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第2章.幻想

31. Koruseitラボ2

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 そこは長机が数個置いてあり、会議室の様になっている部屋だった。そこには男女合わせて9人もの人がいた。

「で? 先輩方? なんでこんな暴挙に出たんですか?」
 と佐々木が椅子から立ち上がり、尋ねる。


「いやー、そりゃあ、なぁ?」

「あぁ、皆んな意見は一致だったろ?」

「「「「「「もちろん。」」」」」」


「だから、理由を聞いてるんですよ!」


 代表して阿部寛が、立ち上がり言った。
「このまま何も進まないゲームなんて、終わってる様なもんなんだよ!それならもう終らせちまった方がマシだね!!」
 他の7人も同様だと言わんばかりに首を縦に振る。


「だからと言って、あんな事を自分に言わせないでください!!」
 佐々木は机に手を叩きつける。

 すると1人の男が言う。
「翔平、昔から言ってんだろ? 常識に囚われんな。"楽しいは予想外な事"、だ。」
 男はニヤリと笑うと椅子から立ち上がり、眼鏡を頭の上に乗せる。見た目は若く、大学生の様な風貌。しかしその人から出る雰囲気は大企業の社長の様な振る舞いだ。そんな彼は部屋から出て行く。


「結城(ゆうき)さん…。」
 その男の名は結城 誠也(ゆうき せいや) 。Koruseit world onlineの開発者達をまとめるリーダーである。







 ~Koruseit world online 始まりの街~


 か、神の尖兵?
「何の手がかりもないのにどうやって探すって言うのよ…!」

「ていうか……このゲームできなくなったらベリアルとかソーマに会えないじゃん!!」
 私は神の尖兵をぶっ倒す事を心の中で誓うと、近くにいたサキさんが話しかけてきた。


「ど、どどどうする!? 大変だよ! ゲームできなくなっちゃうよ!!」
 とカミカミ大動揺のサキさん。


「ま、まず一回落ち着いて…。」

「う、うん。」
 サキさんは深呼吸する。
 ベリアル達は何があったのか理解しているようだ。最初は私の様に動揺していたが、サキさんを見て逆に落ち着いたようである。


「まず、情報を集めよう。サキさんはお店で情報を集めて。私は知ってそうな所に行って聞いてくるから。」
 私はそう言うと、走り出す。

「わ、分かった!!スプリング気をつけてね!!」
 手を振ってくるサキさんに手を挙げ、答える。

「か、かっこい…。」
 後ろで変な声がするが、無視して私は急いだ。



 ~始まりの街 路地裏~

「カァーッ!カァーッ!カァーッ!」

 バンッ

「ソフィアさん!!」


「ぶっ!! アンタ…もう少し扉はゆっくり開けるって親から教わんなかったのかい!!」
 と紅茶を飲んでいた所に思いっきり扉を開けてしまったらしい。でも今はそれどころじゃない!!


「ソフィアさんに聞きたい事があるんです!!」


「悪いが、魔術の同時発動は自分で練習しな。」
 ソフィアさんは紅茶を飲みながら言う。


「"神の尖兵"って知ってますか?」
 私はロザンからさっき聞いた尖兵について聞いた。何も分からない今、少しでも情報が欲しかった私は単語のみ聞いた。


「それを何処で聞いた…。」
 今までにないくらい怖い顔で私に尋ねてくる。


「え、えっと、」


「…まぁ、アンタにはいいか。」
 ソフィアさんはそう言うと椅子に深く腰掛ける。数秒静かな時が流れる。ソフィアさんがようやく口を開く。

「神の尖兵。具体的には氷神の下僕の事だね。」

「下僕?」

「あぁ。今その話題で国中のあちこちで騒ぎが起きてるって話だ。私の所にも連絡が来た。」
 ソフィアさんの方にカラスが止まる。カラスは何か紙を咥えている。ソフィアさんはその紙を受け取り、開いて読み上げた。


 ソフィア・アーネット様
 今、国中で起こっている出来事は知っているでしょうか。『神の尖兵』の攻撃により、炎のベールが薄くなってきています。どうかお力添えをお願いします。
 マクルド国王 ソラン・グラフィル・マクルド


「…なんで国王から連絡が来てるんですか!!」


「ん?言ってなかったかい?私は元"宮廷魔術師"だよ。」
 とソフィアさんは平然と言った。
 きゅ、宮廷魔術師!?こんなおばあちゃんが!?私がそう思っているとソフィアさんは頭を殴ってくる。

「な、なんで!?」
 私は叩かれた頭を抑えながら言う。

「アンタは顔に出すぎなんだよ!!」
 と怒鳴られた。そんなに私の顔って分かりやすいですか…。まぁ、そんな事よりも

「神の尖兵は何処に居るか分かっているんですか?」
 私は聞く。

「……倒す気かい?」
 ソフィアさんは真剣な表情で私に問う。

「はい。倒さなければこの国、いや! 世界(ゲーム)は終わりです!」
 もう、私はこの世界(ゲーム)にハマったんだよ! これがなくなるなんて想像できない!!


「…そこまで意思が固いなら、分かったよ。教える。」
 ソフィアさんは諦めたかのように溜息を吐いた。

「やった!」

「ただし!! 私が居場所を知っているのは1体だけさね。」

「それでもありがたいです!!」
 私はそう言うとソフィアさんの真正面の椅子に座った。


「この国の国王からの情報によると…。古の王都ソシャールの近くで黒い霧のような物が発生し、近くの生命体を苦しめてるらしい…。」
 ソフィアさんはそう言った。
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