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第14章(4)アランside
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しおりを挟む「っ……何を言っている!
オレの母親と貴様の母親は恋敵なんだぞッ!!」
オセロの盤面に両手をバンッと着いて、勢いよく椅子から立ち上がった。
ぐちゃぐちゃになったオセロの駒が、カランカランッ……と音を立てて飛び散る。
兄上の言葉に"嬉しい"と感じてしまった自分を否定したかった。
兄上とその母親は自分の母親の仇ーー。
それが、今までの自分の人生の道しるべだったから……。
それを失ったら、自分を見失う気がして怖かった。
それなのに……。
「そんなん、俺達には関係なくね?」
兄上は、たった一言で終わらせる。
首を少し傾げながら、ニッて笑って……。意地悪そうな笑顔なのに優しい瞳で、オレを見てきて……その恐怖を抑え込んでくれた。
「親は親だろ?俺達は俺達だ。
俺は父さんに感謝してるよ。俺に、兄弟を遺してくれた事」
「……」
「……てか!
あ~あ、ぐちゃぐちゃじゃん」
「……飲み物を買ってくる」
「!……はぁ?!逃げんなよ~?
この勝負は仕切り直しだかんな~?早く戻ってーー……」
背後に向かって叫んでくる兄上を遮るように扉を閉めて、病室を出た。
廊下に出た瞬間。
熱い涙が瞳から流れて、ポタポタと地面に落ちる。
今までずっと……。
母親の無念を晴らす為だけに、自分は存在しているのだと思っていた。
その為に、自分は産まれてきたのだと……。
でもーー。
『俺は父さんに感謝してるよ。俺に、兄弟を遺してくれた事』
それは違うのだと。
オレに新たな道を開いてくれた。
そして……。
『お願いっ……今の話、ヴァロンにちゃんと話してあげてッ?!
貴方が弟だって知ったら、ヴァロンは絶対に喜ぶわ!』
『ヴァロンと貴方は、解り合えるっ…。
ヴァロンも、ずっと自分が独りだって苦しんできたのッ……』
少し前に、アカリ様に言われた言葉の意味がようやく分かった。
兄上の中には微塵も"オレや母がいなければ良かった"という想いは、ないのだ。
「……くそッ。
これが、夢の配達人の兄上の魔法の言葉の力か」
……そう呟きながらも、分かっていた。
その言葉以上に美しいのは、心。
飾らない、真っさらな、兄上の魂なのだと。
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