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第1章.始まり

8.初戦闘

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「出たわね!」
 私はこのゲームで初の戦闘を開始する。

 スライムは私に向かって突進してくる。それを私は【影魔法】を使って防御する。


「ピギッ…!」
 スライムは、いきなり出てきた影の盾にぶつかり、苦悶の声をあげて後退する。


「ベリアル!」
 スライムが怯んでいる隙に、私はスライムを指差し、ベリアルに攻撃させる。


(任せて!!)
 そう言ったベリアルは、背から三叉槍を出すと矛先をスライムに向け、突進する。三叉槍はスライムに突き刺さった。


「ピッ…」
 スライムがポリゴンとなって消えて行く。


 〈経験値が上昇しました〉
 〈スプリングのレベルが上昇しました。3ステータスポイントを獲得しました〉
 〈ベリアルのレベルが上昇しました。3ステータスポイントを獲得しました〉


 経験値が上がって、自分達のレベルも上がって、ステータスポイントも貰ったらしい。

 思ってたよりも楽に倒せた…。

 しかもスライムに攻撃とかしてないけど、経験値が入るんだ…。戦闘に参加すれば経験値は分配されるってことかな?
 私がそう思ってたら、頭の上から声が聞こえた。


(やったー! 勝ったー!!)
 ベリアルの弾んだ声が聞こえてくる。


 まぁ…いっか!そんな事考えないで、今は初戦闘に勝った事をこの子と喜ばないと!


 私はベリアルを捕まえて、頭を撫でる。
「ベリアル~! カッコよかったよ~!」

「えへへ~! でしょ~?」


 私達がそんな事をしてると、さっきスライムを倒した所に何か落ちている事が分かった。

 そこには3ギルの硬貨があった。


「おぉー!お金だ!」
 私はその硬貨を拾う。

 なるほど。敵を倒すとこうやってお金が貰えるんだ。知らなかった。

 んー、私何も知らなすぎない? もっとちゃんと街を探検した方が良いかな。そう思った私は一旦、始まりの街 アバールへ帰った。



 ~始まりの街 アバール~


 うーん、戻ってきたはいいけど…。どこに行けばいいのか。うーむ。
 私が目を瞑り、腕を組んでると

 ドンッ

「おっと!すまねぇ、嬢ちゃん! 」
 私にぶつかったって来たのは、細身の身体をして腰に双剣を携えていた青年だった。そのまま青年は走り抜けて行ってしまった。


 すごい急いでたなぁ。何があったんだろ?
 私は少し気になったが、ぶつかった事を忘れ街を歩く。

(スプリングー。お腹減ったー。)
 ベリアルが私の頭に乗り言う。


「あー、さっき初戦闘だったからね。緊張してお腹が減りすぎたのかもね!」
 私は笑うと、すぐそこのレストランに入った。



 ~まんぷく亭~


「「「いらっしゃいませ~。」」」


 おぉ。結構賑わってる所に入っちゃった。
 私は隅に空いてる席があったのでそこに座った。

 私は置いてあったメニューを見る。
「お、おふ。」
 な、なんかめちゃくちゃ高いお店に入っちゃったっぽい…!

(うわ~!あの席の人の美味しそう~!)
 ベリアルの視線の先には、大きな肉の塊があった。

 ご、ごくり。
 いや、まぁ?お金はあるし。ゲームの中ぐらいは贅沢しないとね!そう思った私は、近くを通ったウェイトレスに声をかける。


「はい。いらっしゃいませ~。って、あれ?幻想姫?」
 ウェイトレスのお姉さんは言った。

「ゲンソウキ?」
 私は思わず聞き返した。

 お姉さんは不思議そうに聞き返す。
「あれ?もしかして掲示板でスレッドとか見てないの?」

「掲示板?」

「掲示板。冒険者ギルドに行って登録すればメニューで掲示板ってのが開ける様になるんだよ?知らない?」

 ……知らなかった…! この1つだけ使えないとこか!? 

「ははっ、知らなかったみたいだね。掲示板見ればその"幻想姫"ってのもなんだか分かるよ。それよりご注文は?」

「あ、じゃあ、これとこれを。」

「はい、じゃあ少々お待ちを~。」
 お姉さんは厨房の方へ行った。


 はぁ。やっぱり、街の中で情報収集は必須だっか~。今日みたいに何も分からないままってなってたら、良い情報とか逃しちゃうかもだし。

 私は考えながら、ベリアルとイチャコラする。
 ベリアルの頭を撫でたり、羽根を撫でたり、お腹を撫でたりした。そうして料理はすぐにできた。


「は~い、お待たせしました!」
 さっきのお姉さんが料理を置いていく。

 私は料理を食べる。するとお姉さんから声をかけられた。

「お嬢ちゃん、このゲーム始めてどれくらいなの?」

「まだ2日目です。」

「あ、そうなんだ。どおりで掲示板も知らないわけだ!」
 お姉さんが笑う。

「お姉さんは、なんで此処で働いてるんですか?」
 私は聞く。

「あー、まだ知らないか?私の職業"売り子"なの。」

「は?売り子?」

「そ、売り子。戦闘職とは違って、自分が働いた分のお金、経験値が貰えるの。」

「え、じゃあパートナーとかのレベルとかはどう上げるんですか?」

「…お嬢ちゃん。本当に何も知らないんだね。」

「すみません、何も調べたりしないで始めた方が面白いかなって。」
 私は頭を掻く。

「私のパートナーはネズミのチューって言う子なんだけど、何かお客様にトラブルがあった時とかに知らせてくれる様にしてるの。これでパートナーにも経験値が入るってわけ。」


「なるほど。ちゃんと経験値が入るように試行錯誤してこうなったってわけですか。」

「そういう事!」
 お姉さんはドヤ顔をキメる。

「興味深い話ありがとうございました!あのよかったら私とフレンドになってくれませんか?また色々聞かせて貰いたいんですけど…。」
 私は自分が情けなく、モジモジしてしまった。


「くはぁっ!!」
 お姉さんは膝をつくと苦しそうに胸を抑える。

「大丈夫ですか!!」
 現実の世界で何かあったのだろうか! 私は心配して声をかけた。

「あ、あぁ。大丈夫。えーと、私の名前はサキ。よろしくね。」
 サキさんはなぜか分からないが、かろうじて立ち上がり言った。

「はい!私はスプリングと言います!よろしくお願いします!」

 私に初のフレンドが出来た。
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