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母に啖呵を切ったものの当てがあるわけがなく、日曜日に実家から帰ってきてもう水曜日になってしまった。
「はぁ…」
何回目のため息だろう。仕事もはかどらない。
コーヒーでも入れよう。
立ち上がり給湯室へと入ると、加奈が後ろから来た。
「先輩、悩み事ですか?」
「加奈ちゃん……。そんな風に見える?」
「そりゃ、あれだけため息ついてたら分かりますよ」
気づかれていたのかとバツが悪くて苦笑いしか出てこない。
「加奈ちゃんもコーヒー飲む?」
「頂きます。で、先輩? 悩み事はなんですか??」
可愛い口調なのに拒否できない。やっぱり、流してはくれないのか。
「せーんぱい?」
天使の笑顔の奥にある瞳から逃げようにも逃げ道が無いことを悟ってしまう。
「……もう、分かったから。でも、今言わないとダメ?」
チラッと私の背後を気にした様に見えたと思ったら少し考える素振りをみせたかと思うと、天使の微笑みを撒き散らす。
「はぁ、白状します……」
無言の圧力に負けました。
自分の情けない話を後輩にするのも気が引けたが、話してスッキリする方を選んだ。
「来週、……お見合いさせられるんだよね」
「お見合いですか?」
「そう、お見合い。多分そのまま結婚させられる。もしかしたら、仕事も辞めないといけないかも」
「えっ?お見合いだけして断れないんですか?」
「無理なのよね。会ったが最後、そのまま話が進んでいくでしょうね。親が早く結婚させたがってて、とりあえず30過ぎる前にって」
話しててもため息しか出てこない。
「母親に今週中に彼氏を連れてけば、お見合い中止してくれるって言ってたんだけど」
そんな相手いるわけないじゃない。
加奈は、顎に手をやり考え込んだ。
「先輩!とりあえず今日作戦立てましょ!帰り待ってて下さいね」
「作戦って。いや。もう、相手いない時点で詰んだでしょ」
「先輩!まだ、水曜日です!まだ間に合うかもしれないですよ?」
握り拳を作り息巻いている。天使だとそんな姿も可愛い。こんな子なら直ぐにでも彼氏になりたいと思う男が沸いて出てくるだろう。
「ちゃんと、帰り待ってて下さいね!」
「うん。分かった。ありがとうね。加奈ちゃん」
「って事で、私。下準備あるので先に戻りますね」
下準備?会議かなんかあったっけ……?
疑問に思いつつも見送り自分もコーヒーを持って席へと戻った。
「はぁ…」
何回目のため息だろう。仕事もはかどらない。
コーヒーでも入れよう。
立ち上がり給湯室へと入ると、加奈が後ろから来た。
「先輩、悩み事ですか?」
「加奈ちゃん……。そんな風に見える?」
「そりゃ、あれだけため息ついてたら分かりますよ」
気づかれていたのかとバツが悪くて苦笑いしか出てこない。
「加奈ちゃんもコーヒー飲む?」
「頂きます。で、先輩? 悩み事はなんですか??」
可愛い口調なのに拒否できない。やっぱり、流してはくれないのか。
「せーんぱい?」
天使の笑顔の奥にある瞳から逃げようにも逃げ道が無いことを悟ってしまう。
「……もう、分かったから。でも、今言わないとダメ?」
チラッと私の背後を気にした様に見えたと思ったら少し考える素振りをみせたかと思うと、天使の微笑みを撒き散らす。
「はぁ、白状します……」
無言の圧力に負けました。
自分の情けない話を後輩にするのも気が引けたが、話してスッキリする方を選んだ。
「来週、……お見合いさせられるんだよね」
「お見合いですか?」
「そう、お見合い。多分そのまま結婚させられる。もしかしたら、仕事も辞めないといけないかも」
「えっ?お見合いだけして断れないんですか?」
「無理なのよね。会ったが最後、そのまま話が進んでいくでしょうね。親が早く結婚させたがってて、とりあえず30過ぎる前にって」
話しててもため息しか出てこない。
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そんな相手いるわけないじゃない。
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「先輩!とりあえず今日作戦立てましょ!帰り待ってて下さいね」
「作戦って。いや。もう、相手いない時点で詰んだでしょ」
「先輩!まだ、水曜日です!まだ間に合うかもしれないですよ?」
握り拳を作り息巻いている。天使だとそんな姿も可愛い。こんな子なら直ぐにでも彼氏になりたいと思う男が沸いて出てくるだろう。
「ちゃんと、帰り待ってて下さいね!」
「うん。分かった。ありがとうね。加奈ちゃん」
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疑問に思いつつも見送り自分もコーヒーを持って席へと戻った。
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