Koruseit world online〜魔力特化した私は体力10しかありません。なので幻術使ってどうにかしたいと思います〜

ゆうらしあ

文字の大きさ
30 / 57
第2章.幻想

28.幻想姫

しおりを挟む
 そこには大量の焼き鳥を持った、何処かで見たことがあるような大男がいた。んー。どこだっけ…。下の方を見る。オオカミ?


「うわっ!!」
 こいつ!! 私をPKした大男!!何でこんなところに!?私は驚いて足を止める。

(ん? こいつ…!)
 私と同じように止まったベリアルは、大男を見ると三叉槍に手をかけようとしていた。私って愛されてるっ!だけど街中でそれは危ないからやめようねー。私はベリアルの前に手を出して、大男に攻撃しようとしてるのを止める。

(どうしたんですか?)
 ソーマは私達の行動を見て、不思議そうにしている。


「お、お前らのせいで俺がどうなったのか分かってんのか!?」
 大男は私達を指差して、突然怯えた様に声を震わせる。


「え? 何?」
 いきなりそんな事言われても分からないに決まってんじゃん。私は頭をかかげる。


「ほ、本当に分からないのか!? あんな事して来やがって!! 卑怯だぞ!!」


「あんな事…?」
 本当に心当たりがないのだが…。でもなんかすごい怒ってるから何かあったのは間違いなさそう…。


「何人も人をかき集めて、俺を何度もPKしやがったじゃねーか!!」
 と大男は言う。


「はい?」
 全く心当たりがないんですけど? これってもしかして、私に変にいちゃもんつけてまたPKとかしようとしてる?


「惚けやがって!! あれで俺がどんな目にあったのか教えてやるよ!!」
 男はそう言うと私に殴りかかってくる。やばい! この距離だと避けられない!! 私は思わず目を瞑るが、拳はいつまで経ってもやってこない。あれ?
 そう思っていると、大男は私の隣にいた。


「な、何をしたテメー!!」
 大男は動揺しながらそう言うと、またもや私に殴りかかってくる。今度は何があったのかちゃんと見てみよう。私は大男を観察する。

 すると大男はさっきまで私と合っていた視線とは違う方向を見ており、そこに殴りかかっていた。


「ど、どう言う事だ…。」
 大男は呆然として立ち尽くす。


「おいおい、アイツ何やってんだよ!」
「ローブ着てる奴の周りをグルグル回ってらぁ!」
「ふふっ。流石です。」


 いつの間にか私達の周りには空間が出来ており、周りから大男を煽る様な声が聞こえてくる。


(ふふん!!)
 大男の方を向いてドヤ顔を決めている可愛い子もいるが、今は置いといて…。


「も、もう許さねぇ!」
 周りに煽られ、顔を真っ赤にした大男は背中に背負った大剣に手をかける。


 げっ!! 流石にあれを振り回されたら死んじゃうよ! 私がどうしようかと考えていると、ベリアルが前に出てくる。

(俺に任せて!)
 と言うベリアル。ベリアルは大男に向かって指を差して叫ぶ。



(【いたずら】!!)
 ベリアルは【いたずら】を発動させた。
 路地裏で発動させたぶりの【いたずら】…。何が起こるかと私は見守る…。


「うおぉっ!?」
 と言う声を上げる大男。その大男に何が起きたかと言うと…




「な、何でズボンが!?」
 ズボンが足元まで下がり、パンツ一丁になっていた。ズボンは上げることも下げることもできない様だ。足元固定って…案外キツそう。


 まぁ、それよりも…だ…。






「な、何で俺も!?」
「え! 俺もか!?」
「なんという至福!!」


 そこにはカオスが広がっていた。周りの野次馬にも【いたずら】の範囲に入っており、ベリアルには敵と判断された様だ。

 …あの…ごめんなさいね。うちのベリアルがこんな事して。しかも…男のズボンしか脱げてないって…本当に誰も得をしないね。私がそんな事を考えていると


「て、てめぇ! 本当に許さねぇ!!」
 と顔を真っ赤にして、地面を這いずりながら私に近づいてくる大きいイモムシが。私はイモムシの前にしゃがむ。



「最初から思ってたんだけど…先に私をPKしてきたのはそっちだよね?」
 私は頭を傾ける。

「私からしたらもうPKの事なんて気にして無かったんだけど…」
 私は立ち上がって、人混みへ歩いていく。

「そんな私に恨みがあって、またやりたいって言うなら…」



「次は街の外でね?」




「ッ!!」





 黒いローブを纏った少女は

 そう言うと笑ってその場を去る。



 その場は一瞬…一瞬だけだが

 その少女に皆、目を奪われた。



 その幼いながらも整っている顔は、暗い影の様な妖艶さを感じられた。



 現実ではありもしない様な

 まさに、幻想の姫。



「あれが幻想姫…。」
 誰かが言ったその言葉は、不思議とその場にいる全員の耳に残った。
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【コミカライズ決定】勇者学園の西園寺オスカー~実力を隠して勇者学園を満喫する俺、美人生徒会長に目をつけられたので最強ムーブをかましたい~

エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング2位獲得作品】 【第5回一二三書房Web小説大賞コミカライズ賞】 ~ポルカコミックスでの漫画化(コミカライズ)決定!~  ゼルトル勇者学園に通う少年、西園寺オスカーはかなり変わっている。  学園で、教師をも上回るほどの実力を持っておきながらも、その実力を隠し、他の生徒と同様の、平均的な目立たない存在として振る舞うのだ。  何か実力を隠す特別な理由があるのか。  いや、彼はただ、「かっこよさそう」だから実力を隠す。  そんな中、隣の席の美少女セレナや、生徒会長のアリア、剣術教師であるレイヴンなどは、「西園寺オスカーは何かを隠している」というような疑念を抱き始めるのだった。  貴族出身の傲慢なクラスメイトに、彼と対峙することを選ぶ生徒会〈ガーディアンズ・オブ・ゼルトル〉、さらには魔王まで、西園寺オスカーの前に立ちはだかる。  オスカーはどうやって最強の力を手にしたのか。授業や試験ではどんなムーブをかますのか。彼の実力を知る者は現れるのか。    世界を揺るがす、最強中二病主人公の爆誕を見逃すな! ※小説家になろう、カクヨム、pixivにも投稿中。

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

ゲームの悪役パパに転生したけど、勇者になる息子が親離れしないので完全に詰んでる

街風
ファンタジー
「お前を追放する!」 ゲームの悪役貴族に転生したルドルフは、シナリオ通りに息子のハイネ(後に世界を救う勇者)を追放した。 しかし、前世では子煩悩な父親だったルドルフのこれまでの人生は、ゲームのシナリオに大きく影響を与えていた。旅にでるはずだった勇者は旅に出ず、悪人になる人は善人になっていた。勇者でもないただの中年ルドルフは魔人から世界を救えるのか。

魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。

カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。 だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、 ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。 国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。 そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る

早見羽流
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」 解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。 そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。 彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。 (1話2500字程度、1章まで完結保証です)

俺が死んでから始まる物語

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていたポーター(荷物運び)のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもないことは自分でも解っていた。 だが、それでもセレスはパーティに残りたかったので土下座までしてリヒトに情けなくもしがみついた。 余りにしつこいセレスに頭に来たリヒトはつい剣の柄でセレスを殴った…そして、セレスは亡くなった。 そこからこの話は始まる。 セレスには誰にも言った事が無い『秘密』があり、その秘密のせいで、死ぬことは怖く無かった…死から始まるファンタジー此処に開幕

処理中です...