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四方山日記
あなたに何が分かる
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俺と綿貫は名古屋駅の近くにあるモールに行くことにした。
綿貫はデートをしろ、と俺に言ったわけだが、どうということはない。彼女の買い物に付き合えば良いだけだ。
綿貫が言うには、もうすぐ佐藤の誕生日があるから、プレゼントを探したい、と。
俺が佐藤の誕生日が、いつなのか全く知らなかったことは、言わないでおいた。
男子禁制とも思えるような雰囲気の雑貨屋で、綿貫が小物を見ているのを俺は待っていた。男の俺が見るものは特にはなかった。
「どういうものを渡そうと思っているんだ」
何もしないでいるのは暇だったので、綿貫に話しかける。
「可愛らしい髪留めを捜しているんですが。これなんかどうでしょう」
綿貫が手にしているのは、キャピキャピして、いかにも女子女子しているアイテムだった。
「……あれに、可愛いのが似合うのか?」
綿貫はジト目になって、言った。
「ひどいですよ深山《みやま》さん。深山《みやま》さんだって留奈さんのこと可愛らしい女の子だって言ってたじゃないですか」
なんと遺憾《いかん》なことを。
「いつそんなことを俺が言った」
「池田山に行った時です」
……。半年近く前の話だ。綿貫の記憶力は化け物並みかよ。
確かにそのような話をしたかもしれない。
いくらか誇張《こちょう》が入っている気もするが。
綿貫から渡すプレゼントは綿貫が選ぶべきで、俺に尋ねるのは妥当ではないだろう、と言ったところ、だったら俺も何か選べと言われた。
「俺からもらってあいつが喜ぶとは思えんのだが」
「そんなことないですよ。お誕生日を祝われるのは誰からであっても嬉しいものです」
そうなのか。
「深山さんだってそうでしょう」
「……俺、家族以外に祝われたことないから分からん」
「えっ……」
どうしてそんな目で見てくるのだ。俺がかわいそうな子みたいじゃないか。
「俺の誕生日は八月だ。つまり、夏休み中なんだ。だから友達? とは会えないだろ」
そうはいうものの、俺が学期中に誕生日を迎えたとしても、誰かに祝ってもらえるとは思えんがな。
「言ってくだされば、お祝いしましたのに。もう過ぎてしまいましたね。来年は必ずお誕生祝いしましょう」
ああ、綿貫はいい子だ。
「ところで、お前の誕生日はいつなんだ」
「十一月十一日です」
おー、何とも綺麗な。
そういう他愛もない話をしているときだった。
「あれ綿貫さんじゃない」
後ろのほうから、女子の声が聞こえてくる。
俺は首を動かし、声の聞こえてきたほうを見た。
そこにいたのは、見知らぬ、だがうちの高校の制服を着た女子生徒並びに野郎共だった。男三人、女二人で買い物をしているらしい。
「クラスの奴か?」
俺は綿貫に小声で尋ねる。
「ええ」
五人組はこちらに近づいてきた。綿貫はそちらに体を向ける。
「やっぱり綿貫さんだ。買い物?」
グループのリーダー格らしき女が綿貫に向かって話しかけてくる。
「はい。友達の誕生日プレゼントを買いに来たんです」
「ふーん」
俺は、あくまで付き添いです、という雰囲気を醸し出すことに躍起になっていた。あるいは空気だと思われるとなお良い。
山岳部部長とその部員が一緒にモールで買い物をしていたとなればどんな風評被害が立つか堪ったものではない。
だが俺の努力虚しく、彼らの注意を俺から逸らすことは叶わなかった。
教室にいるときは誰にも顧みられないというのに、どうしてこういうことになるのだろうか。
「それ誰? 彼氏?」
それは爆弾だ。
俺は自分の気持ちを綿貫に伝えた。
綿貫は彼女の気持ちを俺に伝えた。
だが、それだけなのだ。
