだろうって不思議でした。きっと見た目しか見ていないんだって。だからもちろん私は告白されても断り続けました。そんな、表しか知らずに好かれても嬉しくないですし、私も大して知らない相手と付き合うなんて嫌だったんです。でも、断るとその『断った』という行動の部分だけを見た人から言われました。人気者のつもりか、いつまで人を弄ぶんだって。仲良くしていた友人も次第に私と距離をとるようになっていって、どこまで人を信じていいのか、どこまで踏み入っていいのかわからなくなって。次第に私も、人付き合いに疲れてしまって……」
「だから、切ったのか」
「……はい。現状を変えるには見た目を変えるしかないと思ったんです。元々の私から雰囲気を変えるために、長い髪を切ってボーイッシュなショートにして、兄さんにもらった黒い男性物のパーカーを着て、あまり自分から喋らないようにしました。そうすることでこの現状も落ち着くだろうと、見た目だけで告白してきた方々も減るだろうって。そしたら効果はすぐに出ました。告白もされないようになって、平穏な日々に戻ったんです。ようやくこれで私もみんなと同じように過ごせるって思ったんですけどね、……そうも上手くはいきませんでした。今度は私に関わる人がいなくなってしまったんです。まるで、髪を短くした私には価値がなくなったみたいに、そのまま孤立しちゃいました。私には両極端な二択しか選択肢がないみたいで。居場所もないからどうすることもできなくて、そして、もう学校にも行きたくなくなって……。えへへ、こんな、ダメダメになっちゃいました」
重い話でごめんなさい、とステラは気づかうように微笑みかけるがもう遅い。彼女は、あまりにも多くのことを話し過ぎた。話す上で必要以上に過去の記憶を開きすぎてしまった。秘めておくべきだった感情の蓋までも開けてしまった。
大きな瞳が揺れ、その瞳が透明な膨張するなにかを必死に必死に落とさないように抱え、それが臨界点すれすれになってもまだ抱え続け、それが一層彼女の瞳をエメラルドのように輝かせる。綺麗だが、綺麗だとは思えなかった。
「……私は、どうしたら、よかったんでしょうか」
声を段々と小さくしながらも、言葉をつっかえながらも、どうにか言い切るとステラは耐えきれなくなったのか両手に自身の顔を隠し、うつむいた。声は聞こえなかった。ただ、嗚咽を溜め込んだ体が静かに静かにその肩を震わせる。土砂降りの中、道路の隅に捨てられた、段ボールの中の子犬のようだった。
「……お前はなんも悪くないだろ」
無責任な言葉が口からこぼれた。涙の一滴すら拭えない言葉だった。彼女の苦悩、自責、数多の思いを拭える言葉なんてこの世にはないのではないかと思った。
「……ちょっと外に行く。だからゆっく……」
「……や、です」
「え?」
「……行かないで、ください」
蚊の鳴くような声だった。
「ひとりに、しないでくだ、さい」
「……わかった」
彼女はもう顔を上げていた。目を引くのはやはり、濡れることで光り輝いた大粒のエメラルド。そこからまた一つ、雫が滴り落ちた。悲しい表情だというのに、どこか絵になると思った。そりゃ学校の男子が惚れるわけだと納得する。
「じゃあ、なにかあれば言ってくれ」
「……ありがとう、ございます」
部屋が微かな音のみで満たされる。
通り雨のような音だった。
「はい……?」
少し日が下を向き始めたくらいの午後。ステラも自習を終えたのか、ぼーっと窓の外を眺めていた。俺の言葉に気づくとくるりと振り向き、俺の顔を見る。何度見ても整った顔が、何度も見たからこそわかる整った顔と向かい合う。コミュ障が向き合うにはハードルの高い顔が正面にある。そんな美品を前に、俺はばれない程度視線を彼女の後ろの壁の方へとずらした。
「気になっていたことがあるんだ」
「……なんでしょう」
「ここに来たっていうことは、そういうことだよな」
尋ねる上であえて具体的な言葉を使わずにはぐらかした表現を使ったのは、俺なりの配慮のつもりだった。
「……まぁ、そういうことになります、ね」
探り合うように言葉を交わす。
「……先輩は、人と話すの、好きですか?」
「場合にもよるがそもそもあまり得意じゃないな。嫌いではないが、好きでもないという感じかな。曖昧な答えにはなるけれど」
「いえ、大丈夫ですよ」
ステラは少しうつむくように言葉を口にする。
