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裕介は姉に指示される2
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「高村、そうなのか」
「姉貴がそう謂うならそうだろう」
と終始曖昧な高村に坂部は、此の男は何処まで典子さんの為に動いているのか気になった。
「でも高校生だった頃は無邪気に呼び捨てていたけれど、おじいちゃんが亡くなってからは少し違ってるのね」
美紗和さんも坂部に言われて、呼び方の違いに少しは気付いたようだ。
「俺が問題にしているのは、典子さんでなく利貞ちゃんだ」
「あの子がどうしたんだ?」
「つまらないあの家のしきたりには、ウンザリしている人々も居ると分かったからだ。それでどうだろう。此の際は利貞ちゃんに四代目としてこれからはあの家のしきたりに口を挟んでもらうようにすれば、あの子の主張にはおばあちゃんでさえ異論を挟めないだろう」
これには高村は嗤った。
「何をあの子に言わすんだ」
余りにも突拍子な坂部の提案に、高村は呆れた。
「蔵の鍵を開けてどう言う覚え書きなのか確かめた上で、遺訓を続けるか廃止するか決めればいいだろう」
「そうか、我が家に無関係のお前の出した結論はもっともだと思うが、まだ二歳の子に何を言わせるんだ」
「俺があの家の晩餐会に招かれたときに、二歳にしては幼児用の椅子だが、そこに座って微動だせず、しっかりして中々凜々しくあの場を務めていた。流石は亡きおじいさんが仕込んだだけ有ると感心してその点は大丈夫だ。もし至らぬ所が有れば典子さんに補佐してもらえれば良いだろう」
聴きながら高村は、まるで子供の頃のように、時々美紗和さんの顔を窺っていた。
「あたしがしっかりしてなきゃあ。この子を守れるのはあたしだけ何だから」
と彼女も心の中では動揺しているようだ。微妙に揺れ動く彼女の瞳から、坂部は勝手に結論付けた。
「姉貴がそう謂うならそうだろう」
と終始曖昧な高村に坂部は、此の男は何処まで典子さんの為に動いているのか気になった。
「でも高校生だった頃は無邪気に呼び捨てていたけれど、おじいちゃんが亡くなってからは少し違ってるのね」
美紗和さんも坂部に言われて、呼び方の違いに少しは気付いたようだ。
「俺が問題にしているのは、典子さんでなく利貞ちゃんだ」
「あの子がどうしたんだ?」
「つまらないあの家のしきたりには、ウンザリしている人々も居ると分かったからだ。それでどうだろう。此の際は利貞ちゃんに四代目としてこれからはあの家のしきたりに口を挟んでもらうようにすれば、あの子の主張にはおばあちゃんでさえ異論を挟めないだろう」
これには高村は嗤った。
「何をあの子に言わすんだ」
余りにも突拍子な坂部の提案に、高村は呆れた。
「蔵の鍵を開けてどう言う覚え書きなのか確かめた上で、遺訓を続けるか廃止するか決めればいいだろう」
「そうか、我が家に無関係のお前の出した結論はもっともだと思うが、まだ二歳の子に何を言わせるんだ」
「俺があの家の晩餐会に招かれたときに、二歳にしては幼児用の椅子だが、そこに座って微動だせず、しっかりして中々凜々しくあの場を務めていた。流石は亡きおじいさんが仕込んだだけ有ると感心してその点は大丈夫だ。もし至らぬ所が有れば典子さんに補佐してもらえれば良いだろう」
聴きながら高村は、まるで子供の頃のように、時々美紗和さんの顔を窺っていた。
「あたしがしっかりしてなきゃあ。この子を守れるのはあたしだけ何だから」
と彼女も心の中では動揺しているようだ。微妙に揺れ動く彼女の瞳から、坂部は勝手に結論付けた。
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