夢の言葉と約束の翼(中)【夢の言葉続編⑥】

☆リサーナ☆

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第14章(2)マオside

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***

ミネアさんのお気に入りで、彼女の父親であるハンク様が経営している高級ホテルのロビー。
たくさんある席の中で、なるでく目立たない位置にある端のソファーに腰を掛けながら僕はミネアさんを待っていた。
そして、さっきまでの事を思い返していた。

何故だかずっと、アカリさんの事が頭から離れない。
初めて会った時から、そうだった。
彼女の笑顔も、声も、料理も……。何より時折見せる、僕を見つめる何か言いたげな瞳。

"誰の事を見てるの?"

そう、問いたくなる瞳。


きっとアカリさんは、僕の中に僕じゃない他の誰かを見てる。それはおそらく、アランの言っていた別れた旦那さんなのだろう。
僕がさっきアカリさんの言葉を聞きたくないと彼女の言葉から耳を逸らしたのは、僕自身に向けられている言葉ではないと……感じたせいもあるのかも知れない。

「彼女の旦那さんが、僕なら良かったのに……」

彼女が旦那さんと別れたのが三年前。
僕が記憶を失くしたのも三年前。

ある筈ないと思いながら、その不思議な偶然に自分の中に生まれていた微かな願望という名の光が、思わず口から漏れていた。


「ーーマオ様!ただいまっ!」

「!!ッ……」

背後からガバッと抱き付きながら声を掛けられて、心臓がドキリと大きく跳ね上がる。
この声、フワッと香る柑橘系の香水の匂いーー。

「ミ、ミネア……さん」

「ふふっ、ごめんなさい。驚かせてしまいましたわね!」

ミネアさんは思わずソファーから立ち上がって自分の胸を押さえる僕を見て笑うと、コツコツとヒールの音を響かせながら正面にやって来た。
僕を見上げていつもみたいに微笑ってくれている彼女を見て、先程の呟きが聞かれていなかったのだとホッとする。


僕は、悪い男だーー。
ミネアさんという素敵な人が在りながら、心はフワフワと空を浮かぶシャボン玉のように彷徨って、自分の定まる場所を探していた。

だから、そんな僕に神様はずっと怒っていると思うーー……。

「ふふっ」

「?……ど、どうしました?僕の顔に、何か付いてますか?」

僕の顔を見つめたままずっとニコニコしている彼女に問い掛けると、その答えはあまりに素直で美しくて……。嘘や罪悪感でいっぱいの僕の心を痛く攻める。
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