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7話①
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「……なんでこうも肝心なものを忘れるんだろうな」
十二月二十四日の平日。クリスマスなんてものがなければただの平日だが、クリスマスなんてものがあるからか、学校中の生徒がどこか浮き足立っているように見えた。すれ違う生徒は口々に、クリスマスも学校とかどうよ、なんてぼやいている。
……まぁ、相手がいる人はそう思うよな。
特に恋人がいるのであれば尚更。今日が学校の無い休日であれば、デートの約束でも立てるんだろうが。
「まぁ、今年は俺も予定があるんだけど」
放課後の俺は、買い忘れてしまったから、と変人に頼まれたおつかいをしていた。歩いて五分程のところにスーパーがあるからいいものの、ジュースと紙コップを買い忘れたというのはどうなんだ。ジュースなんて結構主要なものだと思うが。あと、買い忘れたことを夕方になって気づくのもどうなんだ。計画としていささか不安になる。……あの変人のことだし、抜けている方が平常運転なのかもしれないが。
俺はレジにて会計を済ませ、それらの入ったレジ袋を右手に下げながら藍の差す、橙の空の下を歩く。空気がしん、と冷たい。予報では雪が降るほどではない、と言っていたが降ってもおかしくないような空気だった。ホワイトクリスマスなんて洒落てロマンチックな展開を求めているのかもしれない。
……そんな相手はいないけれども。
「……今の俺が、俺、なんだろうか」
一人でいることをどこかで美徳だと思っていた俺。
人の温もりに触れ、その価値を知り始めた俺。
どちらもあたりまえに俺のこと。
時間と言う境界線によって区別された、二つの俺。
そんな二つが混ざったように俺の中にて共存している。
その割合は日々変化していくが、どちらの俺も俺である以上、俺として居座っている。その二つの俺の温度差に戸惑うことも多かった。考え方が全く違う二人。そんな二人に左右から引っ張られているような毎日はめまぐるしい。
だがもちろん、嬉しくもあった。俺の日常を新しい価値観や経験が彩り、塗り替えていく。それも、明るく輝かしい暖色の水彩で。文字通り、心が洗われるようだった。俺の人生においてこんなにも人と距離を縮めることは過去になかった。日常の中に色が見える感覚もなかった。今までの世界はどれも灰色のようで。
そんな褪せた世界の中で一際目立つ、あのエメラルドの瞳。
そこに触れて初めて気づいた世界の色。こんなにも綺麗だったとは知らなかった。息苦しさの向こう側を、ようやく見ることができた。
でも、だからこそ、今は別の恐怖が生まれている。
家に帰れば、教室に行けば、せっかく色づいた世界もまた灰色に霞んでしまう。どんなに綺麗な色だと知っていたって、どんなに目を凝らしたって、灰色に戻ってしまう。一時的な魔法のようだった。解ける瞬間を、いつの間にか怖いと思うようになってしまった。
俺は触れすぎたのかもしれない。
本当に欲しかったものに。
ずっと満たされなかった理由に気づいてしまった。
今更になってわかってしまった。だからふと思ってしまう。
あの日、死ねていたら、と。
一年前のあの日、あの屋上。
あそこにあの変人がいなかったら。
あの秋の昼下がり、ステラに会わなければ。
なにも知らないままだったら、或る意味幸せだったんじゃないだろうか。
