夢の言葉は魔法の呪文【改訂版】

最終章 （１）夢の言葉は魔法の呪文

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「アルバート様のお越しにございます！」

大広間に、緊張感が走る。

少し前から待機していた私は、椅子から立ち上がり姿勢を正した。
扉が開いて、複数の人を引き連れてた灰色のスーツの紳士が私の前に歩み寄ってくる。

この人が、アルバート様ーー。


「……そなたが、アカリか？」

初めて聞く、お祖父様の声。
もっと怖いと思っていたのに、予想よりも優しい声色。

私は少し伏せていた顔を上げて、お祖父様と瞳を合わせる。

想像していたよりも若く見える。
もし普通に町中で会ったりしていたら、間違いなく”素敵なおじ様”と思うだろう。
白髪混じりの茶色の髪もお洒落で、鼻の下の髭も似合っている。

この人が、私のお祖父ちゃん。
何も期待なんてしていなかったのに、顔を合わせた瞬間。
なんだか、少し嬉しくなった。