ツンデレからデレを引いたような女のせいで、高校生活が憂鬱なんだが

逸真芙蘭

文字の大きさ
24 / 43

色物と混ぜないように

しおりを挟む
「映画面白かったね」
 映画館から出たところで安曇が言った。
 
 あまり乗り気であったとはいえなかった橘も、上映中は食い入るように画面を見ていた。表情にこそ出てはいないが、それなりに楽しんだのではないだろうか。
 「暗がりに乗じて、私の足に触らないでよね」とか、「あなた、ポップコーンを食べるふりをして、安曇さんの手を触りそうだから、一番端っこに行きなさい」とか、いろいろ言われはしたが。

「まるモン、どうだった? 面白かったでしょう?」
 安曇が俺の顔を覗き込んで尋ねてくる。またたかれた彼女の長いまつ毛が、くっきり見えて、思わず目を逸らした。……そういう男の子を惑わす仕草は辞めたほうがいいと思います。

「うん、まあ」
 思ったよりは。

 俺が曖昧な反応をしたのを見てか、
「あなた本当に、ちゃんと見ていたの? スクリーンではなくて、私の顔ばかり見ていたんじゃない?」
「ちゃんと見てたよ。お前の顔なんて見飽きてるから。わざわざ見たりはせん」
 橘は微笑を浮かべて、ゆっくりと瞬きをしながら、
「そう。私の事は、目をつむっても精緻に思い浮かべられるほど、いつも見ているということね」
「そういうことではない」
「ちなみに言っておくけれど、私はあなたの顔、数秒おきに見ておかないと忘れてしまうわ」
「ああそう」

 言いたいことを言いたいだけ言った橘は満足したかのように、
「じゃあ、用も済んだし帰りましょうか」
 という。
 早く解散できるなら、そうするに越したことはないのだが、
「おい、橘」
「なにかしら?」
 そういって、すっとぼけた顔をしている。
「俺が今日ここにいる理由を忘れていないか?」
「私の事が気になって気になって仕方なくて、一緒についてきたのでしょう?」
 平常通り訳の分からないことを言っている。
「金魚鉢はどうしたんだよ?!」
 それがなければ俺は今頃家にいたはずなのに。

「ああ、そうだった。映画に夢中になっていたらすっかり忘れてしまったわ」
 本当にこの子は何なのでしょうか?

 ホームセンターを目指してモール内を、三人で歩いていく。
 途中、何かのイベントのスタッフらしき女性が、ティッシュを配っていたので何気なく受け取ったのだが、
「花丸君、今ティッシュ配りのお姉さんが、若くて綺麗だったから受け取ったのでしょう。本当いやらしいったらありはしないんだから」
 と橘が眉をひそめて言った。

「なら、お前があれをやったらすぐにティッシュなくなっちまうな」
 そういったところ、橘はこちらを見ることもせずに
「……馬鹿」
 と言った。それからスタスタと歩く速度を速めて、前に行ってしまった。

 残された俺は安曇に
「なあ安曇。なぜ俺は今罵倒されたんだ?」
 と尋ねる。

「まるモンって頭いいのに馬鹿だよね」
 ……。
 多数決でとにかく俺は馬鹿らしい。

 ホームセンターは映画館と反対のところにある。いろんな店の横を通り過ぎる訳だが、旅行代理店の横を通り過ぎた時安曇が、
「ねえ、ソロモンってどこにあるの? グアムらへん?」
 と不意に尋ねてきた。店頭のチラシでも見たのだろうか。

 橘がすぐさま
「ガダルカナル島がある所よ」
 と答えた。
「アナルカナル? 何それ?」
「それは肛門管。すごくわかりやすく言うとケツの穴だ。公共の場で大声で言うことじゃない」
 安曇はそれを聞くとさっと顔を赤くして
「そんなの知らないもん」
 という。

