上 下
109 / 195
第6章(2)アカリside

2-6

しおりを挟む

「!……アカリさんっ?!」

「!っ……どうしたんですかッ?」

レナとレイが駆け寄って来て、慌てて私の肩を支えてくれた。
……けど。


「っ……い、たッ……ぃ……ッ」

……な、んで……急にっ……?

ズキズキと迫ってくる痛み。

赤ちゃんに何かあったのかも知れないという恐怖で、私はすっかりパニックになってしまう。
上手く呼吸が出来なくて、私はお腹を抱えるようにしながら床に両膝を着いて倒れた。

騒ぎに戻って来てくれたマスターさんが血相変えて声をかけてくれたけど、もう私の耳には聞こえなかった。


……。

きっと神様が……。
ううん、赤ちゃんが怒ってるんだ。

パパを傷付けた私。
一瞬でも産みたくないなんて思った私を……。


ヴァロン、ごめんね。
ヴァロンはいつも私を守ってくれたのに……。

私は貴方が願ってくれた夢さえ守れない。
しおりを挟む

処理中です...