ステラチック・クロックワイズ

秋音なお

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9話②

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――数十分後


「……ってて、慣れないことはやっぱりするものじゃないな」
「当たり前だろ、馬鹿な奴め」
 俺は負傷した右膝を庇うよう、不格好に歩く。隣にはさっきまで組んでいた学級委員が付き添い、俺の愚行に辛口の言葉を返した。
 キャッチボールの後は二つのチームに分かれて軽い試合が行われ、俺も当然それに参加したのだが、そこで負傷してしまった。俺にバッターが回ってきた時、俺が力任せに振ったバットがボールの芯を捉え、打球が大きく飛んだ。俗に言うホームランのようなものだった。クラスメイトの歓声を背中に浴びながら俺は塁を走り抜けていく。一塁、二塁、息を切らしながら、どうにかチームへの貢献だけを考えて走った。
 ……だが、一年以上体育を休んだブランクはやはり大きかった。
 三塁を越えようとした時、その時点で体は限界だったのか足が絡むようにもつれ、そして躓いた。ズザザザザ、とかっこ悪く、敗北のような音を奏でながら。しかも昨日の天気が雨だったせいで地面はまだグジョグジョしている。俺の体中が泥だらけになった。
 結果はアウトだった。
 そのまま走り抜ければホームインできたのだが、そんな淡い期待は叶わなかった。おまけに膝は躓いた拍子にしっかりと怪我している。落胆したチームの声に自分の不甲斐なさを申し訳なくなった。踏んだり蹴ったりだと思った。
「つーか、久しぶりに体動かすっていうのにあれはないだろ。ガチで走りすぎ」
「仕方ないだろ、あそこは走り切ってホームインが理想だ」
「走ってる姿勢、すっげぇ歪だったぞ」
「……まじか」
「見ていた俺からするとむしろよく三塁まで走れたと思う。正直一塁を過ぎたあたりで倒れたっておかしくなかった」
「……死にたくなるから言うんじゃない」
 一体どんなフォームで走っていたんだろうか。
 自分ではわからないが、余程ひどかったのだろう。
 だから、深く聞くこともしなかった。想像すらしたくない。
「でも、お前楽しそうだったよ」
 彼は取り繕うように、でもそこには偽りなく言葉にした。
「打球が大きく飛んで行った時、走っている時、滑って転んだ時、打球が回収されてお前がアウトになった時。どれもお前は楽しそうだった。閉じ籠る前のお前みたいな顔だった」
「どんな顔だよ」
 もっと具体的な表現ってないのか。
「わかんなくてもいいさ。とにかく俺が言いたいのは、お前が楽しそうだったってことだ。俺から言えるのはそれだけ。あとは自分自身に聞きな」
「は?」
「俺から見たお前は楽しそうだった。じゃあ次は、お前がお前自身に聞く番だ。お前から見たお前は、楽しそうだったか。大事なのは、そういうところだろ?」
「それは、……そうかもしれないな」
 俺は生徒昇降口までたどり着くと、上手いこと器用に右膝を曲げないように靴を脱ぐ。泥だらけの体、という懐かしい感覚に新鮮さを覚える。
 これはこれで悪くない。
「……次のソフトボールっていつだったかわかるか」
「明後日の午後、だな」
「わかった」
「お、来る気になったか」
「……さぁな」
「次はちゃんとジャージも持って来いよ」
「わかってる」
「風邪引いても知らないからな」
「……わかってるって」
 余計なこと言うなよ、と釘を刺すと上履きに履き替える。
 右膝が痛かった。
「保健室行ってくる」
「それがいい。しっかり消毒してもらえ」
「絶対痛いやつだな」
「今日は寒いから一段と滲みるだろうな」
「やめろ、言うな」
 くだらないやり取りを交わすと俺たちは自然と背中を向ける。
 俺が保健室、彼は教室と行先は逆の方向だった。
「……ありがとな」
「なんのことだか。俺はただ、クラスメイトが教室に全員揃っていてほしいだけだ。学級委員としての務めを全うしているだけに過ぎない」
「あぁ、そうかい」
 こいつも嘘が下手だと思った。
「じゃあ、次のソフトボールでな」
「……おう」
 さり気なく触れる程度の微妙な距離感。
 今の俺にはそれくらいの温もりがちょうど良かった。


