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第6章(2)アカリside
2-5
しおりを挟む「アカリさん。
ヴァロン様から連絡が来ましたよ」
「依頼人との話し合いが終わって、今港街へ帰還中だそうです!」
マスターさんと話していた私に、席を外していたレナとレイが笑顔で報告に来てくれた。
「!……本当?」
早く会いたい。
そんな気持ちが溢れて私は笑顔になる。
マスターさんが訪ねて来てくれた事で、私の気持ちはすっかり落ち着いていた。
ヴァロンが帰ってきたらちゃんと話し合おう。
マスターさんのお陰でそう前向きに思える様になった。
「さて、ではワシは失礼しようかな。
レナ、レイ。
ヴァロンが帰宅するまでアカリさんを頼むぞ」
私の笑顔を見てホッとした表情のマスターさんは、レナとレイに声をかけて玄関へ向かおうとする。
「あ、あのっ……」
ちゃんとお礼を言わなくちゃとソファーから立ち上がり、私は頭を下げた。
「本当に、ありがとうございました」
「ヴァロンと仲良くな。
二人の子供が出来る日も楽しみにしておるよ」
「!……っ///」
マスターさんの言葉に、私は真っ赤になって顔上げた。
ニコニコと本当に自分の孫の誕生を楽しみにいる様な、マスターさんの笑顔。
///……赤ちゃん。
もうお腹にいる、って言ったら喜んでくれるんだろうな。
そう思ったけど……。
やっぱり、ヴァロンに一番に言いたい。
言葉を飲み込んで私は「はいっ」とだけ答えると笑顔で頷いた。
……でも。
ヴァロンに酷い事を言った私。
赤ちゃんに八つ当たりした私。
そんな私に、天罰が下るんだ……。
……。
帰宅するマスターさんを見送ろうと玄関まで足を進めようとした時……。
「!?っ……」
下腹部にズキッと痛みが走って、私は思わず手で押さえながら前屈みになって顔を歪めた。
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