「私は好きです。……いえ、好き、でした」
「……過去形、か」
あえて比べるように、時系列の見えるように紡がれたセリフにステラという人間の深部が映ったように見えた。
「私、ちょっと前までは見た目が違ったんです」
「……これ、今よりも髪が、長い、よな」
見せてくれたスマホの画面には、ステラらしき人物が映っていた。ステラらしき、という認識になってしまうのは、その画像のステラと目の前にいるステラが違う存在のように見えたからだった。
画面の中のステラは今も綺麗なあの銀髪を腰のあたりまで長く伸ばし、風に靡かせていた。ブラウスの上にはパーカーの代わりに学校指定のベストを着ており、服装の影響もあるのか、表情も画像の方が柔らかく感じる。
誰もが馴染みやすそうな優等生の雰囲気を醸し出していた。
「はい。それが元々の私、です」
「なんで切ってしまったんだ?」
髪は長くとも十分にステラに似合っていた。なんなら今のステラよりの元々のステラの方が言い方は悪いがとっつきやすく明るい印象だった。今のステラが見劣りすると言ったことではないものの、でも元々の方が良かったという感想を抱いてしまう。そもそも、髪は女の命とも言われるような代物であるというのに。
「……人付き合いに、もう疲れちゃったんです」
「疲れ、た?」
「先輩は今の私と元々の私。どっちの方が好き、ですか?」
「どっちって、……ま、まぁ、強いて言えば元々のステラの方が俺としては声かけやすいかな、と思うけど」
率直な感想だった。俺はまだ大してステラという人間のことを知らないが、見た目と言う点ではそう思った。もちろん、だからといって俺に声をかけるような勇気はないが。
「……だから、髪を切ったんですよ」
そう言うとステラは短くなったはずの自身の髪を梳かすように指に絡ませる。手櫛で髪を梳かすようなその仕草は、どこかあの時の長髪を懐かしむような哀愁があった。
「自慢にもならないし、今考えてみたらこれはすごく幸せなことだったのかもしれないんですけど。私、自分でもよくわかんないくらいに色んな方々に好意を抱かれていたんです」
「好かれていたってことか」
「はい。それもクラスメイトだけではなく、隣のクラス、同じ学年の生徒。しまいには他学年の生徒からも、告白されるようになったんです。最初はもちろん、それだけ好かれているんだという現状にありがたく思っていたんですけど、断っても断っても告白が絶たなくなってしまって」
「すごい、な」
正直そんな話は小説の中だけだと思っていた。
「まだこれだけで済むならよかったんですけどね。告白を断るとそれはそれで女子からのブーイングが生まれてしまって」
「ブーイング? ……あぁ、僻みってことか」
「まぁそんな感じです。私に告白してきた人の中には、学年でも才色兼備だと人気の男の子もいたみたいで。私は彼にあまり興味が無かったので丁重にお断りさせていただいたんですけど、それが発端になったみたいです。ちやほやされるからってお高くつくな、って。非難されることも多かったです」
「完全に理不尽だな」
「本当にそう思います。そもそも、出会って数ヶ月で何がわかるんだろうって思います。クラスメイトはまだしも、学年の違う生徒なんて私との接点もほとんどないのにどうやって私のことを好きになるんだろうって不思議でした。きっと見た目しか見ていないんだって。だからもちろん私は告白されても断り続けました。そんな、表しか知らずに好かれても嬉しくないですし、私も大して知らない相手と付き合うなんて嫌だったんです。でも、断るとその『断った』という行動の部分だけを見た人から言われました。人気者のつもりか、いつまで人を弄ぶんだって。仲良くしていた友人も次第に私と距離をとるようになっていって、どこまで人を信じていいのか、どこまで踏み入っていいのかわからなくなって。次第に私も、人付き合いに疲れてしまって……」
「だから、切ったのか」
