Koruseit world online〜魔力特化した私は体力10しかありません。なので幻術使ってどうにかしたいと思います〜

ゆうらしあ

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第1章.始まり

9.ギルド

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「はぁ~、美味しかったね。ベリアル。」

(うん。美味しかった。大満足。)
 ベリアルはテーブルの上に仰向けに寝っ転がっていた。ぽっこりと出たお腹は美しい曲線を描いてた。

 ふふっ。可愛い。

 デレッ

 おっと。
 流石にこんな店の中でデレデレしたらあまりの顔に、出禁になってしまうかもしれない。私は自分の両頬を抑える。

 よし、外に出てデレデレすると決めた私はお会計を済ませる。



 はずだった。



 あれ?

 ……嘘でしょ?


 3ギル


 おかしいな。ゲームの中でも目っておかしくなるのか。目を強く瞑り、もう1度よく見る。

 3ギル

 もしかして幻術かな…?私が下を向いて、モジモジしてるとサキさんが話しかけてくる。
「スプリング?そんな可愛くモ…ゴホンッ。何してんの?」

「じ、実は…」
 私は事情を話す。

「え、お金ないのにご飯食べちゃったの!?」
 サキさんは大声で叫ぶ。

「こ、声が大きいです!」
 周りからチラチラと視線を感じる。

「本当はもっとあった筈なんですけど…。」
 私は下を向く。


「ふーん…。もしかして今日、誰かとぶつからなかった?」
 サキさんは目を細めて言う。

「え…あ、そういえばここに来る途中に、男の人に。」

「なるほどね…。」
 サキさんは天井を見上げて、顔を手で覆う。

「どうしたんですか?」

「それは盗賊の仕業だね。」

「盗賊?」
 私は首をかかげる。

「職業でそういうのがあるんだよ。人から物を盗んだりする事で戦闘をしなくても、経験値を貰える奴等が。」
 サキさんは大きな溜息を吐く。


「そうだったんだ…これから気をつけないと…。」やっぱり何も分からないってのは、それだけで差がつくんだ。

「まぁ、今回は最初だったんでしょ?あれは皆んな通る道だからね。その時に気づいて衛兵に知らせれば、牢屋に入れる事もできるし。気にしない方がいいよ。」

「牢屋って?」

「街で相手に攻撃用のスキルを使ってる所を、衛兵に見られたりでもしたらすぐに牢屋行き。つまりこのゲームに1日はログイン出来なくなるのよ。」

「」


「はい…。でもここの食事代…。」


「今回は私が奢っとくよ。」
 サキさんは袋からお金を取り出す。

「え!! 悪いですよ!!」
 私はアタフタと手を動かせる。

「ぐっ…いいの。あのその代わりお願いがあるんだけどいい?」
 サキさんは、また胸辺りを抑えて言う。

「はい! 私が出来る事ならなんでも!!」

「な、なんでも……!?」
 サキさんはそう言うと数十秒考えた結果、

「じゃ、じゃあ私とスクショを撮ってくれるてのは?」
 サキさんは頭を抱えて言う。

「そんなのでいいんですか!? 全然良いですよ!」

「あの、このスクショ、掲示板とかに乗せてもいい?」

「全然いいですよ! ご馳走様でした!!」


 何枚か写真を撮って、私は店から出た。


「ん~! 良い人もいるんだなぁ!」
 私は良い気分でお店から出た。


「じゃあ、サキさんの言われた通り冒険者ギルドに行ってみようかな!」
 私は冒険者ギルドの場所を人に聞きながら、向かった。



「や、やっと着いた。」
 人に聞いてみた所、10分ぐらいで着くという話が、私は30分もかかってしまった。やはりこれも私の敏捷が低いせい…。




~冒険者ギルド~


 ギィ

 私が西部劇に出てくるような扉を開けると、そこには、

「かんぱーい!」
「おい! その肉俺のだろうが!!」
「関係ねーよ! 早いもん勝ちだ!」

 などといった賑やかな声とムワッとした空気が流れ込んできた。冒険者ギルドは酒場も一緒に経営しているようで、とても賑やかな雰囲気であった。


(おぉー!! すごい! なんか熱い!!)
 ベリアルはギルドと酒場の雰囲気に呑まれ、変な事を言っていた。そんなベリアルも可愛い。

 私はそれを横目に、私は冒険者ギルドのカウンターらしき所まで行く。
 カウンターは人が多くおり、長蛇の列が並んでいた。

 私は端っこに誰も並んでいないカウンターを見つけて、そこに向かった。

 そこにはローブを深く被った女性がいた。
「あの~、すみません。」

「………。」
 女性は私の声に反応する事なく、本を読み続けている。

「…あの!すみません!」
 私が声を少し大きくすると、女性がピクッと反応して前を向く。

 女性は綺麗な顔立ちをしていた。黒髪ロングに翡翠色の目。薄い唇に華奢な身体。私は何でこのカウンターに人が集まらないのか分からなかった。

「…私に用?」
 小さな声で彼女は聞いてきた。

「はい!そうです!」
 私が元気に返事をすると、彼女は少し目を見開いて数瞬動きを止める。

「そうですか…。どんなご用件でしょうか?」
 彼女はまたもや小さな声で聞いてくる。

「登録をしたいんですけど、大丈夫ですか?」

「冒険者登録…ではこの紙に必要事項を書いて。名前、職業だけで構わない。」
 彼女は、カウンターの下から紙とペンを取り出すと、私の前に置いた。

 私は日本語で良いのかなと思いながら書く。

「…はい。確認しました。スプリング様。職業は…幻術師…。」

「やっぱり…。」
 小声で何か言う。

「あの…?」
 私が首をかかげていると、

「これが冒険証。無くしたら再発行に10000ギルかかるから気をつけて。」
 彼女は木のカードの様な物を出す。そこを見ると、私の名前に職業が書いてあった。

「ランクは最初はFランクになる。ランクは上からS A B C D E F となってる。ランクが高くなる事でランクの高い依頼受けれる。ランクが高くなれば、それだけ身分の高い人と面識を持てる。高い報酬が得られる。依頼のランクは自分のランク以下の物しか受けれない。依頼はあそこの壁に貼ってある。依頼を受けたいなら、依頼の壁から紙を取ってきて受付に渡せばいい。それは私の所に持ってこないで。以上。」
 彼女が一息にそう言うと、スンとした顔になった。

「あと、」


 私の腰にある『混迷の幻惑書』を指差すと


「それは大事にして。」

「は、はい。大事にします。」
 私が答えると彼女は頷いて、また本を読み始めた。


「えーと…あの…。」

「………。」
 私が話しかけても返事がない。本に夢中になっている。


「…まぁ、いいか。」

 私はそこから離れて、依頼が貼ってある壁に向かった。
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