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第3章 はぁ。
第26話 先生に挨拶
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コンコンコン
「失礼しまーす」
「ん? 君は確か…」
「あ、2年前に卒業した神原です。今長期休暇中でご挨拶にでもって思ってーー」
俺は職員室に入ると、顔見知りの先生達へと挨拶を済ましていた。
まだ時間はあるし、早く行って同級生に義兄が来たとバレたら恥ずかしいし嫌だろうからな。
「ん? 世理か?」
「え、あ! 椿《つばき》先生!!」
振り返るとそこには、部活の先生であった田中《たなか》 椿先生が居た。
「おー! 久しぶりだなぁ!! 元気にしてたか?」
「まぁ、ぼちぼちですかね?」
「そうかそうか…まぁ、良かったよ」
「ははっ…あの、そういうのは流石に恥ずかしいんですけど」
俺は笑いながら、椿先生の撫でる手から逃れるようにして離れた。
「あぁ? 何を恥ずかしがる? まだまだお前は子供なんだぞ?」
「もう成人ですよ?」
「それでもだよ」
はは…椿先生には敵わないな。
「それにしても世理、何で此処に居るんだ? お前は海外の筈だろ?」
「あー、実は長期休みで実家に帰って来てるんです」
「あー、なるほどな。それで? 那由とは上手くやってるのか?」
椿先生が少し真面目な顔で聞いてくる。
「…別れました。でも今でも仲良くしてますよ」
「そうか…それでお前が良いなら何も言わないよ」
椿先生は優しそうに笑った。
…椿先生は乱暴な言葉遣いで誤解されがちだが、優しい先生だ。見た目が美人である為に、怒ってる時は迫力がある。しかし怒る時にはそれ相応の理由があって、後悔させたくないからだと前に聞いた事がある。
この人のお陰で俺は絵の事を学べたし、海外の美術大学に行けたと言っても良い。この人には感謝しても感謝しきれない。
「それで?」
「はい?」
「挨拶しに来た割にはキメて来てるじゃないか」
椿先生が此方を指差して、片方の口角を上げた。
あぁ、そうかーー。
「実は妹に文化祭準備の手伝いを頼まれまして」
「妹? お前に妹なんて居たか?」
「最近親が再婚して…ははは」
「…なるほど? それでお前は此処に来た訳か?」
「はい。一先ずは先生達に挨拶をしてからと」
そう言うと先生は眉間に皺を寄せた。
「…本当に手伝うのか?」
「え、どう言う事ですか?」
「……これだからまだ子供だって言うんだよ。まぁ、手伝ってみれば良いんじゃないか?」
椿先生は長い髪をたなびかせ、職員室から出て行った。
……どう言う事なんだろう?
俺は少し疑問を覚えながら、葵が居るであろう教室へと向かった。
*
「これはこうで良いかな?」
「う、うん。良いかも」
「それでこれはこうかな?」
「え、あ、うん…」
私達は机を寄せ、宣伝係が持つ看板作りをしていた。
これを作る為にあの人を呼んだんだけど…まぁ、途中からでも手伝って貰ったらいいか。
「それでこれはーー」
それにしても…面倒臭いなぁ。
私は、隣に座っている高波くんに気を遣って笑顔を見せながら接していた。
しかし、それが裏目に出てこの前の事を気にしていないと思われたのか、段々と高波くんの距離が近づいて来ている。
「葵? どうかしたの?」
「い、いや、何でもないよ」
環は私が高波くんから告白された事は知らない。
無闇に何も知らない環に助けを求めてもしょうがないだろう。
「はあ」
「どうしたの?」
「…何でもないよ。それよりも早く進めよう?」
「う、うん! そうだね!!」
はははは…
ガラガラガラ
そんな時ーー
「えっと…此処で合ってるよな?」
そこにはいつもの姿とは違う、髪を綺麗にワックスで固めたカッコいい人が、教室の扉を開けて入って来た。
その聞いた事がある声に私は思わず目を見開いた。
「え…あの…」
「おー、居た居た。良かった間違えたかと思ったよ」