 ☆ ☆ ☆ ☆


「失礼しま………………って、どうしてステラがここに」
「お疲れ様です。先輩」
 足の処置をしてもらうべく保健室のドアを開けるが、そこには保健教諭が不在。そしてその代わりというようにステラがいた。いつものような制服ではなく、さっきの体育から着替えていなかったのかジャージ姿だった。
「……やっぱ大丈夫だわ。教室に戻…」
「なんでですか!? 先輩怪我していますよね!?」
「いや、治った気がするから……」
 だって、久しぶりに体育したら怪我したなんてダサいじゃん。
「嘘ついてもわかるんですからね。さっきまで見ていたんですから」
「……え?」
「あ…………」
 今、なんて言った……?
 俺がステラの顔へ視線を向けるが、ステラは知らんふりを決め込んだよう顔を背けた。
 目が泳いでいる。これはあれだ。
 俺の一部始終を知っている人間の顔である。
「…………い、いや、あの、その……な、なんと言うか、別に疚しいこととかじゃなくてですね。兄さんから、先輩の体育しているところが司書室からも見えるなんて聞いたもので、き、興味がてら見ていたんですけど、そしたら塁を進んでいる最中に転んだみたいで、心配でここで待ってて……って、どうして逃げるんですか!?」
「やめろ、もうなにも言うな……俺は今から死んでやる……」
「だ、だからどうしてそんな物騒なことを言うんですか!?」
 あの醜態を見られただと……?
 そんなの、切腹からの自決展開である。あの変人にすら見られたくないというのに、まさかのステラ、気になる女の子からも見られてしまった。心臓が抉るような鋭利な羞恥に駆られる。
「いいからちゃんと消毒してください!」
「…………はぁ、わかったよ。ちゃんと消毒したらいいんだろ」
 ステラは部屋を出ようとした俺の腕までも掴んで説得を試みるため、俺はもうどうにでもなれ、という投げやりな心情で丸椅子に腰かける。ステラも俺と向かい合うようにもう一つの丸椅子に座った。
「怪我したのは右の膝だけですか?」
「多分」
「わかりました。今から消毒をしますので足を上げてもらえますか?」
 俺は頷くとステラに言われた通りに丸椅子の縁へ右足の踵を乗せ、消毒しやすいように膝を突き出すような姿勢をとる。ジャージ姿のステラというのは見慣れないからか、どうも直視がしづらい。銀髪ショートという髪型の持つボーイッシュな要素が引き出され、活発的で明るい後輩という印象だった。
「……っ、いてて」
「滲みますよね。もう少しで終わりますから」
 オキシドールを含んだ脱脂綿が傷口に触れる度、ヒリヒリとした痛みが表面から内側へ走る。怪我という怪我の経験が最近なかったため、この感覚も懐かしく思えた。独特のオキシドールの臭いも。
「……っと。はい、できました。こんな感じでどうでしょう」
「……すごいな、綺麗にできてる」
「えへへ。ありがとうございます。元々、中学の頃は運動部のマネージャーをしていたので、こういうのは意外と経験があるんです」
「なるほど、……ありがとな」
「いえいえ。先輩のお役に立てたなら良かったです」
 ガーゼと白いマスキングテープにて最小限に傷口の守られた右膝は動きやすく、見栄えもよかった。傷口に見栄えなんてものはないかもしれないが、とにかく無駄のない綺麗なものだった。
「ソフトボール、どうでした?」
「久しぶりだったが全然ダメだったな。あんなすぐに躓くなんて思いもしなかった。体の衰えすら感じた」
「泥だらけになっていましたもんね」
「そこも見ていたのか……」
「キャッチボールを始めたところから見ていましたので」
「頼むから言わないでくれ、恥ずかしい」
「冗談ですよ」
 くすっと控えめな笑みをこぼすとステラは処置に使った道具類を片付ける。元運動部のマネージャーというのもあってか、やはり手つきが慣れていた。
「楽しそうでしたね」
「そうかもな」
「否定しないんですね」
「事実だからな」
「そう、ですか。……先輩は変わりましたね。素直に自分のことを話してくれるようになりました」
「変わってほしいってステラが言っていたからな」
