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第13章(3)アカリside
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しおりを挟む「っ……マオさんの、バカ」
仕事から上がり、一人きりの更衣室。
私は自分の荷物が入っているロッカーの扉にコツンッと額をつけて呟いた。
顔が見れて嬉しかった。
久々に会えて嬉しかった。
もう一度ポケ電の番号を渡したくて後を付けて……。抱き締められた時は突然で驚いたけど、すごく幸せだったのに……。
『アランなら……きっと、幸せにしてくれますよ。
っ……だから、これからは……会う時は、アランを通じて……会いましょう?』
「なんでっ……あんな事、言うのッ?」
胸が痛い。
私の気持ちも聞いてくれなかった。目を逸らして、私を見てくれなかった。
仕方ないのかも、知れない。
彼が記憶を失っているのも、今の状況や状態も理解しているつもりだ。
でも、それでも悲しくて涙が溢れてくる。
大好きな彼に拒絶されて、心は直接握り潰されているみたいにぺしゃんこだった。
***
目、赤いかな……。
涙をなんとか止めて帰り支度を整えると、パン屋さんを後にした。
頑張ると決めたのに、また泣いてしまった。
「……来るわけ、ないか」
鞄からポケ電を取り出してメッセージや着信を確認する。
……が、何もない。
また、悲しくなってくる。
グッと涙を堪えて、以前ヒナタが撮ってくれた自分とマオさんが映っている待ち受け画面を見つめながら歩いていると……。
「ーーちゃんと前を見ないと転ぶぞ」
その声にハッとした時には遅かった。顔を上げた視線のすぐ先には、私を見てフッと笑うアラン様。
ずっとずっと避けてたのに、1番会いたくないタイミングで1番会いたくない人に会ってしまった。
しかも、後退りしようと足を一歩下げた瞬間。アラン様に手に持っていたポケ電をひょいっと奪われてしまう。
「!っ……か、返して!」
何とかして取り返そうとするが、私が正面に回り込む動きを読んでいるかのように背を向けられて全く取り返せる気がしない。
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