有るものは無くなり、形あるものはいつか壊れる。
全てのものは有限であり、終わりが必ずある。
いつかあそこを出る日も来る。
俺たちは大人にならなくてはならないのだから。
だから、もがくしかないんだろう。
時間に置いて行かれないように。
俺は、俺の形で進み続けなくてはならない。
「……かっこわるいな」
この右手の重みも幸せの一部だった。こうやってそんな幸せに触れられたのは、あの二人のおかげだというのに。どうして不意に、どうしようもない不安に押されてしまうのだろうか。今だって、俺の帰りを待っているというのに。
『……その、もっかい、頭撫でてください。頑張ったね、って』
どうしてか、この前のセリフが頭の中で再生された。故意的ではなく、自然に。花緑青の瞳に、触れると柔らかい銀髪。そして、少しずるい、澄んだ甘え上手の声。
最近、とある少女のことを考える時間が増えた気がする。
部屋で帰りを待つ、ある少女のこと、を。
「……ばかかよ」
まるで片思いしているみたいじゃないか、と自嘲する。そんなこと、今までしたこともないくせに。知ったようなことを言うなよと思った。それに、そんなことをできるような人間でもないのに。
「……帰るか」
俺は暗くなる前に、と足取りを早める。
さっきのことは、否定することも肯定することもできなかった。
☆ ☆ ☆ ☆
「買ってき……」
「「お誕生日おめでと~!」」
「んぁ!?」
部屋のドアを開けた途端、そんな言葉と共にパン! という破裂音が俺を迎える。破裂音の正体はどうやらクラッカーだったようで、変人とステラの手元から伸びたカラーテープが俺の肩に数本かかっていた。クラッカーの標的にされるのは人生で初めてだった。
「これは一体……」
こんなイベントがあるなんて聞かされていないが。
「先輩の誕生日、今日ですよね?」
「……確かにそうだった」
「え、反応が薄い」
「い、いやっ、その……」
こういうのは経験がなくて。という言葉が出てきそうになり、慌ててどもる。そんな言葉はこの場に相応しくない。ひっそりと隠した。
誕生日を祝うなんて習慣は俺の家にはなかった。精々クリスマスの分もあわせたプレゼントが与えられ、用意される食事が豪勢になる程度だった。年を取ることはただの過程だと思っていた。
「ま、少年はこういうサプライズに慣れていないんだよ」
俺の無言を誤魔化すように、変人は口を開いた。
「ほら、少年はこの間まで自他共に認めるような陰キャだったし」
「陰キャで悪かったな」
内心助かったと思いつつ、だがこれはこれで一言余計だろ、と悪態をつく。
「いや、なんというか、ほら、俺の誕生日って十二月二十四日でクリスマスに被るし、なんかそれに比べると霞んでしまうから。こうやって人に祝わってもらえる、みたいなのは経験がなくて。……というかステラ、今日はクリスマスの集まりじゃなかったのか?」
「本音と建前です」
「多分それ使い方間違ってる」
「いいんです。先輩のことをお祝いできるのなら、なんでも」
ステラは丁寧に俺の肩にかかったカラーテープを外すと、どうぞ、と奥の席へ促す。よく見ると部屋は俺が知らぬ間にデコレーションされていた。クリスマスらしく小さなクリスマスツリーなんかが置いてあったのは知っていたが、壁には風船や派手なHAPPY BIRTHDAYと書かれたものが飾られている。
「今日のは全部、ステラが企画したんだよ」
「え、そうだったのか」
あれ、俺を誘う時は変人と企画していたって言っていなかったか?