「そうですね。変わってもらえて嬉しいです」
 ステラは不意に椅子から立ち上がると一歩俺の元へと距離を詰め、そのまま俺の頭を撫で始める。ゆっくりと、頭の上で右手が往復する。
「先輩は、よく頑張りました」
 優しく、柔らかく、あやすような声。
 ある春の日、陽だまりの中にいるようだった。
「……俺、子供じゃないんだけど」
「十七歳はまだ未成年です。未成年なんだし、子供でもいいじゃないですか」
「けどこれって小さい子供向けのものだろ?」
「そんなのは関係ないです。子供も大人も頑張ったら頑張った分、褒められるべきです。先輩は、そう思いませんか?」
「……それは、まぁ」
「私だって、頑張った時くらい、頑張ったねって褒めてもらいたいです。先輩が前に撫でてくれた時だって嬉しかったんです」
 だから、子供でもいいじゃないですか、とステラは俺の頭を撫で続ける。それは子供をなだめるというよりは心臓をなだめるような手つき。温かい触れ方なのに、どこか一抹の寂しさを感じ取れる。
「また、ソフトボールできそうですか?」
「あぁ、多分」
「……それは良かったです。一歩前進ですね」
「……ステラのおかげだな」
「私はなにもしていませんよ……?」
「俺もさっき、ステラが外で体育してんの見てたんだ」
 その言葉にステラは驚いたのか撫でる手が止まり、そしてその手はするりと下りる。俺も椅子から立ってステラを見下ろすとステラと視線が合った。恥ずかしいような、驚いたような、どっちににも見て取れる顔だった。
 でも、少し浮かない顔。
「……見てたんですね」
「ステラだって見ていたんだし、おあいこだろ。……それとも、ダメだったか」
「いいえ、ダメってことはないんですけど、見られているなんて想像していなくて」
「まぁ、それはそうだよな」
 普通、誰かに見られることはない。俺だってあの変人が声をかけなければ、相手がステラではなければ見なかっただろう。
「ステラがみんなとサッカーしているところ見ててさ。勝てないな、って思ったんだ。ステラはいつも、俺の一歩先を歩いている。俺よりも前に、俺が気づく前に、俺よりも先に立って、そこから俺のことを振り向いている。俺はいつもそれを追いかけるばかりで。今日だって、ステラのことを見たから、俺もしなくちゃって思って、行ったんだ」
 年下の俺が年下のステラに手を引かれるようだった。かっこ悪いが、それが現状。閉じ籠った俺の手を引くのも、手本を見せてくれたのもステラだ。
 俺の憧憬には、いつからかステラの姿が映りこむようになった。
「……照れますね、そういうこと言われると」
「でも、事実だ」
「嬉しいです。そんなふうに思ってもらえていたなんて。先輩が私のことを、頼ってくれたみたいで、なんだか嬉しいです」
「……頼っているよ、俺は。本当に」
「あれ、これってもしかして先輩の貴重なデレ、ですか?」
「……そうやって大事なところで茶化すところ、ステラはやっぱりあの変人の妹なんだなって実感する」
「……やめてください。兄さんと一緒なんて嫌なんですが」
「ごめんごめん」
「……でも、先輩からそんなふうに思ってもらえたなら、良かったかもしれません」
 そう言い残すと、ステラは視線を俺からずらし、そのまま下を向いた。
 そのままなにも言わず、動きもしない。
 その状態で静止している。
「……どうした?」
「……先輩の鈍感」
 不満そうに言葉がチクチクと小さな棘をまとっている。
「どうしてなにを欲しがっているのかわかんないんですか」
「そう言われても………………あぁ、そういうことか」
 ……ずいぶんとずるいことを。
 俺はその小さな頭に右手をあて、俺が先程されたもののお返しのように撫でる。相変わらず、滑らかな銀髪だと思った。
「ありがとな」
「どういたしまして。こちらこそ、ありがとうございます」
 ステラの顔は見えないが、声が弾んでいる。
「……どういたしまして、だな」
 俺は小さく、言葉を残した。
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