その人、私の義兄は此方に笑顔を見せて此方へと来るのだった。
「失礼しまーす」
「ん? 君は確か…」
「あ、2年前に卒業した神原です。今長期休暇中でご挨拶にでもって思ってーー」
俺は職員室に入ると、顔見知りの先生達へと挨拶を済ましていた。
まだ時間はあるし、早く行って同級生に義兄が来たとバレたら恥ずかしいし嫌だろうからな。
「ん? 世理か?」
「え、あ! 椿《つばき》先生!!」
振り返るとそこには、部活の先生であった田中《たなか》 椿先生が居た。
「おー! 久しぶりだなぁ!! 元気にしてたか?」
「まぁ、ぼちぼちですかね?」
「そうかそうか…まぁ、良かったよ」
「ははっ…あの、そういうのは流石に恥ずかしいんですけど」
俺は笑いながら、椿先生の撫でる手から逃れるようにして離れた。
「あぁ? 何を恥ずかしがる? まだまだお前は子供なんだぞ?」
「もう成人ですよ?」
「それでもだよ」
はは…椿先生には敵わないな。
「それにしても世理、何で此処に居るんだ? お前は海外の筈だろ?」
「あー、実は長期休みで実家に帰って来てるんです」
「あー、なるほどな。それで? 那由とは上手くやってるのか?」
椿先生が少し真面目な顔で聞いてくる。
「…別れました。でも今でも仲良くしてますよ」
「そうか…それでお前が良いなら何も言わないよ」
椿先生は優しそうに笑った。
…椿先生は乱暴な言葉遣いで誤解されがちだが、優しい先生だ。見た目が美人である為に、怒ってる時は迫力がある。しかし怒る時にはそれ相応の理由があって、後悔させたくないからだと前に聞いた事がある。
この人のお陰で俺は絵の事を学べたし、海外の美術大学に行けたと言っても良い。この人には感謝しても感謝しきれない。
「それで?」
「はい?」
「挨拶しに来た割にはキメて来てるじゃないか」
椿先生が此方を指差して、片方の口角を上げた。
あぁ、そうかーー。
「実は妹に文化祭準備の手伝いを頼まれまして」
「妹? お前に妹なんて居たか?」
「最近親が再婚して…ははは」
「…なるほど? それでお前は此処に来た訳か?」
「はい。一先ずは先生達に挨拶をしてからと」
そう言うと先生は眉間に皺を寄せた。
「…本当に手伝うのか?」
「え、どう言う事ですか?」
「……これだからまだ子供だって言うんだよ。まぁ、手伝ってみれば良いんじゃないか?」
椿先生は長い髪をたなびかせ、職員室から出て行った。
……どう言う事なんだろう?
俺は少し疑問を覚えながら、葵が居るであろう教室へと向かった。
*
「これはこうで良いかな?」
「う、うん。良いかも」
「それでこれはこうかな?」
「え、あ、うん…」
私達は机を寄せ、宣伝係が持つ看板作りをしていた。
これを作る為にあの人を呼んだんだけど…まぁ、途中からでも手伝って貰ったらいいか。
「それでこれはーー」
それにしても…面倒臭いなぁ。
私は、隣に座っている高波くんに気を遣って笑顔を見せながら接していた。
しかし、それが裏目に出てこの前の事を気にしていないと思われたのか、段々と高波くんの距離が近づいて来ている。
「葵? どうかしたの?」
「い、いや、何でもないよ」
環は私が高波くんから告白された事は知らない。
無闇に何も知らない環に助けを求めてもしょうがないだろう。
「はあ」
「どうしたの?」
「…何でもないよ。それよりも早く進めよう?」
「う、うん! そうだね!!」
はははは…
ガラガラガラ
そんな時ーー
「えっと…此処で合ってるよな?」
そこにはいつもの姿とは違う、髪を綺麗にワックスで固めたカッコいい人が、教室の扉を開けて入って来た。
その聞いた事がある声に私は思わず目を見開いた。
「え…あの…」
「おー、居た居た。良かった間違えたかと思ったよ」
その人、私の義兄は此方に笑顔を見せて此方へと来るのだった。
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