旦那様が素敵すぎて困ります

秋風からこ

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第一章

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翌日の3限の必修授業で、金曜日ぶりに涼太に会った。一瞬気まずいなと思ったけど、朋子から涼太がまた友達に戻りたいと言っていたと聞いたことを思い出して、声をかけてみようと思った。それに、私と恭ちゃんのことを秘密にしてくれていることにもお礼を言いたかった。

「涼太、久しぶり!」
「おう」
「あの、金曜日はごめんね…。突然帰っちゃって…」
「いや、俺こそしつこくして悪かったよ。結婚までしてるなら、潔くあきらめるわ」

私に気を使わせないためだろう。涼太はニカッと笑ってそう言った。

「それに、私たちのこと朋子に言わなかったんだね。ありがとう」
「まあ今まで隠してたってことは、何か理由があるんだろ?言いふらしたりはしないから安心しろ」
「あ、ありがとう…」

涼太がいい奴すぎて、私はまた感動して瞳を潤ませた。そしてそれだけに、涼太の想いに応えられないことに申し訳ない気持ちになった。涼太に他に好きな人ができたときは絶対に協力するからね!!!私はそう心に誓った。



***

 その日の授業が終わり、朋子と駅まで一緒に帰ろうかと話していたら藤川くんが声をかけてきた。

「ねぇねぇ二人とも、今週の金曜日暇?」
「暇だけど?」

朋子が答える。私も特に予定はなかったので、「暇だよ」と答えた。

「学科の先輩たちが夕飯ご馳走してくれるんだけど、一緒に行かない?」
「うーん、奢ってくれるって言うなら私は行こっかな!璃子はどうする?」
「じゃあ私も行くよー」

朋子が行くならばと思って、私も行くことにした。それに、先輩がせっかく誘ってくれてるんだもん。これを機に親交をふかめないとと思った。

「よかった!可愛い二人が来てくれると助かるよ!じゃあまた時間とか場所とか、決まったら連絡するー」
「「よろしくー」」

藤川くんが相変わらずの軽口を叩いて去って行った。

「大学ってクラスもないし、サークルとかに入らないと先輩後輩の仲も希薄なのかと思ってたけど、意外とそうでもないのかな?ご馳走してくれるなんて、優しいね!」
「ねー!いい先輩たちだよね。仲良くなれるといいね」

そんな会話をしながら私と朋子は駅まで一緒に帰った。


***


金曜日の夜、私たちは大学近くの小洒落たダイニングカフェにいた。流石先輩、大人なお店を知ってるなあと入ったときは感心してたけど、席に案内されて集まっているメンバーにびっくりした。
え?これだけ??1年生は藤川くん、朋子、私の三人。そして先輩たちは、少し長めの茶髪の優男風の人、ツーブロックの髪の毛を少し立たせたワイルド系の人、そして黒髪をさらっとなびかせたオシャレメガネの人の三人だった。全員男、そしてどことなくチャラい雰囲気がする…。勝手に大人数で、女の先輩もいて、ワイワイとした会だと思ってたけど、全然違った。
朋子と顔を見合わせるが、藤川くんも含めて男性陣はわりと皆イケメンのため満更でもなさそうだ…。
私は最近トラブル(?)続きだし、こんなお食事会は遠慮したかったが、来てしまったものは仕方がない。それに、見た目はアレだけど、良い先輩たちかもしれないし!



「じゃあ飲み物揃ったし、乾杯しよっか」

茶髪の先輩が乾杯の発生をして、皆でカチンとグラスをならす。私と朋子はソフトドリンクだけど、先輩たちはそれぞれビールやカクテルを頼んだようだ。
メンバー構成はともかくとして、料理はどれもおいしかったし、先輩たちも話題が豊富で話しやすい。…だから、私は油断していた。

トイレに行って戻ってくるとテーブルに新しい飲み物が置いてあった。斜め前に座る朋子に誰のだと聞こうとしたが、朋子は藤川くんや茶髪の先輩と盛り上がっており、話しかけられる感じではなかった。

「あ、璃子ちゃんの飲み物ほとんどなくなってたからてきとうに頼んじゃったよ。ジンジャーエール大丈夫だよね?」
「ありがとうございます。大丈夫です!」

私が不思議そうにしていたのがわかったのか、隣に座っていたオシャレメガネの先輩が教えてくれる。それまでも炭酸系のドリンクを飲んでいたため、気を使って頼んでくれたようだ。気の利く先輩だなあと思って私はそれに口をつけた。

「このジンジャーエール、ちょっと変わった味しますね?」

なんとなく後味が普通のジンジャーエールと違う気がして、オシャレメガネに聞いてみた。

「あー、ここのジンジャーエール、海外のメーカーのだからじゃないかな。おいしいよね?」

正直私は一般的なジンジャーエールの方が好きだったが、せっかく頼んでくれたものをマズイとも言えず、「そうですねー」と曖昧に笑って、その後もそのジンジャーエールを飲み進めた。



「ふふふふふふふ」

なんだかフワフワするし、やけに楽しい気分で、特に面白いことを言われたわけでもないのに笑みがこぼれる。なんでだろう?よくわからないけど、楽しくて仕方がない。

そんな私を見て、先輩たちが妖しい目を光らせていたとは露も気がつかなかった。

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