「兄さん、余計なことは言わないで。……恥ずかしいでしょ」
思わぬ兄のカミングアウトにべーっと舌を出すとステラは、持ちます、と俺からジュースの入ったレジ袋を奪って用意を始める。照れ隠しに見えた。
「ってか、俺、誕生日なんて言ったっけ?」
「兄さんが教えてくれました。クリスマスも学校があるならなにかしたいと言った時に、その日は先輩の誕生日だよって」
変人の方へ視線を向けるといやぁ、と掴めない反応を見せる。
「別に減るものでもないしいいかなぁって」
「まぁ、いいが」
俺は不思議な感覚を胸に秘めたまま、言われた席へ座る。
机には小ぶりのホールケーキがあった。俺が甘いものを苦手だと知っているからか、フルーツが多く乗った生クリーム控えめのケーキだった。サンタの砂糖菓子の乗っていない、誕生日プレートの乗ったケーキ。
『からすやせんぱい
おたんじょうびおめでとう』
その文字にも心がきゅっとなる。
嬉しいのに、目元が潤んでしまいそうだった。
「あぁ、少年。気づいたかい」
俺がケーキに綴られた祝福に目を奪われていると変人は楽しそうに言葉を続ける。
「僕としてはケーキならなんでもいいかなと思ったんだけど、ステラがどうしても許してくれなくてね。先輩は甘いのが苦手だからって悩んでいたし、ケーキもクリスマスケーキじゃなくてちゃんと誕生日ケーキじゃないとダメだって食い下がらなくて。お店に言ってわざわざ誕生日ケーキとして作ってもらったんだ」
「もう兄さんのばか。さっきから口が軽すぎ」
ステラが反発したように声を上げる。
「そうだったのか、ステラ」
「……ノーコメント、です」
ステラはぷんっと顔を合わせてくれない。
度重なるカミングアウトに拗ねてしまったのか、つんつんとしていた。ばか、と言葉の裏に隠れるように小さく呟く。それもまた、かわいらしく見えた。
「ありがとな」
「……どういたしまして、です。…………あと、これ」
「ん?」
「……誕生日プレゼント、です」
それは赤い箱だった。緑色のリボンで綺麗に結ばれたそれはクリスマスカラー。
大きさは丁度、両手の中に収まるほどだった。
思わぬサプライズの連続に胸が高鳴る。
「……なぁ、開けてもいいか」
「……恥ずかしいので、私がいないところで開けてほしい、です」
「わ、わかった」
「そ、それより、乾杯、しませんかっ」
コーラの注いである紙コップを受け取る。変人の手元にも同じものがあった。ステラも自分の分を用意すると、胸の高さまで持ち上げた。
「先輩の誕生日を祝って……。乾杯!」
「「乾杯!」」
温かななにかがこぼれそうになり、コーラでそれを流し込む。
夜は明るく、そして賑やかに煌めいていた。
十二月二十四日の平日。クリスマスなんてものがなければただの平日だが、クリスマスなんてものがあるからか、学校中の生徒がどこか浮き足立っているように見えた。すれ違う生徒は口々に、クリスマスも学校とかどうよ、なんてぼやいている。
……まぁ、相手がいる人はそう思うよな。
特に恋人がいるのであれば尚更。今日が学校の無い休日であれば、デートの約束でも立てるんだろうが。
「まぁ、今年は俺も予定があるんだけど」
放課後の俺は、買い忘れてしまったから、と変人に頼まれたおつかいをしていた。歩いて五分程のところにスーパーがあるからいいものの、ジュースと紙コップを買い忘れたというのはどうなんだ。ジュースなんて結構主要なものだと思うが。あと、買い忘れたことを夕方になって気づくのもどうなんだ。計画としていささか不安になる。……あの変人のことだし、抜けている方が平常運転なのかもしれないが。
俺はレジにて会計を済ませ、それらの入ったレジ袋を右手に下げながら藍の差す、橙の空の下を歩く。空気がしん、と冷たい。予報では雪が降るほどではない、と言っていたが降ってもおかしくないような空気だった。ホワイトクリスマスなんて洒落てロマンチックな展開を求めているのかもしれない。
……そんな相手はいないけれども。
「……今の俺が、俺、なんだろうか」
一人でいることをどこかで美徳だと思っていた俺。
人の温もりに触れ、その価値を知り始めた俺。
どちらもあたりまえに俺のこと。
時間と言う境界線によって区別された、二つの俺。
そんな二つが混ざったように俺の中にて共存している。
その割合は日々変化していくが、どちらの俺も俺である以上、俺として居座っている。その二つの俺の温度差に戸惑うことも多かった。考え方が全く違う二人。そんな二人に左右から引っ張られているような毎日はめまぐるしい。
だがもちろん、嬉しくもあった。俺の日常を新しい価値観や経験が彩り、塗り替えていく。それも、明るく輝かしい暖色の水彩で。文字通り、心が洗われるようだった。俺の人生においてこんなにも人と距離を縮めることは過去になかった。日常の中に色が見える感覚もなかった。今までの世界はどれも灰色のようで。
そんな褪せた世界の中で一際目立つ、あのエメラルドの瞳。
そこに触れて初めて気づいた世界の色。こんなにも綺麗だったとは知らなかった。息苦しさの向こう側を、ようやく見ることができた。
でも、だからこそ、今は別の恐怖が生まれている。
家に帰れば、教室に行けば、せっかく色づいた世界もまた灰色に霞んでしまう。どんなに綺麗な色だと知っていたって、どんなに目を凝らしたって、灰色に戻ってしまう。一時的な魔法のようだった。解ける瞬間を、いつの間にか怖いと思うようになってしまった。
俺は触れすぎたのかもしれない。
本当に欲しかったものに。
ずっと満たされなかった理由に気づいてしまった。
今更になってわかってしまった。だからふと思ってしまう。
あの日、死ねていたら、と。
一年前のあの日、あの屋上。
あそこにあの変人がいなかったら。
あの秋の昼下がり、ステラに会わなければ。
なにも知らないままだったら、或る意味幸せだったんじゃないだろうか。
有るものは無くなり、形あるものはいつか壊れる。
全てのものは有限であり、終わりが必ずある。
いつかあそこを出る日も来る。
俺たちは大人にならなくてはならないのだから。
だから、もがくしかないんだろう。
時間に置いて行かれないように。
俺は、俺の形で進み続けなくてはならない。
「……かっこわるいな」
この右手の重みも幸せの一部だった。こうやってそんな幸せに触れられたのは、あの二人のおかげだというのに。どうして不意に、どうしようもない不安に押されてしまうのだろうか。今だって、俺の帰りを待っているというのに。
『……その、もっかい、頭撫でてください。頑張ったね、って』
どうしてか、この前のセリフが頭の中で再生された。故意的ではなく、自然に。花緑青の瞳に、触れると柔らかい銀髪。そして、少しずるい、澄んだ甘え上手の声。
最近、とある少女のことを考える時間が増えた気がする。
部屋で帰りを待つ、ある少女のこと、を。
「……ばかかよ」
まるで片思いしているみたいじゃないか、と自嘲する。そんなこと、今までしたこともないくせに。知ったようなことを言うなよと思った。それに、そんなことをできるような人間でもないのに。
「……帰るか」
俺は暗くなる前に、と足取りを早める。
さっきのことは、否定することも肯定することもできなかった。
☆ ☆ ☆ ☆
「買ってき……」
「「お誕生日おめでと~!」」
「んぁ!?」
部屋のドアを開けた途端、そんな言葉と共にパン! という破裂音が俺を迎える。破裂音の正体はどうやらクラッカーだったようで、変人とステラの手元から伸びたカラーテープが俺の肩に数本かかっていた。クラッカーの標的にされるのは人生で初めてだった。
「これは一体……」
こんなイベントがあるなんて聞かされていないが。
「先輩の誕生日、今日ですよね?」
「……確かにそうだった」
「え、反応が薄い」
「い、いやっ、その……」
こういうのは経験がなくて。という言葉が出てきそうになり、慌ててどもる。そんな言葉はこの場に相応しくない。ひっそりと隠した。
誕生日を祝うなんて習慣は俺の家にはなかった。精々クリスマスの分もあわせたプレゼントが与えられ、用意される食事が豪勢になる程度だった。年を取ることはただの過程だと思っていた。
「ま、少年はこういうサプライズに慣れていないんだよ」
俺の無言を誤魔化すように、変人は口を開いた。
「ほら、少年はこの間まで自他共に認めるような陰キャだったし」
「陰キャで悪かったな」
内心助かったと思いつつ、だがこれはこれで一言余計だろ、と悪態をつく。
「いや、なんというか、ほら、俺の誕生日って十二月二十四日でクリスマスに被るし、なんかそれに比べると霞んでしまうから。こうやって人に祝わってもらえる、みたいなのは経験がなくて。……というかステラ、今日はクリスマスの集まりじゃなかったのか?」
「本音と建前です」
「多分それ使い方間違ってる」
「いいんです。先輩のことをお祝いできるのなら、なんでも」
ステラは丁寧に俺の肩にかかったカラーテープを外すと、どうぞ、と奥の席へ促す。よく見ると部屋は俺が知らぬ間にデコレーションされていた。クリスマスらしく小さなクリスマスツリーなんかが置いてあったのは知っていたが、壁には風船や派手なHAPPY BIRTHDAYと書かれたものが飾られている。
「今日のは全部、ステラが企画したんだよ」
「え、そうだったのか」
あれ、俺を誘う時は変人と企画していたって言っていなかったか?