「……はい。現状を変えるには見た目を変えるしかないと思ったんです。元々の私から雰囲気を変えるために、長い髪を切ってボーイッシュなショートにして、兄さんにもらった黒い男性物のパーカーを着て、あまり自分から喋らないようにしました。そうすることでこの現状も落ち着くだろうと、見た目だけで告白してきた方々も減るだろうって。そしたら効果はすぐに出ました。告白もされないようになって、平穏な日々に戻ったんです。ようやくこれで私もみんなと同じように過ごせるって思ったんですけどね、……そうも上手くはいきませんでした。今度は私に関わる人がいなくなってしまったんです。まるで、髪を短くした私には価値がなくなったみたいに、そのまま孤立しちゃいました。私には両極端な二択しか選択肢がないみたいで。居場所もないからどうすることもできなくて、そして、もう学校にも行きたくなくなって……。えへへ、こんな、ダメダメになっちゃいました」
重い話でごめんなさい、とステラは気づかうように微笑みかけるがもう遅い。彼女は、あまりにも多くのことを話し過ぎた。話す上で必要以上に過去の記憶を開きすぎてしまった。秘めておくべきだった感情の蓋までも開けてしまった。
大きな瞳が揺れ、その瞳が透明な膨張するなにかを必死に必死に落とさないように抱え、それが臨界点すれすれになってもまだ抱え続け、それが一層彼女の瞳をエメラルドのように輝かせる。綺麗だが、綺麗だとは思えなかった。
「……私は、どうしたら、よかったんでしょうか」
声を段々と小さくしながらも、言葉をつっかえながらも、どうにか言い切るとステラは耐えきれなくなったのか両手に自身の顔を隠し、うつむいた。声は聞こえなかった。ただ、嗚咽を溜め込んだ体が静かに静かにその肩を震わせる。土砂降りの中、道路の隅に捨てられた、段ボールの中の子犬のようだった。
「……お前はなんも悪くないだろ」
無責任な言葉が口からこぼれた。涙の一滴すら拭えない言葉だった。彼女の苦悩、自責、数多の思いを拭える言葉なんてこの世にはないのではないかと思った。
「……ちょっと外に行く。だからゆっく……」
「……や、です」
「え?」
「……行かないで、ください」
蚊の鳴くような声だった。
「ひとりに、しないでくだ、さい」
「……わかった」
彼女はもう顔を上げていた。目を引くのはやはり、濡れることで光り輝いた大粒のエメラルド。そこからまた一つ、雫が滴り落ちた。悲しい表情だというのに、どこか絵になると思った。そりゃ学校の男子が惚れるわけだと納得する。
「じゃあ、なにかあれば言ってくれ」
「……ありがとう、ございます」
部屋が微かな音のみで満たされる。
通り雨のような音だった。
0
あなたにおすすめの小説
【完結】純血の姫と誓約の騎士たち〜紅き契約と滅びの呪い〜
来栖れいな
恋愛
「覚醒しなければ、生きられない———
しかし、覚醒すれば滅びの呪いが発動する」
100年前、ヴァンパイアの王家は滅び、純血種は絶えたはずだった。
しかし、その血を引く最後の姫ルナフィエラは古城の影で静かに息を潜めていた。
戦う術を持たぬ彼女は紅き月の夜に覚醒しなければ命を落とすという宿命を背負っていた。
しかし、覚醒すれば王族を滅ぼした「呪い」が発動するかもしれない———。
そんな彼女の前に現れたのは4人の騎士たち。
「100年間、貴女を探し続けていた———
もう二度と離れない」
ヴィクトル・エーベルヴァイン(ヴァンパイア)
——忠誠と本能の狭間で揺れる、王家の騎士。
「君が目覚めたとき、世界はどう変わるのか......僕はそれを見届けたい」
ユリウス・フォン・エルム(エルフ)
——知的な観察者として接近し、次第に執着を深めていく魔法騎士。
「お前は弱い。だから、俺が守る」
シグ・ヴァルガス(魔族)
——かつてルナフィエラに助けられた恩を返すため、寡黙に寄り添う戦士。
「君が苦しむくらいなら、僕が全部引き受ける」
フィン・ローゼン(人間)
——人間社会を捨てて、彼女のそばにいることを選んだ治癒魔法使い。
それぞれの想いを抱えてルナフィエラの騎士となる彼ら。
忠誠か、執着か。
守護か、支配か。
愛か、呪いか——。
運命の紅き月の夜、ルナフィエラは「覚醒」か「死」かの選択を迫られる。
その先に待つのは、破滅か、それとも奇跡か———。
——紅き誓いが交わされるとき、彼らの運命は交差する。
一億円の花嫁
藤谷 郁
恋愛
奈々子は家族の中の落ちこぼれ。
父親がすすめる縁談を断り切れず、望まぬ結婚をすることになった。
もうすぐ自由が無くなる。せめて最後に、思いきり贅沢な時間を過ごそう。
「きっと、素晴らしい旅になる」
ずっと憧れていた高級ホテルに到着し、わくわくする奈々子だが……
幸か不幸か!?
