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第15章(4)ディアスside
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「……お遊びは、もうよろしいですか?」
人通りの少ない静かな夜の路地裏で、地面にうずくまり、ハァハァ……と呼吸響かせるユイ様に声をかけた。
決して弱くはない。
けれど、私と彼女とでは経験も鍛錬の仕方も違う。幼少期より兄の身代わりになる為に生きてきた刻で培ったこの力に、勝てる訳がなかった。
なるべく手荒な真似はしたくなかったが、短時間で決着をつけたくて脇腹に入れた一発がユイ様にはかなり効いているようだ。脇腹を押さえて、必死に痛みを堪えている。
手加減はしたが暫く動けまい。
「もうお分かりでしょう?
これに懲りて、今後私を付け回す事もおやめ下さい」
彼女がシュウ様の命で私に付き、色々探りを入れている事にはとっくに気付いていた。
シャルマ邸には特別な訓練をされた優秀な番犬がいる。血の匂いを嗅ぎ分け、一族とその屋敷に出入りが許されている者以外の侵入を許さない。
つまり、部外者は威嚇されてしまう。
だが、ユイ様はヴァロン様の御息女。一族の血を引いている彼女を、番犬は威嚇する事はない。
おそらくシュウ様はそれを知っていて、ユイ様を私に付けたのであろう。
……全く。
彼女にしか出来ないとは言え、酷な任務を与えたものだ。
「どうぞ貴女様は、女性として幸せな未来をお進み下さい。
その方が、きっとヴァロン様もお喜びになります……」
ご自分の為にユイ様が傷付いたりする事を、あの方は絶対に望んではいない。
私はそう告げて、その場を離れようとした。
けれど……。
「ーーッ、あなたこそ……分かっているの?」
そう言って、痛みを堪えながら立ち上がるユイ様の気配を背後に感じて、私は歩みを止めた。
「父の気持ちを、本当に分かっているのっ?
……っ、分かって……ないわ。間違っているのは、あなたの方じゃないッ……!」
「……」
間違っているーー。
分かり切っている指摘が、自分の痛みなど考えないようとしていた筈の私の胸を……ほんの少しズキンッと刺した。
「……お遊びは、もうよろしいですか?」
人通りの少ない静かな夜の路地裏で、地面にうずくまり、ハァハァ……と呼吸響かせるユイ様に声をかけた。
決して弱くはない。
けれど、私と彼女とでは経験も鍛錬の仕方も違う。幼少期より兄の身代わりになる為に生きてきた刻で培ったこの力に、勝てる訳がなかった。
なるべく手荒な真似はしたくなかったが、短時間で決着をつけたくて脇腹に入れた一発がユイ様にはかなり効いているようだ。脇腹を押さえて、必死に痛みを堪えている。
手加減はしたが暫く動けまい。
「もうお分かりでしょう?
これに懲りて、今後私を付け回す事もおやめ下さい」
彼女がシュウ様の命で私に付き、色々探りを入れている事にはとっくに気付いていた。
シャルマ邸には特別な訓練をされた優秀な番犬がいる。血の匂いを嗅ぎ分け、一族とその屋敷に出入りが許されている者以外の侵入を許さない。
つまり、部外者は威嚇されてしまう。
だが、ユイ様はヴァロン様の御息女。一族の血を引いている彼女を、番犬は威嚇する事はない。
おそらくシュウ様はそれを知っていて、ユイ様を私に付けたのであろう。
……全く。
彼女にしか出来ないとは言え、酷な任務を与えたものだ。
「どうぞ貴女様は、女性として幸せな未来をお進み下さい。
その方が、きっとヴァロン様もお喜びになります……」
ご自分の為にユイ様が傷付いたりする事を、あの方は絶対に望んではいない。
私はそう告げて、その場を離れようとした。
けれど……。
「ーーッ、あなたこそ……分かっているの?」
そう言って、痛みを堪えながら立ち上がるユイ様の気配を背後に感じて、私は歩みを止めた。
「父の気持ちを、本当に分かっているのっ?
……っ、分かって……ないわ。間違っているのは、あなたの方じゃないッ……!」
「……」
間違っているーー。
分かり切っている指摘が、自分の痛みなど考えないようとしていた筈の私の胸を……ほんの少しズキンッと刺した。
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