 そうしたら橘が
「花丸君、女の子に卑猥な事を言わせて興奮する趣味辞めた方がいいわよ」
「俺悪くないだろ。むしろ話を余計分かりにくくするような例を出してきたお前が悪い。ガダルカナル島がどこにあるのかなんてふつう知らんだろ」
「あら、中学の社会で習ったじゃない。太平洋戦争の流れが大きく変わった激戦地よ」
「生憎、俺は過去の事にはこだわらない男だ」
 人類史もそうだし、俺自身の人生についても。なにせ、「今日も家で一人だった」で夏休みの日記が完結する男だからな。振り返ったところでどうしようもない。

「そんなことをしているといつか困るわよ」
 と橘は眉をひそめて言う。
「壁にぶつかった時は回り道をすればいい」
「まるでチョロQね」
「それだと俺が愚直に真っ直ぐにしか走れない、ど阿呆みたいに聞こえるんだけど」
「え、そういう意味で言ったのだけれど。他にあるかしら?」
 可愛く首を傾げるな。余計むかつくから。
「せめてルンバとかにしてくんない?」
「あなた、ルンバより部屋を綺麗に保てる自信があるの?」
「それはあるに決まって……いやないな」
 ルンバ最強説ある。

「ねえ、結局どこにあるの?」
 完全に置いてけぼりだった安曇が、口を尖らせて尋ねてくる。

「……日本から南に進むと、ニューギニアに行くのは分かる?」
「うんと、オーストラリアの上だっけ?」
「地球は丸いから上も下もないけどな。畢竟、俺はいつでも世界の中心にいる」
「……まあそうね。ニューギニアから東の方に島伝いに行ったところが、ソロモン諸島よ」
「へえー、そうなんだ」
「おい、お前ら、俺を普通に無視すんなよ」
 これはいじめというやつではないのか?


「でもソロモンってどっかの王様だよね。そこにいたの?」
 この女どもの鼻を明かしてやるには、長年のぼっち生活で培ってきた雑な知識を披露する他ないな。

「いや、ソロモン王はイスラエルの王様。大航海時代にヨーロッパ人が金を探していたんだが、太平洋で見つけた島に、ソロモン王の黄金伝説にちなんでソロモン諸島って名前を付けたらしいぜ」
 なんの本で読んだか知らんが、どっかに書いてあった。
 
「ソロモン王って何した人?」
「七百人の妻と三百人のめかけがいた奴だな。俺にもちょっと分けてほしい」
 ハーレムもハーレム。全員の名前を憶えられたのだろうか? さすが偉大な王様だ。英雄色を好むとはまさにこのこと。俺も賢くなったらモテるのだろうか? 

 ぼんやりそんなことを考えていたら、橘が何も言わずに冷ややかな視線を向けてきていることに気がついた。
「なんだよ?」
「別に」
 ……だったらなんで睨むんだよ。


「でもすごいなあ二人とも。いろいろ知ってて」
 と安曇は感心したように言ってきた。
「まあな。俺は現地では生き字引ウォーキングディクショナリと呼ばれていたぐらいだからな」
 と適当に返す。現地ってどこだろうな。
「生き字引ではなくて、生ける屍ウォーキングデッドの間違いでしょう」
「おい、こんな血色のいい人間がゾンビぃな訳ないだろうが。お前は気づいてないかもしれんが、俺は顔が死んでるだけで、本当は色男なんだぜ。ばあちゃんにもよく言われる」
 なにせ可愛い穂波のお兄ちゃんだからな。

 橘は鼻で笑う。
「あなたが色男? 白いシャツと一緒に洗濯しては駄目なタイプの人だと思っていたのだけれど」
「おい」

 安曇は橘が何を言っているのかよく分からないようで、キョトンとしている。
「どうゆうこと?」
「俺が色物だって言いたいんだよ、こいつは」
「あ……なるほど」
 納得されると悲しいなあ。