思いもよらぬ、運命の出会いが待っていた。
※エブリスタさまにも掲載
エリート警察官の溺愛は甘く切ない
日下奈緒
恋愛
親が警察官の紗良は、30歳にもなって独身なんてと親に責められる。
両親の勧めで、警察官とお見合いする事になったのだが、それは跡継ぎを産んで欲しいという、政略結婚で⁉
悪魔な義理弟《ボディーガード》~ヤンキー校最凶犬男子の独占欲が強過ぎる~
Kore
恋愛
「余計なこと考えさせないくらい愛せば、男として見てくれる?」そう囁く義弟の愛は重くて、危険で、究極に甘い。
———勉強が大の苦手であり、巷で有名なヤンキー高校しか入れなかった宇佐美莉子。そんな義理姉のボディーガードになるため、後追いで入学してきた偏差値70以上の義理弟、宇佐美櫂理。しかし、ボディーガードどころか、櫂理があまりにも最強過ぎて、誰も莉子に近寄ることが出来ず。まるで極妻的存在で扱われる中、今日も義理弟の重い愛が炸裂する。———
月の後宮~孤高の皇帝の寵姫~
真木
恋愛
新皇帝セルヴィウスが即位の日に閨に引きずり込んだのは、まだ十三歳の皇妹セシルだった。大好きだった兄皇帝の突然の行為に混乱し、心を閉ざすセシル。それから十年後、セシルの心が見えないまま、セルヴィウスはある決断をすることになるのだが……。
中身は80歳のおばあちゃんですが、異世界でイケオジ伯爵に溺愛されています
浅水シマ
ファンタジー
【完結しました】
ーー人生まさかの二週目。しかもお相手は年下イケオジ伯爵!?
激動の時代を生き、八十歳でその生涯を終えた早川百合子。
目を覚ますと、そこは異世界。しかも、彼女は公爵家令嬢“エマ”として新たな人生を歩むことに。
もう恋愛なんて……と思っていた矢先、彼女の前に現れたのは、渋くて穏やかなイケオジ伯爵・セイルだった。
セイルはエマに心から優しく、どこまでも真摯。
戸惑いながらも、エマは少しずつ彼に惹かれていく。
けれど、中身は人生80年分の知識と経験を持つ元おばあちゃん。
「乙女のときめき」にはとっくに卒業したはずなのに――どうしてこの人といると、胸がこんなに苦しいの?
これは、中身おばあちゃん×イケオジ伯爵の、
ちょっと不思議で切ない、恋と家族の物語。
※小説家になろうにも掲載中です。
皇帝陛下の寵愛は、身に余りすぎて重すぎる
若松だんご
恋愛
――喜べ、エナ! お前にも縁談が来たぞ!
数年前の戦で父を、病で母を亡くしたエナ。
跡継ぎである幼い弟と二人、後見人(と言う名の乗っ取り)の叔父によりずっと塔に幽閉されていたエナ。
両親の不在、後見人の暴虐。弟を守らねばと、一生懸命だったあまりに、婚期を逃していたエナに、叔父が(お金目当ての)縁談を持ちかけてくるけれど。
――すまないが、その縁談は無効にさせてもらう!
エナを救ってくれたのは、幼馴染のリアハルト皇子……ではなく、今は皇帝となったリアハルト陛下。
彼は先帝の第一皇子だったけれど、父帝とその愛妾により、都から放逐され、エナの父のもとに身を寄せ、エナとともに育った人物。
――結婚の約束、しただろう?
昔と違って、堂々と王者らしい風格を備えたリアハルト。驚くエナに妻になってくれと結婚を申し込むけれど。
(わたし、いつの間に、結婚の約束なんてしてたのっ!?)
記憶がない。記憶にない。
姉弟のように育ったけど。彼との別れに彼の無事を願ってハンカチを渡したけれど! それだけしかしてない!
都会の洗練された娘でもない。ずっと幽閉されてきた身。
若くもない、リアハルトより三つも年上。婚期を逃した身。
後ろ盾となる両親もいない。幼い弟を守らなきゃいけない身。
(そんなわたしが? リアハルト陛下の妻? 皇后?)
ずっとエナを慕っていたというリアハルト。弟の後見人にもなってくれるというリアハルト。
エナの父は、彼が即位するため起こした戦争で亡くなっている。
だから。
この求婚は、その罪滅ぼし? 昔世話になった者への恩返し?
弟の後見になってくれるのはうれしいけれど。なんの取り柄もないわたしに求婚する理由はなに?
ずっと好きだった彼女を手に入れたかったリアハルトと、彼の熱愛に、ありがたいけれど戸惑いしかないエナの物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる