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第2章 夜会がある様です。
第14話 毛色変更
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「ふぅ~…何か一気に肩凝った…」
「アウ?」
王城の自室、カーシュ達は見つからない様に部屋へと帰ると、ベッドの上に大の字で寝転がっていた。
「また行くって言ったけど…当分はアソコには行けないなぁ…」
「アウッ!?」
「イタッ!? だ、だってアソコにはあの人が居るんだよ!? いつバレたっておかしくない…それにあの裏まで行くのにもバレないで行くなんて大変過ぎ…」
「ア、アウ…?」
華珠がカーシュに転生、もとい乗り移った事はカーシュ自身しか知らない事だ。マアトが理解出来ないのも無理はない。
「どうにかしてマアトの遊び場を確保したいよね…」
外でマアトが遊べる場所且つ、そこまでに移動する時にマアトが亜種だとバレない様にする。
これを満たす場所と言うのは此処に存在しないのではないだろうか。
(いや…もしかしてわざわざ場所を探さなくても良いんじゃない?)
カーシュは徐ろにベッドから起き上がると、マアトに掌を向けた。
「アウ?」
「魔法は…イメージ…」
そう言った瞬間、ポンッとマアトから煙が立ち込める。
「…よしっ! 成功!」
「アウ?」
カーシュはそれを見て嬉しさのあまり、マアトへ抱きついた。
マアトの真っ白だった毛色は、真っ黒とまではいかない灰色へと変化していた。
ハウスタイガーの毛色は本来黒色らしいが、真っ白ではない為、亜種として見られる事はほぼ無いだろう。
「アウッ!?」
「ふふっ、ビックリした?」
自分の身体を見て驚くマアトに、それを微笑ましく見守るカーシュ。
「これなら外に出ても大丈夫。目が赤いのが少し心配だけど…」
「アウアウッ!!」
マアトはそれを聞いて、嬉しそうに部屋を駆け回るのだった。
「でも…この魔法がいつ解けるか分からないから…当分は外に出れないかも」
「ア…ウ…?」
カーシュは数秒時間が経ち、冷静になる。
上げて落とすとは、こういう事を言うのだろう。
「ご、ごめんね。でも突然外で遊んでる時にマアトの毛が真っ白になったら皆んなビックリしちゃうと思うし…その魔法を使ったのは十中八九私だと決めつけられるだろうし」
それは避けなければならない。
ビバBL化、平和に暮らしながらほのぼのとBLライフを楽しむ。
魔法を使える様になるのは、早くて10歳。5歳にして魔法を使える美少年なんてもっての外である。
(マアトには悪いけどこれは絶対避けたい…せめてアルドさんが魔法を教えてくれたらなぁ…)
カーシュは大きく溜息を吐いた。
魔法の教師として派遣されたアルドだったが、魔力通しを行った以降、カーシュはまだ一度も会っていない。
魔法の扱い方を本格的に教われば、マアトの毛色だって自由自在に変更出来て、色んな所に遊びに行けるのに。
トントントン
そんな事を思っていると、部屋の扉がノックされる。
カーシュはマアトを急いでベッドの中へと隠す。
マアトが産まれてから、ラルが入る時はラルに名前を言ってもらう様にしている。
つまり、今来た人はラルではない。
「ど、どうぞ」
少し吃りながら許可すると、入って来たのはラルとは別のメイドだった。
「失礼します」
「何か用かな?」
カーシュは外付けの良い顔を作ると、優雅にメイドへと笑いかけた。
「ッ……カーシュ殿下と飼っている魔物をお連れして来いと、その命を受けてやって来ました」
「……飼っている魔物と一緒に? 私だけでなく?」
「はい」
「誰からの命令で来た?」
「お教え出来ません」
何という怪しい誘い。
殿下であるカーシュが聞いているのに答えられない。それはつまり、カーシュ以上の位の者がこの者に命令した事になる。
この城においてカーシュよりも偉いとなれば、父であるビクター、母のフアラぐらいではないだろうか。
「断る事は?」
「…それは……出来ますが…」
メイドは口籠る様に顔を俯かせた。
(私を連れて行かないとこのメイドが罰を受けるとか…そんな所かな)
流石にそれは気が引ける。何かあったとしても城の中なら問題はないだろう。
問題になるとしたら…。
カーシュはベッドの膨らみをチラリと見つめた。
(マアトが亜種だとバレる事。ただ今は毛色は変えてるし、どうにかなる? 近くにずっと居れば変わった瞬間に、また色を変えれば良いし…)
カーシュは様々な想定を終えると、笑顔で言った。
「分かった。今準備するよ」
「アウ?」
王城の自室、カーシュ達は見つからない様に部屋へと帰ると、ベッドの上に大の字で寝転がっていた。
「また行くって言ったけど…当分はアソコには行けないなぁ…」
「アウッ!?」
「イタッ!? だ、だってアソコにはあの人が居るんだよ!? いつバレたっておかしくない…それにあの裏まで行くのにもバレないで行くなんて大変過ぎ…」
「ア、アウ…?」
華珠がカーシュに転生、もとい乗り移った事はカーシュ自身しか知らない事だ。マアトが理解出来ないのも無理はない。
「どうにかしてマアトの遊び場を確保したいよね…」
外でマアトが遊べる場所且つ、そこまでに移動する時にマアトが亜種だとバレない様にする。
これを満たす場所と言うのは此処に存在しないのではないだろうか。
(いや…もしかしてわざわざ場所を探さなくても良いんじゃない?)
