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ある日、私は乙女ゲームの世界の悪役令嬢のカミーユ・ロードライトになっていた。
このゲームでは、悪役令嬢の最後は悲惨なものになっている……
攻略対象の王太子、ロイス・ガーネットに懸想して暴走したカミーユは、彼の側近のアシル・ジェイドによってえげつないお仕置き(社会的破滅)をされてしまうのである。
身の破滅を迎えることに恐怖を覚えた私は、ロイス様やアシルと適度な距離を保つことにした。
あの二人とは、たまに城で顔を会わす程度だ。
(ロイス様に恋をしたって無駄だし、アシルは怖いものね)
二人と関わらないに越したことはない。
カミーユの父親は、城で働く魔法使いたちのトップである魔法棟長官だ。
そんな父の伝手で、私は「赤」の魔法使いとして真面目に城に勤務しつつ、侯爵令嬢としての生活を続けている。
「赤」の魔法使いは、外に遠征することが多いから、あまり城にはいない。
ハート陣営の二人とは、顔を合わせずに済むので助かっている。
「カミーユ、近々、城で開催される舞踏会に出席することになったぞ」
ある日、屋敷へ帰って来た父が、私を見てそう言った。
「舞踏会って、妙齢の男女が踊り狂って恋の鞘当てをすると言う?」
「……カミーユ、お前はどこからそんな情報を仕入れて来たのだ」
父は、眉間を抑えて項垂れている。
おかしいな、私の大好きだった乙女ゲームでは、お約束の展開だったのだけれど……
「ともかく、これがお前の舞踏会デビューになる。当日は私がエスコートするが、仕事上付きっきりになることはできない」
「分かっているよ。お父様がお仕事している間は、大人しくデザートでも物色しているから大丈夫」
私は父を安心させる為に笑いかけたが、効果はなかった。
(信用がないな……)
彼だって、人のことは言えないと思うのだけれど。
どうせ、いつものように社交の会話の途中から魔法談義になって、相手を困惑させるに決まっている。
父も私も、似た者親子なのだから。
※
一ヶ月後……
城の大広間で、大規模な舞踏会が開催された。
隣国であるトパージェリアの王子が来るので、歓迎の意味を込めた舞踏会らしい。
トパージェリアは、魔法アイテム大国だ。
豊富な魔法資源の取れる国で、それを活かした商売で儲けている超お金持ちの国である。
一度でいいから、行ってみたいものだ。
今日の私は、エメに用意してもらった、淡い水色のドレスを身に纏っている。
デザインは、私の好みを反映したシンプルなものだ。それを着て、父と一緒に、会場内を回る。
国王様とロイス様に挨拶をして、ソレイユとアシルとも軽く会話した。
攻略対象のロイス様は、相変わらずキラキラしていて格好良い。大勢の人に囲まれて忙しそうだ。
アシルはそつなく会話を終了させると、会場の奥へと消えて行った。
消えたと言っても、女性陣に囲まれているのですぐに分かるのだけれど……
二人とも、今のところは私に憎しみを抱いていないようで、なによりだ。
そのまま、一生遠ざかっておいて欲しい。
「カミーユ、私はこれから仕事があるので、少しの間お前を一人にしてしまうが……」
途中で、父が申し訳なさそうに切り出した。
「大丈夫だってば。子供じゃないんだから」
「いや、でも、お前は十四歳……」
「平気、平気。デザート食べて待っているから」
普通は知り合いの女性に娘を預けたりするものかもしれないけれど……
魔法一辺倒の父は、その辺りに気が回らないのだ。なんせ、幼いカミーユの乳母を置き忘れたくらいだ。
私も彼の行動パターンには、馴れっこだった。
「お父様、行ってらっしゃーい」
「あ、ああ。行って来る……」
父は心配そうに私を振り返りつつ、人ごみの中に溶け込んで行った。
「さてと、暇だな……」
私は、キョロキョロと周囲を見回す。
ずっと魔法棟で勤務していたせいで、私には年の近い令嬢友達がいない。
数少ない知り合いである魔法棟勤務の貴族を探す。
「うーん、誰も見つからないなあ」
この大人数の中、知り合いを捜すのは難しそうだ。私は、早々に諦めた。
(デザートでも食べようっと)
会場の隅へ行き、カラフルなスイーツを物色する。
一人での食事は、つまらなかった。
デザートも食べ終えて暇になったので、そのまま中庭へ移動する。
静かな中庭にいると、人だらけの会場に戻るのが億劫になってきた。
噴水に腰掛けて、夜空を眺める。
大広間からは、楽団が奏でる三拍子の音楽が流れてきた。貴族達があちらこちらでダンスを踊っている。
(ロイス様やアシルは、令嬢の相手で忙しいのだろうな)
幸いなことに、私は魔法に傾倒しているせいで男性受けが悪い。
婿養子狙いの貴族の次男以降からの縁談が減るのは有り難いので、そのまま放置している。
だが、そんな私に珍しく声をかける人物が現れた。
「君は、踊らないの?」
不意に近くから聞こえた声に、私は驚いて振り返る。
すると、長い髪に異国風の衣装を着た少年が、首を傾げながら私を見ていた。
彼の身に付けているジャラジャラとした装飾類は、ガーネットでは見ない物だ。
隣国の関係者だろうか……
「……えーと、ああいう賑やかなのは好きじゃないので」
丁寧な口調で当たり障りのない返答をすると、少年は面白そうに目を細めた。
「珍しいね、貴族令嬢なのに舞踏会に興味がないなんて。将来の相手を探す絶好の機会だろうに」
「うちは娘一人なので、躍起になって未来の結婚相手を捜さなくてもいいんです。そのうち、父が適当に良い相手を見繕ってくれる筈ですから」
「へーえ? 達観しているねえ」
「魔法に関する仕事を続けさせてくれるのなら、ぶっちゃけ誰が相手でもいいです。好きなことが続けられるのなら、それで充分」
「そうなんだ。一人娘で、魔法に関する仕事に就いているということは……君は、ロードライト侯爵のところの娘さん?」
「……!?」
何故、分かったのだろう。
隣国関係者が、ただの侯爵令嬢のことを一々覚えているなんて……意外だ。
「ふふっ、驚いているね。お隣の国の貴族関連のアレコレは、全部頭に入っているんだよ」
「……すごい」
私なんて、未だにあやふやなのに。
「ねえ、折角だから……僕と踊らない? ダンスは得意?」
「……可もなく不可もなくです。一応、一通りは踊れますが」
貴族令嬢生活で、ダンスや音楽や刺繍などは嫌でも身に付いた。
マナーなども、表面上取り繕うくらいは問題ない。
何でもソコソコ上手くやれる要領の良さは、この世界でも健在だ。
「なら、問題はないね。行こう」
少年は、私の手を取ると大広間に向かって進んで行く。
「え、ちょっと? あ、あの?」
私は、混乱したまま広間の中央へと導かれた。
何故か、周囲の貴族達がどよめいている。
(魔法オタクにダンスのお相手がいて、驚いているの? 失礼な人達だな)
しかし、ダンスをするとは言ったものの……よりにもよって、中央とは!
(こんな目立つ位置は嫌だー!)
だが、私の心に反して無情にも新しい音楽が奏でられる。
「さあ、カミーユ。踊ろう?」
「え、あ、私の名前?」
この人、カミーユって名前まで知っているの!?
(まさか、全ての貴族の名前までもが、頭にインプットされているのだろうか……! すごい、すごすぎる!)
少年は、私をリードしながら、軽やかに踊る。
ものすごく踊りやすい。彼は、かなりのダンスの腕前だった。
「可愛いね。こんな美人とお近づきになれるなんて、僕は幸せ者だな」
「ぐっ!? え、あ?」
次々に少年の口から紡がれる甘い言葉に、そんなものに縁のなかった私は取り乱すばかりだ。
(今時の子供って、マセているんだなあ……)
普段、魔法棟勤めの少年少女達以外との接点のない私は、彼の態度にひたすら感心していた。
このゲームでは、悪役令嬢の最後は悲惨なものになっている……
攻略対象の王太子、ロイス・ガーネットに懸想して暴走したカミーユは、彼の側近のアシル・ジェイドによってえげつないお仕置き(社会的破滅)をされてしまうのである。
身の破滅を迎えることに恐怖を覚えた私は、ロイス様やアシルと適度な距離を保つことにした。
あの二人とは、たまに城で顔を会わす程度だ。
(ロイス様に恋をしたって無駄だし、アシルは怖いものね)
二人と関わらないに越したことはない。
カミーユの父親は、城で働く魔法使いたちのトップである魔法棟長官だ。
そんな父の伝手で、私は「赤」の魔法使いとして真面目に城に勤務しつつ、侯爵令嬢としての生活を続けている。
「赤」の魔法使いは、外に遠征することが多いから、あまり城にはいない。
ハート陣営の二人とは、顔を合わせずに済むので助かっている。
「カミーユ、近々、城で開催される舞踏会に出席することになったぞ」
ある日、屋敷へ帰って来た父が、私を見てそう言った。
「舞踏会って、妙齢の男女が踊り狂って恋の鞘当てをすると言う?」
「……カミーユ、お前はどこからそんな情報を仕入れて来たのだ」
父は、眉間を抑えて項垂れている。
おかしいな、私の大好きだった乙女ゲームでは、お約束の展開だったのだけれど……
「ともかく、これがお前の舞踏会デビューになる。当日は私がエスコートするが、仕事上付きっきりになることはできない」
「分かっているよ。お父様がお仕事している間は、大人しくデザートでも物色しているから大丈夫」
私は父を安心させる為に笑いかけたが、効果はなかった。
(信用がないな……)
彼だって、人のことは言えないと思うのだけれど。
どうせ、いつものように社交の会話の途中から魔法談義になって、相手を困惑させるに決まっている。
父も私も、似た者親子なのだから。
※
一ヶ月後……
城の大広間で、大規模な舞踏会が開催された。
隣国であるトパージェリアの王子が来るので、歓迎の意味を込めた舞踏会らしい。
トパージェリアは、魔法アイテム大国だ。
豊富な魔法資源の取れる国で、それを活かした商売で儲けている超お金持ちの国である。
一度でいいから、行ってみたいものだ。
今日の私は、エメに用意してもらった、淡い水色のドレスを身に纏っている。
デザインは、私の好みを反映したシンプルなものだ。それを着て、父と一緒に、会場内を回る。
国王様とロイス様に挨拶をして、ソレイユとアシルとも軽く会話した。
攻略対象のロイス様は、相変わらずキラキラしていて格好良い。大勢の人に囲まれて忙しそうだ。
アシルはそつなく会話を終了させると、会場の奥へと消えて行った。
消えたと言っても、女性陣に囲まれているのですぐに分かるのだけれど……
二人とも、今のところは私に憎しみを抱いていないようで、なによりだ。
そのまま、一生遠ざかっておいて欲しい。
「カミーユ、私はこれから仕事があるので、少しの間お前を一人にしてしまうが……」
途中で、父が申し訳なさそうに切り出した。
「大丈夫だってば。子供じゃないんだから」
「いや、でも、お前は十四歳……」
「平気、平気。デザート食べて待っているから」
普通は知り合いの女性に娘を預けたりするものかもしれないけれど……
魔法一辺倒の父は、その辺りに気が回らないのだ。なんせ、幼いカミーユの乳母を置き忘れたくらいだ。
私も彼の行動パターンには、馴れっこだった。
「お父様、行ってらっしゃーい」
「あ、ああ。行って来る……」
父は心配そうに私を振り返りつつ、人ごみの中に溶け込んで行った。
「さてと、暇だな……」
私は、キョロキョロと周囲を見回す。
ずっと魔法棟で勤務していたせいで、私には年の近い令嬢友達がいない。
数少ない知り合いである魔法棟勤務の貴族を探す。
「うーん、誰も見つからないなあ」
この大人数の中、知り合いを捜すのは難しそうだ。私は、早々に諦めた。
(デザートでも食べようっと)
会場の隅へ行き、カラフルなスイーツを物色する。
一人での食事は、つまらなかった。
デザートも食べ終えて暇になったので、そのまま中庭へ移動する。
静かな中庭にいると、人だらけの会場に戻るのが億劫になってきた。
噴水に腰掛けて、夜空を眺める。
大広間からは、楽団が奏でる三拍子の音楽が流れてきた。貴族達があちらこちらでダンスを踊っている。
(ロイス様やアシルは、令嬢の相手で忙しいのだろうな)
幸いなことに、私は魔法に傾倒しているせいで男性受けが悪い。
婿養子狙いの貴族の次男以降からの縁談が減るのは有り難いので、そのまま放置している。
だが、そんな私に珍しく声をかける人物が現れた。
「君は、踊らないの?」
不意に近くから聞こえた声に、私は驚いて振り返る。
すると、長い髪に異国風の衣装を着た少年が、首を傾げながら私を見ていた。
彼の身に付けているジャラジャラとした装飾類は、ガーネットでは見ない物だ。
隣国の関係者だろうか……
「……えーと、ああいう賑やかなのは好きじゃないので」
丁寧な口調で当たり障りのない返答をすると、少年は面白そうに目を細めた。
「珍しいね、貴族令嬢なのに舞踏会に興味がないなんて。将来の相手を探す絶好の機会だろうに」
「うちは娘一人なので、躍起になって未来の結婚相手を捜さなくてもいいんです。そのうち、父が適当に良い相手を見繕ってくれる筈ですから」
「へーえ? 達観しているねえ」
「魔法に関する仕事を続けさせてくれるのなら、ぶっちゃけ誰が相手でもいいです。好きなことが続けられるのなら、それで充分」
「そうなんだ。一人娘で、魔法に関する仕事に就いているということは……君は、ロードライト侯爵のところの娘さん?」
「……!?」
何故、分かったのだろう。
隣国関係者が、ただの侯爵令嬢のことを一々覚えているなんて……意外だ。
「ふふっ、驚いているね。お隣の国の貴族関連のアレコレは、全部頭に入っているんだよ」
「……すごい」
私なんて、未だにあやふやなのに。
「ねえ、折角だから……僕と踊らない? ダンスは得意?」
「……可もなく不可もなくです。一応、一通りは踊れますが」
貴族令嬢生活で、ダンスや音楽や刺繍などは嫌でも身に付いた。
マナーなども、表面上取り繕うくらいは問題ない。
何でもソコソコ上手くやれる要領の良さは、この世界でも健在だ。
「なら、問題はないね。行こう」
少年は、私の手を取ると大広間に向かって進んで行く。
「え、ちょっと? あ、あの?」
私は、混乱したまま広間の中央へと導かれた。
何故か、周囲の貴族達がどよめいている。
(魔法オタクにダンスのお相手がいて、驚いているの? 失礼な人達だな)
しかし、ダンスをするとは言ったものの……よりにもよって、中央とは!
(こんな目立つ位置は嫌だー!)
だが、私の心に反して無情にも新しい音楽が奏でられる。
「さあ、カミーユ。踊ろう?」
「え、あ、私の名前?」
この人、カミーユって名前まで知っているの!?
(まさか、全ての貴族の名前までもが、頭にインプットされているのだろうか……! すごい、すごすぎる!)
少年は、私をリードしながら、軽やかに踊る。
ものすごく踊りやすい。彼は、かなりのダンスの腕前だった。
「可愛いね。こんな美人とお近づきになれるなんて、僕は幸せ者だな」
「ぐっ!? え、あ?」
次々に少年の口から紡がれる甘い言葉に、そんなものに縁のなかった私は取り乱すばかりだ。
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