 色物。すなわち奇人変人。……うるせえよ。

 
 そんな他愛もないやり取りをしているうちにホームセンターにたどり着いた。

 橘は金魚鉢を買うと言っていたが、利便性を考慮した結果、直方体の水槽を買うことになった。
 とはいっても重いことには変わりないので、落とされたりしても面倒だと思い、モールの出口まで俺が運ぶことにした。

 モールを出たところで、俺は安曇に、
「安曇って家どこなんだ?」
 と尋ねたところ、橘が、
「あなた、隙あらば女子の家の場所を訪ねようとするのね」
 と心底軽蔑したまなざしを向けてきた。

「ちげえよ。お前、これから駅に向かうだろ。俺はそっち方面だけど、安曇が違う方向に帰るなら、ここで解散だろ」
「私、市内だから二人と違う方向だな」
 と安曇は答えた。

「そう。じゃあ、ここでお別れね。今日はありがとう安曇さん」
「うん! また誘ってもいい?」
「ええ」

「じゃあ、また今度」
「さようなら」
 安曇が自転車にまたがり、駅と反対方面に向かうのを見送る。

「私たちも帰りましょうか」
「そだな」
 
 ホームセンターの店員に言って、自転車の荷台に括り付ける紐をもらっていたので、それで水槽を橘の自転車に固定してから出発した。

 駅の駐輪場に自転車を止めたところで、水槽を荷台から外すのを手伝い、さあ帰ろうと思った。
 だが、水槽を手に持つ橘はいかにも危なげな足取りをしていた。プラスチック製ならまだしも、ガラス製の水槽はかなり重たい。女子にとってはなおさらだろう。

 俺は少し迷ったが、腕時計を見て時間がまだある事を確認してから、よろよろと歩く彼女に声を掛け、
「運ぶの手伝おうか?」
 と言った。

「……これくらい大丈夫よ」
 と彼女は強がる。
「その割にはふらふらしているが」

 橘は反論しかけ、いったん口を紡いでから、
「……本当にいいの?」
 とじっと俺の方を見てきた。

 自分からはいろいろと無茶なお願いをするくせに、俺から手伝いを申し出た時は、妙に遠慮がちになるようだ。

「いいって思ってるからそういってんだよ」
「じゃあ、お願いしようかしら。……お家に着いたら、お礼をするわ」

 家まで付いていく気はなかったのだが、ここで訂正するのもなんだか気まずいので、結局何も言わずに、橘から水槽を受け取った。

 電車に揺られ十数分、地下鉄に乗り換えるため名古屋駅で降りる。
 地下鉄の駅に向かおうとジェーアールの改札から出て、歩き始めたところで
「花丸くん、ケーキは好き?」
 と橘が尋ねてきた。

「嫌いではないな」
「デパ地下で買おうと思うのだけれどいいかしら? うちについたら食べさせてあげる」
 さっき言っていたお礼とやらのことだろうか。
 真夏に生物なまものを運ぶ危険は無きにしもあらずだが、橘の家はここからそれほど離れたところにあるわけではないから、多分大丈夫だろう。

「いいぜ」
 そういうわけで俺たちはデパ地下に向かい、ケーキを買ってから地下鉄の駅に向かった。

 真夏になると、肌色が増えるのは言うまでもないこと。ここ名古屋でも、ミニスカやホットパンツを履いたギャルがウロウロしている。

 目の前を尻の溝が見えるほど短いパンツを履いた女が歩いていた。モデルによくいるような細い体つきではないが、ムッチリと欲情的な太ももが露呈している。
 見てくれと言わんばかりではないか。
 どんな顔だろうかと追い抜きざま振り向いてみようとしたその時、耳に激痛が走った。

「いててててぇ、耳を引っ張るなよ橘。芳一になったらどうしてくれる!」
 危うく水槽を落とすところだった。
「あら、それはあまりにも可愛い私が隣を歩いている現実が信じられなくて、お化けに化かされていると不安になったということかしら?」
「お前は何を言っているんだ?」
「……私の隣で妙な動きをするのやめてもらえる? 職質を受けても助けてあげないわよ。全力で知らないふりをするから」
「……なんのことかな?」

 それを聞いた橘はジトリとした視線を俺に向けてから、
「キャー。誰か! 助けて! この男に乱暴されるぅ! お廻りさーん!」
 と大きな声で騒ぎ始める。
「馬鹿! やめろっ! やってもないことを理由に俺を貶めようとするな!」
「では、やったことを素直に白状したらどうなの?」
「……すみませんでした」
「何が?」
「女の人を嫌らしい目で見て、すみませんでした」
「今度他の女の人に嫌らしい視線を投げかけていたら、通報するから」

 迂闊に橘と出歩いたら、社会的な死が待っているらしいから気をつけよう。




 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結】好きって言ってないのに、なぜか学園中にバレてる件。

東野あさひ
恋愛
「好きって言ってないのに、なんでバレてるんだよ!?」 ──平凡な男子高校生・真嶋蒼汰の一言から、すべての誤解が始まった。 購買で「好きなパンは?」と聞かれ、「好きです!」と答えただけ。 それなのにStarChat(学園SNS)では“告白事件”として炎上、 いつの間にか“七瀬ひよりと両想い”扱いに!? 否定しても、弁解しても、誤解はどんどん拡散。 気づけば――“誤解”が、少しずつ“恋”に変わっていく。 ツンデレ男子×天然ヒロインが織りなす、SNS時代の爆笑すれ違いラブコメ! 最後は笑って、ちょっと泣ける。 #誤解が本当の恋になる瞬間、あなたもきっとトレンド入り。

サンスクミ〜学園のアイドルと偶然同じバイト先になったら俺を3度も振った美少女までついてきた〜

野谷 海
恋愛
「俺、やっぱり君が好きだ! 付き合って欲しい!」   「ごめんね青嶋くん……やっぱり青嶋くんとは付き合えない……」 この3度目の告白にも敗れ、青嶋将は大好きな小浦舞への想いを胸の内へとしまい込んで前に進む。 半年ほど経ち、彼らは何の因果か同じクラスになっていた。 別のクラスでも仲の良かった去年とは違い、距離が近くなったにも関わらず2人が会話をする事はない。 そんな折、将がアルバイトする焼鳥屋に入ってきた新人が同じ学校の同級生で、さらには舞の親友だった。 学校とアルバイト先を巻き込んでもつれる彼らの奇妙な三角関係ははたしてーー ⭐︎第3部より毎週月・木・土曜日の朝7時に最新話を投稿します。 ⭐︎もしも気に入って頂けたら、ぜひブックマークやいいね、コメントなど頂けるととても励みになります。 ※表紙絵、挿絵はAI作成です。 ※この作品はフィクションであり、作中に登場する人物、団体等は全て架空です。

『クラスで一番モテない男が、幼なじみと“仮恋人契約”したら、本物の恋に気づいてしまった件』~報酬はプリン100個。彼女が部屋でだけ甘えん坊

月下花音
恋愛
【完結済/ハッピーエンド保証】 「ねえ、私の彼氏になりなさいよ」 「……は?」 大学1年の春。クラスで一番モテない男・藤堂健は、幼なじみの白石玲奈からトンデモない提案を受ける。 彼女は容姿端麗、成績優秀、そして近寄る男を氷のような視線で排除する、通称“氷の女王”。 そんな彼女が差し出したのは、2週間の『仮恋人契約』だった。 条件:完璧な彼氏を演じること。 報酬:高級プリン100個。 「断ったら……どうなるか分かってるわよね?」 「よ、喜んで!」 プリンに釣られて(脅されて)始まった契約生活。 しかし、いざ始まってみると――。 「……健、手繋いでいい?」 「……演技だから、もっとくっついて」 「……帰りたくない。今日は泊まっていっていい?」 おい、ちょっと待て。 これ、本当に演技なのか? ただの幼なじみだったはずの彼女が、契約期間中だけ見せる無防備な顔、甘い声、そしてとろけるような笑顔。 これは演技なのか、それとも――? 「契約とか関係ない。俺は、お前が好きだ」 モテない男と氷の女王。 嘘から始まった恋が、世界で一番甘い「本物」に変わるまでの、2週間の奇跡。

陰キャ幼馴染に振られた負けヒロインは俺がいる限り絶対に勝つ!