カーシュは徐ろにベッドから起き上がると、マアトに掌を向けた。
「アウ?」
「魔法は…イメージ…」
そう言った瞬間、ポンッとマアトから煙が立ち込める。
「…よしっ! 成功!」
「アウ?」
カーシュはそれを見て嬉しさのあまり、マアトへ抱きついた。
マアトの真っ白だった毛色は、真っ黒とまではいかない灰色へと変化していた。
ハウスタイガーの毛色は本来黒色らしいが、真っ白ではない為、亜種として見られる事はほぼ無いだろう。
「アウッ!?」
「ふふっ、ビックリした?」
自分の身体を見て驚くマアトに、それを微笑ましく見守るカーシュ。
「これなら外に出ても大丈夫。目が赤いのが少し心配だけど…」
「アウアウッ!!」
マアトはそれを聞いて、嬉しそうに部屋を駆け回るのだった。
「でも…この魔法がいつ解けるか分からないから…当分は外に出れないかも」
「ア…ウ…?」
カーシュは数秒時間が経ち、冷静になる。
上げて落とすとは、こういう事を言うのだろう。
「ご、ごめんね。でも突然外で遊んでる時にマアトの毛が真っ白になったら皆んなビックリしちゃうと思うし…その魔法を使ったのは十中八九私だと決めつけられるだろうし」
それは避けなければならない。
ビバBL化、平和に暮らしながらほのぼのとBLライフを楽しむ。
魔法を使える様になるのは、早くて10歳。5歳にして魔法を使える美少年なんてもっての外である。
(マアトには悪いけどこれは絶対避けたい…せめてアルドさんが魔法を教えてくれたらなぁ…)
カーシュは大きく溜息を吐いた。
魔法の教師として派遣されたアルドだったが、魔力通しを行った以降、カーシュはまだ一度も会っていない。
魔法の扱い方を本格的に教われば、マアトの毛色だって自由自在に変更出来て、色んな所に遊びに行けるのに。
トントントン
そんな事を思っていると、部屋の扉がノックされる。
カーシュはマアトを急いでベッドの中へと隠す。
マアトが産まれてから、ラルが入る時はラルに名前を言ってもらう様にしている。
つまり、今来た人はラルではない。
「ど、どうぞ」
少し吃りながら許可すると、入って来たのはラルとは別のメイドだった。
「失礼します」
「何か用かな?」
カーシュは外付けの良い顔を作ると、優雅にメイドへと笑いかけた。
「ッ……カーシュ殿下と飼っている魔物をお連れして来いと、その命を受けてやって来ました」
「……飼っている魔物と一緒に? 私だけでなく?」
「はい」
「誰からの命令で来た?」
「お教え出来ません」
何という怪しい誘い。
殿下であるカーシュが聞いているのに答えられない。それはつまり、カーシュ以上の位の者がこの者に命令した事になる。
この城においてカーシュよりも偉いとなれば、父であるビクター、母のフアラぐらいではないだろうか。
「断る事は?」
「…それは……出来ますが…」
メイドは口籠る様に顔を俯かせた。
(私を連れて行かないとこのメイドが罰を受けるとか…そんな所かな)
流石にそれは気が引ける。何かあったとしても城の中なら問題はないだろう。
問題になるとしたら…。
カーシュはベッドの膨らみをチラリと見つめた。
(マアトが亜種だとバレる事。ただ今は毛色は変えてるし、どうにかなる? 近くにずっと居れば変わった瞬間に、また色を変えれば良いし…)
カーシュは様々な想定を終えると、笑顔で言った。
「分かった。今準備するよ」
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