付き合う、つまり、恋人交際をする、という約束はなされていない。好きです、その言葉を口にしただけだ。俺と綿貫の関係はまさに友達以上恋人未満であって、宙ぶらりんの状態である。
俺は一歩前に踏み出すことはできなかった。綿貫にもできなかった。
俺が綿貫さやかの隣にいる条件を、今は逆立ちをしても満足することが出来ないからだ。
お家の柵《しがらみ》。彼女はそれに強くその身を制限されている。俺はその柵《しがらみ》を超えて彼女に近づくのを制限されている。
綿貫さやかの隣にいる条件、それは医師になることだった。
長らく続く平成不況のおかげか、医学部における受験戦争はかつてないほどの激戦となっていた。日本の頭脳が、その地位と権力と金と安定性を求めて、こぞって医学科に入学することを目指した。
国公立私立問わず、軒並《のきな》みその偏差値はあがり、旧帝大のトップ校に受かるような連中でも地方国立医でさえ浪人するのが当たり前、とさえ言われている。
そういうところを潜《くぐ》り抜けないと、俺に綿貫のそばにいる資格は与えられないのである。
はっきりいって、失敗する可能性が大きい。俺みたいな不純な動機で医師を目指す奴はいるだろうが、能力ある奴ほど打算的《ださんてき》で、狡猾《こうかつ》で、道徳の欠ける傾向にある。俺はそういうずる賢い奴らと渡り合わなければならない。
狭き門だ。血の滲《にじ》むような努力をしても通れるとは限らない。
それなのにどうして今綿貫の隣にいられるだろうか。駄目だった時どういう顔をして綿貫に別れを告げなければならないのだろうか。
そういう思いが渦巻き、大きな障壁が立ちはだかり、俺たちは微妙な距離にあるのに甘んじなければならないのだ。
綿貫はその女子に向かって言った。
「深山さんは大切な友人です」
「ふーん」
明らかな嘲笑《ちょうしょう》が見て取れた。
俺は顔の広いほうではない。彼女たちの中に俺のことを知っているものはいないだろう。彼女たちにとっては俺はスクールカーストの最底辺にいる有象無象《うぞうむぞう》の一人であって、気に留めるべき対象ではない。
俺は校内のヒエラルキー、つまり階層がどのように決まるのかよく知らない。だが彼女たちの勝ち誇った顔を見て悟った。
女はどういう男を連れているかでどの階層に位置するのか決められてしまうのだろう。
気分の悪い話だ。
綿貫が一人であったのならばこのような蔑んだ笑いを向けられることはなかっただろうし、あるいは尊重される立場にあっただろう。才色兼備の彼女であればスクールカーストの頂点に立てるはずだ。振りをしている低俗な連中など綿貫の足元にも及ばない。
だからこそか。目の前にいる女は悪意を持って、綿貫に接する。自分にないものを持つ、綿貫さやかという存在に嫉妬して。彼女は綿貫を攻撃するために理由を探す。
それが俺なのだ。
人の価値は友人で決まる、と言ったのは誰だろうか。
もちろんそれをはじめに言った人は、内輪に閉じこもり、自分を騙し、相手を騙し、傷のなめ合いをするような上辺だけの関係にある連中に価値を見出さなかっただろう。
だが未熟な連中は勘違いし、大勢になってキャッキャうふふ騒ぐことが価値あることだと思っている。
俺一人であればそのような連中になど一瞥もくれない。リア充爆発しろ、なんて考えすら抱かない。外野が騒いでいるな、ぐらいの認識しか持たないだろう。
だが、そういうくだらない連中が綿貫さやかを馬鹿にするのは無性に腹が立つ。
萌菜先輩は否定するかもしれないが、やはり俺はたいした人間などではないのだ。俺は今までの人生でたいしたことを成していないのだから。だから、俺のことを馬鹿にするのは構わない。
しかし、俺が原因で綿貫のことを見下すのは許せない。
リーダ格の女は慇懃無礼《いんぎんぶれい》に言った。
「大海原病院のお嬢様は、さえない男が好みなんですね。意外です」
「それはどういう意味ですか」
「そのまんまの意味ですよ。あなたみたいな人がそんな面白みのなさそうな男に付き合っているのが理解できないって言いたいのよ」
「おい、そういうこと言ったるなよ。そこのさえないクンがかわいそうだろ」
後ろにいたチャラ男がそういう。下卑た笑いがそれに続く。
綿貫はそれを聞いて、気持ちを落ち着かせるように、ゆっくりと瞼《まぶた》を閉じ、それから開いた。
俺は綿貫が憤慨している姿を初めて目にしたかもしれない。瞼と唇が震えている。
そんな彼女が口にした言葉は今までのどんな言葉より強いものだった。
「あなたみたいな人に何が分かるというんですか。あなたは彼の、深山さんのことをどれくらい知っているんですか? 私は彼ほど、思慮深くて、優しくて、才能に溢れる男性を知りません。あなたがどういう男性と仲良くしてもらっているのかは存じませんが、あなたが懇意にしている人達よりも、深山さんが素敵な人であることは、断言できます。よく知りもしないで、勝手なことを言わないでください。私のことを馬鹿にするのは構いません。ですが深山さんのことは馬鹿にしないでください」
綿貫はじろりと、後ろの男どもを睥睨しては、また女に力強い目線を送って締めくくった。
やばい、かっこよすぎる。百合に走る女がいる理由も何となくわかる気がした。
さっきまで喧嘩していたことを、すっかり忘れている俺と綿貫である。つまりこうか。俺を蔑んだ目で見ていいのは綿貫だけなんだぜ。
五人組は綿貫の言葉に何か言うでもなく、「陰キャ同士、仲良くやって気持ち悪い」だとかなんとかぶつぶつ言いながら、どこかへと去っていった。負け犬の遠吠えって本当なんだな。
綿貫はふっと肩の力を抜いた。照れ隠しか、はにかんで言う。
「……買い物の続きしましょうか」
「そっ、そうだな」
綿貫はまた商品に視線を向ける。俺はそれを横から見て言った。
「ありがとな」
綿貫は少し驚いた顔をしたが、また微笑んで、
「私は素の状態でいただけですよ」
とだけ言った。
ああ、やっぱり、こいつ好きだわ。
綿貫はデートをしろ、と俺に言ったわけだが、どうということはない。彼女の買い物に付き合えば良いだけだ。
綿貫が言うには、もうすぐ佐藤の誕生日があるから、プレゼントを探したい、と。
俺が佐藤の誕生日が、いつなのか全く知らなかったことは、言わないでおいた。
男子禁制とも思えるような雰囲気の雑貨屋で、綿貫が小物を見ているのを俺は待っていた。男の俺が見るものは特にはなかった。
「どういうものを渡そうと思っているんだ」
何もしないでいるのは暇だったので、綿貫に話しかける。
「可愛らしい髪留めを捜しているんですが。これなんかどうでしょう」
綿貫が手にしているのは、キャピキャピして、いかにも女子女子しているアイテムだった。
「……あれに、可愛いのが似合うのか?」
綿貫はジト目になって、言った。
「ひどいですよ深山《みやま》さん。深山《みやま》さんだって留奈さんのこと可愛らしい女の子だって言ってたじゃないですか」
なんと遺憾《いかん》なことを。
「いつそんなことを俺が言った」
「池田山に行った時です」
……。半年近く前の話だ。綿貫の記憶力は化け物並みかよ。
確かにそのような話をしたかもしれない。
いくらか誇張《こちょう》が入っている気もするが。
綿貫から渡すプレゼントは綿貫が選ぶべきで、俺に尋ねるのは妥当ではないだろう、と言ったところ、だったら俺も何か選べと言われた。
「俺からもらってあいつが喜ぶとは思えんのだが」
「そんなことないですよ。お誕生日を祝われるのは誰からであっても嬉しいものです」
そうなのか。
「深山さんだってそうでしょう」
「……俺、家族以外に祝われたことないから分からん」
「えっ……」
どうしてそんな目で見てくるのだ。俺がかわいそうな子みたいじゃないか。
「俺の誕生日は八月だ。つまり、夏休み中なんだ。だから友達? とは会えないだろ」
そうはいうものの、俺が学期中に誕生日を迎えたとしても、誰かに祝ってもらえるとは思えんがな。
「言ってくだされば、お祝いしましたのに。もう過ぎてしまいましたね。来年は必ずお誕生祝いしましょう」
ああ、綿貫はいい子だ。
「ところで、お前の誕生日はいつなんだ」
「十一月十一日です」
おー、何とも綺麗な。
そういう他愛もない話をしているときだった。
「あれ綿貫さんじゃない」
後ろのほうから、女子の声が聞こえてくる。
俺は首を動かし、声の聞こえてきたほうを見た。
そこにいたのは、見知らぬ、だがうちの高校の制服を着た女子生徒並びに野郎共だった。男三人、女二人で買い物をしているらしい。
「クラスの奴か?」
俺は綿貫に小声で尋ねる。
「ええ」
五人組はこちらに近づいてきた。綿貫はそちらに体を向ける。
「やっぱり綿貫さんだ。買い物?」
グループのリーダー格らしき女が綿貫に向かって話しかけてくる。
「はい。友達の誕生日プレゼントを買いに来たんです」
「ふーん」
俺は、あくまで付き添いです、という雰囲気を醸し出すことに躍起になっていた。あるいは空気だと思われるとなお良い。
山岳部部長とその部員が一緒にモールで買い物をしていたとなればどんな風評被害が立つか堪ったものではない。
だが俺の努力虚しく、彼らの注意を俺から逸らすことは叶わなかった。
教室にいるときは誰にも顧みられないというのに、どうしてこういうことになるのだろうか。
「それ誰? 彼氏?」
それは爆弾だ。
俺は自分の気持ちを綿貫に伝えた。
綿貫は彼女の気持ちを俺に伝えた。
だが、それだけなのだ。
付き合う、つまり、恋人交際をする、という約束はなされていない。好きです、その言葉を口にしただけだ。俺と綿貫の関係はまさに友達以上恋人未満であって、宙ぶらりんの状態である。
俺は一歩前に踏み出すことはできなかった。綿貫にもできなかった。
俺が綿貫さやかの隣にいる条件を、今は逆立ちをしても満足することが出来ないからだ。
お家の柵《しがらみ》。彼女はそれに強くその身を制限されている。俺はその柵《しがらみ》を超えて彼女に近づくのを制限されている。
綿貫さやかの隣にいる条件、それは医師になることだった。
長らく続く平成不況のおかげか、医学部における受験戦争はかつてないほどの激戦となっていた。日本の頭脳が、その地位と権力と金と安定性を求めて、こぞって医学科に入学することを目指した。
国公立私立問わず、軒並《のきな》みその偏差値はあがり、旧帝大のトップ校に受かるような連中でも地方国立医でさえ浪人するのが当たり前、とさえ言われている。
そういうところを潜《くぐ》り抜けないと、俺に綿貫のそばにいる資格は与えられないのである。
はっきりいって、失敗する可能性が大きい。俺みたいな不純な動機で医師を目指す奴はいるだろうが、能力ある奴ほど打算的《ださんてき》で、狡猾《こうかつ》で、道徳の欠ける傾向にある。俺はそういうずる賢い奴らと渡り合わなければならない。
狭き門だ。血の滲《にじ》むような努力をしても通れるとは限らない。
それなのにどうして今綿貫の隣にいられるだろうか。駄目だった時どういう顔をして綿貫に別れを告げなければならないのだろうか。
そういう思いが渦巻き、大きな障壁が立ちはだかり、俺たちは微妙な距離にあるのに甘んじなければならないのだ。
綿貫はその女子に向かって言った。
「深山さんは大切な友人です」
「ふーん」
明らかな嘲笑《ちょうしょう》が見て取れた。
俺は顔の広いほうではない。彼女たちの中に俺のことを知っているものはいないだろう。彼女たちにとっては俺はスクールカーストの最底辺にいる有象無象《うぞうむぞう》の一人であって、気に留めるべき対象ではない。
俺は校内のヒエラルキー、つまり階層がどのように決まるのかよく知らない。だが彼女たちの勝ち誇った顔を見て悟った。
女はどういう男を連れているかでどの階層に位置するのか決められてしまうのだろう。
気分の悪い話だ。
綿貫が一人であったのならばこのような蔑んだ笑いを向けられることはなかっただろうし、あるいは尊重される立場にあっただろう。才色兼備の彼女であればスクールカーストの頂点に立てるはずだ。振りをしている低俗な連中など綿貫の足元にも及ばない。
だからこそか。目の前にいる女は悪意を持って、綿貫に接する。自分にないものを持つ、綿貫さやかという存在に嫉妬して。彼女は綿貫を攻撃するために理由を探す。
それが俺なのだ。
人の価値は友人で決まる、と言ったのは誰だろうか。
もちろんそれをはじめに言った人は、内輪に閉じこもり、自分を騙し、相手を騙し、傷のなめ合いをするような上辺だけの関係にある連中に価値を見出さなかっただろう。
だが未熟な連中は勘違いし、大勢になってキャッキャうふふ騒ぐことが価値あることだと思っている。
俺一人であればそのような連中になど一瞥もくれない。リア充爆発しろ、なんて考えすら抱かない。外野が騒いでいるな、ぐらいの認識しか持たないだろう。
だが、そういうくだらない連中が綿貫さやかを馬鹿にするのは無性に腹が立つ。
萌菜先輩は否定するかもしれないが、やはり俺はたいした人間などではないのだ。俺は今までの人生でたいしたことを成していないのだから。だから、俺のことを馬鹿にするのは構わない。
しかし、俺が原因で綿貫のことを見下すのは許せない。
リーダ格の女は慇懃無礼《いんぎんぶれい》に言った。
「大海原病院のお嬢様は、さえない男が好みなんですね。意外です」
「それはどういう意味ですか」
「そのまんまの意味ですよ。あなたみたいな人がそんな面白みのなさそうな男に付き合っているのが理解できないって言いたいのよ」
「おい、そういうこと言ったるなよ。そこのさえないクンがかわいそうだろ」
後ろにいたチャラ男がそういう。下卑た笑いがそれに続く。
綿貫はそれを聞いて、気持ちを落ち着かせるように、ゆっくりと瞼《まぶた》を閉じ、それから開いた。
俺は綿貫が憤慨している姿を初めて目にしたかもしれない。瞼と唇が震えている。
そんな彼女が口にした言葉は今までのどんな言葉より強いものだった。
「あなたみたいな人に何が分かるというんですか。あなたは彼の、深山さんのことをどれくらい知っているんですか? 私は彼ほど、思慮深くて、優しくて、才能に溢れる男性を知りません。あなたがどういう男性と仲良くしてもらっているのかは存じませんが、あなたが懇意にしている人達よりも、深山さんが素敵な人であることは、断言できます。よく知りもしないで、勝手なことを言わないでください。私のことを馬鹿にするのは構いません。ですが深山さんのことは馬鹿にしないでください」
綿貫はじろりと、後ろの男どもを睥睨しては、また女に力強い目線を送って締めくくった。
やばい、かっこよすぎる。百合に走る女がいる理由も何となくわかる気がした。
さっきまで喧嘩していたことを、すっかり忘れている俺と綿貫である。つまりこうか。俺を蔑んだ目で見ていいのは綿貫だけなんだぜ。
五人組は綿貫の言葉に何か言うでもなく、「陰キャ同士、仲良くやって気持ち悪い」だとかなんとかぶつぶつ言いながら、どこかへと去っていった。負け犬の遠吠えって本当なんだな。
綿貫はふっと肩の力を抜いた。照れ隠しか、はにかんで言う。
「……買い物の続きしましょうか」
「そっ、そうだな」
綿貫はまた商品に視線を向ける。俺はそれを横から見て言った。
「ありがとな」
綿貫は少し驚いた顔をしたが、また微笑んで、
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とだけ言った。
ああ、やっぱり、こいつ好きだわ。
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