みずがめ
恋愛
★講談社ラノベ文庫新人賞佳作を受賞しました!  杉藤千夏はツンデレ少女である。  そんな彼女は誤解から好意を抱いていた幼馴染に軽蔑されてしまう。その場面を偶然目撃した佐野将隆は絶好のチャンスだと立ち上がった。  千夏に好意を寄せていた将隆だったが、彼女には生まれた頃から幼馴染の男子がいた。半ば諦めていたのに突然転がり込んできた好機。それを逃すことなく、将隆は千夏の弱った心に容赦なくつけ込んでいくのであった。  徐々に解されていく千夏の心。いつしか彼女は将隆なしではいられなくなっていく…。口うるさいツンデレ女子が優しい美少女幼馴染だと気づいても、今さらもう遅い! ※他サイトにも投稿しています。 ※表紙絵イラストはおしつじさん、ロゴはあっきコタロウさんに作っていただきました。

クラスで3番目に可愛い無口なあの子が実は手話で話しているのを俺だけが知っている

夏見ナイ
恋愛
俺のクラスにいる月宮雫は、誰も寄せ付けないクールな美少女。そのミステリアスな雰囲気から『クラスで3番目に可愛い子』と呼ばれているが、いつも一人で、誰とも話さない。 ある放課後、俺は彼女が指先で言葉を紡ぐ――手話で話している姿を目撃してしまう。好奇心から手話を覚えた俺が、勇気を出して話しかけた瞬間、二人だけの秘密の世界が始まった。 無口でクール? とんでもない。本当の彼女は、よく笑い、よく拗ねる、最高に可愛いおしゃべりな女の子だったのだ。 クールな君の本当の姿と甘える仕草は、俺だけが知っている。これは、世界一甘くて尊い、静かな恋の物語。

虚弱姫はコワモテ将軍の筋肉に触りたい

隙間ちほ
恋愛
無骨な英雄×病弱な筋肉フェチ姫 辺境伯の末娘エルナは、領軍の英雄マテウスとの結婚が決まった。政略結婚――のはずが、実は姫は将軍の熱烈なファン。ノリノリで嫁ぐ一方、当のマテウスは「か弱い姫君に嫌われている」と思い込み、距離を取ってしまう……。 筋肉と鼻血とすれ違いラブコメ。 超高速展開、サクッと読めます。

小さい頃「お嫁さんになる!」と妹系の幼馴染みに言われて、彼女は今もその気でいる!

竜ヶ崎彰
恋愛
「いい加減大人の階段上ってくれ!!」 俺、天道涼太には1つ年下の可愛い幼馴染みがいる。 彼女の名前は下野ルカ。 幼少の頃から俺にベッタリでかつては将来"俺のお嫁さんになる!"なんて事も言っていた。 俺ももう高校生になったと同時にルカは中学3年生。 だけど、ルカはまだ俺のお嫁さんになる!と言っている! 堅物真面目少年と妹系ゆるふわ天然少女による拗らせ系ラブコメ開幕!!

辺境伯令嬢が婚約破棄されたので、乳兄妹の守護騎士が激怒した。

克全
恋愛
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。  王太子の婚約者で辺境伯令嬢のキャロラインは王都の屋敷から王宮に呼び出された。王太子との大切な結婚の話だと言われたら、呼び出しに応じないわけにはいかなかった。  だがそこには、王太子の側に侍るトライオン伯爵家のエミリアがいた。

処理中です...