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第18章(1)マオside
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しおりを挟む閉じ籠もった部屋の中ーー。
あれから何時間過ぎただろう?
部屋とバルコニーの境にある大きな窓ガラスから見える景色は暗くて、すっかり夜になっていた。
僕のアカリさんの旦那さんに対して高まっていた感情も少しは落ち着いて、今では堪らない後悔が押し寄せてきている。
……いや。
今でも旦那さんの事は、気になってる。
でも、何故自分はアカリさんにあんな言い方と態度をとってしまったのだろうか?
ヤキモチ。嫉妬。
婚約者がいる立場で別の女性にそんな感情を抱く事になるなんて思いもしなかった僕は、自分の本当の気持ちにも気付けず、ただただ悩んでいた。
「……謝らなきゃ」
顔をまともに見る事は出来なかったが、最後に聞いたアカリさんの声は震えていた。きっと、僕の八つ当たりのような言葉に傷付いているに違いない。
ゆっくり座っていたベッドから立ち上がり扉へ行くと、鍵をあけてドアノブに手をかける……。が、そこで僕はピタッと止まった。
なんて、謝ればいいんだろう?
ただ「ごめんなさい」って言うだけは、違う気がする。
アカリさんは優しいからきっと「もういいですよ」って言ってくれそうだけど、表面上で謝っても意味がないと思った。
……でも。
そもそも自分自身が何故イライラしていたのか分からないのに、それを伝えるのは難しい。
……
……扉の前で悩む事数分。
うん!
長ったらしくなってしまうけど、自分がああ言ってしまった経緯をアカリさんにちゃんと話そう!
そう決めた僕が扉を開けると……。
「ーーあ!マオさん!」
名前を呼ばれて、一瞬"まさか"と思った。
けど、絶対に聴き間違えたりしないと言える位に美しいその声にゆっくり視線を向ける。
すると足早に歩み寄って来て、僕の間近に来た彼女がこう言った。
「ちょうど良かったです!
お腹すいてませんか?夕飯作ったんです!」
明るい声。
さっきの事なんてなかったみたいに、屈託のない笑顔。
変わらない笑顔が、僕の前で輝いていた。
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