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第8章 (1)たくさんのありがとう
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しおりを挟む……そして。
1番に、バロンの事を聞かれた。
「ここへ来たら、バロンの制服が警備のものに変わっていて……。
まさかと思ってローザに聞きましたのよ?
アカリが、決めたんですって?」
「……。うん」
モニカの問い掛けに私は頷いて、編みかけの編み物を机に置いた。
「どうして?
なんでそんな事をっ……」
納得のいかない表情を浮かべながら、私を見つめるモニカ。
私はゆっくりと話し始めた。
あの時の事を思い出すように……。
それはーー。
私がお父さんの事を求めて別荘を抜け出して、その旅から帰って来た時の事だ。
『このままアカリを、あの場所に帰したくなくなる』
嬉しかったあの言葉。
でも、私は……。
私達は、ここへ戻って来る事を選んだ。
どちらかが、特に言葉にした訳じゃない。
暫く見つめ合った私とバロンは、二人で少し微笑んで……。互いに、目を逸らした。
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