「兄さん、余計なことは言わないで。……恥ずかしいでしょ」
思わぬ兄のカミングアウトにべーっと舌を出すとステラは、持ちます、と俺からジュースの入ったレジ袋を奪って用意を始める。照れ隠しに見えた。
「ってか、俺、誕生日なんて言ったっけ?」
「兄さんが教えてくれました。クリスマスも学校があるならなにかしたいと言った時に、その日は先輩の誕生日だよって」
変人の方へ視線を向けるといやぁ、と掴めない反応を見せる。
「別に減るものでもないしいいかなぁって」
「まぁ、いいが」
俺は不思議な感覚を胸に秘めたまま、言われた席へ座る。
机には小ぶりのホールケーキがあった。俺が甘いものを苦手だと知っているからか、フルーツが多く乗った生クリーム控えめのケーキだった。サンタの砂糖菓子の乗っていない、誕生日プレートの乗ったケーキ。
『からすやせんぱい
おたんじょうびおめでとう』
その文字にも心がきゅっとなる。
嬉しいのに、目元が潤んでしまいそうだった。
「あぁ、少年。気づいたかい」
俺がケーキに綴られた祝福に目を奪われていると変人は楽しそうに言葉を続ける。
「僕としてはケーキならなんでもいいかなと思ったんだけど、ステラがどうしても許してくれなくてね。先輩は甘いのが苦手だからって悩んでいたし、ケーキもクリスマスケーキじゃなくてちゃんと誕生日ケーキじゃないとダメだって食い下がらなくて。お店に言ってわざわざ誕生日ケーキとして作ってもらったんだ」
「もう兄さんのばか。さっきから口が軽すぎ」
ステラが反発したように声を上げる。
「そうだったのか、ステラ」
「……ノーコメント、です」
ステラはぷんっと顔を合わせてくれない。
度重なるカミングアウトに拗ねてしまったのか、つんつんとしていた。ばか、と言葉の裏に隠れるように小さく呟く。それもまた、かわいらしく見えた。
「ありがとな」
「……どういたしまして、です。…………あと、これ」
「ん?」
「……誕生日プレゼント、です」
それは赤い箱だった。緑色のリボンで綺麗に結ばれたそれはクリスマスカラー。
大きさは丁度、両手の中に収まるほどだった。
思わぬサプライズの連続に胸が高鳴る。
「……なぁ、開けてもいいか」
「……恥ずかしいので、私がいないところで開けてほしい、です」
「わ、わかった」
「そ、それより、乾杯、しませんかっ」
コーラの注いである紙コップを受け取る。変人の手元にも同じものがあった。ステラも自分の分を用意すると、胸の高さまで持ち上げた。
「先輩の誕生日を祝って……。乾杯!」
「「乾杯!」」
温かななにかがこぼれそうになり、コーラでそれを流し込む。
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