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第1章 (3)出逢い
3-2
しおりを挟む「っ……いない」
そこはいつもと変わらない。
自分以外誰もいない、だだっ広い空間。
私は慌てて部屋を飛び出した。
昨夜の出来事が一気によみがえる。
彼に背負われて、門番の目を盗んで帰宅した時の事がーー。
部屋に付いているお風呂をすすめると、それよりも私の足の傷を心配して手当てしてくれた優しい彼。
お風呂に入った後も、ずっと枕元に居てくれて……。
私が眠るまで手を握っていてくれた、暖かい温もりをくれた彼。
夜の闇を優しく照らす月のような、白金色の彼。
不審者、って……もしかしてッ……。
悪い予感が頭を過る。
お願いっ……無事でいて!!
私は祈るような気持ちで廊下を駆けながら、警備や使用人が騒いでいる現場へと急いだ。
……
…………。
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